2010年04月30日

オシエクのDFヴィーダ、レバークーゼン移籍が決定

これまで幾度となく移籍話が話題となったクロアチアU-21代表DFドマゴイ・ヴィーダ(21・写真)が29日、来季からバイヤー・レバークーゼンでプレーすることが決まりました。オシエクに支払われる移籍金は240万ユーロ。それに加えて出場数に基づくボーナスと、レバークーゼンから更に移籍した際の移籍金の一部(率は非公開)も支払われることになります。契約期間は5年になります。
nogomet-156917.jpg若くしてオシエクのキャプテンを務め、類稀なファイティングスピリットの持ち主。本職のセンターバック以外に右サイドバックも器用にこなすヴィーダは、現在のクロアチア・リーグでプレーする若手で最もポテンシャルの高い選手といえます。幾つものクラブが関心を寄せる中、レバークーゼンは頻繁にヴィーダを視察し続け、少しでも高い移籍金を希望するオシエクを説得するのに成功しました。過去にMFユーリツァ・ヴラニェシュやMFマルコ・バビッチ、FWヨシップ・タディッチといった移籍の実績があったのもプラスに転じたかもしれません。レバークーゼンにとっては、カルロヴァッツのMFズボンコ・パミッチ(19)に続く補強となります。
昨日が21歳の誕生日だったヴィーダはこのように喜びを口にしています。
「嬉しいという言葉だけじゃ足らないね。ようやく話がまとまって本当に本当に嬉しいんだよ。ビッククラブの一員になれたのは各方面の理解によるものさ。でも、オシエクではまだ残り三試合あるから、レバークーゼンのことはシーズン終了後に考えることにするよ。チームメイトと一緒に勝利を求めて戦い、オシエクが来季のヨーロッパ・リーグの出場権を得られるよう頑張るつもりさ」
今はまだU-21代表の一員ですが、A代表入りはこの5月の親善試合にも実現しそうな勢いであり、これからブンデスリーガで経験と実力を培っていけば、いずれはクロアチア代表DF陣の屋台骨となる存在と言えましょう。


他の選手の動向を。トットナム・ホットスパー所属のMFルカ・モドリッチ(24)にマンチェスター・ユナイテッドが2500万ポンド(約36億円)の移籍金を準備していると報じられています。発信源がタブロイド紙の「ザ・サン」であることから信憑性が薄いと思いきや、マンチェスター・ユナイテッドの公式サイトですら同じ情報を取り上げたことで実は本当なのでは?、とクロアチア・メディアも色めきたっています。

アーセナル所属のFWエドゥアルド・ダ・シルヴァ(27)にリヨンが800万ポンドのオファーを準備していると報じられており、今後の動きが注目されるところ。足首は完治したとはいえ、今季も本来の調子を取り戻せずに出場機会も激減。ヴェンゲルはエドゥアルドを来季の構想に入れていると明言しているものの、シャマクの加入でFW争いは更に激しくなり、エドゥアルドも3トップのシステムにもマッチしてないことから放出の可能性も現実味を帯びています。

今季はナントからボルトンにレンタル移籍中のFWイヴァン・クラスニッチ(30)ですが、今季いっぱいでナントに戻ることが濃厚です。主将のFWケヴィン・デイヴィスは25試合7得点のクラスニッチを賞賛し、残留を希望したとも報じられましたが、ボルトンのフロントは買取や来季のレンタル継続を打診してない模様。またフランス二部でもがくナントも財政的に厳しく、どこかへの売却が予想されます。ディナモが獲得を希望したものの、彼自身は現実的にクロアチア・リーグ行きはありえないと述べています。

昨年からクロアチア代表にも名を連ねるラピッド・ウィーン所属のFWニキッツァ・イェラヴィッチ(24)の移籍交渉をするために、今日からベンフィカのフロントがウィーン入りしています。今季は国内リーグで15ゴール、ヨーロッパリーグでも9ゴールと活躍をみせる彼には、ベンフィカ以外にもセルティックやレンジャースが関心を示しています。

ハイドゥク・スプリトで獅子奮迅の活躍をみせるボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFセニヤド・イブリチッチ(24)に、ロシアのルビン・カザンが3年契約の正式オファーが届きました。ハイドゥクに入る移籍金は400~500万ユーロ辺りだとされ、放漫経営のツケが回ってきたハイドゥクが合意する可能性は充分にあると見られています。ちなみに昨冬にはブラックバーンが400万ユーロの移籍金でオファーを出したものの、当時は金額が少ないとして拒否していました。


posted by 長束恭行 |20:28 | サッカーニュース | コメント(4) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2010年04月30日

クロアチア名選手のレストランを訪ねよう

たまにはクロアチア・サッカー界にまつわる小ネタを。

現役を終えた選手の多くが指導者の道に進むか、代理人業を営むことの多いクロアチア。中にはダヴォル・シュケルシルビオ・マリッチのようにサッカーアカデミーを経営する者もいます。
クロアチア人における最大の娯楽は、カフェでたむろし、友人とひっきりなしに談笑すること。それだけにカフェ経営やレストラン経営を始める元選手もいます。クロアチアも観光シーズンを迎えましたが、クロアチア旅行を機に彼らの店を訪ねてみるのもいかがでしょうか。

nogomet-156882.jpgまず日本のガイドブックにもよく紹介されているのが、ザクレブのカフェ・レストラン「ボバン」(Kavana-Restaurant "Boban")。ただ、ここはズボニミール・ボバン本人ではなく、父親のマリンコが経営者です。一階がカフェ、地下がレストラン。公式サイトでは「街で一番のイタリア・レストラン」となっていますが、スパゲティはちょっと…いただけませんね。
立地がとても良いため、旅行者だった頃は頻繁に行きましたが、ザグレブに住んでからというもの、さっぱりと行かなくなりました。ザグレブは同じくパスタやリゾット、もしくは肉料理を出すレストランが多く、もっと手頃で気軽に入れるところがあるからです。
また、ここでボバン本人と遭遇する率は高くないかも。街のど真ん中だけによく店の横を通るのですが、本人がカフェから出てきたところを見たのは一度だけ。ちなみに父マリンコは手広くレストラン経営をしており、郷土料理の「ヴィノドール」、魚料理の「コルチュラ」のオーナーだったりします。これらも中心部にあり、利用価値は高いレストランです。
時間があれば、レストランの南隣のブティック「レオナルダ」をちょこっと覗いてみて下さい。クロアチアでは知られたデザイナーのレオナルダ・ボバン、つまりズボーネの妻がデザインした女性服が売られています。男性の目から見れば、どこで着るの?と思うぐらい派手派手です(苦笑) ちなみにボバン家はなかなか子宝に恵まれず、4人の養子をもらっていますが、昨年11月に結婚15年目にしてレオナルダが娘ルージャを出産しています。


続いては、ダルマチア地方最大の都市スプリト。世界遺産に指定されているディオクレティアヌス宮殿跡はクロアチア観光の目玉の一つです。
今から4年前、アリョーシャ・アサノヴィッチにインタビューすべく足を運んだのが、彼が経営するカフェ・レストラン「アニカ」(Kavana-Bistro "Anika")。ここに行けば本人に会える、という情報の下、アポなしで訪れたら、アサノヴィッチだけでなくスラヴェン・ビリッチとアレン・ボクシッチにも遭遇した場所です。アサノヴィッチはフレンドリーな人物で、その後も「アニカ」で二度ほどインタビューさせてもらいました。ライターの宇都宮徹壱さんや元日本代表の前園真聖さんともインタビュー後に食事をした場所です。
また、
「日本には"浅野"というポピュラーな苗字があります。それだけに日本人にとって貴方の苗字はとても親近感が湧くんですよ」
と小ネタをアサノヴィッチ本人に教えたのも思い出です(笑)
nogomet-156883.jpg
店に至るまでは少し小道に入らねばなりませんが、旧市街から近距離にあります。一階がカフェ、二階がレストラン。カフェは奥行きのあるスペースで、テラスも広々。カフェではダルマチア名物のカスタードプリン「ロジャータ」がお薦め。アサノヴィッチはあらゆる国でプレーし、あらゆる料理を知っているはずですが、レストランはあくまでダルマチア料理で勝負しています。思いのほか良質なレストランが少ないスプリトではとても貴重な場所で、プライベートだけでなく観光仕事でも使わせてもらいました。お薦めはアンコウを使った料理で、グリルやメダリオンで戴きます。アペリティフとなる地元リキュールも飲み放題というのも他にないサービスです。
アサノヴィッチは更に二軒のカフェバー「ル・モンド」「ル・モンドⅡ」も経営しています。そんな中、本人の出現率が最も高いのが「アニカ」。家族一同で食事するだけでなく、厨房のために買いっ走りもするとか。ちなみに店の名前は、娘のアナマリアと息子のアントニオ、妻のカタリーナにちなんだものです。アントニオはハイドゥク・ユースに所属するも父ほどの才能に恵まれない一方で、アナマリアは新進気鋭のデザイナーとして注目されています。3年間ミラノで勉強し、先頃、21歳にして初めてコレクションを行ったとか。
「自分の苗字は誇りに思っているけど、そのせいで得をしてるとか思われたのはちょっとね…」
とぼやく彼女ですが、彼女自身はサッカーに無知で、オフサイドも知らないようです(笑)
(写真は店内で撮影したアサノヴィッチ。左隣はお兄さんで、なんと日本の船会社で航海士をしてます)


nogomet-156884.jpgボバン、アサノヴィッチと共に1990年代のクロアチア代表の中盤を支えたテクニシャンといえば、もちろんロベルト・プロシネチュキ。彼が2007年春にピザをメインにしたレストランをオープンさせたことは知ってたものの、余り足を運ばない地域に店があるため、なかなか来店できずにいました。昨年秋から私も車を運転し始め、ザグレブの道も把握したことから訪れたのが、レストラン「プロシキート」(Restoran "Prosikito")です。
オープン時は「プロシキート&カリメロ」(Prosikito & Kalimero)という名称でしたが、今は「プロシキート」のみ。バルセロナやレアル・マドリッドでも活躍したプロシネチュキは、スペインでの知名度が高く、現役引退後もスペインのCMに出演しました。プジョーのCMにも登場したプロシネチュキをモデルにした人形が「プロシキート」と呼ばれ、一部でカルト的な人気があるようです(CMその1CMその2CMその3CMその4)。
ピザを食べようと先週の土曜夜に初めて訪れた際は、"土日はピザ職人がお休み"ということで他のメニューを選択することに。パスタやリゾット、肉料理のほか、スペイン料理も扱っており、イベリコ豚のプルシュートもメニューに掲載されていました。店内は木材使用の凝った作りとなっており、一角にはピザ専用の炭窯もあります。プルシュート入り平打ちパスタ、子牛肉のリゾットは共に合格点の味。
nogomet-156885.jpgそして昨日、ピザを食べに再び足を運びました。すると、屋外のテラスにプロシネチュキ本人がいるじゃないですか。4年前にインタビューしたこともあり、食後に挨拶することに決め、まずはピザを食べようと屋内へ。幾つも種類がある中、ハムやサラミ、チョリソ、ハラペーニョがトッピングの「サンチャゴ・ベルナベウ」(写真・38クーナ=約650円)を選択しました。いわずもがな、レアル・マドリッドの本拠地にちなんだピザです。ボリュームがある上、生地がもちっとしており、ピッツェリアが格段多いザグレブでも上位に入る味でした。クロアチアでは珍しく、スープ・メイン・サラダの日替わりランチメニューも45クーナ(約780円・平日のみ?)であり、レストラン・ボバンよりもコストパフォーマンスの高いレストランかもしれません。
食事を終えた時にはプロシネチュキは帰ってしまっており、挨拶をしそびれてしまいましたが、ウェイターに聞いたところ、
「彼はほぼ毎日来ているよ。午前にはビリッチが来たし(前日にバルサvs.インテルのTV解説でザグレブ入り)、昨日はボバンが来てたね。ツヴィタノヴィッチ、マリッチ、ユルチェヴィッチ…。ああ、現役ではディナモのバデリもよく来るね」
オープン・セレモニーの写真を見ると、確かにボバンも来ているよう。プロシネチュキをはじめ、サッカー関係者の遭遇率が最も高いレストランと言えましょう。
ボバンやアサノヴィッチの店はリンク先からホームページに飛べますが、まだ「プロシキート」のホームページがないため簡単な行き方を。トラムは2番・3番・13番が走るDonje Svetice駅で下車(中央駅からは8駅)。そこから北に同名の通りを100mほど行った左手にあります(地図)。営業時間は月曜~金曜が9時~23時半、土曜が9時~24時、日曜が12時~23時半となっています。関心がある方は是非。


最後に私もまだ訪れたことのないディープな場所を。火曜日のチャンピオンズ・リーグ「リヨンvs.バイエルン・ミュンヘン」でハットトリックを決め、すっかり時の人となったFWイヴィツァ・オリッチ。彼の出身地はボスニアとの国境に程近いスラヴォニア地方のダヴォル(Davor)という村ですが、普通のクロアチア人も耳にしたことのない人口2500人の田舎がオリッチのお陰で注目を集めています。
ダヴォルでは「イヴィツァ・オリッチ・ファンクラブ」が結成されており、ビッグマッチになると「クルチュマ・ダヴォル」(Krcma Davor)というカフェに彼の兄や妹も含めたサポーターが集まります。店内にはオリッチがこれまで所属した全クラブ、クロアチア代表のユニフォームが飾られており、試合前にはオリッチのポケットマネーでバーベキューが無料で振る舞われるとのこと。そしてオリッチが得点を決める度に全員がタダで飲物を注文できるそうです。
故郷を愛し、有名になっても天狗になることのないオリッチは地元の英雄で、チャンピオンズ・リーグ決勝の地サンチャゴ・ベルナベウではダヴォルから多数のサポーターが駆けつけるとか。そして、オリッチのユニフォームをかたどった巨大な幕を準備しているそうです。
ちなみにここまでの公共交通機関は地元のバス(Autoprijevoz Davor)しかありませんが、時刻表すらも見つけられませんでした…。どんな場所かは動画をご覧になって下さい。


posted by 長束恭行 |03:45 | サッカーコラム | コメント(0) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2010年04月28日

ダリオ・シミッチ、ディナモ・ザグレブに年俸ゼロで復帰

また一人、ディナモ・ザグレブに歴戦の勇士が戻ってきました。クロアチア代表で最多の100キャップを数えるDFダリオ・シミッチ(34)が来季からディナモでプレーすることが正式に決まり、27日に入団会見が行われました。6月30日までモナコの契約は残るだけに正式なサインはのちになりますが、クラブとの合意の下、今週からディナモの練習に加わることになりました。

nogomet-156572.jpg12歳からディナモ・ユースに通い、17歳の時にトップチームでデビュー。ディナモのチャンピオンズ・リーグ初出場に貢献したのち、1999~2002年はインテル、2002~2008年はミランに在籍。続くモナコでは出場機会に恵まれなかったものの、キャリアの終焉は故郷のクラブで迎えようとシミッチは考えていました。それでもディナモのズドラヴコ・マミッチ副会長からディナモ復帰の打診を受けた際は「10秒ほどは疑ってしまった」(本人談)とのこと。それから直ぐに合意に達し、年俸に関してはなんと自ら「無銭」で働くことを提案したそうです。

11年半前にディナモを去った時と同じ13番のユニフォームを手にしたシミッチは会見で
「再び自分のクラブでプレーするチャンスを僕に与えてくれたことに感謝したい。満足というよりは少し興奮しているよ。僕はインテルとミランという二大巨頭、そして決して小さくないモナコでプレーしたわけだけど、実際のところはディナモが僕に対して多くのものをもらたしてくれたんだ。
周囲からは"ディナモは君にとってそれほどのクラブかね?"と聞かれたよ。人々はディナモが本物のヨーロッパのクラブだとの認識はないようだけど、誰にとってもここは栄光と誇りになりえる場所なんだよ。ここ数年の僕は、何をしようか、現役を続けるためには刺激を探さねばと常日頃悩んできた。とうとう僕はそれを見つけたんだ。ディナモでのトレーニングと試合を今か今かと楽しみにしているよ。心身共に最高さ。若い選手たちに助言を与え、選手としての振る舞いを教えられるだけでも僕の価値はあると保証するよ!」
と述べました。
シミッチは声を荒げるようなタイプではないですが、ゴシップとは無縁の模範的な人物であり、新たなディナモのリーダーとなれるはず。現在、チームで最も良い影響を与えているアルゼンチン人DFレアンドロ・クフレとはモナコ時代のチームメイトであり、ロベルト・コヴァチやイゴール・ビシュチャンが残留するならば、経験豊かな最終ラインを構成することも可能です。

会見で同席したユルチッチ監督もシミッチの入団は歓迎の姿勢を示しました。
「とても嬉しいし、満足しているよ。ダリオとは同僚としてディナモやクロアチア代表で一緒にプレーした関係だけに、この環境は特別だ。どれだけ彼が私やチームを助けてくれるかは分かっている。彼にはとても期待しているし、彼もどれほどの責任を負うかは理解しているはずだ。若い選手達にはピッチ上だけでなく、ホテルやバスといった場所でもどう振る舞うか見本を示して欲しい。彼より良い見本など存在しないのだから」


nogomet-156573.jpgちなみにこの記者会見で、療養中だったズドラヴコ・マミッチ副会長が久しぶりに公に姿を現しました。ディナモは優勝がかかった前節のチバリア・ヴィンコヴチ戦でまったく良いところがなく0-2と敗れ、今季いっぱいでユルチッチ監督(写真)は解任から逃れそうにありません。マミッチは秘密裏にユルチッチ監督の後任探しをしていると報じられ、ニコラ・ユルチェヴィッチ、ニコ・コヴァチといった具体的な名前が挙がっていました。
土曜日の第28節でディナモはライバルのハイドゥク・スプリトをホームに迎えるわけですが、もしここでも敗れて優勝を祝うタイミングを逃したならば、シーズン中の解任すら濃厚とささやかれる中、マミッチ副会長は記者陣を前にユルチッチの続投をこう明言しました。
「めでたい席で無駄な注目を集めるつもりはない。ただ、二点だけ言わなければならないことがある。一つは土曜日にリーグ優勝を祝うこと。もう一つは、来季もクルノスラフ・ユルチッチが我々の監督を務めることだ」
ただし、過去にこのような発言をしながらも、ズボニミール・ソルド(現ケルン監督)のようにシーズン終了後に自ら辞任したケースや、ブランコ・イヴァンコヴィッチ(現山東監督)のように追われたケースもあり、まだまだユルチッチの立場は揺らいだ状態のままです。


お知らせですが、水曜日発売の海外サッカー週刊誌 footballistaの巻末コラム「炎ゆるノゴメット」の第6回として、先月のキプロス取材を元に「アノルトシス、アポエル、そして… キプロスサッカー躍進の秘密」と題した記事を書いています。多分、日本の雑誌でキプロス現地取材の記事が掲載されるのは初めてかと思いますので、宜しかったらご覧になって下さい。


posted by 長束恭行 |23:27 | サッカーニュース | コメント(2) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2010年04月21日

優勝目前に流れる不穏な空気/ディナモ・ザグレブ

クロアチア・リーグ5連覇まで秒読みのディナモ・ザグレブですが、優勝にリーチが掛かりながら、すっかり澱んだ雰囲気に陥ってしまってます。

nogomet-155024.jpg先週土曜日の第26節、ディナモは本拠地マクシミール・スタディオンでNKザグレブとの所謂「ザグレブ・ダービー」を戦いました。2位チバリア・ヴィンコヴチとの勝点差は10。もしディナモがこの試合に勝利し、チバリアがアウェーで5位カルロヴァッツに敗れたならば一気に優勝が決まるはずでした。

4月からハイドゥク戦を除いて入場無料を謳ったのにもかかわらず、この日の観客は5000人止まり。しかし、現地メディアが発表する観客数は常に下駄を履かせた数字で、実際は3000人といったところ。そのワケは主催者側が入場者をきちんとカウントしておらず、メディアがスタンドの埋まり具合から観客数を計算するためです。ディナモのマミッチ副会長も
「メディアの好意かもしれないが、こんなにしか観客が入らないのは恥だ」
以前よりぼやいています。優勝が決まるかもしれない一戦、天候も良く、入場無料なのに3000人しか集まらないのが今の現実です。その原因に、これまで100億円以上税金をぶち込みながら壁が剥げ落ち、座ると服が汚れ、トイレは仮設のものしかないオンボロなスタジアム環境があるのですが、それはまたいずれテーマにしましょう。

nogomet-155021.jpgウィンターブレイク後、ディナモはユース出身の若手をプッシュすることで、来年夏向けのチームを構築し始めていることは3月中旬に書いたレポートでも紹介しました。しかし、選手達のモチベーションの低下もあり、リーグ王者とは程遠いサッカーを演じています。どの相手も守備を固めてくることで、ディナモは必然的にボールポゼッションが高くなるものの、いかんせんフィニッシュの精度が低く、一向にシュートが決まりません。ユルチッチ監督は
「うちにはストライカーと呼ぶべき選手がいない」
と嘆きますが、最近はゴールのチャンスすら減っており、次第にユルチッチ監督の手腕を問う論調が増えてきました。

ザグレブ戦は後半直ぐにMFバデリが二列目から飛び込んで先制点を決めたものの、その後はゲームを完全に支配しながら追加点が入らず、82分、ディナモにも在籍経験のある35歳のベテラン、FWヴグリネツがGKブティナの股を抜く同点弾を決めて結果はドロー。スタジアムのアナウンスではチバリアがカルロヴァッツが早くにリードされていることが伝えられていたものの(結果は0-3)、よもやのドローで本拠地での優勝を逃すことに。試合中からスタンドからのブーイングが続き、ユルチッチ監督はドレッシングルームに戻る際に審判に当り散らすしかありませんでした。
(試合のダイジェスト動画はこちら)

次のチバリアとの直接対決で引分以上ならば優勝が決まるにもかかわらず、チームを取り巻く雰囲気は最悪と言えましょう。FWマンジュキッチは王様のように振る舞い、ピッチ上でもユース上がりの選手に厳しく当たる場面をしばしば目にします。マンジュキッチの態度に憤慨したマミッチ副会長は早くシーズンが終わり、彼がディナモから消えることを望んでいます。
nogomet-155022.jpgまた、最近で一番の働きを見せるのがブラジル人MFサミールですが、サポーターが彼に抱く敵対心は強く(ビッグマッチに弱いのと、マミッチ副会長の寵愛を受けているため)、ザグレブ戦でも途中交代の際にブーイングを浴びせらました。サミールは
「サポーターが危険なことは分かっている。しかし、僕が何をやれると言うのかね? 彼らのことを恐れてないけど、なぜブーイングされるかは分からない。もしかしたら、サッカーを理解してない奴がいるという事実をまた明らかにしたよ」
と対立姿勢を明らかにしています。
また日曜日にはベテランのロベルト・コヴァチ(写真)がインタビューで
「こんなプレーをしているようでは、ディナモはヨーロッパ・リーグにも進めないね。僕がディナモに来た時は本当に強いチームだったし、良いサッカーをやっていた。しかし、今は立ち往生だ。今の選手では何かヨーロッパで成し遂げられるとは思わない。目標はチャンピオンズ・リーグに進むことだけど、このチームじゃ難しい。補強が必要なのは当然だろう」
と本音を漏らしました。彼自身、今季終了後にディナモで現役を続けるか最終決定をしておらず、ディナモも予選削減からコヴァチやビシュチャン、マンジュキッチといった高給選手を切る可能性も出ています。

nogomet-155023.jpg若手を我慢して使い続け、二年後・三年後のチームを作るのか。それとも即効性のある外国人やベテランを補強するのか。欧州的に見たならば、ディナモは育てた選手を国外に売却することで生き延びていくクラブでしょうが、クロアチア国内でディナモは「リーグ優勝はもう飽きたから、そろそろ欧州カップでも結果を残してくれ」と期待されるクラブです。過剰なまでの期待を寄せる人物がマミッチ副会長であり、これまでチームが少し傾いただけで次々と監督の首を切ってきました。
嘘のような本当の話ですが、二シーズン連続でディナモ・ザグレブをクロアチア・リーグ優勝に導いた監督は未だ一人もいません。ようやくその偉業を達成するのがユルチッチ(写真右)です。長期的ビジョンに立ったならば、選手一人二人を補強するよりも一人の監督に指導を任せたチーム作りの方がベターなのですが、この国にそんな考えは毛頭ありません。メディアが監督交代を炊きつけ(これもマミッチ主導のケースあり)、最終的に監督交代へ持ち込まれる光景を幾度となく私も見てきました。最近になってメディアがユルチッチ監督を叩き始めるを目にすると、いよいよ彼の首も危うくなってきたと言えましょう。


posted by 長束恭行 |00:12 | サッカーニュース | コメント(2) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2010年04月18日

ズボンコ・パミッチ、レバークーゼンに移籍/怪我人が続くクロアチア代表

まずは移籍の話題から。前回のレポートでパミッチ親子をテーマにしましたが、第一報で報じられた通り、レンタル先のカルロヴァッツでプレーするクロアチアU-21代表MFズボンコ・パミッチ(19・写真)がバイヤー・レバークーゼンと契約に合意しました。
契約は4年間で、所有権を持つリエカに支払われる移籍金は50万ユーロ。そしてレバークーゼンから更に次のクラブに移籍する際の実に40%の金がリエカに振り込まれることになります。また育成報酬としてカルロヴァッツにも50万ユーロの3%に当たる1万5千ユーロ、その前に所属したジュミニュにも2%の1万ユーロが支払われます。今週末にドイツに渡り、メディカルチェックを受けてから正式契約となります。

nogomet-154507.jpgズボンコはリエカでの公式戦出場がゼロにもかかわらず、レンタル先のプレーだけで国外移籍が実現したという珍しいケースです。当初はリエカも売却に難色を示したものの、今は財政的に苦しいのと、昨夏にアナス・シャルビーニ(現ハイドゥク)を売却する際に交渉下手で失敗続きだったことから、今回はあっさりと売却を決めました。その代わり、次回の移籍における40%の移籍金を獲得する権利を勝ち取ったのです。リエカのトゥルチッチ会長はインタビューで
「50万ユーロは手付金みたいなものだ。レバークーゼンは300~400万ユーロで選手を売却することは誰もが知っているし、となると我々も将来の利益も見込むことができる。おまけに来年、早くと今年の夏にはリエカで親善試合を組んでくれることになったんだよ。この移籍はパミッチにとっても良い話だし、リエカにとっても良い話だ」
と喜んでいます。ちなみに兄のMFアレン・パミッチ、従兄のFWサンディ・クリジュマンは来年夏にリエカとの契約が切れるのですが、近い将来の売却も視野を入れて2013年までの契約延長を図ることをトゥルチッチ会長は述べてます。

当のズボンコはインタビューで
「話がまとまってとうも嬉しいよ。ブンデスリーガにおける挑戦を僕は恐れていない。もちろん、カルロヴァッツのことは永遠に記憶に留めるだろう。ステップアップの舞台になっただけでなく、気分良く滞在できたからね。今季の残りの試合も全力でプレーするつもりだ。レバークーゼンの試合は楽しんで見ていただけに、移籍できて良かった。あのサッカースタイルは好きだし。そこでレベルアップできるよう望んでいるよ」
とコメントしています。彼は父親イゴールがハンザ・ロシュトクとグラーツでプレーしていた際、ドイツ語の小学校に通ったことから言語の壁は低いようです。
nogomet-154508.jpgまたレバークーゼンで7年在籍した元クロアチア代表ボリス・ジブコヴィッチ(写真)がレバークーゼンのスカウトとして今回の移籍に絡んでおり、私も二度ほど客席で彼を見かけました。ジブコヴィッチは
「レバークーゼンは誰にも薦めたいクラブだ。ズボンコも決断にミスはないだろう。本物のクラブを選んだんだ」
と今回の移籍について語っています。レバークーゼンはバイエルンからレンタル中のMFトニ・クロースの後継者として期待されており、ホルツハイザー会長は
「パミッチは幾つものポジションでプレーでき、大きなポテンシャルを持ったオールマイティなMFだ。これは本物の投資と言える」
と期待を寄せています。昨日は2位のチバリア・ヴィンコヴチと戦ったのですが、ズボンコは挨拶代わりに美しいゴールを決めており、3-0でカルロヴァッツを勝利に導いています。

ちなみにレバークーゼンが次のターゲットとして狙っているのが、オシエクのクロアチアU-21代表DFドマゴイ・ヴィーダ。ヴィーダの代理人ツヴィエトコヴィッチ氏とレバークーゼンが交渉の席を設けたようですが、本人はあくまでオシエク残留を希望しているようです。しかし、オシエクが来季のヨーロッパ・リーグ出場権獲得が危うくなっており、となるとヴィーダの国外移籍も現実的なところ。ポルトから移籍金200万ユーロのオファーが正式に届いたとも報じられており、同じく財政難に悩むオシエクも売却に急ぐことになりそうです。


続いて、クロアチア代表に関して。どこの国のリーグも佳境に入ってますが、ここ最近、代表選手の怪我が目立つようになってきました。

nogomet-154509.jpgトットナム・ホットスパーのMFニコ・クラニチャール(写真)は水曜日のFAカップ準決勝で背後からカニ挟みタックルに遭い、右足首を負傷。無理して残りの15分近くをプレーしたわけですが、診断の結果、左足首の靭帯の損傷でリハビリに2ヶ月半を要することが判明しました。月曜日にはロンドンで手術する予定です。
クラニチャールは2008年8月のスロベニアとの親善試合で相手選手のタックルのために右足首を損傷し、長期離脱を余儀なくされたわけですが、今回は逆の足ということで
「両足に痛みを分けたということで、身体のバランスが取れることになるね(苦笑) 怪我というのはスポーツに付き物だし、先に進むしかない。明日は新たな日になるのだから。もちろん、外科のところに行くよりも試合に出る方のが良いのだろうけど、先ほども言ったようにサッカーをやる以上は怪我の仕事も一部なんだよ」
とコメントしています。

同じくトットナムのDFヴェドラン・チョルルカも3月24日のフルハム戦以来、足首の具合が良くなく、無理して出場したために症状が悪化。試合に戻るまで10~15日ほどが必要とされています。
MFルカ・モドリッチも昨年の腓骨骨折の影響が右足首に来ており、全力でボールを蹴られない状態だとか。それでも試合に出場し続け、チャンピオンズ・リーグ出場権獲得に燃えており、
「もう一ヶ月は苦しみと疲労を忘れるほどのモチベーションを持っているんだ。チャンピオンズ・リーグ出場のビザを得てから休みに入りたいね」
と述べています。

ヨーロッパ・リーグ準々決勝で鮮烈なバイシクルシュートが記憶に新しいハンブルガーSVのFWムラデン・ペトリッチですが、14日のトレーニング中に内転筋を痛め、2~3週間の離脱が決まりました。ヨーロッパ・リーグでは9ゴールで得点王ランクトップに並ぶものの、準決勝のフルハム戦の出場は危ういとされています。

またフランスリーグでは、ランスのGKヴェドラン・ルニェが13日のフランス・カップ準決勝で肋骨を骨折し、今季は絶望。リヨンのDFデヤン・ロヴレンも先週の試合で膝を痛めて担架で運ばれています。
以上のように怪我人続きのクロアチアですが、皮肉にもワールドカップ出場しないために、選手はその期間ゆっくりと治療や休暇に当てられそうです。


前のレポートでアマル・オシム監督率いるジェリェズニチャールがボスニア・ヘルツェゴビナで二冠に挑んでいることをお伝えしましたが、その続報を。

まず14日に行われたカップ戦準決勝第2戦では、ズリンスキ・モスタルとのアウェーマッチを1-1で終え、トータルスコア4-2で決勝進出を決めました。64分にジェリェズニチャールが先制点を決めてからは、相手サポーターが発炎筒やボトルを投げ込んだり、ピッチに乱入したことで審判が何度も試合を中断させたため、2時間52分かけて試合を終わらせたそうです。決勝はリーグ優勝を争うボラツ・バニャルカと戦うことになりました。

nogomet-154582.jpg勝点同数の状態で昨日に行われたプレミエル・リーガ第23節の天王山「ジェリェズニチャールvs.ボラツ」はジェリェズニチャールが4-2で勝利し、一つ頭を抜け出すことに成功しました。ジェリェズニチャールの本拠地グルバビッツァ・スタディオンは1万5千人の観客で覆いつくされ、アマルもオフェンシブな布陣を敷いて終始ゲームを支配したとのこと。ボスニアにおけるリーグ戦の平均観客が約2400人と聞きますので、いかにこの観客数と盛り上がりが凄いものかと分かって頂けるでしょう。アマルは勝利のあと、
「今夜の戦いでもボラツはこれまで首位にいたのが偶然でないことを証明していたが、我々はそんな優れた相手に勝利したんだ。雰囲気は素晴らしかったし、試合内容も良かった。6ゴールも決まったんだから。何と言えばいいだろうね。私はこんな試合がもっとあることを望んでいるよ」
と喜びを語っています。試合の模様は試合後のニュース動画試合前のニュース動画サポーター撮影の動画公式サイトの写真などで見られます。

(写真はグルバビッツァの一角にある、イヴィツァ・オシムのジェリェズニチャール監督時代の肖像画。ちなみにシュトゥルム・グラーツのサポーターサイトにオシムの知己に飛んだインタビューが掲載されています。ドイツ語ですが、Google翻訳で読まれるとおおよその内容は分かるはずです)

p.s.
最後にお知らせですが、15日発売のワールドサッカーダイジェストで夏の移籍市場における注目タレントの一人として、ディナモ・ザグレブのMFミラン・バデリの記事を書いています。宜しかったらご覧になって下さい。


posted by 長束恭行 |22:17 | サッカーニュース | コメント(0) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加