2010年09月25日
9月24日、ザグレブのホテル・シェラトンにてクロアチア代表監督のスラヴェン・ビリッチが記者会見を行い、ユーロ2012予選・イスラエル戦(10/9、テルアビブ)と親善試合・ノルウェー戦(10/12、ザグレブ)におけるクロアチア代表メンバー25名を発表しました。
ビリッチが史上最年少でクロアチア代表監督になって5年目。就任最初の選手選考を除けば、ドラスティックにメンバーを変えることはなく、世代交代も緩やかに進めてきたビリッチ監督ですが、今回は一人の選手を巡って国内世論が揺れました。その対象となった選手は、ディナモで覚醒中のブラジル人MFサミール(23)です。詳しくは前レポート「二人目のクロアチア代表ブラジル人となるか?/激しい論争を呼ぶサミール」を参考にして頂きたいのですが、結局のところ、今回は招集を見送られました。サミール自身はクロアチアのパスポートを所有するものの、過去にブラジルのユース代表歴があるため、もしクロアチアA代表に登録する際にはFIFAの手続が必要になります。しかしながら、ビリッチ監督の会見のコメントを聞く限り、サミールは彼の構想にないようです。
「私はこのリストをもってして自分の考え方、そしてコーチ陣の考え方を表にした。招集したのはイスラエル戦で最高の解決策となるクオリティある選手達で、そのグループはコンパクトだ。選手達は素晴らしいプレーをし、望ましい結果を引き出してくれるものだと確信しているよ。リストにない他の選手に関しては、話す必要はないと思っている」
しかし、記者陣からはもちろんサミール未招集の理由を聞かれ、こうビリッチ監督は答えました。
「サミールが良いプレーをしているのは事実だ。彼に最適なポジションはセカンドアタッカーか、ツートップの下だが、我々にはそのポジションができる選手としてクラニチャール、モドリッチ、エドゥアルド、ペトリッチ、ラキティッチがいる。現時点では彼らがサミールより優れた選手達なのだよ。どんな議論が始まろうと、これが結論だ。彼らは私の政権下で多くの勝利をもたらし、世界ランクのベスト10圏内を常に維持させてきたんだ」
現時点の調子やプレー水準を考えれば、ビリッチ監督が口にした5人よりもサミールの方が上。しかし、サミールに無関心なビリッチ監督に対し、ディナモのズドラヴコ・マミッチ副会長が「レイシスト」(人種差別主義者)と呼んだことは深く傷ついたようです。そしてマミッチ副会長の圧力には屈しない姿勢を見せました。
「人種差別は文明社会の歴史において最も酷いものだ。ホロコーストやファシズム、ナチズム以上にね。私や私の仲間をレイシスト呼ばわりしたことは完全に狂っているし、それに関してコメントなどしたくもない」
ビリッチ監督が新たに招集したのは、カイザースラウテルンで活躍中の攻撃的MFイヴォ・イリチェヴィッチ(24)。2年前にもビリッチ監督はイリチェヴィッチを招集したことがあり、先週末にビリッチ監督が現地視察に赴き、本人に代表復帰を打診。得意とするポジションはサイドMFになります。
また、イスラエル戦に関してはこのように答えています。
「この先の予選の行方を決めるだろう非常に難しい試合が我々を待っている。グループ首位という自信を持って試合に挑み、良いプレーをして勝利を収めるのは確実だ。
イスラエルは好チームだし、かつても好チームだった。我々と同じ勝点(4)だし、特別な雰囲気のホームにとりわけ強い。ベナユンが怪我で欠場しないことは我々にとって良いことかもしれないが、イスラエルはベナユンだけのチームじゃない。欧州のクラブで活躍する選手やチャンピオンズ・リーグに出場する選手もいる」
クロアチアが属するグループFは、予選前からギリシャとイスラエルがライバルと目されており、このイスラエル戦をモノにできるかできないかが今後を大きく左右します。ちなみにユーロ2008予選でもクロアチアはイスラエルと同グループで、7年ホーム負けなしだったイスラエルをエドゥアルドのハットトリックで4-3と勝利を収めています(レポート)。
しかしながら、今の代表メンバー、とりわけチーム一番売りの攻撃陣が所属クラブでぱっとせず、モドリッチも足首の負傷で離脱中。またスルナはイエロー累積でイスラエル戦には出場できません。もしクロアチアがギリシャ戦に続いてイスラエル戦でも勝ちきれないとなると、「なぜサミールを呼ばなかった!」の大合唱が始まることでしょう。
これが今回のメンバーです。MFラキティッチとDFロヴレンはイスラエル戦後、U-21クロアチア代表に合流。U-21欧州選手権プレーオフのスペイン戦第2戦(10/12、ヴァラジディン)に出場する予定です。
GK:
スティペ・プレティコサ (トットナム・ホットスパー/イングランド)
ヴェドラン・ルニェ (ランス/フランス)
ダニイェル・スバシッチ (ハイドゥク・スプリト)
DF:
ダリヨ・スルナ (シャフタール・ドネツク/ウクライナ)
ヨシップ・シムニッチ (ホッフェンハイム/ドイツ)
ヴェドラン・チョルルカ (トットナム・ホットスパー/イングランド)
デヤン・ロヴレン (リヨン/フランス)
ゴルデン・シルデンフェルト (シュトゥルム・グラーツ/オーストリア)
ユーリツァ・ブリャト (ハイドゥク・スプリト)
イヴァン・ストゥリニッチ (ハイドゥク・スプリト)
ムラデン・バルトゥロヴィッチ (アーセナル・キエフ/ウクライナ)
MF:
ニコ・クラニチャール (トットナム・ホットスパー/イングランド)
ルカ・モドリッチ (トットナム・ホットスパー/イングランド)
イヴァン・ラキティッチ (シャルケ/ドイツ)
ダニイェル・プラニッチ (バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
オグニェン・ヴコイェヴィッチ (ディナモ・キエフ/ウクライナ)
ニコラ・ポクリヴァチュ (レッドブル・ザルツブルク/オーストリア)
トミスラフ・ドゥイモヴィッチ (ディナモ・モスクワ/ロシア)
ドラゴ・ガブリッチ (アンカラ・ギュチュ/トルコ)
イヴォ・イリチェヴィッチ (カイザースラウテルン/ドイツ)
FW:
イヴィツァ・オリッチ (バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
エドゥアルド・ダ・シルヴァ (シャフタール・ドネツク/ウクライナ)
ムラデン・ペトリッチ (ハンブルガーSV/ドイツ)
マリオ・マンジュキッチ (ヴォルフスブルク/ドイツ)
ニキッツァ・イェラヴィッチ (グラスゴー・レンジャース/スコットランド)
posted by 長束恭行 |06:22 |
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