2007年09月24日
「勝っても意味ないだろ。プレーオフ、どうせ行けねぇんだから。毎年同じことばかり繰り返しやがって。」
先週の土曜日(9月15日) 、メッツがホームでフィリーズに逆転負けを許した直後、メッツファンがフィリーズファンに向かって言った負け惜しみの一言が、ここ最近、ずっと頭から離れない。一週間が経ちその捨て台詞は、現実味を帯び始めた。
4.5から1.5、そして再び2.5。減っているかに見えるゲーム差は、残りゲームが6という状況の下では、何の慰めにもならない。埋めきれない、絶対的で絶望的な差。メッツがマーリンズに逆転勝ちを収め、今日(23日) の対ナショナルズ戦での敗戦によって、フィリーズの逆転優勝への道はほぼ閉ざされてしまった。
しかし、まだ希望は潰えていない。敵はサンディエゴ。フィリーズのプレーオフへの戦いは、ワイルドカード狙いへと移った。周囲パドレスに0.5ゲーム差の2位。まだまだ、いける。
逆転に次ぐ逆転。9月に入ってのフィリーズの戦いぶりは、覚めやらぬプレーオフへの飢餓感を体現したものであり、たとえ疲労で体が言うことを聞かなくなっていても、プレーオフという夢と可能性を信じて愚直なまでに前を向き、歩みを止めようとしない人間の強さでもあった。
もっとシーズン序盤で勝っていたら・・・と嘆くフィリーズファンも多い。ただ毎年勝たねば明日がない状況に追い込まれても、どこかクールに、他人事の様な戦いぶりを見せていたチームが、ここまで一丸となって、泥臭く、血眼になって、死に物狂いで戦ったこともなかった。
危機感と、執念と。
たとえ今シーズン、「いつものように」レギュラーシーズンで敗退したとしても、今シーズン末に選手一人ひとり体験し、ファンに見せたものは、チームのDNAとなり、新たな骨格を作り上げていく。
レギュラーシーズン、いよいよ最終週。もう後がない愛するチームの明日を想うと、切なくなり、逃げ出したくなる。ただ、その結果がどうであろうと、最後の、最後の瞬間まで、応援したいと思う。
posted by nysports |13:27 |
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2007年09月17日
そのプレーは8回表、2アウト1、2塁の場面で起こった。3-3の同点。カウントは1ストライク・ナッシング。舞台はメッツの本拠地、シェイ・スタジアム。
フィリーズのリード・オフマン、ジミー・ロリンズが打ったライナー性の、とても鋭い打球はセンター方向へグングン伸びていった。メッツのセンター、カルロス・ベルトランが捕球しようと2歩前に出たその時、球場全体の音が消えて無くなった。その前進した2歩がチームに何をもたらすか、まるでファンがわかっているかのように。
次の瞬間、スタジアムは大きなため息に包まれる。ベルトランは目測を誤ったのだ。彼の頭上を越え、センターフェンスに向かって転がるボールを慌てて追いかけるベルトランの背中を見ながら、フィリーズの3塁コーチャー、スティーブ・スミスの腕は、強い風を一杯に受けた風車のように勢い良く回り続ける。5-3。フィリーズ、逆転。ブーイングは鳴り止まなかった。
その一寸の判断ミスが生み出したコントラストはとても残酷だった。綺麗に晴れ渡った、澄んだ秋空の下、フィリーズファンの身に着けている赤いシャツは、より一層輝きを増し、メッツファンの顔は一気に暗くなり、着ている青色のTシャツは、くすんで見えた。
レギュラーシーズンも残り半月となり、プレーオフ進出に望みをかけるチームは一勝をもぎ取るごとにプレーオフへの可能性を祈り、一敗を喫する度に行き先のわからない明日を憂う。
フィリーズは危なげない継投でこの試合をものにし、ナショナルリーグ東地区の首位を走るメッツとのゲーム差を4.5に削り落とし、ワイルドカード争いではトップのパドレスとのゲーム差を1.5に保った。しかし、フィリーズ・ナインは気を休めることは出来ない。斉藤隆投手がいるドジャースも、同ゲーム差でフィリーズと並び、虎視眈々とプレーオフへの出場権を狙い、それを全力で奪い取りにかかる。
そして数字の上では優位に立つメッツでさえも、ここ最近のような、緩慢なプレーが散見される戦い方を続けると、その優位性はあっという間になくなってしまう。この日( 15日)では先に挙げたベルトランの判断ミスと、する必要性がまったく無いところで遊撃手ホセ・レイエスの3盗を試み、失敗するなど、開幕当時の爆発的な強さはすっかり鳴りを潜め、チーム自体がガクッと停滞しているのが少し気がかりだ。
また、フィリーズは15日時点で対メッツ戦7連勝を飾るなど、上位のチームとは比較的いい戦いをするものの、下位のマーリンズ、ナショナルズにはよく取りこぼすことが多い。若く、活きのいい選手が多いだけに、監督とコーチが選手の心理マネジメントをきちんと管理し、常に挑戦者の気持ちで戦うようにしなくては、この先1993年以来のプレーオフ進出は厳しくなるだろう。
プレーオフへの渇望、祈り、叫び、喜び、チームへの忠誠心、悲しみ、誇り。ファンの様々な思いが交錯しながら、今月末にはプレーオフに進出するチームが決定する。
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2007年09月10日
「レッドソックスにあまりマッチしていないんだよ - 16パーセント。」
ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手は、現地8日、ボルチモアでオリオールズ戦に先発。満塁ホームランを含む8失点を許し、3回を投げ終わることなく降板。12敗目を喫した(14勝)。
明けて現地9日。現地メディアはここ5戦で1勝4敗、防御率9.57の右腕の敗戦と、ヤンキースが再びゲーム差を5・5に縮めたことをこぞって報じた。ボストン・グローブは「オリオールズ、楽勝する」という見出しで、ゲームを振り返った。比較的冷静なトーンで、松坂投手、ファレル投手コーチ、フランコーナ監督のコメントを掲載し、ここ最近の松坂投手の成績を分析しながら、どこに不振の原因があるのか探ろうとしていた。
一方、より大衆向けで辛辣な記事で有名なボストン・ヘラルドはよりストレートだった。
「松坂、失意の中、あっという間に敗れる。」見出しはそのように書かれ、「ダイスケはレッドソックスのローテーションの重要な一角を担ってきたが、ここ最近、(ダイスケの出来は)一番の懸念事項になりつつある」と、記事は始まっている。
「松坂はどうしちゃったと思いますか」-そのマイケル・シルバーマン記者が書いた記事の横には、ボストン・グローブの読者アンケートが掲載されていた。
1.今年は松坂の年じゃないだけ
2.そもそもレッドソックスにあまり合ってない
3.まだアメリカの野球に適応しようとしている
4.不運が重なっただけ
これら4つの答えのなかで、一番多かったのが、73パーセントを占めた3番だった。「まだダイスケはアメリカの野球を勉強しているだけ。今シーズンもなかなかやっているじゃないか。なぁに、慣れたらガンガン勝ってくれるさ」と。
と同時に、松坂投手が「レッドソックスにあまりマッチしていない」と答えたレッドソックス・ファンが16パーセントもいた。「マッチしていない」、つまりボストンが今、ヤンキースに追い抜かれるかもしれない、という現状に対して松坂投手が「マッチしていない」のか、プレーオフ、ワールドシリーズを勝ち抜いていく上で、日本の至宝と謳われた右腕はチーム事情に「マッチしていない」のか。もしくは、そもそも1億ドルの男は、レッドソックスのチーム、ボストンという街に「マッチしていない」のか。そのどれかが当てはまるかはわからない。そのいずれなのかもしれない。どれも当てはまってないかもしれない。ただ、高まる不満を隠しきれないファンが多くなっているのは、事実だ。
レギュラーシーズンが1ヶ月を切り、現実が数字として明確になるこの時期。ボストンファンは松坂投手に対し抱いていた、シーズン当初はどこかモヤモヤっとしていた疑問も、今は具体的な形として感じているのは確かだろう。「新人のバックホルツはノーヒット・ノーランをやったし、ベケットは18勝をあげた。ウェイクフィールドだって41歳で16勝だ。何でダイスケは・・・。」 信じていながらも、一度ネガティブな方向に思考が働くと、否定的な考えに思考回路が支配される。スポーツファンはつい、愛するチーム、選手のことでさえもそんな風に考えてしまう。
「自分自身にとって我慢の時期だと思いますけど、それよりも自分一人がチームに迷惑をかけて、本当に申し訳なく思っています。」 レッドソックスのゲームをほぼ全試合放映する地元ケーブル局、NESNのウェブサイトで松坂のぶら下がり会見を見た。丁寧に質問に応じるものの、口は重く、顔の表情も曇ったまま。一番ふがいなさを感じ、ファンとチームに申し訳なく思っているのは、誰でもない、松坂大輔なのは明らかだった。
次回登板予定は現地14日、フェンウェイスタジアムでのヤンキース戦。周辺の雑音を消し去り、ファンの不安を笑顔に変える、最高の舞台が整った。
※アンケートはボストン・ヘラルド紙のHP上で展開されているため、パーセンテージはリアルタイムで変わります。そのため、実際に表示される数字と、
ここにある数字に違いが出る可能性があります。あらかじめご了承ください。
(ここで書いた数字は、米国東部時間9日、午後11時現在)
posted by nysports |11:58 |
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