2007年10月01日
おかえり、オーキー。
「おかえり、オーキー。」 その瞬間、温かい拍手が岡島秀樹投手に降り注ぎ、そしてとても大きな歓声がフェンウェイ球場を包んだ。 9月14日の対ヤンキース戦で、2者連続で被弾するなど、疲労から来る不調が伝えられていた岡島は、13日ぶりのマウンドに8回表、3-5の場面で登場した。進出が確定したプレーオフに向けての調整と、現段階でどれほど復調したのか、首脳陣がテストする意味合いが濃かった中での当番だった。 正直、ファンがこれほど岡島を優しく迎えるとは思っていなかった。 安定感抜群だった岡島のピッチングが、8月から9月にかけて、徐々に、しかし目に見えて悪くなっていった。0.9点台だった防御率は、2.2点台まで跳ね上がり、救援に失敗する場面も出始めた。 ボストンのファンは辛らつである。少しでも負けが込んだり、打てない日々が続くと、新聞はもちろん、ラジオやインターネットのブログで不振の選手は、ファンから詳細な数字を突きつけられ、批難にさらされる。 春先にセンターのココ・クリスプが絶不調だった時、地元のスポーツラジオ局、WEEIのトークショーではルーゴの放出とイチロー獲得の可能性について、朝から晩までリスナーとホストとの間で喧々諤々の議論が繰り広げられ、ヤンキースに猛追されたシリーズ終盤には、左斜紋筋痛で24試合を休んでいた主砲、ラミー・ラミレスに「この時期、怪我をしていない選手など何処にもいないのに、試合に出ないなんて甘えすぎている。わがままだ」との批判がインターネット上を席捲した。 一方、野球というゲームを誰よりも理解し、酸いも甘いも噛み締めてきたボストンのファンは、他のどのチームのファンよりも、限りない愛をチームと選手に捧げる。 岡島が今年、どのようなピッチングを見せてきたのか。4月の、黙って座っていると底冷えのするボストンの春の夜に、ヤンキース相手に見せた快投を、ファンは覚えている。レッドソックスが春先から夏にかけて見せた快進撃を、影で支え続けたのは誰か。ファンはしっかりと見ている。 またマウンドに上がる際に帽子を取ってうつむき、平常心を保つよう、そして今日の無事を祈る。岡島の、そういった野球に対する真摯な態度もまた、ファンの心をつかんでいるのだと思う。 その晩、岡島は1回を被安打1、無失点で投げぬき、最後はファンのスタンディング・オベーションに、この日2つ目の三振で答えた。 わぁっ、とその日一番の歓声が岡島に送られた。ボストンで野球をしている岡島は、そしてレッドソックスの選手全員は、幸せだなと思う。
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posted by nysports |03:14 |
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