2008年03月29日

バーレーン戦後味わった、圧倒的な絶望感。

例え、バーレーンの監督が策士で向こうのサッカー引き込まれたとしても、今回のバーレーン戦ほど僕は日本代表のサッカーに失望したことは正直なかった。躍動感はまるでなく、プレーからは闘志も見られない・・・。チームとしてのコンセンサスの無さ。選手のグラウンド上の適応力の無さ。そこでは将来の可能性のかけらも見られなかった。

「ただ」サッカーをやっていた、やされていた感がとても強く、本当に久しぶりに試合途中でチャンネルを何度も切り替えていた。悲しかった。目の前にあるサッカーは、本当に日本代表がやっているサッカーなのか、正直信じたくなかった。そして、怒りがふつふつと沸き立った。画面を見ながら、「だらしねぇ」、「お前ら全員サッカーやめちまえ」と選手と岡田監督に対し、思わず汚い言葉を投げつけてしまった。

その行為に対しては一人反省しているが、あんなサッカーはもう二度と見たくない。

誤解を恐れず言うならば、まだアジア3次予選。バーレーン、オマーン、タイ。確かにこれらの国々は急成長著しいことあり、油断すると足元をすくわれてしまうのは重々承知している。でもこんなレベルでドタバタしている暇はないはずだ。僕たちのサッカーは、もっと志高く、もっと可能性に溢れ、もっとわくわくするサッカーを目指していたはずだ。

「油断」と「自信」は違う。バーレーンは確かに地力があり、選手個々の力は本当に目を見張るものがあり、Jの舞台でも見てみたい若い才能は沢山いた。が、日本代表の選手一人一人は、そのあふれ出る才能を、そしてその肉体に潜んでいる底力全て出し切るならば、もっと出来たはずだ。負けたかもしれない。けど、あんな中身の無い試合はしない。バーレーン、オマーンに戦々恐々としている、そんな自信の無い日本代表なんて、誰も見たくない。

「アウエーだから。」最近この言葉がどうもエクスキューズにしか聞こえないことが多い。アウエーで戦うことが、勝ち点を取りこぼす言い訳で使われるとしたら、そんなことはもう聞きたくもない。練習場と競技場の環境の悪さ、悪天候、敵地のサポーター・・・。タフなのは理解しているし、グラウンドの外では関係者がロジ面で大変な思いをされていることだろう。が、それで揺らぐような代表チームではいけないと強く思う。

自分たちのサッカーの構築。今後、日本サッカーは「どのようなサッカーを魅せたいのか」と「どのようにしてこの試合を醜くても勝ち残るか」という狭間で、僕たちも含め、苦しむのだと思う。

がっちがちの1-0サッカーで勝つのを美徳とするのか、たとえ勝負弱くても、パスが小気味よく繋がり、後ろから前線にドンドン走りこむ選手がいて、スピード感溢れるサッカーを支持するのか。状況に応じては、それこそカメのように、甲羅に閉じこもり、点差を守りきる戦術が、もしくはひたすら守り、虎視眈々とカウンターを狙う必要性が、時間帯、そして勝ち点差・得失点差によっては出てくることだろう。

ただ、少なくとも「こういうサッカーをしたい、日本サッカーとは、つまりこれだ」という青写真は選手、コーチ、協会、(そしてサポーターを含めて)共有し、それに向かって歩み続けれなくてはいけない。そのうち立てたものを自信が持てるように、育てていかなくてはいけない。

つまりは迷ったときに戻れる「日本サッカー指針」をなくてはいけないと思うし、そのための議論を続け、もっともっと増やさなくてはいけないとも思う。先日のバーレーン戦を見て、今はその指針さえないように強く感じる。

正直、岡田監督がここでなぜ「脱オシム宣言」をしたのかが分からない。オシムがこの地に残した土台を、壊してしまうおつもりですか、岡田さん?2010年にむけて、ご自分で土台を作りかえるのですか?自分のやり方、それはなんですか?それはどれだけ時間がかかりますか?ワールドカップは、2年後です。その時間のリスクを負った上で、どんなサッカーを魅せてくれるのですか?

オシムが残した方向性は、ユース世代を含め、今後日本サッカー界が追いつづけいく物ではなかったのですか、サッカー協会の皆さん?もしそれを無くすような日本代表監督だとしたら、それを黙認するのですか?

日本が3次予選で敗退するとは思っていない。ただ、バーレーン戦で見せたようなサッカーをもし続けるとするなら、2010年南アフリカにはたどり着けないだろう。むしろそうなったほうが、ゼロからスタートできて良いのかも知れない。日本代表はもっと出来る-もちろんそう思っている。ただ、今回見せ付けられた深い絶望感は、僕をそこまで考えさせてしまう。

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2008年02月22日

コソボ独立と、オシムと、日本代表と。

2月17日(アメリカ東部時間)、セルビアの自治区だったコソボが念願の独立を宣言。ニューヨークにある国連では緊急の安全保障理事会が開かれ、アメリカ、イギリス、ドイツなどいわゆる西側諸国が安保理決議1244に基づき独立を支持する一方、ロシアは「国際社会はこのコソボの独立宣言を無視するべき」であり、独立を支持する「アメリカなど勝手な見解は、ほとんど論理的ではない」(露・チュルキン国連大使)と、双方の意見は真っ向から対立した。

その後、ロシアと一緒に独立に反対していたセルビアの首都ベオグラードでは、21日、独立に抗議する国会議事堂への平和行進の最中、参加者が暴徒化し、アメリカ大使館の窓ガラスを割るなどの破壊行為に出た。何人かは建物の中に侵入し、建物に掲げられていた星条旗を燃やし、セルビアの国旗を代わりに立てた。警察の車に投石する若い男性たち、火をつけられ、燃え上がる車。

セルビア人、クロアチア人、スロベニア人、モンテネグロ人、マケドニア人、イスラム教徒、アルバニア人・・・。ユーゴスラビアという国の制度の下、緩くではあるがまとまってあった各民族は、ユーゴ崩壊後声高々に自分たちの主張を繰り返し、多くの場合で異なる民族に強い敵対心を抱きながら、それぞれ国家として独立した。

それらの国家をどう自分たちの陣営として迎え、またバルカン地域においてどう自陣営の優勢さを確立するか・・・。この数日間は国際社会の微妙なパワーゲームを見せつけられ、また今日はべオグラードでの破壊行為で群集心理の怖さを思い知らされた。

それらの様子をテレビでつぶさに見ていて、日本で闘病生活を送っているイビチャ・オシムと、重慶で必死にプレーするサッカー日本代表を想った。

ナショナリズムから来る排他的行為を何よりも嫌い、かつては各民族に配慮して選考されていた代表選手を、「必要ならば11人全員をコソボのアルバニア人で揃える」と明言した旧ユーゴ代表監督のコスモポリタンは、遠い日本でこのニュースをどう聞いたのだろうか。今日べオで起こった暴動を、どう感じたのだろうか。

人間の愚行が引き起こす数々の、口にするにもはばかれるような、いたたまれない現実の数々。オシムは、それらを心の奥底に閉じ込めて、よりサッカーへの愛を深くし、そのスポーツの追求により自らの身を投じたのだ、と勝手ながら思う。

そんな大柄のサラエボっ子が、「日本サッカーの日本化」の先に、何を一番選手や日本の人たちに伝えたかったのだろうか。

彼の著書を何度も読み返し、言動を振り返ると、それは「リスクを恐れず、自分たちの持てる可能性を信じ、一瞬一瞬をサッカーに、そして仕事に、あるいは自分の信じた道を生きなさい」ということではないだろうか。「日本でサッカー監督になるというのは本当に素晴らしい経験だ。なにしろ24時間サッカー漬けの生活が出来る」という旨の発言を、オシムは一冊の本の中でしている(イビチャ・オシムの真実  ゲラルト・エンツィガー、トム・ホーファー共著、 平 陽子 訳)。

多くの日本人は、今日砲弾に倒れて死ぬか、朝起きて「今日も一日生きて過ごせるか」という心配をせずに、自分の「これだ」という道を一生懸命追求することが出来る環境にある。だったら、やってみようよ。せっかくやれるチャンスがあるのに、やらない手は無いよ、そう言っている気がする。

オシムが病魔に襲われる前、代表の練習を温かい眼差しで見守っていたオシムの柔和な笑顔を思い出す。2005年、ジェフが初めてナビスコを制覇、試合後選手達が大柄なオシム監督を胴上げしようした時の、嬉しさと驚きと、申し訳なさが同居したオシムの表情を思い出す。日本人の可能性を人一倍信じ、それを指導を通じて感じた選手たちの「懸命に学ぼう」という真剣な眼差しと態度に、日本の将来を見たのだと思う。だから自分の身を賭してまで、代表監督に就任したのだと思う。

正直、2010年が本当に、本当に楽しみでしょうがなかった。オシムが僕たちと一緒に世界を驚かせ、かつ今後の日本代表が追求するべき道を作ってくれる、と。

僕が未だそんな無いものねだりを繰り返しているとき、ピッチに立つ選手たちは現実をしっかりと見つめ、重慶でまた逞しさを増していた。確かに中国戦は途中で没収試合やボイコットにする手も考えなければいけなかったほど、試合環境は酷かったように思える。ペットボトルは投げつけられ、バスは囲まれ、小さな日の丸は焼かれたと聞く。

ただ、選手が見せてくれた「静かに燃やした闘志」には本当に、感服した。試合後、中澤選手がチームメートを熱い気合の入ったハイタッチで称えたシーンは純粋に感動した。岡田監督の、批判するところは批判した上で、リスクマネージメントを考えた相手へのコメントに、監督の円熟された人間性といい意味でのしたたかさを覚えた。今はただ、安田選手をはじめ、怪我をした選手の大事を祈るばかりだ。

日本代表はこれから勝ち上がるにつれ、様々な難しい場面に遭遇すると思う。最後の一秒まで、諦めないで走って欲しい。常に上への渇望を忘れずに、懸命にプレーして欲しい。それが日本サッカー界のために全力を尽くし続けた一人の人間への、最低限の責なのだから。

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2008年01月29日

拝啓 ジェフユナイテッド千葉・市原様

拝啓、ジェフユナイテッド千葉・市原様

天皇杯が終わり、もう一月が経とうとしております。今は来たる開幕戦、3月8日万博で行われる対ガンバ戦と、その前に行われるちばぎんカップに向け虎視眈々と準備していると思います。

突然のお手紙、なにとぞお許し下さい。ただの一サッカーファンのぼやき、として受け取ってくださればと思います。つい最近まで「ジェフ崩壊」、「主力流出続出」―スポーツ新聞一面、大きな見出しで御チームの実情が書かれていましたね。ウェブで検索できる限り、全て目を通した上で、落胆と悲しみ、勝手ながら悔しさと怒りを覚えました。

もちろん、新聞上に書かれていること全てが正しいとは思っていません。フロントに全ての責任があるような風潮に対しても、正直心外のことだろうと私は察しております。しかしながら、イビチャ・オシム前々監督が日本代表監督に、言わば協会に「強奪」(ここはあえて強奪と書かせて頂きました)されてからというもの、どうも御チームの、特に上層部の、動きに対して腑に落ちない部分がより膨らんだのもまた、事実です。

越権行為であり、部外者が口を出すものではないのかもしれませんが、フロントと現場が全く違った方向を向いていて、それに選手とサポーターが振り回されている、そういった感がぬぐえません。

どうして、もっとチームのために動いてくださらないのですか。
どうして、もっとサポーターに語りかけてくださらないのですか。

たとえ待遇悪くなったとしても、選手はチームと一緒の未来が、青臭いことを言えば「夢」を一緒に見れれば、「このチームのために・・・」と思うことでしょう。サポーターは毎年のように主力が移籍してしまうような寂しい現実にも、チームと一緒に頑張ろうと思えれば、一緒に歯を喰いしばって、ゴール裏で勇気を与えてくれる、力強い歌声で選手とチームを鼓舞し続けることでしょう。

でも、実際は彼らに対し、今まで何をなさってきたのですか。

どうして若くて才能溢れる水野選手をほぼ無償で他チームに渡してしまうのですか。どうしてチームのために今まで貢献してきた主力選手、羽生選手と佐藤勇人選手をもっと必死に引き止めなかったのですか。過去には、中西選手、茶野選手らもあっさりと切り、他チームへ移籍させましたね。

確かに、御チームの育成システムはガンバ大阪、サンフレッチェ広島と並び、最も成功したものの一つであり、柏レイソルのサポーターを自負する私も、そのシステムを羨望の眼差しで見つめておりました。しかしながら、どうも御チームの「若手育成」が、ベテラン選手と主力選手が毎シーズンごと流出してしまうことへの単なるエクスキューズとしてしか感じられないのです。

他チームのサポーターが、このような場を借りてわざわざ言うべきでは無いのかも知れません。ましてや浦和のような、大規模で常に完璧を目指している様なチームでもないため、他チームの事に関してとやかく言える立場では無いのかも知れません。

ただ、幕張の海浜地区で6年ほど過ごした人間として、千葉という地で一緒にサッカーという素晴らしい競技を愛するものとして、御チームの実情を見て見ぬ振りが出来ないのです。

1996年、ガラガラの市原臨海競技場で、それでも頑張っている選手とサポーターを千葉テレビの中継で見て、田舎から大学進学で千葉に出てきた私に「必死に」何事も取り組む大切さを教えてくれたのは、ジェフでした。Jリーグが開幕してから、華麗だけではなく、気持ちのこもったサッカーを見せ付けてくれたのは、御チームのリトバルスキー選手であり、オッツェ選手であり、城選手であり、中西選手であり、チェ・ヨンス選手でした。

毎年のように主力が抜けたにもかかわらず、チームの方向性をしっかりと示した上で若手をじっくりと育成し、戦力を下から育った選手で補う。しかもそのグラウンドで見せるサッカーはドンドン魅力的になりましたね。イビチャ・オシム前々監督就任後は、「ジェフのようなサッカーをしたい」とJの監督に言わせるほど、美しさを感じさせてくれるものでした。個人的にもオシム監督がグラウンドで表現したあのサッカーは大好きでした。

土曜の昼下がり、美しい芝生の上で、目の覚めるようなあの鮮やかな黄色と緑のユニフォームを見るたびに、何度ワクワクさせてもらったことでしょう。サッカーの素晴らしさと、きつい現実と、その二つを私に初めて教えてくれたのは、どのチームでもなく、ジェフユナイテッド市原なのです。

だから悲しいのです。だから怒っているのです。

アマル・オシム前監督を解任しました。成績不振。何とか理解は出来ます。でもどうしてあのタイミングでの解任なんですか。開幕にチームが間に合わない、そのリスクを理解したうえでの行動ですか。どうして一時の不振を抜け、チームとしてまとまってきたと現場も手ごたえを感じた直後の解任なんですか。

挙句の果てには「脱・オシム路線」。それで、その先には何が待っているのでしょうか。私はイコール脱東欧路線かと思っていましたが、その後クゼ監督を召集。今後、3年後、5年後、ジェフ千葉・市原はどういうチームを目指し、それにどのようにして向かっていくのか。選手も、サポーターも、そこが知りたいのだと思います。
 
柏レイソルも、昔はかなり勝負弱く、またどこを目指しているのか、チームとしてのコンセンサスが見えず、何でも中途半端だった感がありました。2000年を頂点に、ドンドン成績は悪くなる一方で、06年にはついにJ2での開幕を迎えました。

ただ、今振り返ると、あの降格がチーム、現場、サポーター、それぞれのベクトルを一つの方向に向かわせ、みんなで一緒に頑張れたのだと思います。その3者の間の距離もぐっと縮まり、対話を重ね、「家族として」一緒に我慢し、一緒に泣き、一緒に凱歌を響かせ、一緒に笑ってこれたのだと思います。

今御チームに一番欠けているのはこの点だと思うのです。

もっとサポーターと、そして選手と対話を重ねて行きましょうよ。
もっともっと、魅力的であろうと、チームとして努力しましょうよ。

ジェフにはフクアリという綺麗で立派なスタジアムがあり、日本サッカー界をこれから担う人材を輩出する優れた育成システムがあります。もったいないじゃないですか。おせっかいとは思いますが、柏と一緒に、千葉のサッカーを盛り上げて、もっと全国にアピールしましょうよ。

選手の、特に若手の皆さん、今シーズンは本当にチャンスです。新体制になり、主力の選手も抜けました。どんどん失敗を恐れず、自分を十二分にアピールして、何事にもチャレンジして下さい。巻選手、残留してくれて本当に有難う。今、ジェフで「背中でチームを引っ張る」選手は貴方しかいません。今まで以上に泥臭く、魂のこもったプレー、期待しています。工藤選手、今シーズン貴方がチームの主軸になるのですよ。魅力あるプレー、楽しみにしています。スタジアムを沸かせて下さい。下村選手、その堅実かつダイナミズム溢れるプレーでサポーターを喜ばせて下さい。

最後にサポーターの皆さん。厳しい現実に直面する中で、明るい光りがほとんど見出せない中でさえ、ジェフに対する、サッカーに対する変わらぬ愛を示し続けるあなた方の気持ち、本当に感服しています。一緒に頑張りましょう。一緒にJを盛り上げましょう。ちばぎんカップで対戦するのを今から楽しみにしております。

駄文、失礼致しました。今シーズンの御チームの幸運をお祈りして、筆を置かせて頂きます。
敬具
一サッカーファンより

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2007年10月05日

フィリーズ、14年ぶりの歓喜。

9回の裏。2アウト。ワシントン・ナショナルズのバッター、トッド・リンデンが4球目のカーブを見逃し、三振を喫した。

その瞬間、フィリーズのクローザー、ブレット・マイヤーは自分のはめていたグローブを思いっきり、そして空高く放り投げた。そのシーンは、フィリーズファンが14年間溜め込んだ憤り、悲しみ、諦め、涙、忍耐力、そして負け続けたチームへの変わらない忠誠心が一つの大きなエネルギーとなり、一気に噴き上がった象徴のように見えた。

ベンチで戦況を祈るように見つめていた強打者、パット・バーレルは叫びながら全力疾走し、キャッチャーのコステよりも先にマイヤーに抱きついた。続いてコステ、内野手陣が誰彼かまわず抱き合い、歓喜の雄たけびを上げる。

フィリーズの本拠地、シチズンズバンク・スタジアムをパンパンに埋め尽くしたフィリーズのファンは、絶叫に近い声を上げながら、今まで味わいつくした屈辱の日々に別れを告げるかのように、白いタオルを力いっぱい振り続けた。

やったんだ。俺達のフィリーズがついにプレーオフに進出するんだ。

9月30日。MLBのレギュラーシーズン最終日、162試合目にしてフィラデルフィア・フィリーズはニューヨーク・メッツを引き摺り下ろし、ナショナルリーグ・東地区のタイトルをもぎ取った。1993年、トロント・ブルージェイズ相手にワールドシリーズで涙を飲んでから、実に14年ぶりのプレーオフ進出。長い間アトランタ・ブレーブスやフロリダ・マーリンズ、そしてメッツの後塵を拝し続け、踏みつけられた末の優勝であり、悲願であった。

この結果は、若く才能溢れる選手達が、不安になりながらも己の可能性を信じ続け、メッツという巨大な敵に必死に、歯を食いしばりながら喰らいついた結果である。残り17ゲームになった9月。ナ・リーグ東地区首位を走るメッツに対し、フィリーズは7ゲーム差を付けられ、2位に甘んじていた。後ろからは若さ溢れるブレーブスが、虎視眈々と2位の座を狙っていた。

ファンの脳裏をよぎるのは、何年も善戦しながらあっさりと負け続けた、いつものフィリーズだったろう。追い込まれると自分達を見失い、バラバラになっていたフィリーズは、しかし今シーズン、苦しい立場になると逆にチームが一つにまとまり、自分達の最終的な目標を常に再確認し続けた。

今の主軸、エースに成長を遂げたコール・ハメルズ、ショートでナ・リーグのMVP候補ジミー・ロリンズ、ファーストのライアン・ハワード、セカンドのチェース・アトリー、そしてバーレル、マイヤーは全員フィリーズの生え抜きの選手である。才能が有りながら、人一倍成功に飢え、自分達の本来の力を見せ付けてやりたいと熱望する若人たちの集まりである。

それに加え、他球団を渡り歩き、フィリーズにたどり着いたベテラン達がいた。このままでは終わりたくない、見返してやりたいという強い気持ちと、今までメジャーを生き残ってきた経験が、フィリーズを一つにし、より強く、前に突き動かす。今年一年、セットアッパーとして縦横無尽の働きをしたジェフ・ゴードン、優勝がかかった最終戦、圧倒的なプレッシャーがその左腕に重くのしかかった中で、ナショナルズ打線相手に5.1回投げ、1失点に抑えたジェイミー・モイヤー。

若いチームにモチベーションと緊張感を保たせ、ベテランを適材適所で登用、起用する。たとえ殆ど無くなったとしても、わずかな可能性を追い続けるようにチームを持っていった、チャーリー・マニュエル監督を中心とする首脳陣の手腕は評価されるべきだろう。それは9月中旬と後半を12勝4敗で乗り切った勝負強さ、つまりはチーム力として現れている。

その姿は、ベルトランやマルティネスなど、最近主力を「買」ってチームを編成してきたメッツとは全く異なるものだった。勝っている場合はいいが、一度窮地に追い込まれたチームは、チームとして原点に帰る目標がないと一気に空中分解をする。フィリーズに追い上げられた今年の終盤、必要だったのは慌てたチームを落ち着かせ、まとめるキャプテンシーであり、首脳陣のマネジメントではなかったか。昨年地区優勝をし、戦力的にも資金的にも充実しているメッツからはどこか中だるみを感じ、プレーから沸き立つような熱い思いと、チームとして「絶対にこれを成し遂げたい」という目標を感じることは出来なかった。

フィリーズは、プレーオフ一回戦となるディビジョンシリーズを、コロラド・ロッキース相手に戦っている。第1戦を2-4で落としたフィリーズ、2戦目も初回に2点を先制されるなど、依然苦しい戦いが続いている。ただ、これまで通り自分達の立ち居地をしっかりと把握し、常に諦めず、挑戦者の気持ちで我武者羅にプレーし続けるならば、結果は自ずと付いて来るだろう。

フィリーズ、頑張れ。

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2007年10月01日

おかえり、オーキー。

「おかえり、オーキー。」
その瞬間、温かい拍手が岡島秀樹投手に降り注ぎ、そしてとても大きな歓声がフェンウェイ球場を包んだ。

9月14日の対ヤンキース戦で、2者連続で被弾するなど、疲労から来る不調が伝えられていた岡島は、13日ぶりのマウンドに8回表、3-5の場面で登場した。進出が確定したプレーオフに向けての調整と、現段階でどれほど復調したのか、首脳陣がテストする意味合いが濃かった中での当番だった。

正直、ファンがこれほど岡島を優しく迎えるとは思っていなかった。

安定感抜群だった岡島のピッチングが、8月から9月にかけて、徐々に、しかし目に見えて悪くなっていった。0.9点台だった防御率は、2.2点台まで跳ね上がり、救援に失敗する場面も出始めた。

ボストンのファンは辛らつである。少しでも負けが込んだり、打てない日々が続くと、新聞はもちろん、ラジオやインターネットのブログで不振の選手は、ファンから詳細な数字を突きつけられ、批難にさらされる。

春先にセンターのココ・クリスプが絶不調だった時、地元のスポーツラジオ局、WEEIのトークショーではルーゴの放出とイチロー獲得の可能性について、朝から晩までリスナーとホストとの間で喧々諤々の議論が繰り広げられ、ヤンキースに猛追されたシリーズ終盤には、左斜紋筋痛で24試合を休んでいた主砲、ラミー・ラミレスに「この時期、怪我をしていない選手など何処にもいないのに、試合に出ないなんて甘えすぎている。わがままだ」との批判がインターネット上を席捲した。

一方、野球というゲームを誰よりも理解し、酸いも甘いも噛み締めてきたボストンのファンは、他のどのチームのファンよりも、限りない愛をチームと選手に捧げる。

岡島が今年、どのようなピッチングを見せてきたのか。4月の、黙って座っていると底冷えのするボストンの春の夜に、ヤンキース相手に見せた快投を、ファンは覚えている。レッドソックスが春先から夏にかけて見せた快進撃を、影で支え続けたのは誰か。ファンはしっかりと見ている。

またマウンドに上がる際に帽子を取ってうつむき、平常心を保つよう、そして今日の無事を祈る。岡島の、そういった野球に対する真摯な態度もまた、ファンの心をつかんでいるのだと思う。

その晩、岡島は1回を被安打1、無失点で投げぬき、最後はファンのスタンディング・オベーションに、この日2つ目の三振で答えた。

わぁっ、とその日一番の歓声が岡島に送られた。ボストンで野球をしている岡島は、そしてレッドソックスの選手全員は、幸せだなと思う。

posted by nysports |03:14 | MLB | コメント(1) | トラックバック(0)
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2007年09月24日

2.5ゲーム差の絶望、0.5ゲーム差の希望。

「勝っても意味ないだろ。プレーオフ、どうせ行けねぇんだから。毎年同じことばかり繰り返しやがって。」

先週の土曜日(9月15日) 、メッツがホームでフィリーズに逆転負けを許した直後、メッツファンがフィリーズファンに向かって言った負け惜しみの一言が、ここ最近、ずっと頭から離れない。一週間が経ちその捨て台詞は、現実味を帯び始めた。

4.5から1.5、そして再び2.5。減っているかに見えるゲーム差は、残りゲームが6という状況の下では、何の慰めにもならない。埋めきれない、絶対的で絶望的な差。メッツがマーリンズに逆転勝ちを収め、今日(23日) の対ナショナルズ戦での敗戦によって、フィリーズの逆転優勝への道はほぼ閉ざされてしまった。

しかし、まだ希望は潰えていない。敵はサンディエゴ。フィリーズのプレーオフへの戦いは、ワイルドカード狙いへと移った。周囲パドレスに0.5ゲーム差の2位。まだまだ、いける。

逆転に次ぐ逆転。9月に入ってのフィリーズの戦いぶりは、覚めやらぬプレーオフへの飢餓感を体現したものであり、たとえ疲労で体が言うことを聞かなくなっていても、プレーオフという夢と可能性を信じて愚直なまでに前を向き、歩みを止めようとしない人間の強さでもあった。

もっとシーズン序盤で勝っていたら・・・と嘆くフィリーズファンも多い。ただ毎年勝たねば明日がない状況に追い込まれても、どこかクールに、他人事の様な戦いぶりを見せていたチームが、ここまで一丸となって、泥臭く、血眼になって、死に物狂いで戦ったこともなかった。

危機感と、執念と。

たとえ今シーズン、「いつものように」レギュラーシーズンで敗退したとしても、今シーズン末に選手一人ひとり体験し、ファンに見せたものは、チームのDNAとなり、新たな骨格を作り上げていく。

レギュラーシーズン、いよいよ最終週。もう後がない愛するチームの明日を想うと、切なくなり、逃げ出したくなる。ただ、その結果がどうであろうと、最後の、最後の瞬間まで、応援したいと思う。

posted by nysports |13:27 | MLB | コメント(4) | トラックバック(0)
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2007年09月17日

NL プレーオフへの熱、増す。

フィリーズ4番、ライアン・ハワード
そのプレーは8回表、2アウト1、2塁の場面で起こった。3-3の同点。カウントは1ストライク・ナッシング。舞台はメッツの本拠地、シェイ・スタジアム。 フィリーズのリード・オフマン、ジミー・ロリンズが打ったライナー性の、とても鋭い打球はセンター方向へグングン伸びていった。メッツのセンター、カルロス・ベルトランが捕球しようと2歩前に出たその時、球場全体の音が消えて無くなった。その前進した2歩がチームに何をもたらすか、まるでファンがわかっているかのように。 次の瞬間、スタジアムは大きなため息に包まれる。ベルトランは目測を誤ったのだ。彼の頭上を越え、センターフェンスに向かって転がるボールを慌てて追いかけるベルトランの背中を見ながら、フィリーズの3塁コーチャー、スティーブ・スミスの腕は、強い風を一杯に受けた風車のように勢い良く回り続ける。5-3。フィリーズ、逆転。ブーイングは鳴り止まなかった。 その一寸の判断ミスが生み出したコントラストはとても残酷だった。綺麗に晴れ渡った、澄んだ秋空の下、フィリーズファンの身に着けている赤いシャツは、より一層輝きを増し、メッツファンの顔は一気に暗くなり、着ている青色のTシャツは、くすんで見えた。 レギュラーシーズンも残り半月となり、プレーオフ進出に望みをかけるチームは一勝をもぎ取るごとにプレーオフへの可能性を祈り、一敗を喫する度に行き先のわからない明日を憂う。 フィリーズは危なげない継投でこの試合をものにし、ナショナルリーグ東地区の首位を走るメッツとのゲーム差を4.5に削り落とし、ワイルドカード争いではトップのパドレスとのゲーム差を1.5に保った。しかし、フィリーズ・ナインは気を休めることは出来ない。斉藤隆投手がいるドジャースも、同ゲーム差でフィリーズと並び、虎視眈々とプレーオフへの出場権を狙い、それを全力で奪い取りにかかる。 そして数字の上では優位に立つメッツでさえも、ここ最近のような、緩慢なプレーが散見される戦い方を続けると、その優位性はあっという間になくなってしまう。この日( 15日)では先に挙げたベルトランの判断ミスと、する必要性がまったく無いところで遊撃手ホセ・レイエスの3盗を試み、失敗するなど、開幕当時の爆発的な強さはすっかり鳴りを潜め、チーム自体がガクッと停滞しているのが少し気がかりだ。 また、フィリーズは15日時点で対メッツ戦7連勝を飾るなど、上位のチームとは比較的いい戦いをするものの、下位のマーリンズ、ナショナルズにはよく取りこぼすことが多い。若く、活きのいい選手が多いだけに、監督とコーチが選手の心理マネジメントをきちんと管理し、常に挑戦者の気持ちで戦うようにしなくては、この先1993年以来のプレーオフ進出は厳しくなるだろう。 プレーオフへの渇望、祈り、叫び、喜び、チームへの忠誠心、悲しみ、誇り。ファンの様々な思いが交錯しながら、今月末にはプレーオフに進出するチームが決定する。
メッツファンの彼女、フィリーズファンの彼、戦いの果て。


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2007年09月10日

レッドソックスファンの我慢。

「レッドソックスにあまりマッチしていないんだよ - 16パーセント。」

ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手は、現地8日、ボルチモアでオリオールズ戦に先発。満塁ホームランを含む8失点を許し、3回を投げ終わることなく降板。12敗目を喫した(14勝)。

明けて現地9日。現地メディアはここ5戦で1勝4敗、防御率9.57の右腕の敗戦と、ヤンキースが再びゲーム差を5・5に縮めたことをこぞって報じた。ボストン・グローブは「オリオールズ、楽勝する」という見出しで、ゲームを振り返った。比較的冷静なトーンで、松坂投手、ファレル投手コーチ、フランコーナ監督のコメントを掲載し、ここ最近の松坂投手の成績を分析しながら、どこに不振の原因があるのか探ろうとしていた。

一方、より大衆向けで辛辣な記事で有名なボストン・ヘラルドはよりストレートだった。
「松坂、失意の中、あっという間に敗れる。」見出しはそのように書かれ、「ダイスケはレッドソックスのローテーションの重要な一角を担ってきたが、ここ最近、(ダイスケの出来は)一番の懸念事項になりつつある」と、記事は始まっている。

「松坂はどうしちゃったと思いますか」-そのマイケル・シルバーマン記者が書いた記事の横には、ボストン・グローブの読者アンケートが掲載されていた。
1.今年は松坂の年じゃないだけ 
2.そもそもレッドソックスにあまり合ってない 
3.まだアメリカの野球に適応しようとしている 
4.不運が重なっただけ 
これら4つの答えのなかで、一番多かったのが、73パーセントを占めた3番だった。「まだダイスケはアメリカの野球を勉強しているだけ。今シーズンもなかなかやっているじゃないか。なぁに、慣れたらガンガン勝ってくれるさ」と。

と同時に、松坂投手が「レッドソックスにあまりマッチしていない」と答えたレッドソックス・ファンが16パーセントもいた。「マッチしていない」、つまりボストンが今、ヤンキースに追い抜かれるかもしれない、という現状に対して松坂投手が「マッチしていない」のか、プレーオフ、ワールドシリーズを勝ち抜いていく上で、日本の至宝と謳われた右腕はチーム事情に「マッチしていない」のか。もしくは、そもそも1億ドルの男は、レッドソックスのチーム、ボストンという街に「マッチしていない」のか。そのどれかが当てはまるかはわからない。そのいずれなのかもしれない。どれも当てはまってないかもしれない。ただ、高まる不満を隠しきれないファンが多くなっているのは、事実だ。

レギュラーシーズンが1ヶ月を切り、現実が数字として明確になるこの時期。ボストンファンは松坂投手に対し抱いていた、シーズン当初はどこかモヤモヤっとしていた疑問も、今は具体的な形として感じているのは確かだろう。「新人のバックホルツはノーヒット・ノーランをやったし、ベケットは18勝をあげた。ウェイクフィールドだって41歳で16勝だ。何でダイスケは・・・。」 信じていながらも、一度ネガティブな方向に思考が働くと、否定的な考えに思考回路が支配される。スポーツファンはつい、愛するチーム、選手のことでさえもそんな風に考えてしまう。

「自分自身にとって我慢の時期だと思いますけど、それよりも自分一人がチームに迷惑をかけて、本当に申し訳なく思っています。」 レッドソックスのゲームをほぼ全試合放映する地元ケーブル局、NESNのウェブサイトで松坂のぶら下がり会見を見た。丁寧に質問に応じるものの、口は重く、顔の表情も曇ったまま。一番ふがいなさを感じ、ファンとチームに申し訳なく思っているのは、誰でもない、松坂大輔なのは明らかだった。

次回登板予定は現地14日、フェンウェイスタジアムでのヤンキース戦。周辺の雑音を消し去り、ファンの不安を笑顔に変える、最高の舞台が整った。


※アンケートはボストン・ヘラルド紙のHP上で展開されているため、パーセンテージはリアルタイムで変わります。そのため、実際に表示される数字と、
ここにある数字に違いが出る可能性があります。あらかじめご了承ください。
(ここで書いた数字は、米国東部時間9日、午後11時現在)

posted by nysports |11:58 | MLB | コメント(4) | トラックバック(0)
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2007年08月17日

レッドソックスを牽引する「小さな」巨人

昨年の今頃、暑さが猛威を振るったアメリカ東部だが、今年の夏はからっとした、比較的過ごしやすい日が続いている。

そんな天候なのに、レッドソックスはどうも夏ばて気味だ。序盤戦は宿敵、ヤンキースの調子の悪さを尻目に、連戦連勝。一時は14.5ゲーム差をつけていたのだが、ここに来て失速。オールスター後、ヤンキースは20勝9敗というハイペースだったのに対し、レッドソックスは19勝14敗。8月16日現在では5ゲーム差まで縮まった。

そんな元気のないチームの中で、一人気を吐く選手がいる。二塁手のダスティン・ペドロイヤだ。開幕当初、レッドソックスの弱点の一つとして2塁が挙げられていた。2006年途中にメジャーデビューを果たオたペドロイアだったが、31試合で2本塁打、打率.191と、満足の行く結果を残すことを出来なかったからだ。

開幕はなんとかメジャーに残り、8番や9番を打つことになったが、中々打撃は上向きにならず、4月には6試合連続無安打を記録するなど、4月の打率は.182と低調だった。それが5月には一転。アリゾナ州立大学出身の2塁手は、9試合で2安打以上を記録。月間の打率.415をたたき出す。

6月の月間打率は.333、7月は.299と好調を維持。それに伴い、波の有るルーゴやクリスプに代わって、2番を打ち始める。ここ最近ではリード・オフマンの役割を果たすなど、173センチと小柄なペドロイアの存在感は、大物と役者ぞろいの強豪チームの中で確実に大きくなっている。

ペドロイアを語る上で忘れていけないのはその守備能力だ。位置取りはもちろんの事、全力で右へ左へ走り、懸命に白球を追う。そのダイビング・チャッチでチームの危機を救ったことは数知れず、その姿は正に映画「スパイダーマン」を髣髴とさせる。レッドソックスの中継でも、松坂投手のピンチをその守備で救ったことを覚えているファンの方も多いのではないか。

また、その小さな体全部を使ってのフルスイングと、常に全力でベースを駆け抜けようとする姿勢は、バテ気味のチームメートを牽引する。寡黙で派手さはないものの、堅実なプレースタイルは正に職人。最近ペドロイアのTシャツを着ているボストンファンが増えているのは、彼に共感するファンが多いからだろう。

そんな彼の経歴を紐解くと、エリート街道を歩んできたことがわかる。野球の名門、アリゾナ州立大学では、全米制覇は出来なかったものの、2003年には打率.404を記録し、Pac-10(太平洋側に有る大学10校が構成するスポーツ・リーグ)のベストナインに3度選ばれるなど、メジャーでの成功も確実視されていた。2004年のドラフトでレッドソックスが指名、その後ペドロイアはシングルAから着実にステップアップ。23歳になった2006年、ついにメジャーデビューを果たすこととなる。

そんなペドロイアの成長振りに、フランコナ監督も目を細める。「だから言ってただろ?彼はやる奴だって。正直、去年の9月とキャンプ、シーズン当初はまだメジャーのレベルじゃないかな、って思ったんだけどね。今はもちろん高いレベルのプレーを見せてくれているよ。満足しているね。」

オーティス、ラミレス、シリング、ベケット、パペルボン、岡島、そして松坂。メジャーの舞台でも輝き続けるスターの中で、年棒38万ドル(およそ4100万円ほど)のペドロイアは輝きを少しずつ増し続ける。

posted by nysports |06:42 | MLB | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年08月09日

シリング、DLからの復帰も白星ならず。

今シーズンに入って、レッドソックスのエース、カート・シリング投手の元気が無い。故障者リストに乗ってから60日目。ローテーションに復帰したシリング投手は、8月6日ロスアンジェルス・エンジェルス戦に先発したものの、4失点を喫し、復帰を白星で飾れなかった。

セオ・エプスタインGMとレッドソックスは、2007年シーズン後にFA選手となるシリング投手と、春季キャンプ前時点では契約延長はしないと発表した。今年40歳という年齢に加え、今シーズン、怪我をするのではという懸念からの決断だった。契約を延長して、気持ちよく開幕を迎えたかったシリングは、レッドソックスの判断に失望感を表したが、4月、5月を5勝2敗、防御率3.68という好成績でシーズンのスタートを切った。

しかし、6月に入ってから徐々に安定感を欠きはじめる。シリングはあわやノーヒットノーランを達成しそうになった、6月7日の対アスレチック戦を除いた3試合で、最高でも5回を投げきるのがやっと。同月の防御率は5.79と、4月、5月の防御率に比べておよそ2点も悪くなっている。それに加えて、MRIスキャンで異常なしと診断されたが、6月18日の対ブレーブス戦後に肩の異常を訴えるなど、怪我の心配も依然としてある。

「なんだかしっくりいかないんだよ。今年はずっと色んなことを受け入れるように努力しているよ。それは年のせいなのかもしれないし、(物事が)うまく行かないからかもしれない」と毎週出演するラジオ番組で気持ちを吐露したシリング。普段ならもっと強気の発言をするのに、こんなしおらしい、元気のないシリングを見た記憶は無い。

2004年、ヤンキースとアメリカン・リーグの王座をかけた戦ったチャンピオン・シリーズ第6戦で、まだ術後まもない足首から出血していても、痛みをこらえてチームのために黙々と投げ続けたシリング。優勝に見放され続けてるフィラデルフィア・フィリーズで、9シーズン(2000年は途中から在籍)ひたすら黙々と投げ、通算101勝をかき集めたシリング。常に反骨精神に溢れ、勝ちに飢えを覚えず、貪欲に野球と向き合ってきた。

8月8日現在でチームは68勝44敗でアメリカン・リーグ東地区1位。2位ヤンキースに5.5ゲーム差をつけており、気の早いファンは3年ぶりの優勝を疑わない。ただ、ヤンキースは一時の絶不調から抜け出し、西地区のエンジェルス、中地区で昨年ワールドシリーズに出場したタイガースと、強打者ぞろいのインディアンズも調子を崩さない。

厳しい戦いが予想される今年だからこそ、40歳の右腕にはまだまだ頑張ってもらわなくてはいけない。いつもの強気でファンとチームを引っ張ってもらわなくてはいけない。

posted by nysports |06:57 | MLB | コメント(4) | トラックバック(0)
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