2007年02月04日
サッカーと本を愉しむ -バックナンバーよりー
人はあまりにもつまらぬものを読みすぎている。 時間を浪費するだけで、何も得るところがない。 そもそも人は、いつも驚嘆するものだけを読むべきだ。 とはゲーテの言葉だが、なかなか驚嘆する一冊に出会える機会がない。特にサッカー関係の本はゲームという現実が目の前に存在するだけに、サッカー本は文章にライブ感がないとイマイチ侵食されないというのが私の意見だ。 しかし、日本はイギリスと並ぶサッカー本大国。「サッカー好きと本好きはかなり重なるはず」と、謎の名言を残したのは佐山一郎氏だと記憶しているが、確かに妙な説得力がある。 滝川第二高校サッカー部は月に1回読書感想文提出があるそうで、C大阪のデカすぎる森島も今でも本は心の友であるという。 ということで、本日はこれまで私が「驚嘆」したサッカー本を紹介したいと思う。サッカーは観る・やる・科学する以外にも受け止め方があるということで。 時代に求められた本と、後世に残る一冊 まずは、私が中学生のときに始めて本屋で買ったサッカー本「惨敗」(金子達仁)。フランスワールドカップでの日本代表をかなり辛口で抉っている。 多分、今なら単行本化されないであろう、いい意味で高圧的な本だった。中学生には結構刺激的だったのではないだろうか。今見ると、なぜか私はカズのコメントだけにマーカーで線が引いてある。 次は「ボールのないところで勝負は決まる」(湯浅健二)。この本には戦術の基礎を叩き込まれたような気がする。小学生でも理解しやすいレイアウトながら、深すぎる内容。 特に第6章の「守備って、どこがおもしろいの?」は今でも自然に本に入り込めてしまう。普段、湯浅健二氏の表現が理解し難いと言う人もいるだろうが、この本はQ&A方式(多分小学生相手に)なので彼の哲学を十分堪能できる。しかし、どんなに理解し難い表現でも、中心はブレてないのが彼の強みだろう。他に、ミズノスポーツライター賞を受賞した「サッカー監督という仕事」も面白い。 日本人としての一冊とイギリスから流れ着いた本 そして「日本サッカー史 代表編~日本代表の85年~」。この本は日本サッカー史上、最も価値のある本だと確信を持って言える。1917年5月7日から始まる我らが日本代表の歴史が網羅された本。 しかし国内だけに限定せず日本代表と関わりのある国とのやりとりも明確に記述されており、後藤氏の取材力に本当に頭が下がる。なぜかアメリカ留学の際に飛行機の中で読んだ一冊なので個人的に思い出深い。 私の先輩の父は日本代表選手だったそうだが、いつの時代だろうか、と抱いていた悩みもこの本を読んで一発で解決した。名を藤島信雄。70年代を代表する偉大なMFだった。 今度はイギリス編。やはり出てくるのは「ぼくのプレミアライフ」(ニック・ホーンビィ)や「ナノ・フットボールの時代」「アヤックスの戦争」(サイモン・クーパー)だろうか。 忘れてならないのが「FOOTBALL days」(ピーター・ロビンソン)。これは写真集だが、ページ一枚捲っては、ボールが蹴りたくなる。年をとってもそんな気持ちは忘れずに持っていたいが、そのときも傍らに置いておきたい一冊だ。 イギリスではないが写真集つながりでいくと「ボールの周辺」(近藤篤)や「フットボール・デイズ」(カイ・サワベ)も素晴らしい。 少しだけ書くつもりが、思い出すと印象深い本は多い。ゲーテの言葉は間違いではないが、サッカー本は「感嘆」すべき本が多いということだろうか。今思ったが、この企画は各部門ごとに分けないと整理できない。まだまだ紹介したい本は山ほどあることに気付いた。「オシムの言葉」より「悪者見参」の方が木村元彦氏の本は面白いだろう、という具合に。 まさに人生の一冊 最後に、「マリオネット」(山岡淳一郎)。主人公は、日出る国のサッカーチームを牽引したチーム・ディレクター、佐藤英男。「俺たちの身体には緑の血が流れているんだ」と叫ぶ選手がいた時代の話である。まず、山岡氏の取材力と膨大な資料から生まれてくる言葉に敬意を表したい。まさに魂の一冊。本当にいい本は読むというより読ませられると解釈したほうがいい。 セニョール佐藤の「旅」を描き、あるときは後にJリーグMVPを獲得するペレイラを獲得すべく、グァラニの会長に殺されかけ、それでもペレイラと若き日のアモローゾをブラジルから呼び寄せる。また、ジノ・サニとの関係も綴られ、ブラジルを崇敬する人々の心を揺さぶる。そして、佐藤とラモス、ジョージ与那城の歴史。 特にジョージ与那城の伝説は読んでいて鳥肌が立つほど。 当時、松木の逆サイド、つまり左サイドバックを任されていた飯室という鈍足の選手は7年目で始めてジョージ与那城とワンツーをしたことに号泣し、サッカーをやめてもいいとまで言った。いつか、いつかといいながら・・・俺の出る幕ではないと自分を押し殺してきた。 悲しいぐらい足は遅かったが、7年目のワンツーリターンはひと呼吸ずらした絶妙のパス。結局それが飯室のゴールにつながったのだ。 まだまだ紹介し足りない。今度は映画、もしくはサッカー漫画なども紹介しようかな。たまにはいいねこういうのも。
posted by 奥間店長 |13:24 |
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