2007年09月19日
1つのボールと2つのゴール、そして22人の選手。
【映画『The Other Final』レビュー】 「モントセラト? それはどこにあるの?」「ブータン? そんな国もあったね」 モントセラトとブータン。きっと、その2つの名前を耳にしたら、誰もがそんな反応を示すことだろう。 その二つは国の名前。それも、ひどく小さい国。決して世界情勢の中でそれらの国が話題に上ることはない(注:モントセラトはイギリス領)。 だけれども、その日ばかりは違った。その日は、この二カ国が主役だった。 太平洋のカリブ海に浮かぶ島、モントセラトと、ヒマラヤ山中に座す国、ブータン。本来ならば決して交わることのないこの2つの国が、あるオランダ人によって引き合わされることになった。 オランダは2002年のFIFA World Cup KOREA JAPANの予選で敗退した。そのことで彼は「負けるということに興味がわいた」。2002年当時、この2つの国と地域はFIFAランキングにおいて最下位と最下位の一つ上の順位だった。そのときにこのオランダ人は“それ”を思いついたという。 横浜国立競技場にて6月30日におこなわれた、W杯決勝戦のブラジル対ドイツと同じ日に、“それ”は開かれることとなった。最弱国同士が戦う“もう一つの決勝戦”「The Other Final」が。
「7万2千人収容で屋根つき。フィールドの下には芝生への給水設備があります。スピーカーはなんと528個、我々は1つだけです。だけど同じものもある。2つのゴールです」 「The Other Final」は、ブータンにて開かれることとなった。 モントセラトの面々は海を越えて、多くの空港を乗り継いで、はるばるヒマラヤにやってきた。 開催には直前まで困難が付きまとった。 両国のコーチが突然いなくなったこと。ブータンの監督は急死、モントセラトの監督は辞任する。試合を裁く審判が見つからないこと。長旅によってモントセラトの選手たちがダウンしてしまったこと。 それでも、モントセラト代表はブータンの老若男女から熱烈な歓迎を受け、「生まれて初めてのサイン」をねだられ、交流会を通して言葉は違うけれどもお互いに感動を覚えた。 一週間ほどの滞在で、モントセトラの代表的な曲である「Hot Hot Hot」はブータンの誰もが歌えるようになった。 交流が深まれば深まるほど、「絶対に勝ちたい」とお互いの選手たちは強く思うようになった。相手の文化と存在を認めるからこそ、相手への尊敬があるからこそ生まれる、相手に勝ちたいという気持ち。 戦前の予想では、モントセラトが有利。アジア人と比べて体格の面でアドバンテージがあるからだ。 そしてついに、注目の決戦が始まる。 新しい監督も就任した。駆け込みで審判も見つかった。モントセラトの選手も復調した。 競技場の周囲を人が埋め尽くす。ピッチの外に設けられたスタンドはもちろん、バックスタンドの位置の地面に、ゴール裏に、周りに建つ建物の屋根の上に、大勢のブータン人が待ち望んでいたこの試合にかけつけた。 組織化された応援もない。それどころか、サッカーの試合を見るのが初めてという人がほとんど。それでも、一瞬のうちに試合は興奮の坩堝と化した。 ブータンのエースストライカー、ドルジが攻めあがるたびに歓声が周囲に轟く。試合前の予想を裏切りブータンが先制。激しいぶつかり合い、予断を許さない展開。 ホームの利からか、ブータンが試合をリード。ところどころで未熟な技術も見え隠れする。けれども、そんなことは関係なかった。彼らには闘う気持ちがあった。 ドルジの素晴らしいFKが直接決まり、0-2となる。心理的に優位に立ったブータンは攻め続ける。 そして、試合は結局ブータンの4-0で終わる。 本当に嬉しそうなブータンの選手たち。本当に悔しそうなモントセラトの選手たち。優勝トロフィーの授与では、トロフィーが二つにわかれ、双方の選手に手渡された。 試合終了後、ピッチの上でブータンのおどりを踊った。ブータンもモントセラトも選手も子供もおばあさんも軍隊も監督も、全ての人々がピッチに立って、この喜びを共有した。 敗者はどこにもいない。勝者はサッカーそのものだった。
映画公式サイト THE OTHER FINAL
posted by nori |10:26 |
サッカー |
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Re:1つのボールと2つのゴール、そして22人の選手。
現実にあったことの映画化なのにねぇ。
(脚色はあるかもしれないけど)
ちょっと調べたりすればわかることなんだから、
したり顔で批判することもないと思うよ。
posted by ごんべ | 2007-09-19 14:15
Re:1つのボールと2つのゴール、そして22人の選手。
ごんべさま
前のコメントの方に対するコメントだと思われますが、不適切と思われる発言があったので削除させていただいております。
ご了承ください。
posted by 管理人相原 | 2007-09-20 20:56


