2008年09月23日

クロアチア・リーグ第8節/ハイドゥクがディナモに完勝、5年ぶりのアウェー勝利

21日、クロアチア・リーグ第8節が行われました。

nogomet-48214.jpg注目カードは今季初対決となる「ディナモ・ザグレブvs.ハイドゥク・スプリト」。クロアチア・リーグでは52度目の対決となります。いつも閑古鳥の鳴くマクシミール・スタディオンでも、この両雄の対決となるとかなりに埋まるものなのですが、昨日は7000人ほどしか集まりませんでした。ここまで観客の少ないダービーはここ最近はほとんど記憶になく、ソースによると2003年8月31日にほぼ同数の観客しか集まらなかったようです。個人的にもダービーならではの高揚感がなく、普段のカードと同様にスタジアムへと足を運んだ感がありました。
理由としては、9月に入ってから代表のカザフスタン戦とイングランド戦、そしてUEFAカップのスパルタ・プラハ戦と続き、サポーターが散財を嫌がったこと。また現時点で両チームの勝点差は6と開き、ここ最近はディナモの優位性が目立っているだけにダービーの価値が低くなっていること。そして一日雨でぐずつき、9月としてかかなり冷え込んだこと。最後にディナモのチームそのものに魅力がないことが挙げられます。そんな中で1300人のハイドゥク・サポーター「トルツィダ」がやってきました。ディナモ・サポーター「BBB」とほぼ同数ということもあり、互角の応援を繰り広げました。

ディナモは不調のFWバラバンをベンチスタート。また試合に出たら両サポーターから槍玉に挙げられるだろうSBフルゴヴィッチもベンチに置き、イバネスを3試合連続で先発起用してきました。スタメンは以下のようです(4-2-3-1)。
GKブティナ-(右から)DFミキッチ、ドゥルピッチ、ビシュチャン、イバネス-MFヴルドリャク、チャゴ-モラレス、タディッチ、サミール-FWマンジュキッチ

一方のハイドゥクは、DFジブコヴィッチが累積警告で欠場したためにMFアンドリッチを最終ラインに下げました。ボランチをスココ一枚にして、その前列に攻撃的な4人、そしてワントップにカリニッチと、ユーロ2008を制覇したスペインのような4-1-4-1の布陣。試合前からヴチェヴィッチ監督は「賢く、かつ攻撃的にプレーする」と述べており、それを体現してきました。
GKスバシッチ-DFルビル、アンドリッチ、パンジャ、ストゥリニッチ-MFスココ-バルトゥロヴィッチ、ティチノヴィッチ、イブリチッチ、ガブリッチ-FWカリニッチ

nogomet-48221.jpg試合前からハイドゥクの選手たちはインタビューで自信を覗かさせていたように、ハイドゥクはしっかりとディナモの対策を練っていました。ディナモがボールを持つものの、ハイドゥクはプレッシングを常に維持することでディナモの攻撃を無力化していきます。ディナモはサイドに置いたMFサミールとモラレス(写真左)がスピードもなく、ボールをキープしすぎる嫌いがあるため攻撃がまどろっこしくなり、またチーム全体が3日前のスパルタ戦の疲れを引きずっていたのもプレー内容の悪さに影響していました。
前半の半分はそれぞれがチャンスを作れなかったのですが、25分、ハイドゥクはティチノヴィッチの右クロスをカリニッチがポストとなり、バイタルエリアのイブリチッチ(写真右)へ。イブリチッチはノートラップで強烈なミドルシュートを放ったものの、GKブティナの好セーブに防がれます。
ディナモも29分、モラレスから縦パスをもらったタディッチが囲まれながらシュートしますが、クロスバーを遥かに越えていきました。39分にもミキッチの右クロスにタディッチがヘディングシュートを試みるものの力なく、GKスバシッチにあっさりとキャッチされます。

nogomet-48223.jpgゴール前の攻防に乏しかった前半でしたが、その45分間を上手くコントロールしてきたハイドゥクが後半に牙をむきます。
51分、左のストゥリニッチからピッチ中央付近でパスをもらったバルトゥロヴィッチが、ビシュチャンをかわしてドリブルで縦へ突進すると、右で併走したカリニッチにペナルティエリア手前でパス。カリニッチはドゥルピッチをイバネスを引きつけ、右にはたいたところにフリーのガブリッチが。ガブリッチ(写真右)は飛び出してきたGKブティナの右を抜くシュートを左足で叩き込んで、ハイドゥクが先制に成功します。
54分にディナモは攻撃にリズムを作れないモラレスを下げ、FWバラバンを送り込みます。しかし、今のバラバンでは攻撃の足を引っ張るだけでした。前半は五分五分だったボールポゼッションでも次第にハイドゥクが上回り、ディナモはハイドゥクの攻撃をファウルで止めるのが精一杯。
71分にはイバネスがペナルティエリアでガブリッチのクロスボールを手で止めたものの、スヴィロコス主審はPKを与えずに終わります。その1分後には左サイドでバルトゥロヴィッチが二度の切り返しでミキッチをあっさりとかわし、フリーでゴール右上隅を狙ってシュートしましたが、わずかに枠を逸れていきました。
nogomet-48224.jpgそして76分、ガブリッチが左クロスを入れたところにポスト役のカリニッチがヒールで芸術的なお膳立て。イブリチッチが右下隅にシュートを決めて、2-0とリードを広げます。
集中力が切れてしまったディナモはこのゴールでノックアウト。ロスタイム4分の間にシュートチャンスはあれどモノにできずに敗北。ハイドゥクは2003年4月12日以来のマクシミールでの勝利を収めました。ハイドゥクがアウェーでディナモを倒したのはこれで4度目。開幕は低迷し、その後もかろうじて勝ちを拾ってきたハイドゥクですが、今季初ともいえる会心の勝利をライバル相手に収めて2位に浮上。首位ディナモとの勝点差を3に縮めました。
BBBは不満をマミッチ副会長に矛先を向け、「マミッチのジプシー野郎」のコールを繰り返し、トルツィダはここぞとばかり喜びを爆発。ハイドゥクの選手たちと万歳を繰り返しました。


試合後、ハイドゥクのヴチェヴィッチ監督(写真)は
nogomet-48226.jpg「特別に嬉しいよ。とうとう5年ぶりにザグレブで何かを成し遂げたのだからね。試合開始からサポートしてくれたサポーターにこの勝利をプレゼントしたい。長く待ってくれただけに、彼らにお返しできたのじゃないかな。
選手たちにはハートだけでプレーすることはないよう要求した。なぜなら、ハートばかり問うと結果はしばしば悪くなることは分かっていたからさ。全ての選手が非常に賢くプレーしたことは、今日の最大の収穫だ。ディナモが悪かったから我々が勝利したとは考えていない。むしろ、我々のプレー内容が良かったから勝利したんだ」
とポジティブなコメントを残しています。

その一方で「今季で最も重要な試合だ」と語りながらも敗れてしまった"プロフェッサー"ことディナモのイヴァンヴィッチ監督は
「ハイドゥクは勝利に値した。これは我々にとって負けることが許さなかった試合とはいえね。難しい試合になることは意識していた。相手にとっては失うものがなかわったわけだし。我々にはアグレッシブさが欠け、最終ラインや中盤での速いボールの流れも欠けていた。ほとんどチャンスを作れなかったが故の結果だ」
とコメント。前節のザグレブ戦で今季のリーグで初めて勝点を落とし(2-2)、スパルタ戦もまたドロー(0-0)。そして今節のハイドゥク戦の敗北でディナモは危機に陥りつつあります。しかしながら、今回のハイドゥクの勝利はリーグを盛り上げる意味でも大きな価値があったのではないでしょうか。

全試合の結果はこちら。
今節から国営放送で夕方の5試合を中継で繋ぐ「Volim nogomet」という番組がスタート。クロアチア・リーグの国民の関心を高めようというのが目的の一つですが(事実、国外の試合を放送するよりもクロアチア・リーグを放送した方が視聴率が高かったりします)、それとは逆にスタジアムに足を運ぶ人が少なくなるのでは、との危惧もあります。ちなみにこの5試合の平均観客はわずかに900人ほどでした。
この「Volim nogomet」はクロアチア国営放送のサイトで生放送で見られますので、もし関心があるようならばご覧になってみて下さい(この先2節は日曜の16時から→日本時間では23時から。11節以降は15時から放送)。
また試合名をクリックすればクロアチア国営放送のダイジェスト動画が見られます。

Dinamo Zagreb - Hajduk Split 0:2
0:1 51' Gabric
0:2 76' Ibricic

Rijeka - Osijek 0:0

Inter Zapresic - Zagreb 1:1
1:0 29' Bule
1:1 82' Krstanovic

Croatia Sesvete - Varteks Varazdin 4:0
1:0 43' Juros
2:0 45' Cicak
3:0 53' V.Petrovic
4:0 81' Vojnovic

Cibalia Vinkovci - Zadar 1:0
1:0  7' Marlcic

Sibenik - Slaven Belupo 3:0
1:0  7' Rodic
2:0 18' Goviv
3:0 32' Alispahic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ (勝点19)
2位…ハイドゥク・スプリト (16)
3位…チバリア・ヴィンコヴチ (14)
4位…スラヴェン・ベルーポ (13)
5位…ザグレブ (12)
6位…クロアチア・セスヴェッテ (11)
7位…リエカ (11)
8位…シベニク (10)
9位…ヴァルテクス・ヴァラジディン (10)
10位…オシエク (9)
11位…インテル・ザプレシッチ (8)
12位…ザダール (1)

【ゴール】
6ゴール…カリニッチ(ハイドゥク)
5ゴール…マンジュキッチ(ディナモ)
4ゴール…ドディク(インテル)、シヴォニッチ(インテル)、ヴルチーナ(スラヴェン)、バラバン(ディナモ)、マルチッチ(チバリア)、ペトロヴィッチ(セスヴェッテ)
3ゴール…バビッチ(オシエク)、スムレカール(ヴァルテクス)、ヴグリネツ(ザグレブ)、モラレス(ディナモ)、ミリチェヴィッチ(オシエク)、ブーレ(インテル)、ガブリッチ(ハイドゥク)


posted by 長束恭行 |18:49 | サッカーニュース | コメント(0) |
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2008年09月21日

UEFAカップ一回戦/ホームのディナモ、スパルタ・プラハとスコアレスドロー

nogomet-48047.jpg取材していたのにもかかわらず報告が遅れてしまいましたが、UEFAカップ一回戦第一戦「ディナモ・ザグレブvs.スパルタ・プラハ」のレポートを。

昨年はこのラウンドで格上のアヤックスを倒してリーグラウンドに進んだディナモ。ただし、昨季よりもディナモはチーム力が落ちており、相手が同格のスパルタ・プラハとはいえ、試合前から苦戦することは予想されていました。客寄せのため先着2万人にはTシャツを配ったものの、期待感を表すかのごとく、1万4000人ほどの観客に留まっています。

ディナモは左SBフルゴヴィッチが累積警告ということもあり、アルゼンチン人のイバネスを起用。外国人4人を含む以下のスタメンとなりました(4-4-2)。
GKブティナ-(右から)DFミキッチ、ドゥルピッチ、ビシュチャン、イバネス-MFモラレス、ヴルドリャク、チャゴ-サミール-FWバラバン、マンジュキッチ

スパルタは今季のリーグで2失点という堅い守備が売り。元チェコ代表でリバプールでも活躍したMFベルガーが負傷で欠場。それに加えて3人のレギュラーが欠場しており、11人のチェコ人のみで固めた以下のメンバーで挑んできました(4-1-4-1)。
GKコザチク-DFクデラ、ヴォリシェク、レプカ、ハド-MFフシェク-クリッチ、キセル、ヴァツェク、マトゥショヴィッチ-FWスレピチュカ

nogomet-48045.jpgディナモはシャフタール戦のような受身にならず、前へ前へと仕掛けるものの攻撃を急ぎすぎてロングボールに頼りがち。一方のスパルタはワイドに深く守ることで危険な場面を作らせないよう試みます。
いきなり開始1分、ペナルティエリアでマンジュキッチがボールをトラップするところをクデラが背後から倒したものの、ホームタウンデシジョンはなくPKを貰えずに終わります。
9分にはミキッチの右クロスにマンジュキッチがヘディングでシュートを放ったものの、GKが飛び出してガラ空きのゴールにボールが収まりません(写真)。
スパルタも21分、スレピチュカがドゥルピッチをかわしてゴール右下を狙ってミドルシュートを放つも、ボールはわずかに逸れていきます。
ディナモのパターンに要領を得てきたスパルタのディフェンスは、荒々しいプレーで知られる元チェコ代表レプカを中心にバラバンとマンジュキッチを封じ込め、前を向いてシュートを打たせるようなチャンスを作らせません。

後半も前半と同じようにディナモがボールを持つものの、打開策が見つからないまま時が進みます。
nogomet-48046.jpgイヴァンコヴィッチ監督は58分にサミールに代えてFWタディッチを投入すると、チャンスらしき形が生まれていきます。
65分、モラレスの右クロスに左のマンジュキッチがボレーで中央に折り返し、そこにタディッチが飛び込むもののボールに届かず。
73分にはタディッチが右サイドをドリブルで抜けながらシュートしますが、力のないシュートがGKコザチクの正面を突きます。
その2分後にも左サイドのクロスにレプカがクリアしたボールをマンジュキッチが奪い、左からシュートするもこれまたGKコザチクの正面。
終盤に近くなると守備に難のあるイバネスが狙われ、左サイドを抜かれる場面が出てきましたが、ビシュチャン(写真左)がよくカバーして救います。
逆に89分、イバネスが自慢の突破力で左からペナルティエリアへと侵入するものの、中央への折り返しにミキッチが満足なシュートを打てずに終わります。
シュート数はディナモの12本(枠内7本)に対し、スパルタは3本(枠内0)と大きな差がついたのですが、スパルタの術中にはまり、スコアレスドローで終わってしまいました。

試合後にイヴァンコヴィッチ監督は
「我々の方が良いチームだっただけに勝利できなかったことに悔いが残る。やれる全てのことはしただけに、選手たちに何も批判はできない。努力はしたし、一致団結はしていた。チャンスはあっだけど、スパルタのブロックを崩すのは困難だった」
とコメントしています。初戦のホームを0-1で終えた昨年のアヤックス戦を考えればまだまだ希望を持てる結果だけに、10月2日のプラハでの試合はまず1点をもぎ取るゲームプランを作ってくるはず。しかしながら、今のディナモは意外性のある得点パターンがなく、危険なマンジュキッチを走るだけ走らせ、バラバンに外すだけ外させるというのがオチになりつつあります。


クロアチアのチームが出場したUEFAカップのもう一試合は「スラヴェン・ベルーポvs.CSKAモスクワ」。スラヴェン・ベルーポは格上のギリシャのアリスを予備戦二回戦で倒し、ロシアの強豪をホームのグラツキ・スタディオンに迎えました。当初はこのラウンドの試合開催をするための条件をスタジアムが満たしておらず試合開催が危ぶまれたものの、最終的には認可が下りてほぼ満員の4500人の観客が集まりました。

ほぼベストメンバーのCSKA相手にスラヴェン・ベルーポは互角以上の戦いをします。よく組織された守備で個々の能力に頼るCSKAの攻撃を食い止めると、カウンター、ハーフカウンターを浴びせていきます。
22分、右サイドをFWユリッチが疾走すると、ファーポストに走り込んだFWヴルチーナへラストパス。合わせればゴールという場面でしたが、わずかに足が届きません。
37分にはCK後の混戦からMFグルグリーナがシュートを放ったもののクロスバーに叩かれます。
次々とチャンスを作ってくるスラヴェンにグロッキー状態となったCSKAが崩れたのは43分、MFポサヴェツの右CKに左サイドでDFログリがボレーで前へと放り込み、それにユリッチがロシア代表GKアキンフェエフの目測を外すかのように合わせて先制点を奪います。

後半もスラヴェンの勢いはかわらず、52分にヴルチーナがカウンターから左サイドでDF一人をかわしてシュートするもGKアキンフェエフが好セーブ。58分にもヴルチーナの鋭いFKがCSKAゴールを襲うものの、アキンフェエフが救います。
予想以上の戦いぶりをみせたスラヴェンでしたが、最後の10分間でやられてしまいました。81分、大きな蹴り込んだ左からのFKのボールを、ファーポストでDFベレブツキが右から折り返すと中央にはブラジル代表FWヴァグネルが。ボレーで叩き込んで同点に追いつきます。
そして89分、スラヴェンのカメルーン人MFニェンクが左サイドから侵入するMFドザゴイェフを倒してPK。これを決められて、1-2で試合終了。スラヴェンとしては大金星の機会を失いましたが、
「本当に驚いたことを私は認めなければならない。スラヴェンは若くて良いチームだよ。たくさんの優秀な選手がいて、とりわけ背番号20の選手(MFグルグリーナ)は良い選手だった」
と、CSKAのガザイェフ監督も相手が予想外の実力を持っていたと試合後に語りました。こちらも10月2日にアウェーの第二戦が行われる予定です。

クロアチア国営放送によるニュース映像は以下で見られます。

ディナモ・ザグレブvs.スパルタ・プラハ
スラヴェン・ベルーポvs.CSKAモスクワ


posted by 長束恭行 |23:15 | サッカーニュース | コメント(1) |
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2008年09月18日

クロアチア・リーグ第7節~ディナモの連勝記録ストップ/シミッチ代表引退

14日、クロアチア・リーグ第7節が行われました。

勝点差が8も開いているとはいえ、首位と2位の対決となった首都ダービー「ザグレブvs.ディナモ」が、ザグレブの本拠地クラニチェヴィチェヴ・スタディオンで行われました。
降りしきる雨のせいで観客は1500人止まり。試合が国営放送で生放送されたこともあって客足は伸びなかったわけですが、シュート数が両チームで合わせて41本、枠内シュートが22本という数字が示すように、チャンスが多いエキサイティングな試合となりました。
nogomet-47532.jpg構図としては攻めるディナモに対し、常にカウンターを伺うザグレブ。ディナモは木曜日のスパルタ・プラハ戦でフルゴヴィッチが出場停止のため、左サイドバックに守備に難のあるアルゼンチン人のイヴァネスを起用したこともあり、ザグレブは右サイド、つまりディナモの左サイドを狙っていきます。
先制点は24分、ザグレブDFミクリッチがペナルティエリア内で突破を仕掛けたMFマンジュキッチを背後からタックルで引っ掛けてPKを与えてしまい、これをバラバンが右へと決めます。
逆に33分、今度はディナモMFチャゴがMFブルクリャチャを手で捕まえて倒したことでザグレブにPK。MFパルロフが右に決めて同点に追いつきます(写真)。
ロスタイムにはザグレブDFチュトゥラがマンジュキッチをペナルティエリアで倒し、この試合三度目のPK。しかしながら、ザグレブGKシュコリッチはバラバンが一本目とは逆方向の左に蹴ることを読んでおり、PKをストップ。前半は1-1のまま折り返します。GKシュコリッチはPKだけでなく、この試合では何度もディナモの100%のチャンスを止めていきました。

nogomet-47533.jpg後半に入ってザグレブが次々とチャンスを迎えたもののゴールに結び付けられずに終わると、52分、ディナモはMFサミールが右サイドから崩し、ファーのマンジュキッチにラストパス。シュートに力強さはなかったものの、コースが良いこともあってネットに吸い込まれ、2-1と勝ち越します。
59分にはマンジュキッチのお膳立てでバラバンが決定機を迎えたものの、近距離のシュートはクロスバーの上に。72分、73分とマンジュキッチがシュートするもののGKシュコリッチがセーブ。イングランド戦で代表初ゴールを決めたマンジュキッチ(写真)は、古巣が相手でも容赦せずに危険なシーンを作りました。
ディナモに負けじとチャンスを作りながら、この試合から復帰したGKブティナの好セーブもあってゴールを奪えなかったザグレブですが、83分、MFペイッチが左サイドでDFロヴレンを振り切ると角度のないところからブティナの頭上にシュートを叩き込んで同点に追いつきます。
ロスタイムにはザグレブのFWクルスタノヴィッチが決定機を決められず、またディナモのバラバンはゴール前で足を滑らしたDFカルテロからボールを奪い、あっさりと決めるべきシーンを吹かしてしまい、電光掲示板の表示は2-2のままタイムアップ。ザグレブはエースのFWヴグリネツを負傷で欠きながらも、ディナモと充分に張り合い、今季のディナモの連勝記録を「6」でストップさせました。


nogomet-47536.jpgハイドゥク・スプリトはホームでシベニクと対戦。負傷のカリニッチを無理に起用するほど得点力不足に泣いているハイドゥクは、リスクを犯すことなく守りに徹する相手と次々とシュートを跳ね返すGKスラヴィツァにてこずりましたが、24分にMFアンドリッチ→MFスココ→MFイブリチッチとボールを右へ右へ繋ぎ、ペナルティエリアに入り込んだMFガブリッチにスルーパス。ガブリッチ(写真)は右からシュートを決めて先制に成功します。
30分、シベニクはシュートの後にぬかるんだピッチで足を滑らせたFWボジッチが腓骨を折ってしまって退場。同日に手術という事故が起きてしまいました。ハイドゥクのヴチェヴィッチ監督も
「なぜこのような怪我がポリュウド・スタディオンで繰り返して起こるのかが分からない。選手たちの足が止まってしまい、ピッチ上は無言になってしった。ショックと恐怖は間違いなく試合に影響してしまった」
とコメントしたように試合はその後盛り上がることなくスコアレスドローで終了。ハイドゥクはサイド攻撃しようにも両サイドバックのM.ブリャト(右)とルビル(初めて左で起用)の攻撃参加が遅く、タレントが揃う中央にボールが密集。3位に浮上したとはいえ、まずい試合運びが目立ち、21日にザグレブで行われるライバル、ディナモとのダービーマッチに不安を覗かせる戦いとなりました。


木曜日にUEFAカップのCSKAモスクワ戦を控えるスラヴェン・ベルーポは、FWクレシンゲルの2ゴールなどでは難敵オシエクを4-2で振り切り、2位に浮上しています。
全試合の結果はこちら。試合名をクリックすればクロアチア国営放送の動画が見られます。
また次節から夜開催の1試合を除く昼間5試合を五元生中継で繋ぐ「Volim nogomet」という番組がクロアチア国営放送でスタート。まだ詳細は分かりませんが、クロアチア国営放送のサイトでこの番組がストリームで見られるようです。


Hajduk Split - Sibenik 1:0
1:0 24' Gabric

Zagreb - Dinamo Zagreb 2:2
0:1 24' Balaban (PK)
1:1 32' Parlov (PK)
1:2 52' Mandzukic
2:2 83' Pejic

Cibalia Vinkovci - Rijeka 3:1
1:0 26' Mesic
1:1 44' Budicin
2:1 73' Malcic
3:1 82' Baraban

Zadar - Croatia Sesvete 1:2
1:0 44' Zupan
1:1 73' V.Petrovic
1:2 76' V.Petrovic

Slaven Belupo - Osijek 4;2
0:1 12' Knezevic (PK)
1:1 19' Vruvina (PK)
2:1 45' Rogulj
3:1 76' Kresinger
3:2 80' Melicevic
4:2 88' Kresinger

Varteks Varazdin - Inter Zapresic 1:0
1:0 23' Prahic


【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ (勝点19)
2位…スラヴェン・ベルーポ (13)
3位…ハイドゥク・スプリト (13)
4位…ザグレブ (11)
5位…チバリア・ヴィンコヴチ (11)
6位…ヴァルテクス・ヴァラジディン (10)
7位…リエカ (10)
8位…オシエク (8)
9位…クロアチア・セスヴェッテ (8)
10位…インテル・ザプレシッチ (7)
11位…シベニク (7)
12位…ザダール (1)

【ゴール】
6ゴール…カリニッチ(ハイドゥク)
5ゴール…マンジュキッチ(ディナモ)
4ゴール…ドディク(インテル)、シヴォニッチ(インテル)、ヴルチーナ(スラヴェン)、バラバン(ディナモ)
3ゴール…バビッチ(オシエク)、スムレカール(ヴァルテクス)、ヴグリネツ(ザグレブ)、モラレス(ディナモ)、マルチッチ(チバリア)、ミリチェヴィッチ(オシエク)、ペトロヴィッチ(セスヴェッテ)


nogomet-47534.jpg8月のスロベニア戦でクロアチア代表100キャップを記録したDFダリオ・シミッチ(32・写真)ですが、このほど代表引退を決意しました。
ワールドカップ予選のカザフスタン戦ではベンチ入りしたものの、イングランド戦ではベンチ入りさせてもらえず客席から見ることになったシミッチは今が引き際と考えたようです。
「もちろんチームに残りたいという願望はあるけど、願望と現実は別物なんだよ。今回の件で論争や失望、怒りといったものは1グラムもないよ。ビリッチ監督とは話し合いをしたし、不明な点は全くない。ユーロ以前から僕のステータスを直接に言ってくれたし、私はそれを受け入れて自分の課題を忠実にこなしてきた。カザフスタン戦の前には完全にお互いがカードを全て開け、彼は僕を右サイドバックの控えと考えていると語った。ストッパーには代わりがいると。正確な話だったさ。シミッチは1996年3月13日の韓国との親善試合で代表デビュー。以来、クロアチア代表では唯一、ワールドカップ、ユーロの計6大会に出場した重鎮でありました。人間としても人格者として知られるシミッチだけに、足掛け13年に渡っての代表での貢献にお疲れさまとの言葉を送りたいです。


posted by 長束恭行 |01:47 | サッカーニュース | コメント(5) |
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2008年09月15日

U-21欧州選手権予選「クロアチアvs.イタリア」/クロアチアはプレーオフ進めず

現地取材をしておきながら記事が遅れてしまいましたが、9日にヴァラジディンで行われたU-21欧州選手権「クロアチアvs.イングランド」戦に関してレポートします。

nogomet-47129.jpg6チームによるリーグ戦も最終節。プレーオフ進出はグループ首位の計10チームと、2位の成績上位4チームの計14チームなわけですが、イタリアに勝点2遅れて現在2位につけるクロアチアは引き分け、もしくは負けた場合、2位の成績上位4チームに入らないため、プレーオフ進出に残された道は勝利して首位になるのみ。イタリアも敗北の点差次第ではプレーオフ進出の道が閉ざされるために真剣勝負となりました。クロアチアとしては、イタリアが5日のギリシャ戦で勝利してくれて先にプレーオフ進出を固めてくれればこの試合を楽に迎えられたわけですが、引き分けたためにそのシナリオも無くなってしまいました。

クロアチアはA代表から貸してもらったFWカリニッチが負傷。FWマンジュキッチを追加でA代表から貸してもらえず、FWブシッチ、FWタディッチは合宿中に怪我、またFWルカビナも怪我で合宿に参加していないという厳しい状況の中、唯一残る地元ヴァルテクスのFWスムレカールをワントップに起用。ラディッチ監督は以下のスタメンを敷いています(4-2-3-1)。
GKケラヴァ-DFシメク、イプシャ、クルシッチ、パミッチ-MFバデリ、ヤヤロ-リュビチッチ、ブレゾヴェッツ、イリチェヴィッチ-FWスムレカール

一方、カシラギ監督率いるスタメンは以下のよう。ガーナ移民で最近にイタリア市民権を得て代表召集されたインテルのバロテッリが、ユベントスの至宝ジョヴィンコとツートップを組んでいます。
GKコンシッリ-DFモッタ、アンドレオッリ、クリシート、デ・チェッリェ-MFカンドレーヴァ、デッセーナ、チガリーニ、マルキジオ-FWジョヴィンコ、バロテッリ

メインスタンドがほぼ満員で埋まった6000人の観客に押され、クロアチアはイタリア陣内へと攻め込みます。開始1分にはブレゾヴェッツのFKからチャンスを伺わせたもののイタリアの堅守に弾かれます。
nogomet-47132.jpg最初の10分間ほどはイタリアも押されましたが、堅い守備をベースにした速攻でゲームをコントロールしていきます。クロアチアも負けじと仕掛けようにもパスミスが目立ち、あっさりとイタリアの守備の網に掛かってしまいました。
イタリアは11分にカンドレーヴァがフリーで左サイドからシュートはケラヴァの正面。13分には左サイドでバロテッリがパミッチを振り切っての好クロスを挙げるもデッセーナに届かず、16分にはモッタがミドルシュートを放ちますが、ケラヴァが何とかセーブします。
その後もチャンスを作り続けたイタリアは37分、ジョヴィンコの右CKからキャプテンのモッタがヘディングで叩き込んで先制に成功しました。

後半からリュビチッチに代えてFMトマソフが、シメクに代えて右SBヴィーダが投入。攻撃をより得意とする二人で打開を図りますが、ゲームを流れを引き寄せられません。
イタリアは50分、ジョヴィンコがスピードを活かして抜け出し、GKと一対一になったもののシュートは大きく外れ、クロアチアにとっては助かります。
64分、イリチゥヴィッチのFKからクルシッチがヘディングシュートをするも当たりは不正確。69分には途中交代のFWクリジュマンがシュートするもののGKコンシッリに止められます。
時間経過と共にプレーオフ進出も絶望的になっていく中、83分、イリチェヴィッチのゴール前に放り込んだFKが幸運にも誰に触れることなくゴールに吸い込まれてクロアチアが同点に追いつきます。
しかし、追い上げはこれが精一杯で1-1のドローにて終了。クロアチアのプレーオフ進出が阻まれてしまいました。

クロアチアU-21代表はイタリアとの1分1敗を含む7勝1分2敗で終了。昨年にアルバニアとのアウェー戦で負けたのが最終的に大きく響きました。これまで何人もの主力選手からU-21代表の召集を拒否され、ラディッチ監督の求心力にも疑問点がつきますが、新たな選手を発掘しながらチームを維持しようとした努力は認められるべきでしょう。次のU-21欧州選手権にも今のメンバーから10人が年齢的に出場が可能です。

クロアチア国営放送の動画はこちらで見られます。


お知らせですが、通訳として関わったスカパーのUEFAチャンピオンズリーグ開幕特番「オシムが語るUEFAチャンピオンズリーグ」が今日から無料視聴で放映されます。放送予定は再放送も含めて以下のようです。

9/15(月) 19:00(60分) Ch.180
9/16(火) 13:00(60分) Ch.182
9/16(火) 19:00(60分) Ch.182
9/16(火) 26:30(60分) Ch.182
9/18(木) 18:00(60分) Ch.181
9/20(土) 23:30(60分) Ch.181
9/24(水) 22:00(60分) Ch.181
9/25(木) 20:00(60分) Ch.181
9/26(金) 21:00(60分) Ch.182
9/30(火) 19:30(60分) Ch.182

また海外サッカー週刊誌「footballista」ではワールドカップ欧州予選「クロアチアvs.イングランド」戦のクロアチア側のマッチレビューを書いています。宜しかったらご覧になって下さい。


posted by 長束恭行 |02:51 | サッカーニュース | コメント(0) |
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2008年09月11日

W杯予選「クロアチアvs.イングランド」レポート/連勝記録が途絶える痛い敗北

nogomet-46636.jpg9月10日、ワールドカップ欧州予選「クロアチアvs.イングランド」戦がマクシミール・スタディオンで行われました。
ユーロ予選でも両者は対決し、二度に渡ってクロアチアが勝利。ユーロ出場を阻まれたことでリベンジに燃えるイングランドと、それを迎え撃つクロアチアということで、チケットは早くにネット販売にてソールドアウト。南側のスタンドに構えるイングランド・サポーター3000人ほどを含む約35,000人の満員の観客でスタジアムが埋まりました。


nogomet-46627.jpg試合前には前日にザグレブ入りしたエドゥアルドが観戦していることが紹介されると大きな拍手が起きました。彼の復帰が間に合わなかったのは痛手ですが、FWのポジションには好調なオリッチに加え、カザフスタン戦でゴールを決めたペトリッチがクラスニッチに代わって先発出場。またクラニチャールは先のスロベニア戦で怪我をしており、ユーロ同様に左サイドはプラニッチ-ラキティッチのコンビが担当しました。スタメンは以下のようになります(4-4-2)。
GKプレティコサ-(右から)DFチョルルカ、コヴァチ弟、シムニッチ、プラニッチ-MFスルナ、コヴァチ兄、モドリッチ、ラキティッチ-FWペトリッチ、オリッチ

一方のイングランドは、ユーロ敗退後に名将ファビオ・カペッロが監督に就任。直近の試合ではチェコとの親善試合で終了間際に追いつく2-2、予選初戦となったアンドラ戦では苦しみながらの2-0ということでチームの出来が不安視されていました。また中盤のジェラード、キャリック、ハーグリーブスが怪我な上、好調なFWオーウェン、クラウチが呼ばれず。この試合ではファーデナンドが布陣に戻り、アンドラ戦でさっぱりだったFWデフォーがヘスキーに切り替え。また右MFはベッカムでなく、カザフスタン戦で最も良いプレーをしていた19歳ウォルコットが続いて先発起用。あくまでカペッロは攻撃的スタンスで布陣を築いてきました(4-4-1-1)。
GKジェームズ-DFブラウン、テリー、ファーデナンド、A.コール-MFウォルコット、ランパード、テリー、J.コール-ルーニー-FWヘスキー


クロアチアのキックオフで始まった因縁のカード。クロアチアはこれまでのスタイルと変わらず、パスを繋いで左から右から、そして中央からモドリッチがドリブルで持ち込みながら攻撃を仕掛けていきます。
nogomet-46626.jpgいつもならばオリッチが相手のDF陣に積極的なチェイスをすることで守備が始まるのですが、ポジションが深くかつ足元の技術が正確なファーデナンドとテリーには突っ込んでいきません。またヘスキーが接触の際に上手く倒れてファウルをもらうことでセットプレーをイングランドに配給するだけでなく、ピッチに広くポジションを取ることでイングランドもまたしっかりとボールを繋いできます。

それでも序盤はクロアチアがよりチャンスを作ります。4分にはウォルコットのトラップをプラニッチがチェックし、そのボールをバイタルエリアでペトリッチがキープ。最後はプラニッチがミドルシュートを放ちますが、GKジェームズの正面に留まります。13分にはスルナの左CKからジェームズがキャッチミスしたところをチョルルカが右足でシュート(写真)。これはファーデナンドがブロックし、再びボールを拾ったチョルルカが左足でシュートするもサイドネットに終わります。
19分には右サイドの広いスペースでスルナにボールが渡りますが、クロスボールはテリーが足を伸ばしてクリア。その後は二度に渡ってCKが続いたものの、イングランド・ディフェンスの壁が破れません。

クロアチアのプレーが淡白になってきた26分、ルーニーの中央からのスルーパスをカバーに入ったプラニッチがクリアするも、ボールは前方のコヴァチ弟に当たってしまい、ボールは右サイドでフリーのウォルコットに。彼へのケアを担当すべきプラニッチは急いで戻ろうにも、ウォルコットはコースを狙って右足を早く振り抜き、キレのあるシュートがプレティコサの伸ばした腕の下を抜けてネット左に突き刺さりました。
その1分後にもジェームズのロングキックのボールをトラップしたウォルコットがプラニッチをあっさりかわし、先ほどと同様にペナルティエリアで右斜めからシュートしますが、これはプレティコサが辛うじてセーブします。

nogomet-46624.jpgクロアチアの弱点である左サイドの守備の脆さが露呈したわけですが、そこにスピードを備えたウォルコット(写真右)を置いてきたカペッロの采配はズバリと当たります。これでプラニッチ(写真左)は攻撃参加を控えるようになりました。ロングボールもしくはスルナ頼みのサッカーとなり、これではイングランドの守備ブロックは破れず、イングランド・ペースで試合は進みます。

クロアチアは29分、スルナの右FKのボールにジェームズが飛び出してパンチング。こぼれたところをペトリッチがシュートするも、ジェームズの背後にいたブラウンに当たります。
イングランドは30分にも攻撃の形を作ります。ヘスキーのポストプレーに左サイドでウォルコットがキープし、ブラウン→ランパードとの三角パスで前方へ飛び出したウォルコットに。プラニッチを振り切るとフリーのランパードへ。シュートはルーニーに当たってしまいましたが、クロアチアのディフェンスが翻弄されたシーンでありました。
クロアチアは42分にスルナ、ロスタイムにはラキティッチが得意の距離でFKを得たものの共に決められず、前半は0-1で終わります。

nogomet-46630.jpg後半が始まってもクロアチアは守備のほころびを修正できず、イングランドがゲームを支配。50分にはランパードの低い弾道のFKをプレティコサがセーブし、その1分後にはブラウンも右クロスボールをプレティコサとコヴァチ弟がお見合いしてしまい、危うくヘスキーにシュートを決められそうになりました。
そして52分、このゲームの方向性を最終的に決めるシーンが現れました。ピッチ中央で浮いたボールにコヴァチ弟がジャンプしてヘディングで前方に押し込もうとしたところ、競り合おうとしたジョー・コールの頭が伸ばしたコヴァチ弟の腕に当たって倒れこみます(写真)。意図的でも何でもないプレーだったのですが、ジョー・コールが出血したのを見たミシェル主審はコヴァチ弟にレッドカードを差し出します。

「私はヘディングでボールを叩きにいったのだが、ジョー・コールはタイミングに遅れて私の肘へと向かっていった。もしコールの出血を見なければ、カードも出すどころかファウルもなかっただろう。あれが試合を変えてしまった。あの後はもうチャンスはなかった」(コヴァチ弟)
「レッドカードの後、プレーするには非常に困難となった。レッドカードは存在しないものだったと考えているよ。審判は出血を見て脅えてしまったんだ。あんな接触は毎試合10回はあるんだから」(ラキティッチ)
「審判は出血を見るや、退場を決めたのは明らかだった。イングランドの選手たちもそう話していたんだ」(モドリッチ)

nogomet-46632.jpg一人少なくなり、プツリと切れてしまったクロアチアに対し、イングランドは攻撃の手を緩めません。ビリッチ監督はペトリッチを外してDFクネジェヴィッチを入れて4バックを維持しようにも、中盤に下がってかき回すルーニーを誰も止めることはできませんでした。
59分、左サイドでボールを受けたルーニーが中央へ絞り、ランパードにボールを預けると縦のボールにヘスキーがくさびとなり、再びルーニーへ。シュートを打つと見せかけ、プラニッチがマークを忘れて右でフリーとなったウォルコットに。一点目と同様に斜めの鋭いシュートを叩き込んで、2-0。
63分にはスルナが無駄にボールキープしたところをインターセプトされ、左サイドの深い位置から途中交代のMFジェナスが折り返すと、中央でフリーのルーニーが右へと正確なシュートを決め、3-0とリードを広げられます。

nogomet-46638.jpgとはいえクロアチアも78分、スルナが右から持ち込み、途中交代で入った中央のFWマンジュキッチへパス。マンジュキッチは近距離からジェームズの脇を抜く代表初ゴールを決めて一矢報います(写真)。
しかし、82分、縦パスを巧みなトラップでルーニーが止めてDFを引きつけると、背後に走り込んだウォルコットにスルーパス。ウォルコットはドリブルで持ち込み、左足で右へと流し込んでハットトリックを達成。今年のプレティコサは所属のスパルタク・モスクワでも大量失点の試合が多いわけですが、止められないシュートはなかったわけではないので、彼自身もスランプに陥っているかもしれません。

nogomet-46637.jpg85分にマン・オブ・ザ・マッチの背番号「7」のウォルコットに代わり、背番号「17」をつけたベッカムが登場。一つの世代交代が完結した光景でありました。またクロアチアのサポーターはこんな状況になってから応援がヒートアップし、直ぐに自虐的・自己批判に陥りがちな国民だけにそれもまた胸打つ光景でありました。

試合は1-4でタイムアップ。クロアチアは独立後14年間に渡り、予選でホーム負けなしの記録を35試合続けてきたのですが、この敗北で記録もとうとう途絶えてしまいました。最初のミスによる失点、そしてレッドカードという最悪な展開だったわけですが、それが無かったとしても落とした試合だったでしょう。



30代最後の日を屈辱の敗北で終えることとなったビリッチ監督(写真)は試合後、
nogomet-46628.jpg「これだけの点差の勝利に値したイングランドを祝福したい。また努力と闘争心を見せた自分の選手たちにも祝福したいし、いつものように最後まで素晴らしい応援をしてくれたサポーターも祝福したいね。
前半と後半の序盤は全てが均衡した戦いだった。最初の失点までは我々がゲームを支配していたし、得点のチャンスもあれば、偉大な相手を倒すチャンスさえもあった。4-1で我々が勝てたかも、なんて言うつもりはない。しかし、試合は全く違う方向へと進んでしまったんだ。
ハーフタイムは選手たちに動きの面では大丈夫だがら、あとは辛抱強くなるだけだと言った。しかし、レッドカードの後はもうチャンスはなかった。そしてイングランドは残忍に罰してくれたのさ。破局とならないよう最後まで努力はしたが、希望とは関係なく最後に破局は起きてしまった。なぜなら我々はノックアウトされていた状態だからだ」
と語り、またイングランドのメディアから将来のことを聞かれると、
「この先もクロアチア(の代表監督)に自分の将来を見出している。試合には負けたし、これは我々にとって大きな打撃だ。予選はそれほど多くの試合がないが、一試合のためだけにプレーしたわけではない。沈むことはないだろう。一ヶ月もすればウクライナで試合があるし、イングランドともまた戦うことになる。自分のチームを信じているし、この敗北の後でも我々は戻ってくるよ」
と答えています。

批判を一蹴するような会心の勝利を収めたイングランドのカペッロ監督(写真)は
nogomet-46629.jpg「結果は私が予想していた以上のものだったが、プレーだけは予想していたものだった。準備はできていると私は言ったじゃないか。選手たちは自信を持っていたし、このようにプレーできると感じていた。これは我々にとって非常に重要な勝利だ。
クロアチアはユーロと同じようにプレーしてきた。クロアチアのスタイルは研究していたし、彼らが非常にやり辛いようなプレーを構築しようとし、そんなプレーを発見していんだよ。現時点ではどんなDFだってウォルコットを守るのは簡単な仕事ではないだろう」
と語り、そのウォルコットの起用に関しては
「アンドラ戦やトレーニングを見て、現時点で精神的にもフィジカル的にもよく準備できているのを眼にしたから、ウォルコットをスタメンで使うことを決めたんだ。相手のディフェンダーには非常に危険な存在だからね」
と答えています。


ユーロ予選での二連勝でチームが油断していたとは思いませんが、復讐に燃えるイングランドのモチベーションが高かったのと、勝利の名の下に生まれたカペッロ監督の手腕にさすがとしか言えません。これまで築いてきた自信に水を差す敗北だけに、早くにウクライナ戦に向けて頭を切り替えねばなりません。

nogomet-46625.jpg選手個々を挙げるとしたら、プラニッチと並んで失望に値するプレーをしたのはラキティッチ(写真中央)。つい先日、通訳として関わったスカパーの取材でイヴィツァ・オシムが
「ラキティッチは自分一人で解決しようとするエゴイスティックな選手に思える。"若さ"は褒め言葉じゃないんだよ。私みたいな年寄りに対してならまだしも」
なんて語っていました。トルコ戦で彼が攻撃に急いだことで生まれた失点シーンでも「若さ」からの過ちと片付けられがちですが、この試合ではカバーリングや連携において協調性に欠けた存在となっていました。クリエイティブさではクラニチャールが上なので、サイドバックのポジションも含めて再び左サイドを見直す必要があるかもしれません。


posted by 長束恭行 |19:35 | サッカーニュース | コメント(4) |
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