2007年09月05日

見せた、強い駒大を

 「今日の1勝ちは大きかった。ナイスゲーム!」
 小椋監督は、珍しく上機嫌だった。
 開幕の1週間前。書類を見つめながら、割合淡々と質問に答える小椋監督とは違った。もちろん、開幕1戦目をとったことからの笑顔だろうが、具体的なポイントがあったように思える。
 1つは、小椋監督が「最強打者」と公言する、福井亮太郎の衝撃。1回表、先頭の上田が倒れる。それからおよそ10秒後の、ランニングホームラン。真ん中よりの球をとらえると、右中間へ打球はのび、右翼手が処理で前後する間に、快足は一気呵成にホームへ駆けた。ホームインの瞬間、丸くない福井の顔は笑みを浮かべていた。三塁ベンチも、選手が飛び跳ねたり、両手を突き上げたりのお祭り騒ぎだった。「福井が打つと盛り上がる」(森山)。先制点に、亜大は普段とひと味違う苦痛を味わったはず。
 もう1つは、5番、遊撃手、主将の重責を担う榊原浩司の面目躍如だ。4打数で3安打。9回表には5-5、同点からブースの147キロを打ち返し、犠飛を放った。結局、これが決勝点となり初戦を勝利。榊原は、喜怒哀楽をあまり表さない。人前では緊張した面持ちでいることが多い。しかし、夏頃から変わった。8月2日から12日まで行われたオランダ遠征では「東都の代表の選手たちと一緒にやれたということで、まだ自分もいけるな」と自信を取り戻した。笑顔で語る榊原は、春とはまた違った。
 亜大2回戦で駒大は、結果・内容ともに強者の取り口を見せた。
 前日、小椋監督はメンバー表の先発に「河村」と入れた。埼玉栄高出の3年生右のオーバーハンド。甲子園の実績もある強豪私学にいながら、高校時代の最高成績は春の関東大会が最高。3年の夏は、エース番号を今はチームメイトの三戸貴正(2年)に譲っていた。
 「中継ぎで登板してたけど、先発は初めてで緊張した」。言葉とは裏腹に、
低めに直球、変化球を集め、5回を無失点に抑えた。打線の援護は長打2本にかかわらず、8点と十分すぎた。小椋監督は「ウチの秘密兵器ナンバー2でした」と得意満面。春や昨年のような皮肉(例「ウチには視力検査が必要な選手がいる」等々)は、もう影を潜めていた。
 試合後、河村は、観戦に来ていた両親と言葉を交わした。「成功してよかった。また先発できるなら、がんばってほしい」と安堵の表情で、両親は球場を後にした。エース左腕・海田が一時離脱している中、河村も「次は長いイニングを投げたい」と決意を新たに、先発としての自分を築いていくのだろう。
 第1週を終わって駒大は青学大と同率で首位。無論、戦国のご時世、乱はいくらでも起こりうる。だが、オールドファンにとって、心躍る秋になるのは間違いなさそうだ。勝ったから、強い。榊原が次の国学大戦の課題を明かしてくれた。
 「国学戦なので、村松に対してどう打っていくか」
 明快な回答に、期待の実がふくらむ。
 
  

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posted by 齊藤太一 |15:27 | 神宮球宴 | コメント(0) | トラックバック(0)
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