2009年05月29日

クロアチア・カップ決勝第2戦/ハイドゥク、激闘の末にPK戦で力尽く

クロアチア・カップ決勝第2戦「ハイドゥク・スプリトvs.ディナモ・ザグレブ」が28日、スプリトのポリュウド・スタディオンにて行われました。ザグレブでの初戦ではディナモがハイドゥクを3-0と一蹴。ここから引っくり返すのは至難の業でありながらも、ハイドゥクは最後の最後まで意地を見せました。

nogomet-91395.jpgディナモは18日にリーグ優勝を決めたものの、前節はホームでNKザグレブに敗れるなど緊張の糸が切れた状態。ユルチッチ監督は、鼠径部を痛めて万全とはいえないDFコヴァチをクロアチア代表のビリッチ監督の依頼もあって温存することに。第一戦同様に若いバルバリッチとロヴレンの二人を起用したものの、これが仇となりました。MFヴルドリャクはサスペンションで、アルゼンチンMFカレーリョがワンボランチを務めました。スタメンは以下のよう(4-1-4-1)。
GKブティナ-(右から)DFロヴレン、ビシュチャン、バルバリッチ、フルゴヴィッチ-MFカレーリョ-シヴォニッチ、バデリ、チャゴ、サミール-FWマンジュキッチ

ハイドゥクは前節に主力のほとんどを温存。その後はスプリト対岸のブラーチュ島で合宿を張り、集中を高めてきました。「ここの誰もがディナモのアドバンテージを埋められるものだと信じている」と逆転を疑わないミシェ監督は、FWバルトロヴィッチを加えたスリートップを初めて形成してきました(4-3-3)。
GKスバシッチ-(右から)DF M.ブリャト、ヴェイッチ、マロチャ、シェーリッチ-MFガブリッチ、スココ、アンドリッチ-FWイブリチッチ、カリニッチ、バルトロヴィッチ

怪我をも厭わないファウルの応酬が常のダービーマッチですが、ディナモは3点のリードを守るべくゲームを流し、ハイドゥクが早い先制点を奪おうと躍起になります。もちろん、ゴールチャンスもハイドゥクに生まれていきます。
nogomet-91396.jpg3分、カレーリョからボールを奪ったガブリッチ(写真左)は、ドリブルを加えて20mの距離からミドルシュートを放つも右ポストの外へ。11分には縦のロングボールにカリニッチが抜け出して右からシュートしますが、GKブティナが好反応で防ぎます。
20分にはアンドリッチがDFの裏を狙ってボールを送ると、カリニッチが再びバルバリッチを抜き去り、右から先ほど以上に近い距離でのシュート。しかしながら、ボールは枠を捕らえることができません。
次々にピンチを作られたディナモも次第にゲームを中和させていき、カウンターを伺うようになりますが、43分にバデリのクロスにチャゴがゴール前でヘディングシュートを外した以外はこれといった決定機が生まれませんでした。
ロスタイムにハイドゥクがペナルティエリア左でFKを得ると、アンドリッチが右足を振り抜きます。変化したボールはゴール右上隅へ向かいましたが、クロスバーの端を叩きゴールならず。ハイドゥクはゲームを支配しながら、前半をスコアレスで折り返します。

後半に入り、ハイドゥクのミシェ監督はポジションを修正。バルトロヴィッチを左ウィンガーに、ガブリッチをより高い右ウィンガーのポジションへと上げます。52分、シェーリッチの左クロスに、右でフリーとなったガブリッチがボレーシュートを試みるも吹かしてしまい失敗。しかし、フィニッシュにより多くの選手が顔を出す形は作れていました。ここからハイドゥクのゴールラッシュが始まります。
nogomet-91397.jpg56分、イブリチッチがペナルティエリアにパスを押し込むと、ロヴレンの足元からボールを奪ったカリニッチが左から近距離のシュートを叩き込み、均衡を破ります。
その1分後にはガブリッチの右クロスに、カリニッチ(写真)が中央でロヴレンとビシュチャンの二人を引き付け、ファーでフリーとなったバルトロヴィッチがヘディングシュートを決めて2-0。2万人のハイドゥク・サポーターが駆けつけたスタンドはトランス状態に陥り、発炎筒の煙で一時中断となりました。
そして75分、バルトロヴィッチが左からカリニッチに浮き球のパスを送ると、右足のワントラップから左足を振り抜いて3-0。怒涛の3得点で、ファイナルをとうとう振り出しに戻します。カリニッチのゴールまでの一連の動きに、若いロヴレンとバルバリッチは完全に足が止まりました。そのカリニッチは脚の怪我で出場が危ぶまれてましたが、ようやくゴールマシンとしての本領を発揮したと言えましょう。またバルトロヴィッチは契約延長が提示されず、今季をもって放出される選手ですが、最後となって存分に結果を残しました。
けれども、ハイドゥクは4点目を奪うまでの勢いはなくタイムアップ。勝負はPK戦へと持ち込まれました。

PK戦を想定して練習をしてきたハイドゥクに対して、まさかのPK戦に持ち込まれたディナモ。精神的にはハイドゥク有利なはずでした。しかし、ディナモの選手の冷静さばかりが目立ちます。
ビシュチャン、カリニッチ、サミールと決めたものの、途中交代で入ったベテランのロッソがGKブティナに食い止められます。
それからはバデリ、バルトロビッチ、モラレス、イブリチッチと決めて2-3。ディナモの5人目はフルゴヴィッチ。彼が決めれば勝ちだったのですが、元ハイドゥクの選手としてどちらのサポーターからも嫌われる彼には大きすぎるプレッシャーだったのでしょう。シュートは右ポストを逸れてしまいます。
続くハイドゥクの5人目はキャプテンのアンドリッチ。沈着冷静な彼ですが、左を狙ったシュートはGKブティナが完全に読んでいました。ディナモがPK戦を4-3で制し、カップ戦三連覇を達成。アンドリッチはピッチに泣き崩れてしまいました。

nogomet-91398.jpg4年連続無冠に終わったハイドゥクのミシェ監督(写真)は試合後、
「我々がディナモより優れたチームであることを示したのは間違いない。ザグレブでの初戦は"盗まれた"試合であり、トロフィーなしで終わることに我々は相応しくないと思っている。応援してくれた観客には悪いと感じているよ。けれども、このような試合を演じたことで、ハイドゥクの監督として誇りを抱いている」
と述べました。ミシェ監督はサポーターや選手の支持が強いとはいえ、監督をやたらと浪費するクロアチアでは進退問題に進展する可能性もあります。ディナモの全権を握るズドラヴコ・マミッチ副会長は
「ハイドゥクには頭が下がる思いだが、唯一ムードをぶち壊したのがミシェのコメントだ。ミシェが来季もハイドゥクの監督である限り、我々はまた二冠を制すると私は言いたい。奴は名誉に触れることなく、"盗み"のことばかり口にしている」
とミシェを批判していますが、これはミシェの監督としての技量を知った上で揺さぶりを掛けているとも言えましょう。ちなみにマミッチはハーフタイムにドレッシングルームに飛び込み、散漫なプレーをするサミールに発破を掛けたそうです。
ディナモのユルチッチ監督は、
「成功したことは嬉しいが、カップ優勝までの道のりには嬉しくないね。私が想像していたようなプレーをすることができなった。足元にボールを下ろしてハイドゥクの中盤の突くことで、マンジュキッチやシヴォニッチのスペースを作るべきだった。ハイドゥクが実力的に圧倒したのではなく、我々のディフェンスが混乱したのが彼らの勝因となった」
と語っています。

今季、ディナモとハイドゥクはリーグ戦とカップ戦を合わせて4試合戦い、ハイドゥクの3勝1敗。しかし、タイトルはいずれもディナモに流れてしまったことに地団駄を踏んでいます。それでも今年のハイドゥクは、ここ最近の低迷を考えれば大きな一歩を踏み出しました。多額の借金を株式化し、新たな投資マネーが入ったことで経営が健全化しましたし、このほど前監督のゴラン・ブチェヴィッチをユース・ディレクターに迎え、根本から改革を推し進める方向です。後はミシェ監督をチームから追い出すようなムードを作ることなく、長期プランでチーム作りを任せるのが一番だと思います。
今季も残すはリーグ戦最終節のみ。またしてハイドゥクはディナモをホームに迎えます。100%消化試合とはいえ、ダルマチアの雄としての意地を見せて欲しいところです。

試合のニュース動画はこちらで見られます。


報告が遅れましたが、24日に行われたクロアチア・リーグ第32節を。

前節で優勝を決めたディナモ・ザグレブは、ホームのマクシミール・スタディオンにNKザグレブを迎えました。
nogomet-91399.jpg今季のホーム最終試合。また試合後に優勝メダルとトロフィーの授与式を行う、ということで、チケット購入者の先着1万5000人までに優勝記念Tシャツを配るなど、クラブは「お祭り」ムードを作ろうと勤しみました。しかし、前節のリーグ優勝でサポーターは満足したせいか観客は1万5000人は集まることなく、選手たちもリーグ優勝に万速したせいかすっかり緊張感が切れたものでした(取材写真はこちら)
そんな中、ヴェルダー・ブレーメンへの移籍が濃厚とされるFWマンジュキッチは、得点王争いに蹴りをつけようと必死なプレーを見せます。しかし、それがいずれも空回り。39分、54分、67分と決めなければならないチャンスを逃してしまうと、77分、ザグレブのMFショヴシッチの縦パスをもらったベテランFWヴクリネツが左からシュートを決めて1-0。ザグレブはこの虎の子の一点を守りきり、想定外の勝利を収めました。
この敗北で授与式のムードも完全に壊れてしまい、メダルが授与されてもピッチにへたり込むマンジュキッチの姿は寂しいものでありました(写真中央)。

全試合の結果はこちら。

Dinamo Zagreb - Zagreb 0:1
0:1 76' Vugrinec

Sibenik - Osijek 2:1
1:0 14' Rodic
2:0 16' Zec
2:1 19' Milicevic

Varteks Varazdin - Inter 0:1
0:1 89' Batarelo

Zadar - Croatia Sesvete 1:1
0:1 64' Guja
1:1 79' Bilaver

Slaven Belupo - Hajduk Split 1:1
1:0 87' Maras
1:1 90' Aracic

Rijeka - Cibalia Vinkovci 2:0
1:0 72' An.Sharbini
2:0 90' An.Sharbini

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ (勝点73)…優勝
2位…ハイドゥク・スプリト (67)
3位…リエカ (56)
4位…スラヴェン・ベルーポ (52)
5位…シベニク (46)
6位…ザグレブ (44)
7位…オシエク (41)
8位…ヴァルテクス・ヴァラジディン (35)
9位…チバリア・ヴィンコヴチ (35)
10位…インテル・ザプレシッチ (33)
11位…ザダール (29)
12位…クロアチア・セスヴェッテ (22 [-1])
(クロアチア・セスヴェッテは移籍金未払いのため、勝点1が没収)

【ゴール】
15ゴール…カリニッチ(ハイドゥク)、マンジュキッチ(ディナモ)
14ゴール…ヴルチーナ(ベルーポ)、ゼッツ(シベニク)、シャルビーニ弟(リエカ)
12ゴール…シャルビーニ兄(リエカ)
11ゴール…シヴォニッチ(ディナモ)、イブリチッチ(ハイドゥク)、ムヤノヴィッチ(ヴァルテクス)、ヴグリネツ(ザグレブ)


posted by 長束恭行 |19:43 | サッカーニュース | コメント(6) |
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2009年05月22日

ウクライナ戦に向けたクロアチア代表メンバー発表

5月18日、ワールドカップ2位争いの大事な試合となるホームのウクライナ戦(6月6日・ザグレブ)におけるクロアチア代表メンバー24名が発表されました。

nogomet-89914.jpg怪我人続出で頭を悩ませる代表監督のスラヴェン・ビリッチ(写真)ですが、彼にとって大打撃となるのはFWエドゥアルド・ダ・シルヴァを完全に欠くことです。エドゥアルドは走ることすらままならない状態であり、復帰を急がず来シーズンに向けて準備することになりました。彼は代表不参加が決まったのち、アムステルダムで左足首に生じた骨の突起部分の撤去手術を行っています。
またDFイヴィツァ・クリジャナッツも足親指の骨折で不参加。ウクライナ選手をよく知るディナモ・キエフのDFゴラン・サブリッチを追加召集しようにも、彼も膝を怪我したばかりのため補欠候補として名前が挙げられています。
MFニコ・クラニチャール、MFダニエル・プラニッチ、DFロベルト・コヴァチらが回復待ち。GKスティペ・プレティコサ、MFニコラ・ポクリヴァチュ、MFイヴァン・ラキティッチ、FWイヴァン・クラスニッチはチームで出場機会に恵まれず、FWニコラ・カリニッチ、FWムラデン・ペトリッチも不調と、ビリッチ監督になってから過去最悪のチーム状態となっています。
コンディションや調子を重視してスタメンを組むつもりで、ツートップはイヴィツァ・オリッチに加えてマリオ・マンジュキッチの出場が濃厚とされています。
ビリッチ監督は記者会見の中で
「マンジュキッチは好調であることは私を喜ばしているよ。予選を通して彼は最も狭い代表枠に入っていたし、イングランド戦、ウクライナ戦、アンドラ戦にも出場した。だから、今はスタメンにかなり近いだろう」
と述べています。全メンバーはこちら。

GK:
スティペ・プレティコサ  (スパルタク・モスクワ/ロシア)
ヴェドラン・ルニェ     (ランス/フランス)
ダニイェル・スバシッチ  (ハイドゥク・スプリト)
DF:
ロベルト・コヴァチ     (ディナモ・ザグレブ)
ヨシップ・シムニッチ    (ヘルタ・ベルリン/ドイツ)
ヴェドラン・チョルルカ    (トットナム・ホットスパー/イングランド)
ダニイェル・プラニッチ   (ヘーレンフェーン/オランダ)
フルヴェイエ・ヴェイッチ  (ハイドゥク・スプリト)
ディノ・ドゥルピッチ     (カールスルーエ/ドイツ)
フルヴォイエ・チャレ    (トラブゾンシュポール/トルコ)
MF:
ダリヨ・スルナ         (シャフタール・ドネツク/ウクライナ)
ニコ・クラニチャール    (ポーツマス/イングランド)
ルカ・モドリッチ        (トットナム・ホットスパー/イングランド)
イヴァン・ラキティッチ     (シャルケ04/ドイツ)
イェルコ・レコ         (モナコ/フランス)
オグニェン・ヴコイェヴィッチ(ディナモ・キエフ/ウクライナ)
ニコラ・ポクリヴァチュ    (モナコ/フランス)
イヴァン・ユリッチ       (ジェノア/イタリア)
ドラゴ・ガブリッチ       (ハイドゥク・スプリト)
FW:
イヴィツァ・オリッチ      (ハンブルガーSV/ドイツ)
ムラデン・ペトリッチ      (ハンブルガーSV/ドイツ)
イヴァン・クラスニッチ    (ナント/フランス)
ニコラ・カリニッチ       (ハイドゥク・スプリト)
マリオ・マンジュキッチ    (ディナモ・ザグレブ)


フランスのリーグアンで優勝が濃厚なボルドーで現在売り出し中の19歳MF、グレゴリー・セルティッチにクロアチア・サッカー協会のスレブリッチ事務局長が接触を果たしました。正確にはセルティッチの父でクロアチア移民2世のジャン・セルティッチと話合いを持ち、現在はフランスU-19代表でプレーする息子がクロアチアA代表を選択することに関してポジティブな返答を得たようです。
クロアチア人の父、フランス人の母の間に生まれたグレゴリー本人もユーロ2008を見て以来、クロアチア代表でのプレーを希望しており、まずはパスポート取得から進めていくことになりました。スレブリッチ事務局長は
「いずれ、FIFAにクロアチア代表出場の許可を求めていくつもりだ。ツヴィタニッチ(アヤックス所属のFW/アルゼンチン生まれのクロアチア移民4世)のケースのような問題は生じないものだと考えている。なぜならセルティッチの祖先は随分と遅れて国外に出たわけだし(祖父が20世紀半ば)、ルーツは深いわけだからね。けれども用心して、賢く事を進めていかねばならない」
とコメントしています。
FIFAが2010年8月5日までに解決すればクロアチアU-21代表も選択できるようですが、今後の成り行きが気になるところです。


ディナモ・ザグレブやガンバ大阪、ジェフ千葉などを指導したヨシップ・クジェ監督(写真)が、このほどアルバニア代表監督に就任することが決まりました。契約は1年+オプション1年半で、既にワールドカップ予選敗退は確実なため、ユーロ2012予選に向けたチーム作りを進めていくことになります。
nogomet-89916.jpgアルバニアはオランダ人のアリー・ハーン監督を解任後、旧ユーゴを中心に監督を探しており、60人ほどの候補にはブランコ・イヴァンコヴィッチ(ディナモ、イラン代表など指揮)やイリヤ・ロンチャレヴィッチ(ディナモ、リビア代表など指揮)も挙がっていたのですが、2006年ワールドカップ予選でアルバニア代表を指揮したオットー・バリッチの推薦もあってクジェに決まりました。
「クロアチアの監督は世界でも最高水準だ。責任を持ってそう断言できる。そのことは、私が日本で監督をしていた時に知ったんだ。問題はクロアチアという舞台が小さいことにある。マーケティング活動なんてないし、他の強豪国のような力がサッカー協会にはないんだ」
と、昨今メディアで問われるクロアチア人監督の能力の有無に関する議論にこう反駁しました。また、この一年間、監督活動をしなかったことに関しては
「オファーはあった。けれども、この一年間はジェフ千葉との契約下にあったのさ。他の仕事を引き受け、契約上のお金を拒否したくはなかった。私は"日本の報酬"の上にあったんだよ」
と答えています。ビジョンとしては、
「ワールドカップ予選を勝ち抜く見込みはないが、予選の最後までにはモザイク状のチームを完全な形にするつもりだ。それが我々の目標であり、そのために私が選ばれたんだよ。アルバニアは欧州サッカーのクラスでいったら4番目だが、多くの若くて興味深い選手がいるし、大きな野心もある。だから、この代表チームは私にとって大きな挑戦なんだ。良い仕事を成し遂げるものだと信じている」
とインタビュー中で語っています。


posted by 長束恭行 |06:21 | サッカーニュース | コメント(3) |
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2009年05月18日

ディナモ・ザグレブ、クロアチア・リーグ四連覇

既にクロアチア・リーグ優勝にリーチを掛けていたディナモ・ザグレブが、5月17日、ホームのマクシミール・スタディオンで行われた第31節、対スラヴェン・ベルーポ戦で2-0で勝利。4年連続11度目のリーグ優勝を果たしました。

前日には選手たちを動員し、チケットを市民に無料配布した甲斐もあって(動画)、今年一番の入りとなる2万7000人の観客を集め、試合最初からお祭りの雰囲気でありました。
nogomet-89211.jpg9分にMFバデリがGKロディッチに倒されてPKを得ると、これをMFサミールが決めて先制。ベルーポも抵抗を見せましたが、52分にFWマンジュキッチがFWシヴォニッチのアシストから追加点を叩き出して2-0。前半は幾度となくマンジュキッチは決定機を外しており、観客のブーイングにさらされていただけに、彼自身、溜飲の下がるゴールでありました。
67分にはGKブティナがエリアの外で相手選手との一対一を潰したためにレッドカードをもらったものの、リードをしっかりと守りきり、選手・スタッフ一同が「1」と書かれた揃いのTシャツを着込んで優勝を祝いました。
選手達は二階建てのオープンバスに乗り、グラウンドを周ったのち、改めて優勝トロフィーで美酒を味わいました。

nogomet-89210.jpg
最終節までもつれると予想していたシーズンも、残り2節を残してディナモがライバルのハイドゥク・スプリトをうっちゃり、そして引き離した結果となりました。とはいえ、この4年間で最も激しかった優勝争いだっただけに面白かったといえば面白かったのですが、サッカーとは関係ない場所での問題や騒ぎも多く、辟易したことも随分とありました。 また、普段のディナモの観客動員は平均で3000~4000人ほどしか集まらず、こんな時にしかスタジアムに訪れないサポーター(ザグレブ市民)もいかがなものかと思いますし(そういうニワカ・サポーターに限って、スタジアムで私を見るや汚い言葉を言ってくるものです)、スプリトへの罵倒コールやMCの白々しい煽り方も飽き飽きしているので、撮影取材してきたものの、最後までリーグの優勝のお祝いを見届けずに帰ってきてしまいました。個人的にはディナモが贔屓チームとはいえ、今季はハイドゥク・スプリトが優勝すべきシーズンだったと思っています。ハイドゥクが首位に立った2月22日の「ハイドゥクvs.ディナモ」戦でスタジアムで味わった高揚感は忘れることはないでしょう。 連勝街道を突き進んでいたハイドゥクのミシェ監督がウィンターブレイク後にリスクを冒さないサッカーをし始めたこと、また冬にFWを補強しなかったために、一時はリーグ優勝間違いなしのムードを引っくり返されてしまいました。来季はハイドゥクの奮起を期待したいところです。 そうとは言っても、ディナモの優勝の価値は決して下がるものではなく、選手達、そして一度は絶望視されたチームを戦う集団にまとめ上げたユルチッチ監督を祝福したいと思います。 全試合の結果はこちら。 試合のところをクリックすると、クロアチア国営放送のダイジェストが見られます。 Hajduk Split - Sibenik 2:0 1:0 25' Pandza 2:0 45' Kalinic Inter Zapresic - Zadar 2:2 1:0 30' Bosec 1:1 55' Zupan 1:2 77' Saranovic 2:2 90' Gulic Osijek - Rijeka 1:2 1:0 11' Knezevic 1:1 30' Ah.Sharbini 1:2 82' Ah. Sharbini Cibalia Vinkovci - Varteks Varazdin 2:1 0:1 17' Ivancic 1:1 45' Simunac 2:1 58' Kujundzija Zagreb - Croatia Sesvete 0:0 Dinamo Zagreb - Slaven Belupo 2:0 1:0 9' Sammir (PK) 2:0 52' Mandzukic 【順位】 1位…ディナモ・ザグレブ (勝点73)…優勝 2位…ハイドゥク・スプリト (66) 3位…リエカ (53) 4位…スラヴェン・ベルーポ (51) 5位…シベニク (43) 6位…オシエク (41) 7位…ザグレブ (41) 8位…ヴァルテクス・ヴァラジディン (35) 9位…チバリア・ヴィンコヴチ (35) 10位…インテル・ザプレシッチ (30) 11位…ザダール (28) 12位…クロアチア・セスヴェッテ (21 [-1]) (クロアチア・セスヴェッテは移籍金未払いのため、勝点1が没収) 【ゴール】 15ゴール…カリニッチ(ハイドゥク)、マンジュキッチ(ディナモ) 14ゴール…ヴルチーナ(ベルーポ) 13ゴール…ゼッツ(シベニク) 12ゴール…シャルビーニ弟(リエカ)、シャルビーニ兄(リエカ) 11ゴール…シヴォニッチ(ディナモ)、イブリチッチ(ハイドゥク)、ムヤノヴィッチ(ヴァルテクス) 10ゴール…ヴグリネツ(ザグレブ)


posted by 長束恭行 |18:23 | サッカーニュース | コメント(0) |
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2009年05月14日

クロアチア・カップ決勝第1戦/ディナモ、ホームでハイドゥクを圧倒

nogomet-88417.jpg5月13日、クロアチア・カップ決勝第1戦「ディナモ・ザグレブvs.ハイドゥク・スプリト」が、ザグレブのマクシミール・スタディオンで行われました。観客は23,000人と、今季のマクシミールでは最高の入りです。

昨年12月に亡くなったナイーブアートの巨匠、イヴァン・ラヴジンがデザインしたカップ「ラヴジンの太陽」(写真)を賭けたカップ戦決勝は一発勝負ではなく、ホーム&アウェーにて行われます。クロアチアを代表する両雄が決勝であいまみえるのは6度目。これまで直接対決はハイドゥクが3度勝利と上回るものの(1993年、1995年、2000年)、ここ2度はディナモが勝利を収めています(2001年、2008年)。リーグ優勝がディナモの手中に収まった中、ハイドゥクに残されたタイトルはカップ優勝のみ。今季のハイドゥクはリーグ戦でディナモに2戦2勝を果たしているだけに、少しばかりの意地を期待して撮影取材に出掛けてきました。


ちなみに5月13日はディナモにとって、サポーターのバッド・ブルー・ボーイズ(BBB)にとっても特別な日です。
nogomet-88418.jpg今から19年前の1990年5月13日、クロアチア独立の気運が高まる中、単なる消化試合のはずだった「ディナモ・ザグレブvs.ツルヴェナ・ズヴェズダ」戦で、サポーター同士、そしてBBBとユーゴ連邦の警官隊が衝突しました。詳しい話は7年前に書いたレポート「検証-1990.5.13 」がありますので、ご覧になって下さい。最近になって、ボバンに蹴飛ばされたムスリム人警官のアフメトヴィッチ氏が同僚からボバンを射殺するよう説得されたものの、アフメトヴィッチ氏が断固拒否した、なんてエピソードも明らかになっています。その後の独立戦争に従軍し、亡くなったBBBに向けたモニュメントには多くのロウソクと花が添えられていました(写真)。


ディナモはDFコヴァチ、FWスレピチュカが前節のシベニク戦で負傷。コヴァチの代わりにユース出身のDFバルバリッチ、スレピチュカの代わりにFWシヴォニッチをスタメン起用し、以下の布陣を敷いていきました(4-4-2、中盤ひし形)。
GKブティナ-(右から)DFロヴレン、ビシュチャン、バルバリッチ、フルゴヴィッチ-MFヴルドリャク-トメチャク、サミール-バデリ-FWシヴォニッチ、マンジュキッチ

一方のハイドゥク。主将のアンドリッチが前節リエカ戦の試合後、主審に暴言を吐いたとして3試合の出場停止処分を受けました。規律委員会の余りの早い処分にはディナモの思惑が働いたと言われていますが、攻守の要である彼抜きは大きなハンデと言えます。スタメンは以下のようです(4-4-2、中盤フラット)
GKスバシッチ-(右から)DF M.ブリャト、パンジャ、ヴェイッチ、シェーリッチ-MFガブリッチ、スココ、リニッチ、トマソフ-FWイブリチッチ、カリニッチ

nogomet-88419.jpgディナモはユルチッチ監督が求めるハードワークに加え、縦へのシンプルな攻撃を軸にしてチャンスを作っていきます。6分、右サイドのマンジュキッチ(写真中央)が相手ディフェンスの裏にボールをふわっと送ると、シヴォニッチが抜け出してGKと一対一に。右からシヴォニッチは左足でシュートを狙うも、ボールは左ポストの脇へ。
ビッグチャンスを逃したディナモですが、13分、スタジアムが歓喜に包まれます。ハイドゥクのセットプレーが不発に終わると、ビシュチャンが自陣をドリブルで2人かわしてピッチ中央のバデリへ。バデリは素早く縦にポンと蹴り出すと、DFの裏に抜けたマンジュキッチに。彼は飛び出したGKスバシッチの頭上を抜くループシュートを放ち、ボールはハイドゥク・ゴールへと吸い込まれました。このカウンター攻撃がずばりと決まり、ディナモが先制に成功します。ハイドゥクの守備陣には足の速い選手がいないのにもかかわらず最終ラインを高く上げており、マンジュキッチ、シヴォニッチ、トメチャクといった俊足のアタッカーが常に脅威となりました。
ハイドゥクの手の内としては、エースストライカーのカリニッチにボールを当てて、イブリチッチやガブリッチのサポートを待つぐらいですが、いずれも本調子とは遠い状態。16分、ロングパスを受けたカリニッチが背にしたビシュチャンをかわしてシュートまで持ち込んだものの、力弱いシュートはGKブティナにキャッチされます。
nogomet-88420.jpgここからハイドゥクは判定に泣かされます。28分、サミールの左CKの場面で、パンジャがヴルドリャクを引き倒したとしてマリッチ主審はPKの判定。倒したのは事実なのでPKといえばPKですが、CKのボールそのものは遥か二人の頭上を越えていただけに多少厳しい判定とも言えましょう。サミールがあっさりとPKを決めて、2-0とリードを広げます。
その直後、ミシェ監督はPKを与えたパンジャをベンチに下げ、J.ブリャトをセンターバックに送り込みますが、この交代が裏目に出ます。わずか3分後、J.ブリャトはマンジュキッチとの競合いの際に右手で顔面を叩いてしまって一発退場。ハイドゥクは数的不利に立たされます。ディナモ守備陣もカリニッチに激しいタックルをかましていたのですが、マリッチ主審はディナモに甘めの判定を下しました。
そして前半ロスタイム、ドリブルで逃げるマンジュキッチに背後からリニッチがタックル。マリッチ主審はリニッチに対してもレッドカードを出し、とうとうハイドゥクは9人で後半を戦うはめになりました(写真)。

nogomet-88421.jpg圧倒的なアドバンテージを得たディナモですが、ハイドゥクが前線にカリニッチ(写真左)を1人残し、8人でゴール前に壁を築いたことで縦への攻撃を封じ込めます。
しかしながら56分、トメチャクの右クロスにマンジュキッチがDF二人に囲まれながらヘディングシュートを叩き込んで3-0。マンジュキッチは2人を退場送りした上に2得点と、文句なしのマン・オブ・ザ・マッチです。
しかし、これで安心したのか、ディナモはハイドゥクの反撃を許します。73分にイブリチッチのFKはGKブティナがかろうじて触れたことで右ポストを叩き、75分にはスココがヘディングで繋いだところをペナルティエリアのカリニッチがボレーシュートするもGKブティナが好反応で守ります。82分にはカリニッチが3人に囲まれながら右のガブリッチにボールを送り、得意の左足でシュートするもボールは左ポストを逸れていきました。
しかし、守備に追われ続けたハイドゥクのチャンスはここまで。ディナモが3点という大きなアドバンテージを得て、5月28日のスプリトでのアウェーマッチを迎えることになりました。

試合後、最初に記者会見に現れたハイドゥクのミシェ監督(写真右)は浮かない顔をしながら
nogomet-88422.jpg「こんな試合の後に何かを口にするのは難しい。ディナモの方が優れていたし、より積極的で、より縦への力があった。勝利を強く望んだのは彼らの方で、この成功に値すると思う。
しかしながら、我々は9人になってからの方が、ようやく持ち前のサッカーができた。ゴールを決めるチャンスもあった。もしゴールを決めていたのならば、第二戦で引っくり返す可能性も大きくなったのだろう。しかし、諦めるつもりはない。ディナモのアドバンテージに関係なく、トロフィーを奪うために全力を出すつもりだ。ディナモにとってポリュウド・スタディオンの試合は難しいものになるだろうし、地獄が待っているとさえ言えるだろう」
とコメントしています。
記者陣から拍手で迎えられたディナモのユルチッチ監督(写真左)は
「偉大なハイドゥク相手の勝利にハッピーだし、満足をしている。3-0で勝利したわけだけど、もしかしたらゴールをもっと決められたかもしれない。選手たちがセーブしてしまい、ハイドゥクにとどめを刺すほどの冷酷さが無かったことは残念だが、3-0という結果に私が満足していないと言ったのならば余りにも傲慢すぎるだろう」
と淡々と語りました。

これで今季もまたディナモの二冠が濃厚となりました。二つのタイトルを左右するこの10日間、ディナモは今季最高のサッカーを展開し、ハイドゥクは今季最悪の調子を迎えてしまったことが、明暗を分けました。ハイドゥクにおけるキーマンはダブルボランチのスココとアンドリッチであり、彼ら二人が揃った時の勝率は特別高いわけですが、一人でも欠けてしまうとチームバランスが崩れること、また年齢的にこの連戦はきつかったことがチームの失墜に繋がったと言えます。もちろん、カリニッチがゴール欠乏症に陥ったのも原因ではありますが。
5月28日にはカップ戦第2戦、5月31日にはリーグ最終節でスプリトのポリュウド・スタディオンにて両チームが対決しますが、ディナモは敵地で二冠のフィナーレを祝うことになりそうです。

ちなみにクロアチア国営放送のニュース動画はこちらで見られます。


posted by 長束恭行 |20:09 | サッカーニュース | コメント(0) |
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2009年05月14日

クロアチア代表MF/DFダニエル・プラニッチ、リバプール移籍秒読み

オランダのヘーレンフェーンに所属するクロアチア代表MF/DFダニエル・プラニッチ(27)が、リバプール移籍の実現に近づきつつあります。

nogomet-88353.jpgクロアチア代表では左SBを務めている彼ですが、今季のヘーレンフェーンではMFとしてリーグ戦、カップ戦、UEFAカップで31試合に出場し、21ゴールと荒稼ぎしており、幾つものクラブが関心を示していました。リバプールは2007年のイングランドvs.クロアチア戦以来、プラニッチのことを追っており、前節の対AZアルクマール戦も公式に視察。またプラニッチの代理人Soren Lerby氏がリバプールと交渉をし、満足する条件を提示してもらったようです。移籍金は800~900万ユーロ辺りと推測されています。
プラニッチの心も既にリバプールにあるようで、クロアチアのスポーツ紙Sportske Novostiのインタビューでは
「もしかしたら両クラブは合意しているのかもしれないが、リーグ戦とカップ戦が終わるまでは平穏にさせておきたいのかもしれない。でも、直ぐに分かることだろうね。リバプールで僕がプレーする可能性は高いだろう。
高額な移籍金を巡ってクラブ間で綱引きはある。けれども不況の世の中だから、本物のオファーが届いたら僕の移籍に障害を起こさないとクラブの人たちは言ってくれている。700~800万ユーロで手放すだろうが、それ以下では無理だと思うんだ。なぜなら、他のクラブも高額の移籍金を提示しているからね。しかし、今の僕にはリバプールしか興味がないよ。
僕のリバプールの移籍は、今季の僕の素晴らしいプレーに大きく寄与しているんだ。21ゴールという数字は、一人のMFには大きなものだと思っている。今季、背番号10を背にした選手で僕以上にゴールを決めた選手がいるかは知らないよ。だから、世界最強のリーグで実力を証明したいのさ。そして素晴らしいサポーターたちと世界で最も美しいサポーターソング"You'll never walk alone"を歌ってみたいんだ」
とコメントしています。

サイドの仕掛けとスピード、またミドルシュートに定評のあるダニエル・プラニッチは1981年12月2日、クロアチア東部のナシツェ生まれ。オシエクでプロのキャリアをスタートしたのち、2004年夏にFWゴラン・リュボイェヴィッチ(現ヘンク)とセットでディナモに移籍しました。しかし、ディナモではフィットせず、チームも低迷。同年にUEFAカップで対戦したヘーレンフェーンが半年後に移籍金50万ユーロで獲得すると、それから4シーズンはチームの主力として、またオランダ・リーグでも随一の左アタッカーへと成長しました。クロアチア代表には2004年9月に初選出。中盤の競争は激しく試合になかなか出場できませんでしたが、ユーロ2008予選が終了するとビリッチ代表監督が彼を左SBへとコンバートしたことで定位置を確保。これまで21キャップを数えています。


posted by 長束恭行 |00:26 | サッカーニュース | コメント(3) |
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