2007年09月13日
五輪代表のGKに安住の地は存在しない
前回ホームで行われた北京五輪最終予選(ベトナム戦)は開始前からバタバタしてしまい後半から記者席で見る予定が、結局ゲーム自体全く見ることが出来なかった。 そのベトナム戦、次のサウジアラビア戦はもどかしさは残るものの、最低限のラインは常に超えている。ジレンマは水野だけにあるのではない。ひとつ間違えれば一気に崩れる可能性が見え隠れするが、まだその糸は切れようとしない。今日のカタール戦は特にその印象が強かった。そういうゲームだった。 家長のスキルはなんのために 前半に関しては、家長の運動量の少なさに愕然とした。家長がケアすべきスペースを逆サイドの水野が埋めたシーンは少なくとも3度あったはずだ。確かに前半33分のような相手DFが股を開くタイミングを見計らってボールを股に堂々と「転がし」決定的なチャンスを演出したり、終了間際の尋常ではないボールキープは与えられた人間にしかできない表現力ではある。 だが、反町監督が会見で語った部分「もちろん足元は上手いが、最後の点につながる部分を修正していかないと、フル代表に選ばれたとしてもゲームで出るチャンスがないと思いのでは」という箇所は、私も同じ意見を持ち合わせていた。 最後の点につながる部分とは、スキルやハートの部分ではなく決定的なフリーランニングで攻守のダイナミズムを創造できるか、に集約されている。特別な能力を持つ選手が通る道でもあるが、一度壁にぶつかってしまうとそれを乗り越えることに時間や労力を割き、気がつけば30代に入ってしまったという選手は多い。 高いスキルやハートだけで安定して得点に結びついていない現状は、家長自身の伸びしろを絶妙に示唆している。今の小笠原を見ればある程度は理解できる。何が本当に必要で、何がいらないものなのかを。 変化は突然に 後半はほぼ完璧なプレーをしていた梶山が負傷交代で青山敏と交代。だがそれで全体のパワーバランスが崩れ、ディフェンスラインが修正する間に思ったほど時間がかかってしまう。特に左サイドバックの伊野波は常に数的有利な状況をカタールに作らせてしまい、後手に回るしかなかった。それは後に小林が10番のワリード・ジャシムをマンマークでついた時間帯も変化することはなく、凍りつくような場面を何度も作り出してしまう。 山本のPRIDE だがそこに立ちはだかったのはGKの山本。元来、キャッチングやシュートストップには定評があるGKだが、ブレイクアウェーのタイミングが遅れがちなのがいつも気になっていた。腰が高い位置にあることも理由の一つだろうが、カタール戦でもボールへの遅れたスタートに怖さはあった。 しかしそれ以上にシュートへの反応と、冷静な判断力は際立ち、右サイドバックの内田を始め山本がボールを保持すると一気にギアがトップに入る選手が多い。これはGKに信頼を寄せていることの一つのバロメーターでもあり、山本もフィードの選択肢が自然と増える。 キックミスは一本あったものの、出来る限りのプレーはやりきった、そして確実に次につながるパフォーマンスだったと思う。 GKというポジションはここ2大会は全てオーバーエイジ枠に侵食され、成長に歯止めがかかるという若手選手は多かった。プレーは安定していても、その存在そのものが安定していない五輪代表のGK。確かに経験者だけが持つ部分はメリットとして存在するが、その先のことを一番デリケートに考えなければいけないのがGKというポジションだ。 他の枠は譲っても、GKだけは絶対にオーバーエイジの援助を受けることは許されない。山本や西川もそうだが、北京終了時まで自分がマウスを守りきるという強い矜持を持って残りのゲームに臨んで欲しい。 五輪代表のGKは最終予選で戦う国以外の敵がこれから先、待っている。GKはゲームでこそ伸びる。ゲームでしか、己の可能性を未来に見出すことはできない。
posted by 奥間店長 |00:39 |
NIPPON代表 |
この記事に対するコメント一覧
Re:五輪代表のGKに安住の地は存在しない
家長の評価に全く同感です。
終盤の必死さを、試合を通して見せてくれたら素晴らしい選手になれそうなだけにもやもやします…。
posted by 通りすがり | 2007-09-13 11:23
Re:五輪代表のGKに安住の地は存在しない
「このチームに期待するものは何もない」とずっと感じていました。それは、試合中の意識、取り組み、感情、そういうもの全てが「見る側」に対して、心を揺さぶるものを今まで感じた事が一度もなかったからです。その上、U-20代表の戦いぶりがよかったから、そう思うのは尚更です。反町監督は「ああ見えても本人達は、本人なりに一生懸命やっているんだよ」とよく発言しますが、ここにきて初めて見えてきた気がします。
「期待する」「期待できる」ではなく、「期待したいチーム」になってもらいたいものです。
posted by いごっそう | 2007-09-14 16:34
Re:五輪代表のGKに安住の地は存在しない
通りすがりさんコメントありがとうございます。ご返事が遅くなりました。
最近の家長は途中交代で入ると、キレのあるプレーを見せてくれますね。限られた時間に見せるプレーだからこそ、西野監督は頭から使わないのでしょうか。
もう一つ、世界を基準に置いた家長のプレーを見たいものですね。
posted by okuma店長 | 2007-09-23 03:28
Re:五輪代表のGKに安住の地は存在しない
いごっそうさんコメントありがとうございます。
一人ひとり、Jリーグで魅せる部分では心を揺さぶられる瞬間が確かにあります。それが五輪代表として形になったとき、意外に出てこなくなる。その状態が続いてしまい、ここまできてしまいましたが次はある程度、望めるのかもしれません。
様々なプレっシャーを受けて、ステップアップする瞬間に立ち会えるのも、このカテゴリーの魅力です。あと三週間の間でも何かしらのレベルは上がる。ぜひ期待してもらいましょう。
posted by おくま店長 | 2007-09-23 03:33


