2008年08月26日

仕事の流儀を大学生に否定される天皇杯

先日のFC琉球の敗戦には、正直驚きを隠せなかった。

 仕事中に栃木や高知の代表権獲得の結果を確認していたが、沖縄の結果なんて確認する必要すらないと思っていた。
 すべては31日を待つのみであり、沖縄ダービーの刹那的な高揚感はJFLを遥かに超越するものだと勝手に解釈していた。

大学生に負けるということ
1-5という結果に関しては、実際に内容を確認していないのでなんとも言いようがない。
 だが、この失態は同じ日に東京で行われた天皇杯予選準決勝、JFL入りを狙う町田を国士舘大学が一蹴した事実と同等に扱うことはできないだろう。
 今シーズンの国士舘大は安定した戦いを見せ、日本のトップリーグである関東大学サッカーリーグで2位につけている。かたや沖縄大学は九州リーグ2部の常連。
 サッカーの質、プレー環境、そして教育の最高機関で継続する意図。どれをとっても差は確実に存在する。「大学生に負けた」という比較さえできない。
 ハットトリックを達成した沖大の上原にしても、昔からポテンシャルを評価され、もちろん来月の国体でも期待は高まるがJFLを基準として考えた場合、対応が後手に回るイメージさえわかない。
 
衰退する想いの差
実は、今月発売のカラカラ最新号では、03年と04年の天皇杯県予選、沖縄かりゆしFC対FC琉球の一戦を執筆した。
 取材をするにあたり、野田や當間、元FC琉球の石川翔二氏などに話を伺ったが、「あの時代」を知る選手たちは当時、こちらの想像を上回る枯渇感を保持していた。沖縄の君主を獲得するためにみせた痛々しすぎるほどの執念は、最終的に忸怩たる思いが増すことになったとしても、精神的な諦観はとうとうやってこなかったのだ。
 
 今回の記事を書いた最大の理由、である。今年の天皇杯予選決勝をかりゆしFCと再戦することによって、もう一度、勝つことに対する飢えを欲したかった。
 あるきっかけにつながる糸が、たとえ見えそうで見えない細い糸だとしても、歴戦の重みから生まれる価値はその糸の先に必ずあるはずだった。

残された絶望
沖縄のサッカーファンにとって、あの二年は相当に濃密な時間だったと思う。共存する理由の全てが、そこにはあった。
 二年連続での決戦は、いずれも準決勝。たった一日を境に、選手の人生は変わっていった。消費され続けるサッカー界にとっても、意味のある光景だった。

 現在の選手たちは同じ準決勝で沖大に蹂躙されたとしても、日常に変化は生まれない。これが全てを物語っている。夏の終わりには、結局、虚しさだけが残った。

posted by okumastore |00:28 | FC琉球 |
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2008年07月16日

選手交代で狂うバランスと未来

JFL後期第3節、FC琉球対ファジアーノ岡山戦。ゲーム終了後の記者会見でジャン・ポール・ラビエ監督は常々似たような言葉を並べ、現実を濁し、未来への可能性を示唆する。
 ただ、この日ばかりはジャッジに関する問題もオブラートに包みながらも怒りは滲み出ていた。もちろん、それは一瞬であり、すぐに当たり障りのないゲーム分析を試みる。
 相当に悔しかったのだろう。インタビューに指名された山下は最後まで拒否し、その後に出てきた秦は苦虫を噛み潰すような思いで、自己批判を繰り返した。

ポジションの妙
この日は後半25分までは琉球のゲームだった。システムの特徴はデュドが山下の後方にポジションを取り、中盤まで顔を出せる位置にいたこと。

 岡山は前半から中盤でボールをキープすることができず、焦って前掛かりになると中盤とディフェンスラインの間にギャップが生まれる。そこに1.5列目を担当するデュドが割って入る場面が見られ、攻撃の構築はすべてこのスペースから始まっていた。

 お互いの距離感が理解できつつあるのだろう。後半の途中までは余裕のあるボール回しや、秦が積極的にゴール前へ仕掛ける場面も見られた。
 
 そしてサイドバックは徹底して攻撃への参加を自粛する。澤口にしても本来は攻撃へ絡む能力があるだけに、少し物足りない感じもするが、どんなことがあってもディフェンスから入るイメージは伝わってきた。

崩れたバランス感覚
山下の得点もあり、主導権は確実に琉球が支配していた。しかし最終的には秦が交代した直後に中盤のバランスが崩れ、岡山が一気に押し込む時間帯を作り出す。

 秦の交代の前には斎藤が投入され、完全な4-4-1-1にシステムを変更したが、そこまでは全体のバランスは保たれていた。つまり、斎藤が投入されたものの、残り時間を守備的に戦うという共通理解は浸透していた。

 問題はその後である。

 ゲームの二日前に當間に話を聞くと「怪我は完治ではないが、練習にも合流しているし、特に問題はない」と語っていたが、コンディションが整っていないのは明らかで、ゲームの流れに乗れない時間が続いていた。
 秦もそれまで悪くなかっただけに、ゲーム後にラビエ監督になぜ秦を変えたのかと聞いてみたところ「秦はまだフィジカルに問題があり、あの時間帯からディフェンスを強化したかった」と強く語ったが、選手交代の失敗が如実に表れてしまった形となった。
 
 そして、残り数分で2得点を岡山に奪われ逆転負けで試合終了。前節の北九州戦ではうまく機能したディフェンスラインも、単調な岡山のパワープレーに対応できず。
 センターバック二人の経験不足は顕著で、特にゲームから離れていた森戸や大塚はボールフィーリングが雑。落下地点やパスの伸びるスピード、セカンドボールの対処に不安が残る結果となった。

山積みされる課題
「来期のために」というのは、ここ数試合のトルシエなり、ラビエ監督の決まり文句である。だが、ここまでのゲームを見ると、なかなかチームの「軸」らしきものは見当たらない。
 システムをゲームごとに変更することは当たり前。それよりも、中心となるべき選手の存在が皆無なのは苦しい。現在も選手の見極めが続く空気が琉球にはある。
 
 そして今季最大の「裏」テーマである90分間走れるか、という問題はここにきてさらに琉球を苦しめている。この日も後半には鎌田や國仲はほとんどボールに絡んでいなかった。
 60分を過ぎたあたりから必ずチームの中で2~3人は消える選手へと変貌を遂げる。沖縄の気温、湿度、フードコントロール。
 ここまでくると、コンディショニングに疑問符が付くことも時間の問題かもしれない。
 
あの試合の再現
以前とは違うチームに変わりつつあるのは、誰の目から見ても明らかだ。しかし、最終的に同じような負け方を繰り返しているようでは、チームが前進しているとは言い難い。敗因は明確なだけに、なおさらもどかしい。

 それにしても87分の喜山の得点。シュートがゴールポストの奥の枠に当った瞬間、主審は得点を認めなかった。
 議論の結果、得点となったが、まるで2002年の作陽高校対水島工業戦、青山(現広島)の幻のゴールを見ているようだった。そういえばこのゲームも岡山県絡み。何かある・・・・とは思えないか。

posted by okuma店長 |14:20 | FC琉球 |
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2008年06月17日

JFL第16節 FC琉球対流通経済大学 

告知ですが、季刊カラカラのvol.27からオキナワンフットボールクロニクルと題して連載を持つことになりました。ここでは書かない、FC琉球を中心とした沖縄のサッカー界に踏み込んでいきたいと思っていますので、ぜひご一読ください。

苦虫を噛む、思い
JFL第16節、FC琉球対流通経済大学のゲームは、到底納得できる内容ではなくとも、勝ち点3を取りきる形でFC琉球が3-1で勝利を収める。
「納得」できない。前期終了はもう目の前に来ているのに。ピッチ上はトルシエから離れた場所にある。少なくとも彼の哲学とは一定の距離がある。無機質な内容はなぜ現れるのか。結局、サッカーを操ることができるのは、選手なのである。

両者の立ち位置
FC琉球のシステムは3-4-2-1。トルシエジャパンを思わせる守備的なシステムだ。両アウトサイドに斎藤、鎌田という攻撃的な選手を並べるが、相手攻撃陣の人数やサイドアタックの質が高ければたちまち5バックになるニュアンスを秘めている。

流経は4-4-2。中盤はトップ下に福田を置くダイアモンドを形成。右サイドにはペルー出身(青森山田高)のベロカル・フランクや、トップには盛岡商業が選手権を制した際、FWとして存在感を示した成田もいる。
 ベストメンバーとはほど遠い流経も、個人を見ればある程度楽しめるし、FC琉球も苦戦するかもしれない。

そう思いゲームに臨んだ矢先、流経の先制点が決まる。

繰り返される愚行
流経のDFラインからのロングボールを中盤と3バックの間、いわゆるグレーゾーンにボールが入り、アプローチのタイミングを失った瞬間、石戸のシュートがネットを揺らす。
 シーズン前の指宿合宿で見た光景となんら変わらない。その後も、ボランチから一本のパスでFC琉球のDFラインが大いにあわてるシーンが何回も見られた。
 特にこのゲームでは山下の1トップであり、前線に人数が限定されるため相手にロングボールを蹴らせない「意図を持ったプレス」をかけにくい状態は確かにあった。

 トルシエは「本当は4枚でやりたいけど、できる選手がいない」と語るが、ここまで進歩が遅れる状態をだれが予想しただろうか。ラビエそしてトルシエは今日も苦悩する夜を迎えている。

3得点と、交代劇
だが、この日の流経は中盤の選手の距離が短く、ピッチを大きく使うダイナミックなサイドからの起点が作れないでいた。
 逆にFC琉球は両アウトサイドが積極的に攻撃の起点を作ることに成功。13分には山下がポイントになり、澤口、そして鎌田と一連のパスワークで最後は鎌田の素晴らしい切り返しからの得点が生まれる。
 その後もライスのパントキックを山下が、左からのフリーキックを鎌田が直接沈め前半で勝負はある程度決まった展開に移行した。

 後半はもちろん、中盤の左だった宇賀神を左トップに上げて流経は3トップのような形をとるが、ボランチの澤口がマンツーマンでマークすることで対応。
 前半とは異なり、サイドを使用する流経に対し、押し込まれたFC琉球の両アウトサイドにほとんど見せ場はなかった。鎌田や斎藤は攻撃に参加する回数は極端に減少した。
 しかし、ベンチは逆に開き直りを見せ、守備ブロックの前に守備ライン(鎌田、中島、國仲)を作り出す選択を取る。サイドはある程度澤口と3バックに任せ、中央を固めることで決定的なシーンを作らせない。結局、そのままゲームは終了。

 「勝ち点3だけ。この勝利に騙されてはいけないのはわかっているし、足りないところは多い。分析が必要」とラビエはこのゲームを総括した。

明日のために
このゲーム、ロスタイムは4分あったがその間にも大野を投入し、山下は交代の際にタッチラインに向かうのではなくあえて主審と握手する行為に出た。
 喉から手が出るほど欲しい勝ち点3。あの場面には「3-1は完勝ではない」むしろ溜飲を下げる一勝だということが詰まっている気がした。

posted by 奥間店長 |14:39 | FC琉球 |
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2008年04月25日

平松康平は沖縄を越境と考えるのか

 先週の岡山戦では今シーズンのベストともいうべきゲームを披露したFC琉球。前線のミヌングが予想以上のハイ・パフォーマンスを魅せれば、山下も絶妙の距離感で持ち味を発揮する。形は少なからず見えたゲームと言っていい。
 
 ミヌングはどちらかというと、ボールが収まるというよりスペースに飛び出して勝負できるタイプ。ストライドが日本人と異なる分、相手DFも迂闊に足を出せない状況を作れることは彼のストロングポイントである。
 もちろん、フィニッシャーとしての能力も持ち合わせている。JFLレベルのDFでは一巡目だと対応に苦しむだろう。はっきりいって、ここまでやれるFWだとは思ってもいなかった。

 山下に関しても、今シーズンはポスト一辺倒で終わる気はさらさらないが、やはり自身の持ち味を出しつつ、ゴール前で勝負するというイメージが大分整理できているように思う。ボールを中盤から引き出せる動きはさすがの一言。かなり質の高いフリーランニングを繰り返している。
 慢性的な怪我を持つため、シーズンを通してのフィジカルコントロールは難しいだろうが、出場できる際には決定的な仕事を期待してもいい。

 しかし今でもラビエ監督の頭を悩ませるのは、ミヌングと山下だけが、前線で得点の匂いをまき散らせているということだ。 
 シーズンを安定した戦いで走り抜けるなら、どうしてもサブ組の底上げが必要不可欠だ。第二グループの白尾や比嘉、斎藤はスピードに特徴があるが、ボックス内での最後の仕上げにムラがありすぎる。
 「スーパー」と呼ばれるサブも見当たらず、怪我が付きまとう山下がピッチを離れた場合、効果的なカードが皆無なのが現状だ。チームに影響力のあるFWの成長が今一度求められている。
 
 どのカテゴリーに関しても、シーズンはまるでマラソンのようである。チーム内に先頭集団がいて、その後に何グループかの集団に分けられる。最初にテープを切るイメージを持つ選手、ある程度の立ち位置で居場所を見つける選手、諦めを感じさせる選手。
 それも第7節を終えれば、かなり色濃くなる。FC琉球の場合、開幕からほとんど先頭集団に変化はない。
 だが、中島や納谷のような早い段階で食らいついてきた例もある。集団の新陳代謝も、結果に直結してしまうようだ。

 そんなときに、元清水エスパルスの平松の加入が発表された。前々からトレーニングには参加しているが、はっきりいって過去の印象は今のところまったく見えない。ブランクによるフィットネスの低下は、平松の専売特許だった身体のキレに大きく影響している。
 
 ただ「才能」という部分に特化すると、平松の持つオープンスキルやキックの種類はFC琉球の中でも突出している。若くしてJリーグのカクテル光線を多く浴びた経験もある。
 彼はいるだけで違う、という選手に部類されるだろうが、近年のJFLではそういうノスタルジックな幻想が通用しなくなっているというのが現状だ。
 背番号10を自ら指名したという。今回の決断、平松にとっては沖縄も「越境」といえるだろう。人生を終わらせたくないのなら、やはりボールを蹴るしか方法はない。

posted by 奥間店長 |19:28 | FC琉球 |
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2008年04月19日

難病に人生を助けられた元日本代表選手とFC琉球

 色々と仕事があり現在は沖縄に来ている。水曜日には時間があったのでFC琉球のトレーニングマッチを観戦。相手は琉球大学だった。これから攻撃の軸になるであろう新加入のミヌングのプレーを見たかったし、フラット3の行方も気になった。

沖縄のサッカーが停滞する一つの理由
相手の琉球大学だが、以前に比べて人数をかけてボールを奪う意志や、時間をかけずにゴールに向かうというコンセプトは見えたが、やはりまだ大学でサッカーをやる意味が見えない。
 少なくとも、ゲーム中にサブの選手がボールを使って遊ぶ光景を目の当たりにすると、沖縄の競技レベルの限界を感じてしまう。
 サッカーとじっくり向き合い、会話する時間が大学生活だ。それは高校生がイメージすることは難しい、遙かに突出したサッカーの世界に足を踏み込める「可能性」だ。沖縄のサッカー界は、未だに放棄する「可能性」が多すぎる。

変化は確実に
話を戻したい。SAGAWASHIGA FC戦後、ラビエ監督に色々聞くと、やはりフラット3には限界を感じている様子。この話題は他の場所で書くとしても、個人的にはまだ納得できずにいる。

 トレーニングマッチでは明らかにDF陣への指摘が減り、選手がスペースへ抜けるタイミングや消極的なパスには容赦なく罵声が飛んでいた。
 だからといってフラットな関係が根こそぎなくなっているのではなく、距離感は保ちつつ、選手個人の判断でアプローチに行く場面が目立った。
 トルシエが率いた日本代表時代も真ん中の選手が余るようなスタンスは状況によってはもちろんあったので、すぐにフラット3が忘却の彼方に飛んで行くようなことはなさそうだ。

 そして元ブルキナファソ代表FWデュド・ミヌングだが、まだ中盤の選手の特徴を把握できていない。同時に、自分がどういったタイプの選手なのか、という意志も他の日本人選手に伝わっていない。これは時間が解決するとしても、まずは隣の相棒だけは口説き落とす必要があるだろう。

ある一人の日本代表選手の戦い
チームパフォーマンスは安定していない。しかし、きっかけはつかめそうな選手は何人かいる。そういう状況を考慮しても、週の間のトレーニングマッチはもう少し緊張感のあるものだと思っていた。
 だが、中だるみは最後まで抜けず、虎視眈々と先発を狙うサブ組の躍動感を見ることはできなかった。極端な話、横浜FCのトレーニングで常に100パーセントで全てを消化する41歳の「少年」と比較すると、あまりにも雲泥の差がありすぎた。

 最近、ある友人を介して元日本代表の望月重良の半生を綴った本を読んだ。耳にすることはあったが、あまりに衝撃的な内容に一日で全て読んでしまった。突発性大腿骨頭壊死症。名古屋や京都、そして日本代表で輝きを魅せていた望月を襲ったのは、10万人に1人という、怪我ではなく「難病」だった。
 プレイヤーとしての余命は二年。これまで共にプレーしたストイコビッチやカズ、名波を軸にフットボーラーとは何か、サッカーを続けるということはどういう意味を持つのかを、ついに、赤裸々に語っている。
 競技レベルや個人の才能を超越して、サッカーが本来持っている大切なものを望月は最後の最後で見つけることができた。フットボーラーとしての強烈な輝きは、何もピッチ上だけにあるものではない。

伝わる現実、変わらない明日
FC琉球がJFLの下位に位置づけられようと、人々に夢を届けるという使命は変わらない。その出発点は、個人の中にある純粋な好奇心の部分だ。現状に満足しているのだろうか。可能性を自己否定しているのだろうか。

 望月の本を読んで素直に感じているのは、未だに何の大きな障害もなく、50メートルのロングキックが蹴れることに感謝している、ということだ。数日前はなかった感覚を持って、日に日にズレていくボールの軌道を追っている。

posted by 奥間店長 |23:19 | FC琉球 |
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2008年03月24日

フットボーラーという病い

ホーム開幕戦から発売されたFC琉球オフィシャルガイドブックに、私がインタビューさせていただいたフィリップ・トルシエ総監督、県出身選手などの記事が掲載されています。お時間がある方はぜひ。今後、書店やコンビニでも発売されるそうですよ。

問題はどこに
遅くなったが、JFL第二節FC琉球対横河武蔵野FC戦をDVDで見た。結果の出ない今、代名詞でもあるフラット3がなかなか機能していないことが問題点として抽出される。
 
 しかし、それより中盤の選手がDF陣の意図に合わせた戦い方をしなければこのチームのベクトルは一向に浮かび上がってこないのではないか。その必要性をひどく痛感した一戦だった。

 フラット3は相手からボールを奪った後に、前線にスペースがあればDF自らが攻撃に参加する、もしくはサイドチェンジや中盤とのタテの関係を多くすることで、次の攻撃に流動性を促すことをコンセプトとして挙げている。その特徴的な部分に、トルシエは特にDF三枚の左は日本代表時代からビルドアップの質が高い選手を選んできた。

 しかし、第一戦、二戦目を見ても、攻撃のスタートになるようなボールの回し方は未だ、見ることができないでいる。DF陣のビルドアップ能力に起因することも一つあるが、中盤の選手がボールを引き出す動きの質が低いことが、意図的にゲームを組み立てられない問題につながっている。

 ボランチの選手は相手を背負った一定のポジションだけではなく、広域に動いてサイドハーフを高い位置で使えるような状態でDFからボールを受け、次の攻撃に移行しなければいけない。
 逆に林田や杉山らサイドハーフはあえて深い位置まで受けに下がり、その空いた前線のスペースに高松や秦が飛び込むようなイメージを「常に」共有できなければ、相手DFの扉を開けることは困難になる。

今、求めること
もちろん、全ての始まりは90分走れるだけのベースになるわけで、それができない今、個人が打開する、もしくは数的優位を用いて勝負を仕掛けるしか得点が生まれる匂いさえ感じることは難しくなっている。
 フラット3を採用するのであれば、それに見合った攻撃の組み立て方や、戦い方があるのだ。自らがやるべきことを放棄すれば、昨シーズンと同じく今の流れが終盤まで続くことは、確実にあり得る。

 「決定力不足」と「決定機不足」は違う。FC琉球はまだ「決定力不足」という領域まで足を踏み込んでいない。
 決定機を作れないことが乗り越えるべき最初の壁であり、最大の問題点だ。アタッキング・サードへ明確な意図をもって侵入する要素を90分で多く形成していく。
 
 ゴールという結果に結び付かなくてもいい。ペナルティエリアに入れなくてもいい。しかし未来へつながるプレーをし続けるためには、自分たちがやろうとするサッカーに対し、真摯に向き合い、具現化の細かな要素を積み重ねていく必要がある。幸いなことに白尾の得点は、美しくはなかったが鎌田、山下、白尾のイメージが交差した瞬間だった。
 
勝ち点3は闇の中に
FC琉球は第三節も0-1でHONDA FCに負け、痛恨の三連敗を喫している。昨シーズンも開幕後、第六節まで波に乗れない時期があったが、今年も同じような状態の中、JFLを闊歩する時期が続いている。
 トルシエが来て、名実共にクラブは変わった。その後、一昔では考えられない強化費を軸に国内トップクラスのトレセンで事前合宿を行った。
 
 そのすべてが音を立てて崩れようとしている。

 だが、今だからこそ、開幕前に立てた方向性を再確認する時期にきている。後悔の念に駆られる振り返りは許されない。信じた道を愚直に進むしか、生き残る術はない。
  
 

posted by 奥間店長 |01:08 | FC琉球 |
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2008年03月16日

栃木SC対FC琉球 夢見る頃を過ぎれば

 FC琉球にとって三度目のJFLが始まった。戦いの総評を前に、今シーズンは何を目的に戦うのかという確固たる「基準」をこのゲームで見つけたかった。
 クラブがドラスティックな変貌を遂げる過程で、長期的な視線の先には確実にJ1で戦う、いや戦い「続ける」FC琉球が描かれているか。沖縄という閉塞感が漂う島で、経済的、社会的対象として日本や世界に発信できるパフォーマンスを魅せることが可能なのか。
 トルシエが持ち込んできた哲学の向こうには、これまで沖縄では見られなかった世界が広がっている。トルシエ革命元年。新生FC琉球第一章は、栃木県グリーンスタジアムからスタートした。

新しいシーズンの幕開け
前半のシステムは3-5-2。注目されていた中盤の構成はワンボランチを當間が、その前には高松と、体調不良の秦に代わり澤口が抜擢された。この澤口のオフェンシブなポジションには驚いたが、基本的に當間がアンカー役になり、高松と澤口がポジションチェンジを繰り返しながら攻撃に絡んでいく。
 
 前半の立ち上がりこそ澤口のポジションは低かったが、二人、三人と連動した高いプレスで栃木から高い位置でボールを奪い、澤口の攻撃参加は徐々に増えていく。特に前半8分に見られた高松からワイドに開いた左の林田へ、そして澤口が林田を追い抜いてボールを受け、決定的な場面を作り出したシーンはこのチームが目指す方向性の一端を見た。
 19分には山下が縦の変化をつけ、白尾にスルーパス。完全な一対一だったがシュートはGK小針の正面に飛んだ。ただし、この後もセカンドボールは山下が拾い、シュートまで持ち込んでいる。他の攻撃に関しても一時的な攻撃だけでは終わらず、攻撃の厚みが感じられるシーンは数多く見られた。
 
 だが、このあたりからFC琉球の懸念材料が徐々に浮き上がってくる。立ち上がり20分で得点を奪えないことが、結果的にゲームが決まってしまう要因になった。

久保ピックアップの意図は
FC琉球の生命線ともいえる3バックだが、予想に反して左には久保が開幕のピッチに立った。栗田や白井、もしくは大河原ではなく久保だった理由は何か。実際、私も最後までどうしても理解できなかった。
 フラットさえ形成できず、相手FKの際にもラインがバラバラで意思の疎通も感じない。あれだけトレーニングしたビルドアップも、レシーバーの動きをいまさら確認し、ゲームの中で反芻する場面が目立つ。
 
 そして、全てが動き出したのは前半26分。左サイドでボールを奪われ、栃木の小林がクロスを入れる。クロス自体に怖さはない、浮いたボールだったが上野が後ろへ流し、佐藤がダイレクトで左足を一閃。衝撃のボレーで栃木が先制した。
 
後半に入ると、意図的にオフサイドが取れない、両サイドハーフの運動量が異常に落ちるなど、目を覆いたくなるような現実が待っていた。特に、90分間ハードワークできるフィジカルをほぼ全員が保持していないことは明らかで、以前指摘した通り如実にピッチの上に現われていた。
 そしてそれに伴うベンチワークも後手に回り、トルシエ依存の実態も一緒に付いて回る。
 
 チームの方向性が間違っているとは思わない。成熟すれば、かならず結果はついてくるだけの魅力的な指針だ。しかし、開幕に合わせたピーキングには確実に失敗している。この後、栃木は松田が頭で合わせ二点目を奪い、三点目の佐藤のFKで勝負は決した。

付きまとう「フィジカル・コントロール」
問題なのは、フィジカルが不十分な状態で開幕を迎えたFC琉球の状態だ。トルシエはプライオリティを戦術理解に置いたが、実際90分間その戦術にあったサッカーをすることができなかった。確かにチームは先を見据えている。だが、具現化できない戦術を前にして、個人のランニングやフィジカルで埋めなければいけない場面は必ずある。
 
 その典型的な例がFC琉球の得点シーンだ。バイタルエリア、右サイドで山下が強引に澤口につなぎ、一気にボックス内へ。後半では、なかなかペナルティエリアの中で勝負することができなかったFC琉球だが、澤口がゴール前でDF二人を弾き飛ばし、高松の得点をアシストした。
 
 そこにはオートマティズムの欠片も感じることはできない、フィジカルをベースにした積極的な仕掛けだけが残った。やはり次のゲームへつながるキーファクターは、澤口が後半43分に見せた極めて個人的な身体の強さだったのだ。

明日への糧に
個人的には、前回も述べたようにもう少し後に栃木と当りたかった。個の力に絶対的なバックボーンがある栃木と、成熟し、流れるような組織で構成されるFC琉球の構図に興味は沸く。
 栃木の両サイドは本当に素晴らしかった。佐藤、小林はもちろん、左サイドバックの斎藤は明大で見せた左足をJFLでしっかり表現し、このゲームのMVPだったように思う。

 次の対戦は6月下旬。その日を迎える頃には、また違ったチームとしての在り方を見る側に訴えてほしい。FC琉球、リスタートのゲームは木曜日である。

posted by 奥間店長 |23:18 | FC琉球 |
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2008年03月16日

まず言わせてもらうと 

 JFLのシーズンが始まる前に、栃木の柱谷監督は「フェアプレイの重要さ」を言葉の端々に埋め込んでいる。強調するわけではないが、サポーターへ向けてプロクラブの姿勢をフェアプレイで示そうとした。それはゲーム前のコメントでも変わらず、徹底した「ただ勝てばいいというものではない」というベクトルは、3-1という結果と共に多くの人々に伝わったはずだ。

 今日のゲームでFC琉球のDFエメが主審に暴言を突きつけ、二枚目のイエローで退場した。

 また、GKのライスはゲーム終了後に健闘をたたえあう握手を自ら放棄し、ベンチへ戻って行った(ちなみに今日の3失点はボールに対して全く反応していない。厳しいコースだったが、準備さえできていればなにかしらの対応は絶対に可能だったはずだ。あまりにもメンタルの制御ができていない。最後まで責任感は感じられなかった)。

 サッカーに対する切実さは「勝利」という結果を凌駕する。沖縄でのFC琉球は現在、そういう立ち位置にいるのだ。
 良い部分だけを誇張し、垂れ流すだけでは何の美しさも感じない。リアル感がない、というのだろうか。奥深い思想の底にあるものは、結局は人だけをみているという事実だ。

 クラブの血を子や孫に受け継がせるために、彼らが自然と選手を受け入れる環境を形成しなければ、この先には何も生まれない。エメやライスがフランス人で、20代前半というエクスキューズなんてあるわけがないだろう。ユニフォームの色云々よりも重要な問題だ。

 この島のサッカーを汚すことは、許されない。

 宇都宮市長が行政を挙げて絶対的な支持を約束したハーフタイムより、敗戦の内容よりも、クラブ間の人間性の部分で栃木との差を痛感した一戦だった。

posted by 奥間店長 |22:50 | FC琉球 |
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2008年03月07日

ONLY THE STRONG SURVIVE

 先ほどJ SPORTSのFOOT!で栃木SCが取り上げられていたが、開幕を前にしても、もう少し後で対戦したかったという思いは今も続いている。

ラストスパート
FC琉球はJFL開幕戦で栃木SCとの一戦を控え、指宿での合宿を終了し、沖縄に戻ってきた。これから調整の最終コーナーを曲がる。マラソンでいえば35キロ地点はすでに通過した。
 あと一週間の針の合わせ方によっては、方向性が大きくブレたり、もしくはどんな困難が訪れようとも軸は微動だにしない可能性も秘めている。開幕戦は未来への羅針に少なからず影響を及ぼすだろう。

毎年の栃木。だが異なる部分もある
そのJ経験者10選手が加入した栃木だが、予想以上にFW上野と松田の相性がいいと聞く。ゲームを終わらせる能力が高い両選手だけに、役割分担が開幕までにはっきりできる状態にあるとやはり怖い存在だ。
 中盤には、JFL所属の日本人選手の中でも間違いなくトップに位置するであろう佐藤悠介や元川崎の落合もいる。
 トルシエも「今年の栃木はお前から見てどう思う?」と聞いてきたが、背水の陣的な雰囲気と、効果的な補強で確実にチームは自信を増している。

FC琉球の体幹
今シーズン、FC琉球の生命線はどう考えても最終ラインにある。相手によって4枚で守る時期もあるだろうが、基本はフラット3で物事は進んでいく。
 少し前の練習試合では、まだまだ使いこなせない場面は多々見られた。フラット3のウィークポイントでもある裏のスペースやワイドにボールが入ったとき、連係ミスでチェックが遅れてゴールに直結するなど、まだまだ成熟の領域に足さえも踏み込めてない。
 
 呪術師は中盤で相手がボールを保持する際には常に「DFは相手との距離を3メートルに保て」というが、なかなか3人が連動して相手FWを捕まえることは難しく、もう少し時間を要するとしかいいようがない。
 連携に関しては、身体的な特徴は皆無で、コミュニケーションが全てを解決するだろう(それでも短期間で完璧に習得した宮本ツネは改めてすごいと感心してしまうが)。
 これがある程度機能し始めると、高い位置でボールを奪い、オートマティズムの連鎖でゴールに迫ることが可能だ。
 言うのは簡単だが、選手個人の細かい哲学や概念を変化させ、トルシエの要求に答えながら一年目は過ぎていく。どう考えても、やはりもう少し時間を要する。
 
中盤の先はどうなる
気になるもう一つの点は、ボランチが誰になるのか、ということだ。指宿合宿では當間などが務めていたが、まだやるべきことを整理できていない印象を受けた。
 特にDFラインがビルドアップをする時間帯が長くなったとき、攻撃にアクセントをつけるボールのもらい方や、次の攻撃に移る際の「意図的な」スペース確保など、彼は元来中盤より先の選手なだけに、トルシエが採用するワンボランチには荷が重い。
 かといって他に誰が担当するのかという問題は付きまとい(ボランチもできそうな澤口はサイドハーフを担当している)、これは開幕のメンバー表をみるまでわからないだろう。中盤のシステム自体を再構築する可能性も否定できない。

 FWは山下の相棒を探す段階だ。白尾や黒田あたりが椅子を争うことになる。山下自身もポストプレーだけに専念する意図はないだろうし、もう一人は裏に抜けて、なおかつ最後の4分の1付近で確実にボールが収まる選手をピックアップするはずだ。
 
 開幕までにイメージは膨らむばかり。明日のJリーグ開幕を見るとさらにインスパイアされる部分は増えていく。最近、中田浩二のパフォーマンスを映像で確認したが、やはり栗田が求められていることは似たようなものだ、というように。

posted by 奥間店長 |23:57 | FC琉球 |
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2008年03月02日

フィリップ・トルシエを覚えているか

 FC琉球と行動を共にした指宿での取材は、トルシエの哲学とこれから先の道筋が明確に浮かび上がった4日間となった。

時代は繰り返される
今思い出すと、あのポジションを恐ろしく細かく指摘する様子も、あのクールダウンも、そこにトルシエがいなくてもトルシエのトレーニングだとすぐに理解出来てしまう。やはり彼の指導法は独特すぎるほど色ははっきりと見て取れる。

 ときにウエアを引きちぎる勢いで選手とぶつかり、自身が望むようなプレスの連動に遅れた場合は、勢いよく顔面にボールを投げる。「広告塔」と言われた人間が行う情熱の弾け具合ではない。そう断言できるほどに、濃密な緊張感が常に張り巡らされている。
 トレーニングに関しても、同じ形(フィニッシュまでのプロセス)を求める攻撃や、3バックの真ん中の選手がパスを出すタイミング、ボディシェイプ、そして代名詞でもある3人のラインコントロール。全てに、徹底した自身のモノサシを用いて指導していた。軸は全くぶれることはなく(その伝え方、哲学への批評はまた別問題だが)、ゆえに選手への浸透度も日を増すごとに大きくなる。

見える世界の違い
それだけではない。普段の生活を送れば見逃すあまりにも些細な出来事も、彼の目は行き届いていた。私が選手に話を聞いた後も、すぐに内容や去年の同時期との違いを聞いてくる。そして、周りのスタッフへの気配りはもちろん、私の膝の怪我も出会って数分で見抜いたことはさすがに恐れ入った。

 「采配は一流とは言えないが、チームを組み立てる作業は天才的」とはこれまでも聞いてきたが、日常レベルにまでも配慮を怠らない姿勢に、彼の本気度が垣間見えた。組織的なサッカーに比重を置く今だからこそ、徹底した管理体制がこのチームを支えていることは確かだ。

まだ見ぬ未来は
気になるのは今の時期にフィジカル的な要素を盛り込んだトレーニングが少ないと言うことだ。少なくとも私が聞いたり、見た段階では、極限の精神、身体状態まで追い込むことはまだないのではないか。指宿での合宿も、3バックや中盤の戦術確認が延長されることもあった。
 残りの時間でシーズンを戦えるだけの状態にするのか、それとも戦術の成熟度を選択するのか。他国の監督業のために沖縄から離れる時間を考えると、そのマネジメントだけ切り取ってもかなり興味深い。
 
 トルシエが持ち込んだ戦術はまた別の機会にでも。やっていることは日本代表とほぼ一緒だ。しかしJFLで具現化させるとなると、また違った面白味が顔を出す。
 いずれにしても、サッカーを扱うトルシエから学ぶことは多い。カズが言っていた言葉がここにきて理解できたような気もする。

posted by 奥間店長 |00:51 | FC琉球 |
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