2008年05月21日

新雑誌「JAPAN SOCCER」を買ってみました。

 時代は出版不況だそうです。
 ウェブの登場によって、本が売れなくなってきているということなのですが、特に雑誌は右肩下がりの状況。
 これはもちろん、メディアが新しいものに生まれ変わっている、というだけの話ですし、雑誌それ自体は今後も続いていくはずですので、困るのは出版社と書店だけなのかもしれません。

 前置きが長くなりましたが、ただでさえ売れなくなっている中で、新しく雑誌を世に送り出すというのは、なかなか勇気のいることでしょう。
 だからこそ、私は今回創刊された雑誌「JAPAN SOCCER」については非常に興味を持ちました。
 どんな雑誌かというと、編集長の言葉を借りれば、

「サッカー専門誌が次々と市場から消えていっている今、日本サッカーに閉塞感が漂ってきた今こそ、新しいサッカー専門誌を始めるべきだ」
佐藤広野「日本代表よ、王道をいけ!」より

とのことで、その姿勢は僭越ながら応援したいと思います。
 一応、断っておきますが、私はこの雑誌の関係者でも何でもありません。

 まだすべてを仔細まで目を通したわけではないので、偉そうなことは言えないのですけれども、あえて厳しいことを言えば、ちょっと知っている人が見たら、この雑誌は双葉社の『サッカー批評』の縮小再生産版なのでは? という疑問を抱くと思うんです。
 それもそのはず、執筆している陣容を見ると、西部さん、湯浅さん、海江田さん、後藤さんと、業界でも名の通った論客ばかりですし、この皆さんは『サッカー批評』でもさまざまな寄稿をしているのです。
 結論から先に言えば、執筆する人が同じでも、別の雑誌を作ることはできます。
 重要なのは企画力ですし、コンセプト。
 どのように雑誌を作っていくか、どういった読者にアピールしていくのか、どういった問題点を取り上げ、どういったジャーナリズムを展開していけるか……。まだ、創刊号ということのあるのでしょうが、そのあたりの全体像は見えていない。
 おぼろげながら見えるのは、日本代表を他誌がやっていないほど詳細に紐解く、みたいな感じにしたいのかな? という程度です。そのように見ると、『サッカー批評』は日本サッカー全般を扱っているようですし、差別化を図ろうとしているのかもしれません。
 私がこの雑誌の記事で非常に面白いと思ったのは、「日本代表の練習とは何をやっているのか」ですね。
 ここをしっかりと知っておくと、本番であるW杯とW杯予選での試合について、ひとつ別の視点が生まれるかもしれません。そして、その代表の練習を知りたいと思っても、その手段は私たちにはあまりありません。ということはつまり、メディアがこれを伝える責任があるってことでしょうからね。

 現時点では、『サッカー批評』と似ているということは、この『JAPAN SOCCER』の編集に関わっている人や執筆陣も重々承知しているでしょう。
 今のサッカー界で閉塞感が漂っているのは事実ですが、停滞期って絶対にあるでしょうし、トップに追いつくにはこの停滞期でどれだけ日本サッカー界が踏ん張れるかというところです。そのためにメディアが果たす役割は絶対に大きい。
 『JAPAN SOCCER』という雑誌が、その起爆剤になるかどうかはわかりません。しかし、続けていかなければ先はないわけですし、何かが起こらない限り、ブレイクスルーもないものでしょうからね。私も、この『JAPAN SOCCER』を陰ながら応援していこうと考えています。

「日本サッカーにはまだまだトライしきれていない課題が他にもいっぱいある。だからこそ前を向いて努力できるはずだ」
佐藤広野『日本代表よ、王道をいけ!』より

 さてさて、どんな「課題」にこの雑誌は取り組んでいくのでしょうか。
 次号に期待です。

posted by nori44 |19:35 | サッカー | コメント(3) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年05月07日

皆さんも気になっていたでしょう、アトレチコ・マドリーに渡った11歳の少年について

 昨年、一人の日本人選手が海を渡り、スペインの地を目指しました。最年少での海外挑戦を果たしたのは、宮川るい君、11歳。

 私もそのニュースを見たときは、びっくりしたと同時に非常に心配になったものです。そんな若くて大丈夫なのか、と。
 あれから7カ月が経ったのですが、彼のニュースなどを目にする機会もなかったので、なかば忘れていたのですが、本日、彼のスペインでの生活を追ったドキュメンタリーがNHKBSにて放映されていました。見逃した方も多いでしょうから、番組の内容を紹介したいと思います。
(著作権の問題でいうと、映像を利用することは明確に抵触するのですが、こうして文章として紹介するのはおそらく大丈夫なのだと思います、多分)

 アトレチコ・マドリーの13歳以下のチームにて戦っている宮川くん。チームは22人のメンバーで少数精鋭で、そのセレクションとなると350人のうち3人しか合格しないほどの超難関。もちろん宮川くんもこの3人のうちの一人として入団しました。
 11歳ということで、「え? もしかして、そんな歳から寮生活なの? それって丁稚奉公みたいだなぁ」と思ったものですが、どうやらお母様もマドリーに渡っており、二人暮らしなのだそうでその点は安心しました。

 番組ではチームの練習の場面などが映され、宮川くんもスペイン語などでチームメイトと談笑しています。やっぱり小さい子は言語の習得も早いのだろうな、と思い、安心したのですが、番組が進んでいくうちに、それがそうでもないことが明らかになります。
 簡単な会話や、日常的なリスニングならば苦労しないのだそうですが、戦術の説明などの難しい会話のときとなると、宮川くんはうまく聞き取ることができないのだそうです。
 宮川くんは、日本で習得したサッカーの動きとは別の、本場のフットボールにとまどっているようなんです。番組ではそのことは「スペインでは組織プレーを重視します」と紹介されていましたが、それはちょっと違うな、とは思ったんですけどね。
 そして、そのサッカーとフットボールとの違いを、スペイン語で説明されても上手く伝わっていないようなのです。コーチは簡単なスペイン語や、簡単な日本語で「ルイ、ハヤク!」などと言っていましたが、その意図するところは恐らく、オシムが言うところの考えるスピードを早くしろ、とのことだと私は思ったのですが、もしかするとそれとは別の意味で宮川くんは捉えているかもしれません。
 オフ・ザ・ボールの動きなどをまだ宮川くんが把握できていないのだとしたら、その面でも大いに不利になるでしょう。また、なかなか試合に先発で出られないということもあるみたいで、その理由を聞くにも、必要なのはスペイン語の正確なニュアンスを知ることでしょうからね。
 解決には、やはりスペイン語のさらなる習熟が必須なのでしょう。

 ちなみに、コーチのゴンサレスさんが言う宮川くんが出られない理由は「彼は日本ではトップの技術を持っていたので、チームが彼のために働いていた。アトレチコではそうはいかない」のだそうです。スペインでの宮川くんは、違いを生み出せる選手ではない、ということなのでしょうね。もちろん、まだまだ11歳なのだから、これから違いを生み出せる選手になれるかもしれませんし、今は彼はFWですが、コンバートなどで新境地を開拓する可能性も十分にあるでしょうけれども。

 宮川くんは、家の中ではもちろん母親と日本語ですし、学校も日本人学校に通っていることもあり、周りは日本人なのだそうです。11歳というと、日本ならば小学生ですし、日本に居るのと同じ義務教育課程をスペインで学ぶことは大切なことでしょう。しかし、スペインにいて日本人にだけ囲まれているのはもったいない。
 私は、外国語を学ぶための近道は、現地の友人を作ることだと思っています。宮川くんがスペイン語に触れ合う機会は、週3回のアトレチコの練習のときなのだそうですが、そこでのチームメイトと仲良くしているシーンも番組では多く見られましたが、練習のない日は自主練として一人で練習しているようなので、お友達の家に入りびたるとかが必要なのかもしれません。
 宮川くんの言語習得に関しては、やはり彼を支援している周りの大人たちも気にしていて、宮川くんに何かとアドバイスをしている現地のNPOで働く日本人の方も、宮川くんに「そろそろホームステイ、どうだい?」などとアドバイスをしていました。劇的に改善されることはないでしょうが、良い方向に向かってほしいと思います。

 アトレチコとの契約は1年ごとに更改だそうで、今後の彼がどうなるかはわかりません。もしかしたら宮川くんは更新されず、言葉を覚える前に帰国する可能性だってある。
 ただ、だからこそ、日本にいては経験できない、厳しい競争の世界を体験しているわけですから、それは彼にとって絶対にプラスになるはずです。

 宮川くんは、インタビューなどで「サッカーで世界一になる」と公言しています。その姿勢や、「スペインにいく」といって行ってしまえた行動力には敬服します。
 いま、宮川くんは全ての面で悩んでいるようなのですが、それが彼にとって大きな経験になるはずでしょうから、何があっても諦めずにチャレンジし続けてほしいと思いますね。

 アーセナルやバルサの例を見るまでもなく、スカウトの低年齢化が進んでいますが、それが15歳でどこどこのチームに行った、とかならワクワクしますが、10歳、9歳という年齢でのスカウトという話を聞くと、ワクワクよりも恐ろしさが先行してしまいます。
 若い才能を、スポーツビジネスが食いつぶさないことを願いつつ、宮川くんの将来に期待したいですね。


 ところで、番組のなかで登場したアグエロ選手に、宮川くんが「どうやったら点をとれるんですか?」って聞いていましたが、その答えが「頑張れば自然にとれるよ。そのうち簡単にできるようになるから」と言っていたのに不覚にも笑ってしまいました。それができたら苦労しないよ! ってきっと宮川くんも思ったことでしょう(笑) やはり真の一流は言うことが違いますね…。

posted by nori44 |21:33 | サッカー | コメント(4) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加