2010年04月30日
これまで幾度となく移籍話が話題となったクロアチアU-21代表DFドマゴイ・ヴィーダ(21・写真)が29日、来季からバイヤー・レバークーゼンでプレーすることが決まりました。オシエクに支払われる移籍金は240万ユーロ。それに加えて出場数に基づくボーナスと、レバークーゼンから更に移籍した際の移籍金の一部(率は非公開)も支払われることになります。契約期間は5年になります。
若くしてオシエクのキャプテンを務め、類稀なファイティングスピリットの持ち主。本職のセンターバック以外に右サイドバックも器用にこなすヴィーダは、現在のクロアチア・リーグでプレーする若手で最もポテンシャルの高い選手といえます。幾つものクラブが関心を寄せる中、レバークーゼンは頻繁にヴィーダを視察し続け、少しでも高い移籍金を希望するオシエクを説得するのに成功しました。過去にMFユーリツァ・ヴラニェシュやMFマルコ・バビッチ、FWヨシップ・タディッチといった移籍の実績があったのもプラスに転じたかもしれません。レバークーゼンにとっては、カルロヴァッツのMFズボンコ・パミッチ(19)に続く補強となります。
昨日が21歳の誕生日だったヴィーダはこのように喜びを口にしています。
「嬉しいという言葉だけじゃ足らないね。ようやく話がまとまって本当に本当に嬉しいんだよ。ビッククラブの一員になれたのは各方面の理解によるものさ。でも、オシエクではまだ残り三試合あるから、レバークーゼンのことはシーズン終了後に考えることにするよ。チームメイトと一緒に勝利を求めて戦い、オシエクが来季のヨーロッパ・リーグの出場権を得られるよう頑張るつもりさ」
今はまだU-21代表の一員ですが、A代表入りはこの5月の親善試合にも実現しそうな勢いであり、これからブンデスリーガで経験と実力を培っていけば、いずれはクロアチア代表DF陣の屋台骨となる存在と言えましょう。
他の選手の動向を。トットナム・ホットスパー所属のMFルカ・モドリッチ(24)にマンチェスター・ユナイテッドが2500万ポンド(約36億円)の移籍金を準備していると報じられています。発信源がタブロイド紙の「ザ・サン」であることから信憑性が薄いと思いきや、マンチェスター・ユナイテッドの公式サイトですら同じ情報を取り上げたことで実は本当なのでは?、とクロアチア・メディアも色めきたっています。
アーセナル所属のFWエドゥアルド・ダ・シルヴァ(27)にリヨンが800万ポンドのオファーを準備していると報じられており、今後の動きが注目されるところ。足首は完治したとはいえ、今季も本来の調子を取り戻せずに出場機会も激減。ヴェンゲルはエドゥアルドを来季の構想に入れていると明言しているものの、シャマクの加入でFW争いは更に激しくなり、エドゥアルドも3トップのシステムにもマッチしてないことから放出の可能性も現実味を帯びています。
今季はナントからボルトンにレンタル移籍中のFWイヴァン・クラスニッチ(30)ですが、今季いっぱいでナントに戻ることが濃厚です。主将のFWケヴィン・デイヴィスは25試合7得点のクラスニッチを賞賛し、残留を希望したとも報じられましたが、ボルトンのフロントは買取や来季のレンタル継続を打診してない模様。またフランス二部でもがくナントも財政的に厳しく、どこかへの売却が予想されます。ディナモが獲得を希望したものの、彼自身は現実的にクロアチア・リーグ行きはありえないと述べています。
昨年からクロアチア代表にも名を連ねるラピッド・ウィーン所属のFWニキッツァ・イェラヴィッチ(24)の移籍交渉をするために、今日からベンフィカのフロントがウィーン入りしています。今季は国内リーグで15ゴール、ヨーロッパリーグでも9ゴールと活躍をみせる彼には、ベンフィカ以外にもセルティックやレンジャースが関心を示しています。
ハイドゥク・スプリトで獅子奮迅の活躍をみせるボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFセニヤド・イブリチッチ(24)に、ロシアのルビン・カザンが3年契約の正式オファーが届きました。ハイドゥクに入る移籍金は400~500万ユーロ辺りだとされ、放漫経営のツケが回ってきたハイドゥクが合意する可能性は充分にあると見られています。ちなみに昨冬にはブラックバーンが400万ユーロの移籍金でオファーを出したものの、当時は金額が少ないとして拒否していました。
posted by 長束恭行 |20:28 |
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2010年04月28日
また一人、ディナモ・ザグレブに歴戦の勇士が戻ってきました。クロアチア代表で最多の100キャップを数えるDFダリオ・シミッチ(34)が来季からディナモでプレーすることが正式に決まり、27日に入団会見が行われました。6月30日までモナコの契約は残るだけに正式なサインはのちになりますが、クラブとの合意の下、今週からディナモの練習に加わることになりました。
12歳からディナモ・ユースに通い、17歳の時にトップチームでデビュー。ディナモのチャンピオンズ・リーグ初出場に貢献したのち、1999~2002年はインテル、2002~2008年はミランに在籍。続くモナコでは出場機会に恵まれなかったものの、キャリアの終焉は故郷のクラブで迎えようとシミッチは考えていました。それでもディナモのズドラヴコ・マミッチ副会長からディナモ復帰の打診を受けた際は「10秒ほどは疑ってしまった」(本人談)とのこと。それから直ぐに合意に達し、年俸に関してはなんと自ら「無銭」で働くことを提案したそうです。
11年半前にディナモを去った時と同じ13番のユニフォームを手にしたシミッチは会見で
「再び自分のクラブでプレーするチャンスを僕に与えてくれたことに感謝したい。満足というよりは少し興奮しているよ。僕はインテルとミランという二大巨頭、そして決して小さくないモナコでプレーしたわけだけど、実際のところはディナモが僕に対して多くのものをもらたしてくれたんだ。
周囲からは"ディナモは君にとってそれほどのクラブかね?"と聞かれたよ。人々はディナモが本物のヨーロッパのクラブだとの認識はないようだけど、誰にとってもここは栄光と誇りになりえる場所なんだよ。ここ数年の僕は、何をしようか、現役を続けるためには刺激を探さねばと常日頃悩んできた。とうとう僕はそれを見つけたんだ。ディナモでのトレーニングと試合を今か今かと楽しみにしているよ。心身共に最高さ。若い選手たちに助言を与え、選手としての振る舞いを教えられるだけでも僕の価値はあると保証するよ!」
と述べました。
シミッチは声を荒げるようなタイプではないですが、ゴシップとは無縁の模範的な人物であり、新たなディナモのリーダーとなれるはず。現在、チームで最も良い影響を与えているアルゼンチン人DFレアンドロ・クフレとはモナコ時代のチームメイトであり、ロベルト・コヴァチやイゴール・ビシュチャンが残留するならば、経験豊かな最終ラインを構成することも可能です。
会見で同席したユルチッチ監督もシミッチの入団は歓迎の姿勢を示しました。
「とても嬉しいし、満足しているよ。ダリオとは同僚としてディナモやクロアチア代表で一緒にプレーした関係だけに、この環境は特別だ。どれだけ彼が私やチームを助けてくれるかは分かっている。彼にはとても期待しているし、彼もどれほどの責任を負うかは理解しているはずだ。若い選手達にはピッチ上だけでなく、ホテルやバスといった場所でもどう振る舞うか見本を示して欲しい。彼より良い見本など存在しないのだから」
ちなみにこの記者会見で、療養中だったズドラヴコ・マミッチ副会長が久しぶりに公に姿を現しました。ディナモは優勝がかかった前節のチバリア・ヴィンコヴチ戦でまったく良いところがなく0-2と敗れ、今季いっぱいでユルチッチ監督(写真)は解任から逃れそうにありません。マミッチは秘密裏にユルチッチ監督の後任探しをしていると報じられ、ニコラ・ユルチェヴィッチ、ニコ・コヴァチといった具体的な名前が挙がっていました。
土曜日の第28節でディナモはライバルのハイドゥク・スプリトをホームに迎えるわけですが、もしここでも敗れて優勝を祝うタイミングを逃したならば、シーズン中の解任すら濃厚とささやかれる中、マミッチ副会長は記者陣を前にユルチッチの続投をこう明言しました。
「めでたい席で無駄な注目を集めるつもりはない。ただ、二点だけ言わなければならないことがある。一つは土曜日にリーグ優勝を祝うこと。もう一つは、来季もクルノスラフ・ユルチッチが我々の監督を務めることだ」
ただし、過去にこのような発言をしながらも、ズボニミール・ソルド(現ケルン監督)のようにシーズン終了後に自ら辞任したケースや、ブランコ・イヴァンコヴィッチ(現山東監督)のように追われたケースもあり、まだまだユルチッチの立場は揺らいだ状態のままです。
お知らせですが、水曜日発売の海外サッカー週刊誌 footballistaの巻末コラム「炎ゆるノゴメット」の第6回として、先月のキプロス取材を元に「アノルトシス、アポエル、そして… キプロスサッカー躍進の秘密」と題した記事を書いています。多分、日本の雑誌でキプロス現地取材の記事が掲載されるのは初めてかと思いますので、宜しかったらご覧になって下さい。
posted by 長束恭行 |23:27 |
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2010年04月18日
まずは移籍の話題から。前回のレポートでパミッチ親子をテーマにしましたが、第一報で報じられた通り、レンタル先のカルロヴァッツでプレーするクロアチアU-21代表MFズボンコ・パミッチ(19・写真)がバイヤー・レバークーゼンと契約に合意しました。
契約は4年間で、所有権を持つリエカに支払われる移籍金は50万ユーロ。そしてレバークーゼンから更に次のクラブに移籍する際の実に40%の金がリエカに振り込まれることになります。また育成報酬としてカルロヴァッツにも50万ユーロの3%に当たる1万5千ユーロ、その前に所属したジュミニュにも2%の1万ユーロが支払われます。今週末にドイツに渡り、メディカルチェックを受けてから正式契約となります。
ズボンコはリエカでの公式戦出場がゼロにもかかわらず、レンタル先のプレーだけで国外移籍が実現したという珍しいケースです。当初はリエカも売却に難色を示したものの、今は財政的に苦しいのと、昨夏にアナス・シャルビーニ(現ハイドゥク)を売却する際に交渉下手で失敗続きだったことから、今回はあっさりと売却を決めました。その代わり、次回の移籍における40%の移籍金を獲得する権利を勝ち取ったのです。リエカのトゥルチッチ会長はインタビューで
「50万ユーロは手付金みたいなものだ。レバークーゼンは300~400万ユーロで選手を売却することは誰もが知っているし、となると我々も将来の利益も見込むことができる。おまけに来年、早くと今年の夏にはリエカで親善試合を組んでくれることになったんだよ。この移籍はパミッチにとっても良い話だし、リエカにとっても良い話だ」
と喜んでいます。ちなみに兄のMFアレン・パミッチ、従兄のFWサンディ・クリジュマンは来年夏にリエカとの契約が切れるのですが、近い将来の売却も視野を入れて2013年までの契約延長を図ることをトゥルチッチ会長は述べてます。
当のズボンコはインタビューで
「話がまとまってとうも嬉しいよ。ブンデスリーガにおける挑戦を僕は恐れていない。もちろん、カルロヴァッツのことは永遠に記憶に留めるだろう。ステップアップの舞台になっただけでなく、気分良く滞在できたからね。今季の残りの試合も全力でプレーするつもりだ。レバークーゼンの試合は楽しんで見ていただけに、移籍できて良かった。あのサッカースタイルは好きだし。そこでレベルアップできるよう望んでいるよ」
とコメントしています。彼は父親イゴールがハンザ・ロシュトクとグラーツでプレーしていた際、ドイツ語の小学校に通ったことから言語の壁は低いようです。
またレバークーゼンで7年在籍した元クロアチア代表ボリス・ジブコヴィッチ(写真)がレバークーゼンのスカウトとして今回の移籍に絡んでおり、私も二度ほど客席で彼を見かけました。ジブコヴィッチは
「レバークーゼンは誰にも薦めたいクラブだ。ズボンコも決断にミスはないだろう。本物のクラブを選んだんだ」
と今回の移籍について語っています。レバークーゼンはバイエルンからレンタル中のMFトニ・クロースの後継者として期待されており、ホルツハイザー会長は
「パミッチは幾つものポジションでプレーでき、大きなポテンシャルを持ったオールマイティなMFだ。これは本物の投資と言える」
と期待を寄せています。昨日は2位のチバリア・ヴィンコヴチと戦ったのですが、ズボンコは挨拶代わりに美しいゴールを決めており、3-0でカルロヴァッツを勝利に導いています。
ちなみにレバークーゼンが次のターゲットとして狙っているのが、オシエクのクロアチアU-21代表DFドマゴイ・ヴィーダ。ヴィーダの代理人ツヴィエトコヴィッチ氏とレバークーゼンが交渉の席を設けたようですが、本人はあくまでオシエク残留を希望しているようです。しかし、オシエクが来季のヨーロッパ・リーグ出場権獲得が危うくなっており、となるとヴィーダの国外移籍も現実的なところ。ポルトから移籍金200万ユーロのオファーが正式に届いたとも報じられており、同じく財政難に悩むオシエクも売却に急ぐことになりそうです。
続いて、クロアチア代表に関して。どこの国のリーグも佳境に入ってますが、ここ最近、代表選手の怪我が目立つようになってきました。
トットナム・ホットスパーのMFニコ・クラニチャール(写真)は水曜日のFAカップ準決勝で背後からカニ挟みタックルに遭い、右足首を負傷。無理して残りの15分近くをプレーしたわけですが、診断の結果、左足首の靭帯の損傷でリハビリに2ヶ月半を要することが判明しました。月曜日にはロンドンで手術する予定です。
クラニチャールは2008年8月のスロベニアとの親善試合で相手選手のタックルのために右足首を損傷し、長期離脱を余儀なくされたわけですが、今回は逆の足ということで
「両足に痛みを分けたということで、身体のバランスが取れることになるね(苦笑) 怪我というのはスポーツに付き物だし、先に進むしかない。明日は新たな日になるのだから。もちろん、外科のところに行くよりも試合に出る方のが良いのだろうけど、先ほども言ったようにサッカーをやる以上は怪我の仕事も一部なんだよ」
とコメントしています。
同じくトットナムのDFヴェドラン・チョルルカも3月24日のフルハム戦以来、足首の具合が良くなく、無理して出場したために症状が悪化。試合に戻るまで10~15日ほどが必要とされています。
MFルカ・モドリッチも昨年の腓骨骨折の影響が右足首に来ており、全力でボールを蹴られない状態だとか。それでも試合に出場し続け、チャンピオンズ・リーグ出場権獲得に燃えており、
「もう一ヶ月は苦しみと疲労を忘れるほどのモチベーションを持っているんだ。チャンピオンズ・リーグ出場のビザを得てから休みに入りたいね」
と述べています。
ヨーロッパ・リーグ準々決勝で鮮烈なバイシクルシュートが記憶に新しいハンブルガーSVのFWムラデン・ペトリッチですが、14日のトレーニング中に内転筋を痛め、2~3週間の離脱が決まりました。ヨーロッパ・リーグでは9ゴールで得点王ランクトップに並ぶものの、準決勝のフルハム戦の出場は危ういとされています。
またフランスリーグでは、ランスのGKヴェドラン・ルニェが13日のフランス・カップ準決勝で肋骨を骨折し、今季は絶望。リヨンのDFデヤン・ロヴレンも先週の試合で膝を痛めて担架で運ばれています。
以上のように怪我人続きのクロアチアですが、皮肉にもワールドカップ出場しないために、選手はその期間ゆっくりと治療や休暇に当てられそうです。
前のレポートでアマル・オシム監督率いるジェリェズニチャールがボスニア・ヘルツェゴビナで二冠に挑んでいることをお伝えしましたが、その続報を。
まず14日に行われたカップ戦準決勝第2戦では、ズリンスキ・モスタルとのアウェーマッチを1-1で終え、トータルスコア4-2で決勝進出を決めました。64分にジェリェズニチャールが先制点を決めてからは、相手サポーターが発炎筒やボトルを投げ込んだり、ピッチに乱入したことで審判が何度も試合を中断させたため、2時間52分かけて試合を終わらせたそうです。決勝はリーグ優勝を争うボラツ・バニャルカと戦うことになりました。
勝点同数の状態で昨日に行われたプレミエル・リーガ第23節の天王山「ジェリェズニチャールvs.ボラツ」はジェリェズニチャールが4-2で勝利し、一つ頭を抜け出すことに成功しました。ジェリェズニチャールの本拠地グルバビッツァ・スタディオンは1万5千人の観客で覆いつくされ、アマルもオフェンシブな布陣を敷いて終始ゲームを支配したとのこと。ボスニアにおけるリーグ戦の平均観客が約2400人と聞きますので、いかにこの観客数と盛り上がりが凄いものかと分かって頂けるでしょう。アマルは勝利のあと、
「今夜の戦いでもボラツはこれまで首位にいたのが偶然でないことを証明していたが、我々はそんな優れた相手に勝利したんだ。雰囲気は素晴らしかったし、試合内容も良かった。6ゴールも決まったんだから。何と言えばいいだろうね。私はこんな試合がもっとあることを望んでいるよ」
と喜びを語っています。試合の模様は試合後のニュース動画、試合前のニュース動画、サポーター撮影の動画、公式サイトの写真などで見られます。
(写真はグルバビッツァの一角にある、イヴィツァ・オシムのジェリェズニチャール監督時代の肖像画。ちなみにシュトゥルム・グラーツのサポーターサイトにオシムの知己に飛んだインタビューが掲載されています。ドイツ語ですが、Google翻訳で読まれるとおおよその内容は分かるはずです)
p.s.
最後にお知らせですが、15日発売のワールドサッカーダイジェストで夏の移籍市場における注目タレントの一人として、ディナモ・ザグレブのMFミラン・バデリの記事を書いています。宜しかったらご覧になって下さい。
posted by 長束恭行 |22:17 |
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