2009年10月31日
ディナモ・ザグレブのサポーター、バッド・ブルー・ボーイズ(BBB)の暴れっぷりに関してはよく話題にしていますが、とうとう強烈なツケをクラブが払わされることになりました。
ヨーロッパ・リーグの対ティミショアラ戦で、BBBがティミショアラ市内とスタジアムで暴れ、131人が逮捕された事件を受け、29日にUEFAの罰則委員会がディナモに対して「この先ホーム2試合は無観客」に加えて「勝点3を没収」という処分を発表しました。
これまでディナモは3試合を終えて勝点3。まだホームでアヤックス戦とティミショアラ戦を残していることを考えれば、現在勝点5で首位に並ぶアンデルレヒトとアヤックスを抜くチャンスがあったのですが、この処分で勝点が0になったことで、グループリーグの敗退は濃厚となりました。3日間のうちに控訴は可能なものの、処分が軽減される望みは薄いとされています。
UEFAがこれだけの重い罰則を与えたのも、BBBには多数の前科があるためです。国外に出る度に何かしらのトラブルを引き起こる彼らは、まるで「フーリガニズム」の宣伝カーのような存在。昨年のUEFAカップ・対ウディネーゼ戦では、ウディネ市が試合前に無料で料理とワインを振る舞うなど温かいもてなしをしたのにもかかわらず、試合中に大量の発炎筒を投げ入れて試合を中断させました。その時はUEFAに対してロビー活動したこともあって、処分は1試合の無観客試合+罰金20万ユーロ(この額も過去最高ではありますが)で済んだのですが、「この先3年間に問題を起こしたら、次こそは…」という執行猶予もついておりました。しかしながら、ディナモのフロントに打つ手はなく、ティミショアラでの事件、そして今月22日にはアムステルダム(対アヤックス戦/結果は1-2)でも26人が逮捕されました。
ディナモのディレクターであり、同時にUEFA委員の立場としてロビー活動を行ったダミール・ヴルバノヴィッチ氏も、今回は大きな処分は免れないと覚悟を決めていたものの、蓋を開けたら余りに重い処分に深く嘆いています。
「これほどの処分に私はかなり驚愕している。ティミショアラの事件に関しては全く責任のないクラブにUEFAがここまで罰するとは予想もしていなかった。自分達をディナモのサポーターと呼び、国外に出る度にクラブとクロアチア国家に恥をかかせるようなフーリガンに責任があるのだが…。
これまでUEFAも辛抱してきたが、ティミショアラはコップから水が溢れる最後の一滴となった。残念だ。ディナモを心から愛し、どこでも応援に駆けつけるようなサポーターが95%なのに、そんな彼らが気の毒でならない。少数派のフーリガングループに対して国家が何も押さえることができなかった事実のせいで、サポーターの大多数が我々と一緒に損害を被ることになるのだから」
もちろん、ズドラヴコ・マミッチ副会長のリアクションも予想されたものでした。メディアから処分内容を聞かされると「驚愕だ!」と述べたのち、しばらく言葉を失いました。
「分からない、何を言ったらいいのか分からない…。恐ろしすぎる。全くもって信じられない。そんな罰則は過去に聞いたことがないし、最悪な処分だ」
クルノスラフ・ユルチッチ監督は
「最初に処分内容を聞いた時は全く信じられなかった。処分は予想していたものの、これほど強烈で悲しく、反スポーツ的な罰則になるとは思ってなかった。無観客試合はクラブの存続に関わるが、勝点まで没収されるのならば、"なぜサッカーをやるのか"という問題にまで進展してしまう。
我々はUEFAで良い扱いを受けてないことは以前より知っている。ヨーロッパ・リーグでは、第4審判の(私に対する)振る舞いやその他あらゆる点で、UEFAの扱いの悪さを常に感じていることを言わねばならない」
と不満を述べつつも、
「それでもこの先3試合に勝利できると信じている。私はオプティミストだし、我々全員が望む目標を実現させようと選手に自信を持たせられることを望んでいるよ」
と答えています。
かなり重い処分とはいえ、UEFAはヨーロッパの大会から追放という最悪のカードを引き抜いていません。
ここ3年間ではフェイエノールト、レギア・ワルシャワ、パルチザン・ベオグラードがサポーターの暴動で一年間の追放処分を受けています。12月2日のアウェーのアンデルレヒト戦で何かしらの対処をしなければ、BBBの過激派は意図的にトラブルを起こす可能性は避けられません。となると、いよいよ一年間のヨーロッパ大会追放処分を受けることになるでしょう。ちなみに1994年のオーゼール戦における暴動で、ディナモは一年ヨーロッパの大会から追放された過去があります。
BBBの中にはマミッチ副会長を好ましく思わないサポーターが多く、フロントが手を加えるのは無理な状況。国家レベルで対処しなければならないのですが、スタジアムの入場禁止や国外移動の禁止をしたところでも、フーリガニズムが一種のモードと考えるような輩が多くて歯止めが利かないのも事実です。人の迷惑も省みずに自己存在を暴力という形でアピールするような、大人に成りきれないガキの集団。「Boys」という響きが本当に陳腐に聞こえます。
posted by 長束恭行 |17:30 |
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2009年10月16日
16日、クロアチア・サッカー協会の記者会見がザグレブのホテル・シェラトンで行われ、スラヴェン・ビリッチがクロアチア代表監督を続投、コーチ陣も揃って続投することが発表されました。当初は退任会見になると推測されたことから、この発表は喜ぶべきサプライズとして迎えられています。
会見でビリッチは
「我々が将来もベンチに座るかどうかは、次の4つの事柄に左右された。我々コーチ陣の願望、選手の支持、クロアチア・サッカー協会の支持、そして国民の支持だ。
カザフスタン戦で選手達はコーチ陣に忠誠心を誓ってくれたし、今日の午前にはサッカー協会が我々の残留を希望してくれた。信じられないほどの国民の支持も感じている。とりわけ、予選最後の試合が終わった後にはね。
我々コーチ陣の願望に関して疑うことはない。なぜならこの選手達のグループを絶対的に信用しているからだ。全員に対する信用、モチベーション、モラル的な義務を私達は持っているんだ。それだけに代表の指揮を続けることに決めたのさ」
と続投の理由を答えました。次のユーロ予選ではチームに新たな変化を求めていくのか、との質問には
「ワールドカップ予選では目標は満たされなかったとはいえ、大きな変化を求めていかないつもりだ。もちろん、ある選手は代表ユニフォームと別れを告げるかもしれない。しかし、理性に基づいて我々は今回の予選を分析していくつもりだ」
と述べています。
また今回のワールドカップ予選の敗退に関しては
「不成功に終わったと言わねばならない。けれども常に我々は世界のトップクラスに位置している(現在のFIFAランクは8位)。予選のスタートから多くの怪我人とハンデキャップを抱えてしまい、敗退することとなった。しかしながら、イングランド戦を除けばどの試合でも我々は相手を上回っていたんだ」
と弁解しています。
サッカー協会の最高委員会の承認を受けたのち、ビリッチ並びにコーチ陣は新たな2年契約を結ぶことになります。この決定に大喜びしているのはきっと選手達で、屈辱をバネに次のユーロ2012に向けて全力を尽くすことになるでしょう。
ロベルト・コヴァチが代表引退し、追放したシムニッチとクリジャナッツの取扱など守備陣の再編・構成が大きな課題となりますが、しばらく時間もあるので予選敗北の分析をしっかりと進め、次の予選に向けて準備を進めて欲しいところです。ちなみにビリッチは「95%はこれまでと同じ路線で行く」と述べています。
posted by 長束恭行 |22:13 |
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