2008年05月16日

ディナモ・ザグレブ二冠達成後にソルド監督が辞任表明

14日、クロアチア・カップ決勝第2戦「ハイドゥク・スプリトvs.ディナモ・ザグレブ」が、スプリトのポリュウド・スタディオンで行われました。
ラブジンの太陽ザグレブでの初戦はディナモが3-0で完勝したこともあり、ライバルの到来とはいえスプリト市民の関心は低く、観客は6000人ほど。ハイドゥク・サポーターのトルツィダは怒りを込めて「お前たちはハイドゥクではない」という横断幕を掲げました。

ハイドゥクは怪我から司令塔のチェルナトが復帰し、以下のようなスタメンになりました(システムは3-4-1-2)。
GKバリッチ-(右から)DFパンジャ、ジヴコヴィッチ、マロチャ-MFバルトゥロヴィッチ、リニッチ、リュビチッチ、ガブリッチ-チェルナト-FWルカビナ、カリニッチ
一方のディナモは現時点でのベストメンバーです(システムは4-4-2)。
GKコッホ-DFエトー、ビシュチャン、ミクリッチ、チャレ-MFミキッチ、ヴコイェヴィッチ、ヴルドリャク、モドリッチ-FWマンジュキッチ、タディッチ

とかくダービーにありがちなファウルが多く、選手たちが神経質に陥った試合でした。開始4分、ジヴコヴィッチがペナルティエリアにマンジュキッチにボールをかっさわれ、左からシュートしますが、GKバリッチの正面を突いたため難を逃れます。
ハイドゥクも7分にチェルナトが左サイドを駆け上がりながらクロスボール。第32節の直接対決の時と同様に、ゴール前で二人のDFで挟まれたルカビナがヘディングで合わせたものの、ボールはクロスバーを越えてしまいました。
問題の場面は19分、ミキッチがパンジャに厳しいタックルで削ったのを受けて両チームの選手が揉みあいとなり、その中でも激しくやりあったバリッチとチャレが退場。お互い10人になり、GKを失ったハイドゥクはカリニッチを下げてGKヴァルヴォディッチを投入します。しかし、このヤルニ監督の采配に怒ったカリニッチはキャプテンマークを監督の足元に捨ててピッチを去ってしまいました。
24分、モドリッチが右サイドのマンジュキッチに展開し、胸トラップからシュートしますが、ボールはわずかに左ポストを逸れます。
その後はハイドゥクがゲームを支配すれど、シュートチャンスまでは持っていけません。この日は右アウトサイドに入ったバルトゥロヴィッチが何度かスピードを活かしての突破を図っており、38分にそのバルトロヴィッチの右クロスにペナルティエリアでリュビチッチとビシュチャンが競合い、ボールはゴールの方向に行きましたが、GKコッホが掻き出すことに成功します。
その直後、左サイドでルカビナがビシュチャンをかわして突破し、ペナルティエリアのリニッチにラストパスを送った際、リニッチがヴコイェヴィッチにユニフォームを引っ張られて倒れたものの、主審のベセクはPKを取りません。
ディナモは43分、モドリッチがマーカーを引きつけてから走り込んだヴコイェヴィッチにスルーパス。近距離でヴコイェヴィッチがシュートしますが、GKヴァルヴォディッチがセーブしました。
前半終了間際、再び怪我をしたチェルナトが退き、ユース上がりのMFチュリュリッチに交替。チームとしてはチェルナトを引き留めたいものの、買取オプションを使うには予算がなく、このまま退団が濃厚。ディナモ・キエフから同じくレンタルされたDFサブリッチ、FWヴェルパコヴスキスと共に怪我のまま返却されることになりました。

後半も低調なリズムで試合が続きます。決定機は57分、リニッチからの縦パスが俊足を活かしたルカビナに通るものの、GKコッホはかわしたとはいえ、右足で逆回転を掛けたシュートはポスト脇を逸れてしまいます。
ディナモは66分、左サイドをモドリッチが相手二人を引っ張りながら突破し、ゴール前のタディッチ目掛けて折り返したものの、シュートを打ち切れずに終わりました。
続くハイドゥクの決定機は68分に訪れます。チュリュリッチの右FKにジヴコヴィッチがヘディングシュートを放つものの、ボールはクロスボールに嫌われました。
その1分後、マンジュキッチが突破を図ってペナルティエリアに侵入しようとしたところ、相手のタックルに掛かったフリで倒れてしまい、二枚目のイエローカードで退場。これでピッチ上は10人対9人になりますが、それでもハイドゥクはゴールを奪うことができません。逆にディナモは84分、途中交替のFWバラバンが右から持ち込んでGKと一対一でシュートしますが、ボールはクロスバーの上を超えていきます。
終了間際にハイドゥクはゴール前の混戦の中、リュビチッチが二度に渡ってシュートするも、いずれもビシュチャンがブロック。またその直後にはルカビナはビシュチャンのクリアミスをついてGKと一対一になるも決められず、スコアレスドローのまま試合は終了しました。

トータルスコア3-0でディナモが昨年に引き続き二冠を達成。クロアチア独立以降、9度目のクロアチア・カップ制覇となりました。この試合でディナモとお別れとなった主将のモドリッチが、クロアチアの有名なナイーブアート画家イヴァン・ラブジンが制作した「ラブジンの太陽」(トップの写真)と呼ばれるカップを高く掲げています。

ソルドとマミッチ試合前からディナモの二冠は規定路線だったとはいえ、爆弾は試合後に待っていました。仮設スタンドで勝利者インタビューを受けたズボニミール・ソルド監督(写真右)は
「スポーツ・ディレクターのゾラン・マミッチ(写真左)には辞任の意向を伝えた」
と語り、"ならば今後はどうするのか?"と聞かれ、
「休暇を取りに行くよ」
と笑顔で答えました。また試合後の記者会見では
「試合後に自分の決定をスポーツ・ディレクターに伝えた。このような環境下では、この先の協力は不可能だ」
と語っています。イヴァンコヴィッチ監督が率いたシーズン前半とは違って、冴えない試合が多かったことにズドラヴコ・マミッチ副会長は不満を持っており、ここ最近はメディアで解任されるという報道が多々ありました。そのような状況下でもフロントはソルドを庇うことはなく、次々と主力選手を売ってしまうのにも拘らず、欧州カップで結果を求めるフロントにソルドは不信感を持ってしました。既に前半でリーグの行方が決まり、選手のモチベーションが低い中で、新任監督のソルドに内容まで求めるのは酷でありました。むしろ、きちんと二冠を達成し、4-4-2システムを定着、そしてシーズン前半に埋もれていたFWタディッチ、MFヴルドリャク、MFミキッチといった選手たちを生き返らせた功績こそを認めなくてはなりませんでした。
スポーツディレクターのゾラン・マミッチはソルドと共に1998年ワールドカップ3位の代表メンバーであり、深い友人関係でもあったわけですが、辞任を伝えられたことに
「完全に打ちひしがれている。ソルドが辞表を出すとは予想していかった。カップ制覇でお祝いするはずが、この一件で崩れてしまった。見ての通り、顔には笑みがないだろう。新監督については分からない。ソルドの辞表が突然、驚きとして訪れたのに、今どうしようというのだね」
とショックを隠せずにいます。
また辞任を聞かされたズドラヴコ・マミッチ副会長(写真)は彼ならではのスタイルで文句をぶちまけました。
マミッチ副会長「それは初耳だ。なぜ物事がこうなったのはさっぱり分からない。ソルドとは木曜11時にクラブで話し合いをすることになっていた。本当に驚いている。これは異常な振舞いだ。同じ言葉を繰り返すオウムのように、我々は公に解任はないと説明してきたのに、今となってはこうだ…。
ソルドは正しい態度を取らなかったし、このような振舞い方をされるとは予想だにしてなかった。まず最初に我々に対して辞任すると話すべきだった。たとえ他のやり方がなかったとしても、気に入らないのならばそうだと我々に言うべきだ。
ソルドはエゴイストだ! モドリッチのディナモとのお別れや、偉大なトロフィーのお祝い以前にでしゃばったのだから。創造してくれ。これから残された選手たちとバスで戻る光景を。二冠のお祝いを今夜楽しむはずだった全ディナモ関係者を喜びを打ち砕いてくれた。驚いているし、失望している。これほどのエゴイズムは予想していなかった…」
後任としては前監督のブランコ・イヴァンコヴィッチ、スラヴェン・ベルーポの監督を辞任したクルノスラフ・ユルチッチ、オシエク監督のイリヤ・ロンチャレヴィッチ、二部イストラ監督のエルビス・スコーリエなどが候補に挙がっていると報じられています。

またキャプテンマークを投げ捨てたカリニッチ(写真)の態度には批判が集まっており、カリニッチ本人は
カリニッチ「交替の際に怒りからキャプテンマークを投げたことには反省している。ハイドゥクのサポーターには謝るし、もう二度としないと約束する」
と語ったもののヤルニ監督への謝罪の言葉はなく、
「今回の事件の後はチームを去らなければならないのは明らかだ。なぜ僕が外されなくてはならないのかが分からない。ディナモ相手に得点を決めたかったのに。オファーについては何も知らない。けれども、新たな移籍先を見つけられることだろう。もうハイドゥクでやることはない」
とコメントしています。彼の態度にはこの試合を視察していたビリッチ代表監督もカリニッチに苦言を呈しました。またカリニッチを視察するためにヴェルダー・ブレーメン、シャルケ、シャフタール・ドネツクのスカウトが試合に来ていたのですが、カリニッチの交替を受けてヴェルダーのスカウトも客席を去ったとも報じられています。
ちなみにルカビナも移籍を希望し、フロントに契約の破棄を要求したとも言われています。ヤルニ監督は続投の方向性ですが、来季に向けての問題は山積みのようです。


posted by 長束恭行 |01:10 | サッカーニュース | コメント(0) |
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2008年05月14日

移籍情報、クロアチア人監督の動向

ヴコイェヴィッチディナモ・ザグレブ所属のクロアチア代表MFオグニェン・ヴコイェヴィッチ(24・写真)に、グラスゴー・セルテックが明日にでも移籍金500万ユーロのオファーを出すと報じられています。ただし、マミッチ副会長は700万ユーロ以上の移籍金を要求しているらしく、移籍が実現するかは微妙なところです(労働ビザの問題もあり)。
ちなみにヴコイェヴィッチには現在、アヤックス、シャフタール・ドネツクも興味を持っており、相当額ならばディナモが手放す可能性は大のようです。

これまで幾つかのメディアでも報じられているのですが、アーセナルがポーツマス所属のクロアチア代表MFニコ・クラニチャール(23)の獲得に励んでいるようです。1500万ポンドのオファーを出したものの、これはポーツマスが拒否したと言われています。ただし、ヴェンゲル監督も諦めておらず、今後も交渉を続けていくとのこと。今季のクラニチャールはプレミアのサッカーに完全にフィットし、ポーツマスをFWカップ決勝に導く活躍を見せています。

今季いっぱいでヴェルダー・ブレーメンとの契約が切れる代表FWイヴァン・クラスニッチ(28)に、トルコのベジクタシュが接近しています。ブレーメンは税込み年俸200万ユーロの契約延長を提示しているのに対し、ベジクタシュは手取り年俸200万ユーロを提示しています。またプレミアのヴィガンもオファーを送っているそうで(税込み年俸200万ユーロ)、クラスニッチ本人は現時点ではブレーメン以外のクラブと話し合いはしてないものの、ユーロ開幕前までには来季のクラブを決めたいと発言しています。

ザグレブに所属するボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFセニヤド・イブリチッチ(22)にヴェルダー・ブレーメンが関心を示していることが明らかになりました。今季は本職の攻撃MFだけでなく、DFからFWまで務めたイブリチッチですが、自身最高の12ゴールを決める活躍をみせました。
今年冬にはディナモ・キエフへの移籍が合意寸前まで行きましたが、200万ユーロというクラブの移籍金希望額に難色を示して流れてしまいました。現在はヴェルダー・ブレーメンとディナモ・キエフのほか、トルコやオランダのクラブ、またディナモ・ザグレブとハイドゥク・スプリトも関心を示しています。

クロアチア・リーグの監督の動向もまとめてお伝えします。

今日、ディナモとハイドゥクのカップ戦第二戦が行われますが、その結果に関係なく、ディナモ・ザグレブのズボニミール・ソルド監督、ハイドゥク・スプリトのロベルト・ヤルニ監督もそれぞれ解任される可能性が大と言われています。
ブランコ・イヴァンコヴィッチ監督とマミッチ副会長の喧嘩のあと、今年になって監督を任されたソルドでしたが、リーグ優勝を果たし、カップも獲得寸前とはいえ、マミッチ副会長を満足させるようなサッカーをしなかったという理由で解任されてしまうようです。マミッチが仕組んだかのような連日の解任報道に対してソルドも嫌気を差しており、また本人もフロントからの支持を得られていないことをこぼしております。これも驚きなのですが、後任監督にはイヴァンコヴィッチが再び就任すると言われています。
ハイドゥクのヤルニ監督も同様にフロントの信頼を得られておらず、こちらはルチ・エネルギアで満足な結果を残せていないゾラン・ヴリッチが復帰する可能性が高そうです。

スラヴェン・ベルーポを史上最高のリーグ二位で終わらせたクルノスラフ・ユルチッチ監督ですが、監督を辞任することを明らかにました。この冬に補強をせずにFWヴルチーナやDFラデリッチを手放してしまったフロントに対して、ユルチェヴィッチはメディアを通して批判。以降、フロントとの関係がまずくなっていました。後任監督にはミレ・ペトコヴィッチ氏が有力となっています。

ブラジェヴィッチミロスラフ・ブラジェヴィッチ監督との関係を解消したザグレブは、来季の監督としてザグレブ・ユースの校長だったルカ・パヴロヴィッチ氏を新監督として任命しました。周囲はブラジェヴィッチ続投希望の声が高かったのですが、今季はメディッチ会長の信頼を勝ち取れずにいました。
国内では「全監督上の監督」と呼ばれ、73歳になっても現役宣言をしているブラジェヴィッチにはサラエボやスロボダといったボスニアのクラブがオファーを出しているのですが、本人はその気なし。また今季で勇退するバーゼルのグロス監督が後任にブラジェヴィッチをフロントに薦めたとも言われています。またイヴィツァ・オシムと共にオーストリアのLASKリンツの監督候補に挙がっているとも報じられています。

その一方で、後半戦の不調で4位に留まったリエカのズラトコ・ダリッチ監督は、解任されずにそのまま来季もチームを指導することが決定。ダリッチはスポーツ・ディレクターも兼任し、今季は10人もの選手を補強したわけですが、これからは不満を持った選手や戦力外選手を一掃すると宣言しています。その中にはFWラドミール・ヂャロヴィッチ、GKドラガン・ジリッチ、MFフィリップ・マルチッチ、MFニーノ・ブーレなどが含まれており、MFアナス・シャルビーニも移籍を希望していると言われています。

ジェフユナイテッド千葉の監督を解任されたヨシップ・クジェが、再びルワンダ監督に復帰する可能性があると報じられています。クジェはルワンダ監督としてアフリカのCECAFAカップで準優勝を果たし、その手腕が認められたのですが、千葉のオファーを受けたのちは同じクロアチア人のブランコ・トゥチャク氏を後任に推薦した上で、代表監督の座を退きました。
解任の報を聞いたルワンダのスポーツ文化省のカラバランガ事務総長は
「クジェが解任されたと聞いて我々は残念だ。この状況については我々もよく考えなければならない。まずはトゥチャクに機会を与えるが、それからクジェの復帰に関して話し合うことは可能だ。現時点で監督を変えることは好ましくないだろう」
とコメントしています。


posted by 長束恭行 |21:03 | サッカーニュース | コメント(1) |
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2008年05月12日

一部昇格を賭けたドラマ/フルヴァツキ・ドラゴヴォリャッツvs.クロアチア・セスベッテ

5月11日にクロアチア一部リーグが全節終了しましたが、翌12日には二部リーグが全節終了。その最後を締めくくるのにふさわしいカードがありました。

クラニチャール、スパイッチそれは昇格をかけた首位フルヴァツキ・ドラゴヴォリャッツと2位クロアチア・セスヴェッテの直接対決。両者の勝点差はわずかに1で、ホームのドラゴヴォリャッツは引分け以上で7シーズンぶりに一部復帰が叶います。ザグレブの小クラブを独立戦争に従軍した兵士たちにちなんで「クロアチア志願兵」と改名し、自らの私財を投げ打ってクラブを維持し続けた名物会長スティエパン・スパイッチ(写真のイラスト)が急死して早4年。1996/97シーズンは一部3位まで登りつけたドラゴヴォリャッツは2002年以来、二部リーグを地道に戦い続け、ようやく一部復帰にリーチをかけました。
一方のクロアチア・セスベッテはザグレブ郊外東にあるクラブで、独立戦争時は武器商人、今では自動車ディーラーで財をなすズボニミール・ズバクが会長。元クロアチア代表のMFヤスミン・アギッチ、ディナモでもプレーしたDFレナート・ピリポヴィッチ、FWヴラディミール・ペトロヴィッチなどベテランを擁し、また今年から前クロアチア代表監督のズラトコ・クラニチャール(写真左)を招聘して初の一部昇格を目指しています。
ドラゴヴォリャッツのホーム、NSCスティエパン・スパイッチ・スタディオンは5000人収容ですが、このカードの注目度は高く、チケットは完売。前日に購入したお陰で私は見ることができましたが、スタジアムの外には500人ほどが溢れていました。

審判買収を始めとした様々な介入行為が当たり前といわれる二部リーグですが、この日は欧州でも笛を吹く国内最高の審判であるベセク氏が主審を務め、公平を保ちました。両者のモチベーションが空回りして、イエローカードが連発する試合でしたが、生きるか死ぬかのような試合にはドラマが待っているものです。
ペトロヴィッチ前半14分にはセスベッテ、後半56分にはドラゴヴォリャッツのシュートがクロスバーに嫌われ、均衡はなかなか破れなかったのですが、59分にセスベッテのDFマミッチがシミュレーションで二枚目のイエローカードで退場。
これでドラゴヴォリャッツの昇格がほぼ決まりと思いきや、引分けでOKのドラゴヴォリャッツは消極的になり、自陣に引きこもってしまいました。クラニチャール監督は劣勢とはいえ二枚のカードを切って攻撃の手を緩めることをせず、84分、左サイドからペトロヴィッチ(写真右)が上げたクロスにエリア内中央でフリーだったMFチズメクがヘディングシュートを決めて勝ち越しに成功します。。
その後は一点を奪うべく猛攻を仕掛けたドラゴヴォリャッツでしたが、時既に遅し。タイムアップの笛と共にピッチに倒れこむドラゴヴォリャッツの選手たちと、ユニフォームを脱いで喜びで弾けるセスベッテの選手たちとで明暗がはっきりと分かれました。ワールドカップ・ドイツ大会のグループリーグ敗北後は泣かず飛ばずだったクラニチャール監督もこれで再び男を上げた感があります。

クロアチア・セスベッテセスベッテはこれで昇格が決まり、ドラゴヴォリャッツは一部11位のインテル・ザプレシッチとの入替え戦へと回ります。初戦はインテルのホームで5月17日、第二戦はドラゴヴォリャッツのホームで21日に行われますが、この入替え戦実施が確定するのは前日になるまで分かりません。
というのは、ドラゴヴォリャッツのスタジアムは新たな基準では一部リーグでの使用許可が認めらておらず、一部昇格の際にはインテルのスタジアムを使用するよう申し合わせをしていたのですが、いざ入替え戦で対決することが決まるとインテル側が拒否。最悪のケースでは入替え戦がないまま、ドラゴヴォリャッツの一部昇格の夢が絶たれることになります。ちなみにセスベッテも一部で使用可能なスタジアムはなく、来季から遠く離れたカメン・イングラッドのスタジアムを使用する予定です。


posted by 長束恭行 |23:15 | サッカーニュース | コメント(0) |
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2008年05月11日

クロアチア・リーグ最終節/リーグ三連覇を6ゴールで祝ったディナモ・ザグレブ

10日、クロアチア・リーグ最終節(第33節)が行われました。

優勝トロフィーを掲げるモドリッチ首位ディナモ・ザグレブは2位リエカをホームのマクシミール・スタディオンに迎えました。ここ3年は最終節を待たずして連続優勝をしているディナモは、毎回最終節のチケット購入者に優勝記念Tシャツをプレゼントし、お祝い色を高めたエンディングを迎えます。過去2シーズンは相手が宿命のライバル、ハイドゥク・スプリトということもあって満員になりましたが、今季は相手がリエカだったことから過去より少ない約2万人の観客が試合に訪れました。


リエカにとっても2位確保が来季のUEFAカップ出場に繋がるのですが、水曜日にハイドゥクを粉砕したディナモの勢いを止めることは不可能でした。前半11分、カウンターからFWマンジュキッチが右サイドをドリブルで疾走し、そのまま70m近く持ち込んで、右から正確なシュートを決めて先制します。
ヴコイェヴィッチ22分には左サイドでMFミキッチが上げたクロスボールにファーポストでMFヴコイェヴィッチ(写真)がダイビングヘッドでシュートを決めて2-0。
更に26分、マンジュキッチが右サイドで突破してGKラドマンと一対一になろうとしたところを、リエカDFのチャガリが倒してしまって一発退場(とはいえ、チャガリがファウルで止めたのは事実であるものの、倒れたマンジュキッチはシミュレーション)。11人相手でもディナモは好き放題に攻めていたわけですが、この退場で完全にゲームは決まりました。
39分、右サイドからミキッチがグラウンダーで折り返したところにFWタディッチが正面から押し込んで3-0。続く41分にはMFモドリッチから右サイドのDFエトーへ大きく展開し、先ほどと同じ形で折り返しからタディッチが押し込んで4-0。
45分にはヴコイェヴィッチがタディッチに当ててから中央を駆け込み、最後はボールを貰い返してからシュートを決めて5-0。前半で5点差をつけたのは、クロアチア・リーグ以降、ディナモにとってのタイ記録でありました。

これだけの点差となるともちろん後半はペースが落ち、57分にはリエカDFのタデイェヴィッチに左サイドをドリブルで割られ、あっさりとゴールを決められて点差を縮められます。
モドリッチディナモは再びエンジンが掛かり、64分にはモドリッチが中央からミドルシュートを放つも、これはGKラドマンが好セーブ。また1分後にはモドリッチ(写真右)がDFヴチュコの背後を抜けたマンジュキッチに正確なミドルパスを送り、GKと一対一になりましたが、シュートはポストにぶつけてしまいます。
しかし、71分、中央からタディッチがドリブルで持ち込み、最後はゴール右上隅に正確なシュートを放って6-1。タディッチにとっては今季12ゴール目、プロになって初のハットトリックを達成しました。
80分、疲れが顕著だったモドリッチがベンチに交替を希望。来季からトッテナム・ホットスパーへの移籍が決まり、ディナモのユニフォームを着てマクシミールでプレーするのは最後の試合となるモドリッチにはスタンディングオベーションが送られ、チームメイトが集まって肩車で彼を持ち上げました。リーグ三連覇の原動力となり、ディナモ史上屈指のプレーメーカーになったモドリッチに対してのサポーターの愛は深く、モドリッチも交替後にグラウンド(外側)を一周して、サポーターたちに挨拶していきました。カメラマンが構えるゴール裏を通り過ぎる際、私もモドリッチに「Sretno!(幸運を)」との言葉と共に握手をしました。
また88分には北側スタンドのサポーター(BBB)からフロント批判のコールののち、ソルド監督に対してのコールが起きました。シーズン後半の試合内容の悪さからフロントがソルド監督に不満を持ち、彼を更迭して再びイヴァンコヴィッチを監督に迎えると噂されているのですが、サポーターはソルド支持に回っているのが明らかな光景でありました。
試合は6-1でディナモの圧勝。33戦で26勝4分3敗、2位に28点差もつけた勝点82で今季もクロアチア・リーグを制覇しました。一方のリエカはシーズン前半までは唯一のディナモの対抗馬だったのにもかかわらず、後半はまったく調子を落としてしまい、結局は4位にまで転落してしまっています。

ザグレブの観客に別れを告げたモドリッチ(写真)は試合後、
モドリッチ「ゴールを決めたかったけど、それはどうでもいいことよ。今日の一瞬一瞬は永遠に記憶することだろう。世界最高のサポーターが僕に与えてくれたものはアンビリーバルなものさ。余りの感動のせいで涙を流すことがないよう僕は必死だったよ。間違いなくディナモ、そしてディナモのサポーターは一生心に残るだろうね」
と語りました。モドリッチはキャプテンとしてリーグ優勝のトロフィーを掲げ、それからチームメイトと共に北側スタンドへと入り、初めてBBBのリードを張りました。先の冬に移籍を逃していたモドリッチでしたが、それを補うほどの美しい別れとなったようです。
「冬の移籍期間にザグレブを離れなかったことを最初は残念に思ったけど、今こうして振り返ると最後はこのような形になって本当に嬉しいよ。移籍してしまってたら、このような素晴らしい瞬間を経験することはなかっただろうからね。ディナモを去るのは残念だし、辛い気分だ。ザグレブでは美しい年月を過ごしてきたんだから。しかし、トッテナムへの移籍はキャリアにおける更なるステップだし、避けられなかったことなんだ。いつかは再びディナモに帰ってくることだろう。でも、あんまり先のことは考えたくはない。間違いなく国外で何年間はプレーするだろうからね」
とコメントを残しています。

またソルド監督は
「スタジアムは本当に素晴らしい雰囲気だったし、選手たちはモチベーションが高かった。勝利とタイトルを勝ち取った彼らを祝福するよ。スタンドがサポーターで埋まり、サポートしてくれたならば、プレーするのは本当に楽なことだ。サポーターたちに最高の形でお返しができたものと私は願っているよ」
とコメントしています。

      【試合後にトロフィーを囲んで優勝を祝うディナモの選手、スタッフ、フロントたち】

優勝メンバー
UEFAカップ出場権を得る2位の座には、アウェーでシベニクと引分けたスラヴェン・ベルーポが滑り込みました。昨季はカップ戦準優勝(優勝はディナモ)で出場権を得たスラヴェン・ベルーポにとっては2年連続のUEFAカップ出場となります。 また3位には後半に一気に追い上げてきたオシエクが浮上。またハイドゥク・スプリトはザグレブに1-2と敗れ、5位に留まっています。 全試合はこちら。(試合のところをクリックすればクロアチア国営放送のダイジェストが見られます) Zagreb - Hajduk Split 2:1 1:0 57' Jurendic 2:0 60' Ibricic (PK) 2:1 74' Linic Sibenik - Slaven Belupo 0:0 Inter Zapresic - Osijek 1:2 0:1 8' Primorac 1:1 15' Lovren 1:2 55' Babic Varteks Varazdin - Zadar 5:2 1:0 11' Brezovec 2:0 21' Vuk 2:1 23' Surac 3:1 29' Balajic 4:1 67' Melnjak 5:1 77' Vuk 5:2 83' Raso Cibalia Vinkovci - Medimurje 3:0 1:0 12' Malcic 2:0 64' Gusic 3:0 66' Dzafic Dinamo Zagreb - Rijeka 6:1 1:0 11' Mandzukic 2:0 22' Vukojevic 3:0 39' Tadic 4:0 41' Tadic 5:0 45' Vukojevic 5:1 55' Tadejevic 6:1 72' Tadic 最終順位はこちら。 【順位】 1位…ディナモ・ザグレブ(勝点82) 【優勝・チャンピオンズリーグ予選へ】 2位…スラヴェン・ベルーポ(54)  【UEFAカップ予選へ】 3位…オシエク(54)        【インタートトカップへ】 4位…リエカ(53) 5位…ハイドゥク・スプリト(52)  【カップ戦決勝進出・UEFAカップ予選へ】 6位…ザグレブ(44) 7位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(40) 8位…チバリア・ヴィンコヴチ(40) 9位…ザダール(40) 10位…シベニク(39) 11位…インテル・ザプレシッチ(33) 【入替え戦へ】 12位…メヂムリエ(15)       【二部降格】 【得点】 21ゴール…テルケシュ(ザダール) 18ゴール…ヂャロヴィッチ(リエカ) 17ゴール…カリニッチ(ハイドゥク) 14ゴール…ロヴレク(ザグレブ) 13ゴール…モドリッチ(ディナモ) 12ゴール…マルチッチ(チバリア)、マンジュキッチ(ディナモ)、イブリチッチ(ザグレブ) 11ゴール…バラバン(ディナモ)、シャルビーニ(リエカ)、タディッチ(ディナモ)、ヴコイェヴィッチ(ディナモ) 9ゴール…ムムレク(ヴァルテクス)、ルカビナ(ハイドゥク) 【アシスト】 10アシスト…モドリッチ(ディナモ)、マンジュキッチ(ディナモ)、マルチッチ(チバリア) 9アシスト…チュトゥラ(ザグレブ)、ツェルナト(ハイドゥク) 8アシスト…ムムレク(ヴァルテクス) 7アシスト…トマソフ(ザダール)、ブーレ(リエカ)、ムイジャ(ザグレブ)、シャルビーニ(リエカ)、ヂャロヴィッチ(リエカ) 6アシスト…ミキッチ(ディナモ)、ジュパン(ザダール)、パヴリチッチ(オシエク)


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2008年05月10日

イヴィツァ・オシムのクロアチア紙インタビュー

少し前になりますが、5月4日のSportske Novosti紙に前日本代表監督のイヴィツァ・オシムのインタビューが掲載されました。クロアチアのメディアに対しては初インタビューになります。以下は記事の全訳になります。


オシム完全に回復して欲しいという率直な願いと、近く迎える誕生日(1941年5月6日生)のお祝いが、カリスマ的なサッカー指導者イヴィツァ・オシムとの会話の序章となった。オシムは昨年11月中旬に煩った重い脳梗塞ののち、回復に成功している。
「その美しい願いに対して感謝するよ。誕生日に関していえば、このような年齢ではもうお祝いするものではないね。しかし、私は昏睡状態から脱出し、まさにもう一度生まれてきたかのようだ。新たな毎日をありがたく思い、敬意を払っているよ。事実、私は"別の世界"(冥界)に足を踏み入れていたからね。脳梗塞が起こった時に妻のアシマが家にいなかったならば、どのように全てが終わっていたのか誰が知るというのかね。日本の医師の皆さんに感謝している。またアシマと一緒にいつも私に付き添ってくれたアマル、イルマ、セリミールの子供たちにも感謝している。彼らの世話が無くては、回復する力を私に持てたかどうかは疑問だよ」
-世に評価された指導者は自分の容態を我々に説明してくれた。

今は随分と良くなり、日本vs.ボスニア・ヘルツェゴビナ戦も観戦したそうで。
「左腕にまだ問題を抱えているとはいえ、間違いなく良くなっている。毎日、治療とリハビリに行っているよ。とても疲れるし、消耗するけど、毎日あらゆる面で進歩するのを目に見ると、全ては楽に耐えられるものだ」

イングランド同士の戦いとなった5月21日のチャンピオンズリーグ決勝を見るため、モスクワに行くのか? そのようなニュースが新聞にも出ていたが。
「いや、そのような実験は早すぎるよ。医者は私が飛行機に乗ることをまだ許可してないんだ」

とりたてて聞く必要はないだろうが、準決勝の試合はテレビで見たのか?
「見たとはいえ、全てが私の好みに合うものではなかった。どのクラブもクオリティある選手を有り余るほど購入し、誰もが走り、全てのスペースをカバーしているが、創造性はどんどん少なくなっている。結局のところ、私の本命であり、私の好みのチームはアーセナルだ。大会の終わりにアーセナルがいないので、他のクラブに関しては私にとってどうでもいい」

ディディエ・ドログバに関しては?
「脅威の選手だし、コンクリートのような人間だ。その上にボール扱いも全て知っている。普通の人ならば、より狭いサイドだったレイナの脇には紙一枚も通らないと思うだろう。しかし、彼はGKが動けないほどのミサイル(シュート)を放った。まもなくここで彼は伝統的なキリンカップでプレーするかもしれない。日本代表、パラグアイ代表と共にコートジボアール代表も出場するんだ。日本サッカー協会はドログバの来日を保証するよう最大限取り組んでいるよ。現時点、彼以上に観客やサッカーファンを引き寄せる選手は存在しないからね」

オシム回復が目に見えているのならば、いつ故郷へ、そして自分のスタジアム「グルバヴィツァ」へとやってくるつもりか?
「職務上は日本サッカー協会のアドヴァイザー、もしくは代表チームのアドヴァイザーの立場にある。そのような役割でユーロ2008の試合に行くつもりだ。東京からグラーツ、そしてウィーン、クラーゲンフルトというルートだよ。それから、とうとうサラエボへと足を運ぶつもりだ。とても待ち望んでいたミリャツキ川、そしてグルヴァヴィツァのある街への訪問は、完全に自分を取り戻すのを助けてくれるかもしれない。この困難な日々の中で、それは私にとりわけ欠けていたものだ」

貴方にグルバヴィツァの芝を送ろうか?
「素晴らしいアイデアだ。けれども、直ぐに私にグルバヴィツァに訪れることを希望しているよ」

ビリッチ監督にあなたが熱狂しているのは我々も知っている。ユーロで観戦予定の試合の中に、クロアチア代表の試合はあるのか?
「もちろん。クロアチア代表を見る計画はある。現在、クロアチアはヒットのチームだからね。スラヴェン・ビリッチは素晴らしくチームを構築し、彼らは隠れた本命の一つだ。間違いなくかなり先へと勝ち進むことができるだろう」

最後に、サッカーの巨匠としてサポーターを喜ばせた時代に「グルバヴィツァのシュトラウス」と呼ばれた彼が、とりわけこのように強調した。
「私の健康に留意してくれた全員に宜しく伝えて欲しい。私の苦しい時に世話をしてくれ、心配してくれた全員にありがとう。彼らには計り知れないほど感謝しているよ」


posted by 長束恭行 |00:05 | サッカーニュース | コメント(35) |
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