2007年12月21日

FC琉球の本質を凝視する

 昨日は都内で行われたFC琉球の記者会見に足を運んだ。個人的にはトルシエ氏にも話を聞けたし、野口代表にもかなりの時間を頂いて、深い部分まで追求できたので、今のところ当初の衝撃は消え去った。

 やはり広告塔的なトルシエ氏の位置付けには不満があり、多くの人々に今FC琉球で何が起こっているのかを伝える必要があると思う。JFL17位のチームが一夜にして何億という目の前に立つ。それはいいことなのかもしれないが、トルシエ氏や榊原氏が肩を並べるだけあって必要の無い方向性に話が向いていく。
 なぜかと言われれば、メディアの人間がFC琉球を知らないからだ。このクラブが持つバックボーンを知ろうとしないで、表面だけの報道に偏った結果、秋田獲得という根拠の無い情報が生まれる。 
 記者会見の前にメディアに対し、FC琉球の歴史や実績の詳細が配られた。しかしA4のパンフレットに収まるほど、このクラブは薄っぺらいものではない。様々な立場の人が、様々な価値観で携わる瞬間がある。その時間を理解することで、双方向の議論が可能になるのだ。

 これから世に出る情報はじっくり熟成された中で、伝えられる本質だ。ドラスティックな改革の根底にあるものを聞き取って欲しい。私も、それに参加できればと思っている。

 会見の際にフローラン・ダバディ氏とトルシエ氏が、お互い10年前とはまるで違う立場で、質疑応答を繰り返していた。4年間という濃密な時間を過ごしてきた間柄だからこそ言える言葉もちらほらあった。いつもの記者会見には無い、本当の意味でお互いを尊重しあう空間だったように思う。

 思えばFC琉球と私達も四年以上の月日が流れている。今、彼等のような場所に沖縄県民はたどり着いているのだろうか。そしてトルシエ氏と築き上げる深く、新しい空間はいつ作り出されるのだろうか。
 
 記者から新しく獲得する選手は誰かと尋ねられたとき、トルシエ氏はこう言った。

 「アフリカから選手は獲得する。ファースト・ネームしか言えないけど、ディディエになると思う」

 まだ、我々は彼に近づいてもいない。

posted by 奥間店長 |00:58 | FC琉球 |
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2007年12月15日

高校サッカーを考える季節に君を想うということ

高校サッカーの季節は既に数ヶ月も前から始まっている。インターハイでスパイクを壁にかける生徒も多い。何も選手権だけが高校生の輝く場所でもない。 しかし、最終的な終着地点は選手権と捉えるだけの付加価値はやっぱりある。
 
選手権の流れが変わった日
今年はU-18日本代表候補の兼ね合いもあり、全国的にスーパーシードの高校が増える奇妙な構図が浮き上がってきた。
 特に群馬県予選では前橋育英の選手が結局、代表候補に召集されずにベスト4から登場となった。7月以来の公式戦となったが、試合感は鈍り、シビアな展開の流れに乗れない恐れもある中で、タイガー軍団は二年連続の選手権出場を決めた。

 そして日本中が注目した千葉県予選。同じ県に日本一は二校いらない。この二校の対戦は今季四度目。その全ての大会に千葉県代表のイスは二つあった。だが今回ばかりはそうもいかない。
 関係者には12年前、市立船橋には北島が、習志野には福田、廣山がいたあの一戦が去来するのだろう。しかし今年はそれ以上の材料が揃い、市立船橋と流通経済大柏が残してきた実績も、過去に前例の無いものだった。

ひとつの決断とひとつの制御
前半3分、少し浮いたと思われたクロスに市立船橋のFW富田が飛び込む。これはGKのファインセーブにあったが、両ワイドからリスクを冒してでも攻めるイチフナの強い気概を早い段階で感じることになる。
 流通経済大柏も高円宮杯で大車輪の活躍を魅せた大前や上条が玉離れを早くし、市船ゴールへ向かうがなかなか決定的な場面は作れない。これまで何度も相手に「サッカーをさせなかった」強烈なプレッシングも、市船のダイナミックな展開にボールを奪う場所やタイミングをつかめない時間が続いた。

 しかし、その市船の流れはある瞬間を境に突然止んでしまう。後半に入ると流経の特徴の一つでもある攻撃の選手二人を同時に代え、相手のマーキングのズレを突いてくる。
 この多様性のある変化に市船は動揺し、ボールが収まるはずの場所でなかなかキープできず、効果的な攻撃に移れない。
 
 これは高円宮杯の決勝に進んだ広島ユースにも言えることだが、相手がこれまでとは違った展開を仕掛けてきたとき、対応に時間がかかりすぎているチームが最近は目立つ。突き詰めれば状況判断の質と言うことになるが、目の前のドラスティックな変化についていけないのは、現在の高校生の特徴の一つでもある。仕掛ける側もそうだが、受ける側も状況に応じたサッカーを魅せなければ上のカテゴリーで柔軟な発想をキープすることは難しい。

 選手交代の選択肢もあったが、市船の石渡監督はゲーム後に「延長が頭にあった」と語ったようにタイミングを逃してしまう部分もあった。
 選手交代によってお互いのコントラストはさらに浮き彫りになり、後半ロスタイム、交代で入った流経の久場が一気に左サイドを抉り、3人を抜いた後シュートを迷い無く放つ。一旦はGKに弾かれるが、こぼれ球は上条の前に落ち、左足を振りぬくと劇的な幕切れが待っていた。

高校サッカーは君のために
「これから先、大学やプロでサッカーを続ける以外に、こんなにも多くの仲間と、こんなにも多くの時間をかけて一つのゲームに臨む事は、多分一生ない。だからこそ、これから起こる一つひとつを大切にしよう」
 
 昔、高校生を指導し、選手権予選に挑む際にこう伝えたことがある。殆どの生徒は今、サッカーを継続的にプレーしていない。
 する側から見る側へ回ったとき、溢れ出る昔の想いはどこへ行くのか。気が付けば、そういった感情を抱かない自分に出会うことだろう。それもまた、大人になるということだ。サッカーだけが人生ではない。
  
 今年も、センシュケンの季節が始まる。その時間は自分だけのものだ。

posted by 奥間店長 |00:41 | SOCCER |
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2007年12月04日

サポーターとクラブの狭間で

 現在、今年の総括以上に焦点になっているのはFC琉球が11人を突然に大量解雇した問題だ。以前、沖縄では似たような騒動が他クラブで起きたこともあり、感情論も交えた非常にデリケートな部分が焦点となっている。
 
 サポーターの間で功労者の存在はJクラブより大きい。昔から、とは言わないまでも、シーズンを通して戦った選手が突然解雇を受けるのは理解しがたい部分は確かに私もある。

 しかし、横河武蔵野FC戦で感じたのは決定的な「質」の違いだった。石井(雄)は高さはあるものの、ビルドアップ能力や押し込まれたときの状況判断は決してレベルが高いとは言えない。
 ボランチに入った佐藤(拓)はトータル的にはJ2で戦う素質はあるのかもしれない。この日の佐藤は局面では全力でプレーしていた。だが、玉際での激しさは全くといっていいほどなかった。
 
 あるシーンでは、中盤でボールを意図的に厳しく「奪わない」場面があった。その後横河に左に展開され、ゴール前にクロスボールが入る。ライナー系のクロスにボールを奪われた佐藤がヘディングでクリアする、というシーンだ。
 ある意味「よく戻ってクリアした」といえるのかもしれない。だが一つ間違えれば、得点に直結するシーンでもある。上のレベルでは全くもって通用しない価値意識だった。
 
 厳しく言えば、そういった細かい部分の積み重ねがチームの衰退に大きく響いてくる。當間にしても、高校時代から彼を見ている身としてはフィジカルの衰えは確実に見て取れる。
 「戦える選手」の定義は人それぞれだが、ゲームで結果を出していない選手が現実に抗うことはまずないだろう。この世界に足を踏み入れた以上、逡巡する理由など存在しないからだ。それと同時に、秦や栗田、三好、佐藤(真)、そして野田レベルの選手を望まない限り、JFLの頂はいつになっても見えてこない。

 こういう状況になって思い出す言葉もある。東北でサッカーを画期的、いや劇的に広めた小幡忠義氏の一言だ。「地域密着というけれど、あんたらいつまでここにいんだ?契約切れるまでか?俺たちは死ぬまでここにいんだぞ」。

 多くのサポーターは代表と話し合いを持ち、今回の件について議論を交わすだろう。11人が解雇された理由は、上記した部分だけではもちろんない。シーズンの入り方、選手補強から始まる現場のマネジメントも一つ。そして、県民の神経を逆撫でするような解雇を実行したフロントの方向性も揺れている。
 
 今年はシーズンを通した具体的な総括をクラブとして、サポーターズミーティングで発表して欲しかった。曖昧な状況がまた繰り返されるだけの未来は受け入れたくない。クラブの歴史は自然に積み重なるものではない。お互いの価値観を見せ合って始めて、次がある。

posted by okumastore |02:37 | OKINAWA |
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2007年12月04日

FC琉球、今シーズンは誰のために

 FC琉球、JFL2シーズン目の挑戦が終わった。極論すると、沖縄からJリーグを目指すことはこうも難しいことなのかと痛感させられるシーズンだった。横河武蔵野FCとの最終戦は、勝ち点3を得たことは確かだが、来年につながる部分は果たしてあったのか。

対極のバランス
前半1分。右サイドの高い位置でボールを受けた杉山がボックス内へドライブイン。グラウンダーの鋭いボールを、石井や蒲原が「空けた」スペースに飛び込んできた秦がゴールへ突き刺した。FC琉球が予想を覆す先制。

 その後は、ボールの出所である横河の大田や本多をFC琉球の中盤がシャットアウトし、単調なロングボールを引き出すことに成功する。ボールを奪った後も、細かいパス交換から明確なゴールへの道筋は見えていた。
 
 しかし、前半20分にFC琉球が抱えている一つの弱点が露呈してしまう。蒲原がシュートを打った瞬間、横河の守備ブロックがカット。セカンドボールを拾われて、一気にロングボールが前線に入った。
 このとき、FC琉球のDFは石井(雄)がボールにアプローチし、カバーを三好が担当する共通理解だったのだろう。だが、無常にも石井は保持していたボールを横河FW高橋に奪われ、チェックに入った高橋もワンタッチコントロールで抜かれる。
 そして一対一になった高橋は迷うことなく右足を振りぬいた。横河が同点に追いつく。
 
見えない未来
33分には、前線の執拗なチェイシングから蒲原がGKの短いパスを奪い、DFの中心選手でもある尹がファウル。これがPKとなり尹は退場処分となった。PKは佐藤(拓)が力強く右へ決めて逆転に成功。
 相手は一人減り、前半の内にリードした心の余裕はこの後のゲーム展開にも「ある時間帯」までは確かにあった。
 
 後半に入ると、数的優位を保ちながら幅広く攻めるFC琉球。特に秦のポジショニングは素晴らしく、ボールホルダーとレシーバーの間で三角形を常に作り、パスコースに余裕をもったポゼッションを展開していく。
 
 20分を過ぎたあたりから、横河のロングボールに対しても人数は上回っているがボールをキープされ、シュートまで持っていかれる時間帯が結局最後まで続くことになる。DF大久保を投入し、高さを加えるも目立った効果は無く、逆にボックスのわずか外で完全に振り切られファウルを犯す。PKではなかったものの、大久保は退場。このあたりからFC琉球DF陣のラインコントロールは完全な綻びが目立ち、状況に応じた守り方は皆無だった。
 
助走を取る時期は果たして
危ないシーンは多々あったが、そのままゲームは終了。勝つには勝ったが、集大成とは言えない、受け入れがたいサッカーを見せつけられた結果となった。
 昨シーズンと比べ、進歩したことは何一つ無い。シーズンも終盤だから、だろうか。その場しのぎの打開が多く、明日につながらないボール回しと、ラインコントロールが目立った。
 ゲームの中で、蒲原はサガンブルーと言われる薄いブルーのスパッツを、左サイドハーフの鎌田はロッソの赤のスパッツを穿いていた。表面は自社製のユニフォームで統一しても、内面はバラバラの個人使用。普段はなんとも思わないのに、何か違和感を感じてしまう。
 
 吉澤監督も解任され、これからまたゼロに戻る。シーズン途中から乱立した補強に対し、ツギハギだらけのチームが何を残すというのか。開幕まで、あと4ヶ月しかない。

posted by okumastore |00:44 | FC琉球 |
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2007年12月02日

自然と惹きつけられた鹿島アントラーズの軌跡

 気が付くと、浦和の結果はちょっとした「無視」になっていた。そのくらい質の高いサッカーが目の前で展開されていた。
 清水の効率の良いサッカーは立ち上がりから鹿島を相当苦しめた。だが、少しの運と、それを維持できる共通理解が鹿島には存在した。
 数字の上では安心してプレーできる場面も、最後まで玉際の激しさは失わず、誰一人としてプレスの連動性を止めない。今日はカシマスタジアムに行って正解だった。

ウィークポイントは突然に、でもない
そして帰宅して横浜FC対浦和のゲームも見たが、浦和の悪い部分、それも疲労などの要因を省いても目を瞑りたくなる瓦解の数々。
 浦和には「マイボールの時間」をコントロールする術がない。どうしても最初の入り方や、アクションを起こす場面で、相手の出方を見てしまう。能動的にやろうとする時間帯は後半開始から見られた。だが、慣れてないことを実行に移すのは、何か確固たる自信を得て始めて本物の実効性つながる。やはり今年も浦和はリアクションのままだった。これに尽きる。

 鹿島のターニングポイントは諸説ある。私は二つのゲームを上げたい。ナビスコカップ準決勝の第二戦(対G大阪)と、33節、結果的に両チームの明暗を分けた浦和戦だ。
 G大阪を相手に結果を残すべき選手が、チームの計画を遥かに上回る得点を次々と重ね、決勝は手の届くところまできていた。しかし最後のセットプレーで失点。鹿島の選手のコンディションは悪くなく「敗因の矛先は集中の欠落」と、すぐに決め付けるだけのあまりにも明白な理由があった。

鹿島が持つ、攻撃への期待感
それだけに浦和とのゲームで魅せた、見違えるような自信は、見る者を圧倒した。元々、小笠原が加入して中盤の攻撃に対するウエイトはさらに重くなった。青木もディフェンスだけで満足する選手ではない。
 しかし、浦和戦で見たのはポンテをマンツーマンで守り通す青木であり、DFラインがゾーンで守ってもバランスを崩させない小笠原の「変わった」リーダーシップだった。
 さらに新井場が退場しても、なおも攻撃一辺倒にゲームを進めていく。このゲーム、サブにもディフェンス専門が殆どいなかった。そしてオリヴェイラは、点を取りに行く姿勢を最後まではっきりと貫き、ピッチ上にも本山が4バックの左にポジションを移した。いや、その後、決定的なチャンスに絡んだ本山なので、「3バックの左上」と表したほうがいい。
 その分、線の細い右の内田がワシントンを見なければいけない。だが、彼は抜群の距離感を常に保ち、最後までファーストコンタクトを恐れずワシントンに向かっていった。
 そういった細かい部分で、攻撃をやりきる意識に溢れていた鹿島は、結果的に闘莉王のタテパスを意図的にインターセプトし、そこから野沢のゴールへつながっていった。

 鹿島は強かった。序盤、G大阪があそこまで独走を続けると、鹿島のゲームを見ない週末は多くなったが途中からは目を向けざるを得ないほど、充実した戦いぶりが目立った。

シナリオは予定調和
今シーズンは終盤から相手をペナルティーボックス付近で勝負させなかったDF陣の奮闘が目立ったが、それよりも美しい中盤を構成した野沢、本山、青木の働きがそのまま数字となって現れている。また、イタリアで成長というより変化を遂げた小笠原をその中盤に上手くフィットさせた柔軟性も、三人の勝利と言える。
 
 来シーズンはACLもある。若手は確かに育っているが、チーム力、すなわち「厚さ」を持つまでにはいっていない。
 90分間、構成力で勝負するのならばさらに質の高いボランチが欲しい。小笠原(彼もトップフォームには程遠く、自身のミスが勝負を決めてしまうこともあった)やDF陣を助け、なおかつ攻撃に絡める中盤の底がいれば一層、攻撃に幅が出るだろう。

両者の間にあるもの
浦和は個の力だけで決して勝ち残ってはいない。彼等は個の良い「魅せ方」を知っていた。だからここまできた。しかし、それは鏡(相手)があっての「魅せ方」で、自らが光り輝くことは最後までなかった。
 鹿島も、最初は迷走さえも頼りにする部分もあっただろう。ヒントはオリヴェイラを中心とした断固たる結束力と、小笠原を受け入れたチームだった。その先には必然的にどんなゲームでも主導権を握れる力強さがあった。

 諦めないことは当たり前だ。あるチャンスをモノにするためにやるべきことを鹿島はやった。それは報われないかもしれない。来シーズンにつながらないかもしれない。それでも今思えば、あの経験があるから今日がある。

posted by 奥間店長 |00:45 | Jリーグ |
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