2009年12月31日

2009年のクロアチア最優秀選手はイヴィツァ・オリッチ

2009年最後のクロアチア・サッカーニュースを。

毎年、クロアチアの日刊紙ヴェチェルニ・リスト紙は11人の審査員の投票によってクロアチア最優秀選手を選出しているのですが、2009年の今年はFWイヴィッツァ・オリッチ(写真)が初めて選ばれました。昨年のオリッチはモドリッチに次ぐ2位に終わったものの、今年はバイエルン・ミュンヘンでの活躍が認められ、ダリヨ・スルナをわずか4ポイントで凌いでトップに立ちました。

受賞を知らされたオリッチ(写真)は
nogomet-133381.jpg「これは僕のキャリアにおける最高の瞬間だ。今年は理想的な一年だったよ。ワールドカップ予選で敗北したことだけが残念だったけど、素晴らしいことは記憶に残っていくことだろう。ヴェチェルニ・リストが贈るこの賞はいつも一年の最後になると話題にされるもので、誰もがそれを夢にし、誰もが喜ぶものなのだよ」
と嬉しさを語っています。

今年のオリッチは怪我に泣かされた時期もありましたが、復帰してからのバイエルンで馬車馬のような活躍。とりわけチャンピオンズリーグのユベントスとの決戦で勝利に導いた時は連日、オリッチがスポーツ紙のトップの見出しとなりました。ワールドカップ敗退後は代表引退をほのめかした彼ですが、まだまだクロアチアは彼の力を必要とするはずです。

ちなみに投票は、パブロヴィッチ、シュテフリ、トゥドール、パヴリチッチ、ルブチッチ、ラパイッチ、アジッチ、ビエリッツァ、ペテルナッツ、ナドベザ、J.シミッチら11人のサッカー関係者に1~10位で10人の選手を選出してもらい、1位には10ポイント、2位には9ポイント、3位には8ポイント…と配分。その集計ポイントで争われます。今年で38回目となる歴史ある賞で、ユーゴスラビア時代にはセルビア人のドラガン・ストイコヴィッチ(1988年・1989年)も受賞したことがあります。

【2009年度の結果】
1. イヴィツァ・オリッチ       98 P
2. ダリヨ・スルナ         94 P
3. ニコ・クラニチャール      84 P
4. ルカ・モドリッチ        76 P
5. ヴェドラン・チョルルカ     31 P
6. ヨシップ・シムニッチ      24 P
6. ムラデン・ペトリッチ      24 P
8. オグニェン・ヴコイェヴィッチ  23 P
9. ヴェドラン・ルニェ        19 P
10.ダニエル・プラニッチ      11 P


早いもので2009年も残りわずかとなりました。ここ数年、ザグレブでは中国から輸入される爆竹があちこちで鳴らされるようになり、これを聞くと年の瀬を感じるだけでなく、ここでも時代の変化が起きていることを感じる次第です。2009年を振り返れば、私自身も大きな変化が起きた一年でありました。

最後になりますが、今年一年間、当ブログをご愛読頂き、有難うございました。2010年が皆様にとって良い年になることを願っております。


posted by 長束恭行 |06:23 | サッカーニュース | コメント(4) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年12月28日

移籍が噂されるクロアチア新世代

ディナモ・ザグレブ所属のクロアチア代表DFデヤン・ロヴレン(20・写真)に、欧州のビッグクラブの注目が集まっています。
nogomet-133005.jpgディナモはトットナム・ホットスパーの移籍金700万ユーロのオファーを断ってますが、トットナムは今週中にも1020万ユーロまで移籍金を上げてオファーを出すらしく、さらにチェルシーも移籍金1100万ユーロでオファーを出すと報じられています。それ以外にもイタリアとフランスのクラブからも書面でオファーが届いているらしく、まだ成長が見込まれるロヴレンの売却には関心を示さなかったマミッチ副会長も今が最高値と見極めて売却するのでは、と一部メディアでは推測されています。
現在、モルジブで休暇を過ごしているロヴレンは
「語られているようなオファーに囚われることはないよ。ディナモとシーズン再開に向けて集中はしているし、ディナモでスタメンに名を連ねることで今のようなオファー話が続くことを望んでいるよ」
と、まるで気にしないように語っていますが、このような背景にはトットナムのオファー話が挙がった際に"もうクロアチア・リーグのプレーは充分だ。国外に移籍したい"とのコメントと報じられ、"思い上がりもほどほどに"と周囲に叩かれたのが原因でした(のちに本人はコメントを否定)。左右のサイドバックでもプレーできるロヴレンはチョルルカ以来のポテンシャルは感じさせる選手でありますが、ディナモではマーキングのミスでコヴァチやブティナから怒られる場面をよく見ており、もう一年はディナモで経験を積んでからでも遅くないと私は見ています。


この冬でディナモから移籍が濃厚とされているのが、クロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチ(23)。今年の夏も移籍願望が強い余りに騒ぎを起こしたマンジュキッチですが、ヨーロッパ・リーグの敗北が決まったことでこれ以上、不満分子を引き留める必要はなくなりました。
ただディナモとしてネックなのは彼の移籍金が下落していること。一時は移籍金1200万ユーロのオファーを受けていたマンジュキッチですが、マミッチ副会長は1000万ユーロを放出の際の最低価格として設定。しかし、彼に関心を持ち続けるヴェルダー・ブレーメンは700万ユーロの移籍金提示に留まっているようです。
マンジュキッチ自身はロヴレンと同様にモルジブで休暇中。マンジュキッチはメディアへの不信感から沈黙を続けていますが、代わりに交渉役を務める代理人のツヴィエトコヴィッチ氏が新聞のインタビューで
「ヴェルダーは常に関心を示してくれている。もしかしたら移籍が実現するかもしれないし、実現せずにまったく違うクラブに行くかもしれない。しかし、現状は理想的とはいえないんだ。ディナモはヨーロッパ・リーグで敗退し、クロアチアはワールドカップに出場しない。そして昨今の世界不況だ。届くオファーが現実的な価格かもしれないが、本当の価値は決して安くなるものではない」
と述べており、来年1月15日までには話をまとめたい意向を示しています。


nogomet-133006.jpg代理人のツヴィエトコヴィッチはもう一人の注目選手を抱えています。オシエクのクロアチアU-21代表のDFドマゴイ・ヴィーダ(20・写真)。強烈なキャプテンシー、打点の高いヘディング、妥協知らずのアグレッシブさなどを特徴に評価はうなぎ上り。ここ最近は国内メディアも頻繁にクローズアップし始めた逸材です(一例:)。
オシエクは財政難から選手やコーチ、スタッフに給与を払い切れてないため、手持ちの選手を売却しなければチーム存続できない状況下ですが、そんな中、ヴィーダがどこに移籍するかに注目が集まっています。ヴィーダ本人は
「僕はオシエクに残りたいよ。どこに急ぐつもりはない。今のオシエクは最高のチームだし、良いサッカーをしている。そして本当の仲間たちなんだ。もし財政的に良かったならば、補強選手を連れてくることで来季のヨーロッパ・リーグ出場の夢が実現するのだろうけど…。もし自分がオシエクから出なければならないならば、外国でプレーをしてみたい」
と自分の気持ちを述べています。現役時代は得点力あるFWとしてシュケルやツヴィタノヴィッチらとチームメイトだった父親ルディカも
「彼にはオシエクに残って欲しいが、今はチーム財政を考えたならば生活を保証するのは難しい。私も外国に行って欲しいが、ディナモに行ったとしても何ら問題ではない」
と述べています。代理人のツヴィエトコヴィッチは近いうちにヴィーダ親子、オシエクのスポーツ・ディレクターとと話し合いを持ち、移籍させるかしないかを話し合うとのこと。オシエクが設定している移籍金が200万ユーロとされており、100万ユーロを提示したディナモの話は流れてしまいましたが、ロヴレンの売却次第では話がディナモへと一気に動く可能性も出ています。また秋の時点で10ほどの国外クラブが関心を示していると報じられています。ちなみにヴィーダはまだ18歳だった2007年5月、リバプールからのオファーがあったものの、彼自身がもう2年間はクロアチア・リーグでプレーしたいとオファーを断った経緯があります。


クリスマス前の話になりますが、モナコに所属するクロアチア代表MFイェルコ・レコ(29)にチェルシーが短期間の契約を考えていると報じられました。
発信源がイギリスを代表するイエローペーパー「サ・サン」であることが眉唾なのですが、1月にアフリカ・ネイションズカップでエシェンとミケルが持っていかれるため、その代わりを務めるボランチをチェルシーが探していたところ、モナコで干されているレコに白羽を立てた、とのこと。真相を聞かれたレコ本人は
「その話はチェルシーと近い関係にあるイギリスの記者から聞かされたよ。フロントの一人がミーティングで僕の名前を出すと、アンチェロッティ監督が非常に興味深いオプションだと語った、ってね。記者はそんな話を持ち出して僕のコメントを求めてきたんだ。もちろん何も知らないから、コメントはできなかったわけだけれども。でも、僕は最大限の準備はできているし、アンチェロッティの全ての要求は応えられるつもりだ。そしてチェルシーでもプレーできると考えているよ」
と答えています。のちにアンチェロッティ監督は誰も冬に獲得しないと語り、それ以降、レコの移籍話は語られていません。ちなみにレコは今年の夏にモナコとの契約が切れ、出場機会に恵まれないこともあってこの冬にフリーで移籍したがっているものの、移籍金を少しでも得たいフロントが拒んでいます。ショーケースに挙げるが如く、ここ二試合でようやく途中交代で今季初出場できたのも、そんなフロントの意向が背景にあるとされています。


最後に移籍の噂ではないですが、チェルシーで練習に初参加したクロアチア代表GKマティヤ・デラチュ(17・写真)の話題を。
nogomet-133007.jpgデラチュは16歳でインテル・ザプレシッチの正GKとなり、今年9月にはチェルシーと5年契約を結んだ逸材ですが、契約後はレンタルという形でインテルでのプレーを続けました。クロアチア・リーグがウィンターブレイクとなった12月、チェルシーの練習に二週間に渡って初参加と相成ったわけです。トップチームの練習に常に加わるという特別待遇を受けたデラチュはこう振り返っています。
「トレーニングでは僕が最年少だった。GKを目指す選手ならば誰もが夢見るように、僕はまだ少年でありながらもチェルシーのゴールに立ったんだよ。常に年上の選手達と時間を過ごしたわけだけど、彼らは僕のことをよく助けてくれ、経験を培うことができた。最初の練習項目では何をすべきかよく理解できなかったんだけど、チェフが直ぐに助けに来てくれたんだ」
言葉の壁はセルビア人のマティッチやイヴァノヴィッチが助け、彼らは街までショッピングにも連れてってくれたとのこと。また最初のチームメイトに対する自己紹介ではドログバに"ほら、英語で何か言え"と脅され、震えながら"チェルシーは世界最高のクラブです"と英語で答えたら大歓声が起き、ドロクバが抱きしめてくれた、なんてエピソードも残っています。チェルシーでの経験はデラチュにとって変え難いクリスマスプレゼントになったことでしょう。


posted by 長束恭行 |20:54 | サッカーニュース | コメント(5) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年12月23日

ディナモ・ザグレブ、40年ぶりの欧州冬越えならず

遅れましたが、ヨーロッパリーグ最終節を中心にディナモ・ザグレブのレポートを。

nogomet-132064.jpgクロアチア・リーグは12月6日の第17節を最後にウィンターブレイクに入りました。12勝3分2敗の勝点39で首位に立ち、2位のチバリア・ヴィンコヴチに勝点差6をつけて「秋の王者」(ブレイク前のリーグ首位)となりました。まだシーズン半分とはいえ、リーグ5連覇は堅いとされており、クロアチア・カップも順調に準決勝進出を決めています。
国内無敵のディナモにとって最大の目標となるのは、欧州カップ戦で年をまたいで勝ち残ること。60年代のディナモは欧州の強豪であり、1966/67シーズンはフェアーズ・カップ(UEFAカップの前身)を制覇。しかしながら、1969/70シーズンのカップ・ウィナーズ・カップを最後にディナモは「ヨーロッパの春」を迎えておらず、今年は40年ぶりの冬越え実現を目標としておりました。

チャンピオンズ・リーグは予備戦3回戦でレッドブル・ザルツブルクに敗れ、新設のヨーロッパ・リーグへ。スコットランドのハーツを下してリーグラウンドに進出を決めたものの、アヤックス、アンデルレヒト、ティミショアラが同居するグループではあらゆる困難を味わいました。サポーターグループ「バッド・ブルー・ボーイズ」の暴動、それに伴うUEFAの制裁、偏った審判の判定……。そして最終節のホームのティミショアラ戦を残し、ディナモは3位で勝点は6。ディナモがこの試合に勝利し、裏のカードのアヤックスvs.アンデルレヒトでホームのアヤックスの勝利すれば、ディナモが2位に浮上することが可能でありました。

nogomet-132065.jpgディナモは大一番を前になると何かしらのショック療法を施すチームです。14日、ズドラヴコ・マミッチ副会長を中心とする経営委員会は、元ギリシャ代表FWディミトリオス・パパドプロス(写真)と元アルゼンチン代表左SBレアンドロ・クフレの契約解消を発表。この夏、欧州カップを戦い抜くために高額な年俸を払って連れてきた二人ですが(それぞれ年俸65万ユーロと60万ユーロ)、期待に応えられる活躍は見せられませんでした。
彼らの失敗と放出はチームとしての方針転換を決定づけることとなり、今後は外国人に闇雲に年俸を払うよりも、ユース育ちの選手を活用、もしくは国内選手の獲得を進めていくことになります。


希望と不安、それに重圧が加わりながら17日に迎えたのが、ヨーロッパ・リーグ最終節、ティミショアラ戦。開催はホームのマクシミール・スタディオンでしたが、UEFA制裁でアヤックス戦に続く無観客試合となりました。ザグレブの冬は欧州でも厳しい方であり、試合開催時の気温はマイナス8度。凍ったピッチでバランスを崩しやすい悪条件です。ディナモのスタメンは以下になります(システムは4-4-2)。
GKブティナ-(右から)DFエトー、ロヴレン、コヴァチ、イバネス-MFサミール、ヴルドリャク、バデリ、モラレス-FWスレピチュカ、マンジュキッチ

nogomet-132067.jpgディナモはアウェーの地でティミショアラを3-0と粉砕したこともあり、そうそう負ける相手ではないと思われていましたが、圧し掛かるプレッシャーの差がピッチに現れます。
とにかく早い得点で試合を決めたいディナモは開始2分、サミールからパスをもらったスレピチュカがゴール右隅に向けて鋭いシュートを放つも、ポルトガル人GKタボルダが好セーブ。マンチェスター・シティも関心を示すルーマニア人正GKパンティリモンが前節のレッドカードで欠場し、控えのタボルダがゴールマウスに立ったわけですが、この代役が幾度となくスーパーセーブを連発しました。
絶対に勝たねばならぬディナモに対し、既にリーグ敗退が決まっているティミショアラは悪コンディションを気にすることなく伸び伸びとプレー。フィジカルに優れたコスタリカ代表FWパークス(写真左)を中心にカウンターを仕掛けますが、ディナモもDFコヴァチ(写真右)の冷静な対応やGKブティナの好セーブによってチャンスを摘みました。

チームの意向でアムステルダムの試合経過はスピーカーで伝えないことになっていたものの、私がいたゴール裏でも前半途中でアンデルレヒトが2-0でリードしていることが人づてで伝わってきました。勝ち抜けが既に決まっているアヤックスは「アンデルレヒト戦で手を抜くことはない」と期待を膨らませるような現地発の事前報道が連発していたわけですが、結局のところはワールドカップ予選でウクライナに挑んだイングランドと同じ話。はじめから"あわよくば"が付くようなフェアプレーなどに過度な期待をしてはいけません。
ディナモはエトーが右サイドから突破し、決定機を続けて演出するも、ゴール前に詰めた選手にボールは渡らず。欧州の数あるビッグクラブがマンジュキッチ目当てで視察に訪れていたものの、当のマンジュキッチは何でも一人でやろうと空回りする場面が目立ちます。前半はスコアレスドロー。選手達やコーチ陣はドレッシングルームでアンデルレヒトが3-0でアヤックスにリードしていることを知らされ、絶望的な思いで後半を挑むことになりました。

nogomet-132070.jpg後半もディナモが押しながら、チャンスを幾度となく作ったところでもGKタボルダに防がれる展開。攻め疲れで集中力が切れた67分、MFボウルチェアヌの左クロスが右のMFスタンチュに渡ってシュート。ボールはネットではなく、ゴール前でフリーのブクルに届き、方向を変えてシュートを流し込み、先制点を奪われます。
グループリーグでのディナモはホーム2連敗、それも無得点による敗北を喫しているわけですが、このままでは引き下がれないディナモは80分に同点に追いつきます。サミールの縦パスに抜け出したFWシヴォニッチがシュートしたところ、カバーに入った相手DFスクタルがクリアし損ねてオウンゴール。このゴールがリーグラウンドにおけるディナモのホーム唯一の得点となりました。
これから逆転劇だという矢先、わずか4分後にティミショアラはあっさりと決勝点を決めます。MFマクシムの左クロスをFWパークスがポストとなり、バイタルエリアから走りこんできたFWゴガがシュートをずどんと決めて1-2。ディナモはグループリーグ敗退しただけでなく、この試合そのものを落としてしまったことは、来季以降のUEFAランキングに大きく響く失態を犯してしまいました。
(試合のニュース動画はこちら)

記者会見に現れたディナモのユルチッチ監督(写真)は魂が抜けた表情でこうコメントを残しました。
nogomet-132068.jpg「不幸というよりも失望している。アムステルダムがポジティブな結果になるなんて私自身は期待してなかったよ。でも、この試合はどんな形であれ勝利を望んでいた。序盤にプレッシャーを掛けることで相手を脅かそうとしたが、チャンスがありながらもまたして決定力不足に終わってしまった。クロアチア・リーグではそれでもいけるだろうが、ヨーロッパでの戦いでは罰せられるのだよ」
と語りながらも、この半年間の戦いに関しては
「美しいプレーを見せたゲームも多くあったし、国際舞台での成果に関しては満足している。個人的に一番辛かったのはザルツブルク相手の敗北だったがね。もしヨーロッパ・リーグで勝点9を稼げたなのならば本当に満足したことだろう。しかし、(チャンピオンズ・リーグ予備戦を含めて)3試合に渡って無観客試合を戦ったことを忘れてはならない」
と満足なコメントを残しています。

これで今季のディナモに残されたのは国内タイトルのみ。かねてより移籍を希望しているFWマリオ・マンジュキッチに関しては、マミッチ副会長が「1000万ユーロの移籍金が提示されれば売却する」と述べており、これまでの希望価格を下げてでもこの冬の売却が確実とされています。(現時点ではヴェルダー・ブレーメンが濃厚とされ、現在ドイツにて交渉中とも)
マンジュキッチ以外では、MFイヴィツァ・ヴルドリャク(移籍金200万ユーロ)、DFエトー(150万ユーロ)、MFアンテ・トミッチ(30万ユーロ)もオファーがあれば売却する姿勢を示しています。ちなみにこれまで拒否したオファーは、DFデヤン・ロヴレンに対するトットナム・ホットスパーの700万ユーロ、DFトミスラフ・バルバリッチに対するボルドーの400万ユーロ、DFルイス・イバネスに対するスタンダール・リエージュの200万ユーロと報じられています。

補強に関しては、前述したように外国人に走る考えはフロントにありません。例外としてシベニクに所属するボスニア・ヘルツェゴビナ代表FWのエルミン・ゼッツ(写真)は候補に挙がっていますが、一ヶ月前に150万ユーロの移籍金をシベニクに蹴られており、移籍の実現は微妙なところです。
nogomet-132069.jpgまた左SBの補強として夏にレンタル移籍で獲得したデニス・グラヴィナは、レンタル先のヴォルスクラ・ポルタヴァ(ウクライナ)に返却。よって、計算できる左SBはイバネスとDFカルロスの二人だけとなっています。マミッチ副会長はこの二人で半シーズンは乗り切る考えでおり、補強はFWに絞られました。ただし、今季はロヴレン、バルバリッチ、トメチャク、バデリ、クラマリッチといったユース組の台頭が見られたこともあり、ここ数年にみられた積極的な売買は控えることになるでしょう。一部リーグのロコモティーヴァをBチームのように利用できていることから(レギュレーション的に首を傾げるとはいえ)、脈々と注目すべきユース選手が育っています。
ここ数年、ディナモはエドゥアルド、モドリッチ、チョルルカ、ヴコイェヴィッチ、ポクリヴァチュらを売却して得た利益を、実力不足な外国人やベテラン、監督に対しての高額な年俸や違約金で湯水のように使ってきたわけですが、ユースを重視した本来あるべき姿に変貌しつつあります。去年の今頃ならば「監督はクビだ」「ビッグな補強をする」と叫んでいたマミッチ副会長も今回はおとなしめ。ようやく健全なクラブ経営に走りそうな雰囲気です。
しかしながら、欧州冬越えが可能なチームを作るならば、2~3年の辛抱は必要。そこまでマミッチ副会長が我慢できるかは甚だ疑問です。辛抱はサポーターのバッド・ブルー・ボーイズにも要求されるもの。次に彼らが暴動を起こしたならば、今度こそ欧州カップから締め出しを食らいます。困ったことにバッド・ブルー・ボーイズとマミッチが対立関係にあり、マミッチの野望を破壊すべく意図的に暴動を起こす輩がいるのが、ディナモが患う"癌"であります。果たして来季の今頃は、欧州でどんな結末を迎えることになるのでしょうか…。


posted by 長束恭行 |06:41 | サッカーニュース | コメント(0) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年12月18日

ディナモ・ザグレブ、EL敗退決定

先ほどヨーロッパ・リーグ第6節「ディナモ・ザグレブvs.ティミショアラ」の撮影取材から戻ってきました。UEFAの制裁による無観客試合、そして大寒波の到来で気温-8度と厳しい条件下で、すっかり身も心も凍ってしまいました。ここまで寒いとカメラが思うように動かないんですよ、ほんとに。

nogomet-131109.jpg「心が凍って」しまったのは、40年ぶりの欧州カップ冬越え、すなわちグループリーグ突破の夢があっさりと打ち砕かれてしまったためです。唯一の条件は、ディナモがホームでティミショアラに勝利し、同グループのアヤックスがアンデルレヒトに勝利することでした。
しかしながら、既にグループ突破を決めてモチベーションの欠片もないアヤックスは、ホームながら前半で0-3とリードされる始末(結果は1-3)。ワールドカップ予選の「ウクライナvs.イングランド」の無気力なイングランドの記憶が新しいとはいえ、前半の結果を他の記者から聞いて愕然としました。
一方、ディナモは散々チャンスを作りながらも相手の控えGKに次々止められ、後半に入って集中力が切れたところで2失点。これまたいつもの負けパターンで、結果は1-2。グループリーグではホームで3連敗を喫したことが(アウェー2勝1敗)、3位敗退に繋がる最大の原因とも言えます。初戦ホームのアンデルレヒト戦は誤審に泣かされ(あの第5・6審判の導入は何の意味があったのでしょうか?)、続く2試合のホームは無観客試合となったのが堪えました。ちなみに無観客試合の原因を作ったサポーターのBBBは、2000人ほどが中央広場に集まり、大画面の前で応援したようです(写真)。

アヤックスに然り、ディナモに然り、想定内の展開だったとはいえ、ここまで欧州の舞台でディナモにツキも実力もないと呪いたくもなるものです。これで今年の公式戦は終了。2ヶ月ほどのウィンターブレイクに入ります。試合のレポートは、小旅行から戻る週明けには書こうと思います。


posted by 長束恭行 |08:04 | サッカーニュース | コメント(0) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年12月16日

トットナム・ホットスパーに集結するクロアチア代表/夏にはGKプレティコサの加入が濃厚

プレミア・リーグのトットナム・ホットスパーは、クロアチア代表のMFルカ・モドリッチ、MFニコ・クラニチャール、DFヴェドラン・チョルルカの3人が所属することから、クロアチア国内では冗談めかして「Crottenham」と呼ばれています。ハリー・レドナップ監督はクロアチア選手好きを公言しており、FWマリオ・マンジュキッチやDFデヤン・ロヴレン(共にディナモ)の獲得の噂も挙がっている中、今週月曜日に具体的に一人の選手の移籍話が進められました。それはGKスティペ・プレティコサ(30歳、スパルタク・モスクワ所属)です。

nogomet-130895.jpgクロアチア代表79キャップを数えるプレティコサは、プレミアでのプレー願望がとりわけ強い選手として知られるのですが、2005年、2006年とフルハム移籍に合意しながらも英国労働ビザ取得の基準だった「直近2年の代表公式戦70%出場」を怪我による代表離脱もあってクリアできず。今年からロシア・リーグの外国人枠が狭まった関係でスパルタクのカルピン監督からレギュラーを外される中、今年8月にトットナムへのレンタル移籍で三者合意に至ったものの、サイン直前のチーム練習で膝の十字靭帯を断裂してしまい、全治6ヶ月の大怪我を負ってしまいました。
運に恵まれず、その後は一人黙々とリハビリを続けていたプレティコサ。すると、控えGKのクディチーニが交通事故に遭い、新たなGKを探しているトットナムが再びプレティコサの代理人マルコ・マレティリッチと接触。スパルタク・モスクワの許可を取り、月曜日にプレティコサをロンドンへ呼び寄せてメディカル・チェックをしました。

復帰が来年の2月下旬にずれ込むため、トットナムは直ぐに獲得は行わないものの、レドナップ監督との話し合いは30分ほど続き、別れ際に「夏にまた会おう」と言ってくれたとのこと。プレティコサ本人も
「今回のロンドン訪問はトットナム側の主導によるものだ。復帰が可能な時期に関しては僕もオープンに語ったよ。彼らは手術した膝の現状を確認したかったらしく、来年夏の僕の獲得に関して真剣に考えてくれている。これは僕にとって大きな自信につながるし、プレミアでのプレーを実現させるために激しい練習を続けていくモチベーションとなるのさ」
と刺激を得たようです。移籍金は100~200万ユーロと高くなく、クロアチアのメディアは「今回で移籍仕事は75%終わったようなものだ」と書いています。

ちなみにプレティコサはインタビューの中でこうも述べています。
「トットナムのキャンプで会った選手のほとんどが、"また一人クロアチア人が来るぞ!"って笑いながら言ってきたんだ。誰もがフレンドリーで素晴らしい人物だったよ。見るからにチームの雰囲気は良さそうだった。
月曜日の夜にはモドリッチ、チョルルカと一緒に夕食を摂ったよ。クラニチャールは子供を産んだばかりの姉を訪れて不在だったけどね。もし僕がプレミア・リーグに来られるのならば、トットナムのような伝統を持ったクラブに来られるのならば、そこには3人のクロアチア代表の仲間や偉大な選手達が揃っているならば……自分の気持ちは言葉にしようがないよ」


これを機にトットナムの3人についても触れましょう。
nogomet-130898.jpgモドリッチは8月のバーミンガム戦での腓骨骨折からようやく戻り、12日のウォルヴァーハンプトン戦が復帰戦となりました(58分から出場し、結果は0-1で敗北)。
「全く痛みを感じていないことが最重要だよ。まだ僕は100%の調子ではない。プレー感は試合を重ねれば戻ってくるだろう」
と試合前に語ったように、ウォルヴァーハンプトン戦を観た限りではまだまだ本調子とは言えぬ状態でした。その一方でモドリッチの穴を埋めるほどの好調ぶりを見せているがクラニチャール。運動量やオフ・ザ・ボールの動きが課題と言われてましたが、それも克服しつつあります。
「自分の調子には満足しているよ。良いチームに所属したならば、良いプレーをすることはとても簡単だ。トットナムに移籍した初日、僕はチームが持つクオリティに熱狂していると言ったよね。ルカが戻り、これからウッドゲイトとキングが戻ったならば、僕達はプレミアリーグで一番の選手層を持つチームと言える」
とインタビューに答えています。既にチームの月間MVPにも選ばれており、ここ最近の移籍では最もコストパフォーマンスの高い選手だ、とも評価されています。
もう一人のクロアチア人のチョルルカ(写真)に関していえば、ここずっと踵の炎症に耐えながらのプレーを続けています。今季になって精細が欠けるシーンが目立つのはその怪我が原因。クロアチア代表のドクター、ボリス・メネツ氏は
「踵の炎症は手術できる怪我ではない。唯一の療法は安静に保つことだ」
と彼に5週間の安静を勧め、10月の代表合宿は不参加扱いになったものの、トットナムでは休むことなくプレーを続けることに。痛みを止めるために毎週のように血清か自分の血液を患部に注射せねばならず、どこかで休ませる時期が必要になってくるかもしれません。

(ちなみに写真はザグレブ市内の時計屋にかかるチョルルカがモデルのポスター)


posted by 長束恭行 |23:35 | サッカーニュース | コメント(0) |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加