2008年04月21日
クロアチア・リーグ第30節/またして事故が発生
報告が遅れましたが、19日に行われたクロアチア・リーグ第30節のレポートです。優勝を決めているディナモ・ザグレブは、6位ザダールとアウェーにて対戦しました。ディナモは司令塔のモドリッチ(写真)が復帰。ザダールはモドリッチにとって少年期を難民として過ごした都市です。今季を最後にクロアチア・リーグを去ることを固く決心しているモドリッチは、慣れ親しんだザダールの地で素晴らしいプレーを見せました。 一方のザダールは、ここ二試合ハイドゥク、リエカと各上相手に敗北。チュスティッチの死亡事故以来はすっかりチームの元気がなく、残留圏内をこのままキープしながら、いち早いシーズン終了を待っている状態です。過去二度に渡って、シーズン終盤にてザダールがホームでディナモに苦杯を味あわせ、同じダルマチア地方にあるハイドゥク・スプリトの優勝をアシストしたこともあるのですが、この試合はある意味、ディナモにとって最も楽なザダールのアウェーマッチになりました。 まずは13分、モドリッチが中央でドリブルで切り裂き、右から走りこんできたMFエトーにスルーパス。エトーは左でフリーのFWタディッチへと繋ぎ、あっさりと先制ゴールを決めます。 25分にはカウンターからモドリッチが右サイドを疾走するエトーに。エトーは先ほどのゴール同様、中央に走り込んだタディッチへボールを送り、タディッチが再びシュートを決めて2-0となります。この試合でのエトーは右SBから右MFへとポジションを上げ、右SBにはブリャトが入ったことで、クジェ率いる2005/06シーズンに威力を発揮した右サイドコンビが久しぶりに復活しました。 しかし、ザダールも40分、ドルピッチによるペナルティエリアのハンドから得たPKを、現在リーグ得点王のFWテルケシュが左に決めて一点差に縮めます。
更にテルケシュは48分、DFビラヴェールの右クロスをヘディングで合わせて同点に。これでテルケシュは21ゴールで、2位以下を大きく引き離しました。 ディナモはすかさず同点から1分後、モドリッチの左CKからFWヴグリネツがヘディングで叩き込んで勝ち越します。今季で契約が切れるベテランのヴグリネツですが、勝負強い彼はソルド監督も来季の構想を入れており、残留が濃厚です(代わりにショコタが戦力外になる可能性大)。 56分、ザダールはMFエレズの右からのクロスにテルケシュがニアで合わせるものの、これは若いGKケラヴァが好セーブ。 61分にザダールのビラヴェールが、ディナモDFチャレをプレー中に叩いてしまったためにレッドカード。これで楽になったディナモは、67分にブリャト(写真)が中央からドリブルで3人をかわしてシュート。ザダール出身の彼にとっては、怪我とスランプを振り払うような地元での復活弾となりました。 更に70分、モドリッチの左からのFKにまたしてヴグリネツがヘディングで合わせて5-2。モドリッチは5点のうち4点に絡んでおり、ディナモは彼に依存したチームであることを再び証明することになってしまいました。 2位ハイドゥク・スプリトは、9位チバリア・ヴィンコヴチとホームで対戦しました。今季のハイドゥクはチバリアと二試合戦って、いずれもドローと分の悪い相手。降格争いで必死のチバリア相手によもやの結果と被害を受けてしまいました。 開始5分、チバリアのMFフシッチが中央から20mの強烈なミドルシュートを決めて先制点を挙げます。チバリアにとっての最初のシュートが失点に至ったのですが、今季のハイドゥクはこのような不用意な失点が多く見受けられます。 ハイドゥクも25分、ペナルティエリアへFWルカビナが縦パスを送り、MFチェルナトがヘディングで落としたところをFWカリニッチがボレーシュートしましたが、ボールはGKブルツサがキャッチ。 けれでも31分、左サイドからカリニッチがボールを運び、相手がチェックしたこぼれ球がチェルナトに届くと、そのままシュート。ボールは相手DFの足に当たり、左でフリーのカリニッチへ。これを流し込んで同点に追いつきます。
後半に入って49分、エドゥアルド、チュスティッチに続く惨劇を眼にします。チバリアのFWアンドリチェヴィッチが、ルーズボールを奪う代わりにDFペライッチ(写真)の右足へとタックル。膝下の脛骨と腓骨の両方が折れ、有り得ない方向へと足がぐにゃりと曲がってしまいました。そのまま病院に運ばれて手術が行われ、成功はしたものの復帰まで6~8ヶ月と見られています。またレッドカードを受けたアンドリチェヴィッチもタックルの際に脳震盪を患い、同じ病院へと運ばれました。エドゥアルドを酷い骨折に追いやったバーミンガムのDFテイラーに対して、FAは3試合出場停止という生温い処分をしましたが、クロアチア・サッカー協会は少なくとも6ヶ月、長ければ2年という出場停止処分を与えることになりそうです。またチバリアはチュスティッチの死亡事故に引き続き、再び加害者になってしまいました。 その後、ハイドゥクは数的優位を活かすことができず、逆に75分、FWマルチッチの左クロスに中央へと飛び込んだMFバガリッチがヘディングシュートを決めてチバリアが勝ち越し。ハイドゥクの攻撃から守りきり、残留争いにとって貴重な勝利を収めました。ハイドゥクにとっては非常に後味の悪い敗北になっています。 (写真は協力関係にあるSport-netより) 今節で好カードとなったのは、ハイドゥクを追いかける3位スラヴェン・ベルーポと4位リエカの対戦でした(クロアチア国営放送で生放送)。 リエカは元来攻撃的な選手であるブーレとイェルテツをサイドバックに置いた攻撃的布陣を敷くも機能せず。サイド裏のスペースをひたすら突かれ、19分にMFデリッチのサイドチェンジからMFチャバルが左からシュートを決めてスラヴェン・ベルーポが先制します。 しかし、後半から修正を図ったリエカが主導権を握り始めると、MFシャルビーニが構える左サイドからしつこく攻撃します。74分、シャルビーニがマーカーのDFプリッチを振り切ってライン際を突破し、ペナルティエリアにいるMFホジッチへ。足で合わせたシュートが決まり、同点に追いつきます。 77分に交錯したブーレとチャバルがそれぞれ二枚目のイエローで退場し、10人対10人に。84分、またしてシャルビーニが突破し、完璧な形でFWヂャロヴィッチにラストパスを送るも、シュートを決めきれず、試合は1-1のドローに終わっています。 全試合の結果はこちら。 (試合をクリックすれば、クロアチア国営放送のダイジェストが見られます) Zadar - Dinamo Zagreb 2:5 0:1 13' Josip Tadic 0:2 24' Josip Tadic 1:2 41' Zelimir Terkes (PK) 2:2 48' Zelimir Terkes 2:3 49' Davor Vugrinec 2:4 68' Marijan Buljat 2:5 70' Davor Vugrinec Medimurje - Sibenik 0:1 0:1 34' Josip Bonacin Hajduk Split - Cibalia Vinkovci 1:2 0:1 5' Edin Husic 1:1 31' Nikola Kalinic 1:2 75' Davor Bagaric Inter Zapresic - Varteks Varazdin 1:0 1:0 77' Davor Kukec (PK) Osijek - Zagreb 2:1 1:0 35' Srdan Vidakovic 2:0 54' Valentin Babic (PK) 2:1 86' Marko Grgic Slaven Belupo - Rijeka 1:1 1:0 17' Kristijan Caval 1:1 74' Ivan Bozic 【順位】 1位…ディナモ・ザグレブ(勝点72) 【優勝】 2位…ハイドゥク・スプリト(50) 3位…スラヴェン・ベルーポ(47) 4位…リエカ(46) 5位…オシエク(45) 6位…ザダール(39) 7位…ザグレブ(37) 8位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(34) 9位…チバリア・ヴィンコヴチ(33) 10位…シベニク(32) 11位…インテル・ザプレシッチ(32) 12位…メヂムリエ(12) 【得点】 21ゴール…テルケシュ(ザダール) 17ゴール…カリニッチ(ハイドゥク) 16ゴール…ヂャロヴィッチ(リエカ) 14ゴール…ロヴレク(ザグレブ) 13ゴール…モドリッチ(ディナモ) 10ゴール…マルチッチ(チバリア)、バラバン(ディナモ)、マンジュキッチ(ディナモ)、イブリチッチ(ザグレブ) 【アシスト】 10アシスト…モドリッチ(ディナモ)、マンジュキッチ(ディナモ) 8アシスト…ムムレク(ヴァルテクス)、チュトゥラ(ザグレブ)、ツェルナト(ハイドゥク) 7アシスト…トマソフ(ザダール)、ブーレ(リエカ)、ムイジャ(ザグレブ)、マルチッチ(チバリア) 6アシスト…シャルビーニ(リエカ)、ジュパン(ザダール)
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優勝を決めているディナモ・ザグレブは、6位ザダールとアウェーにて対戦しました。ディナモは司令塔のモドリッチ(写真)が復帰。ザダールはモドリッチにとって少年期を難民として過ごした都市です。今季を最後にクロアチア・リーグを去ることを固く決心しているモドリッチは、慣れ親しんだザダールの地で素晴らしいプレーを見せました。
一方のザダールは、ここ二試合ハイドゥク、リエカと各上相手に敗北。チュスティッチの死亡事故以来はすっかりチームの元気がなく、残留圏内をこのままキープしながら、いち早いシーズン終了を待っている状態です。過去二度に渡って、シーズン終盤にてザダールがホームでディナモに苦杯を味あわせ、同じダルマチア地方にあるハイドゥク・スプリトの優勝をアシストしたこともあるのですが、この試合はある意味、ディナモにとって最も楽なザダールのアウェーマッチになりました。
まずは13分、モドリッチが中央でドリブルで切り裂き、右から走りこんできたMFエトーにスルーパス。エトーは左でフリーのFWタディッチへと繋ぎ、あっさりと先制ゴールを決めます。
25分にはカウンターからモドリッチが右サイドを疾走するエトーに。エトーは先ほどのゴール同様、中央に走り込んだタディッチへボールを送り、タディッチが再びシュートを決めて2-0となります。この試合でのエトーは右SBから右MFへとポジションを上げ、右SBにはブリャトが入ったことで、クジェ率いる2005/06シーズンに威力を発揮した右サイドコンビが久しぶりに復活しました。
しかし、ザダールも40分、ドルピッチによるペナルティエリアのハンドから得たPKを、現在リーグ得点王のFWテルケシュが左に決めて一点差に縮めます。
更にテルケシュは48分、DFビラヴェールの右クロスをヘディングで合わせて同点に。これでテルケシュは21ゴールで、2位以下を大きく引き離しました。
ディナモはすかさず同点から1分後、モドリッチの左CKからFWヴグリネツがヘディングで叩き込んで勝ち越します。今季で契約が切れるベテランのヴグリネツですが、勝負強い彼はソルド監督も来季の構想を入れており、残留が濃厚です(代わりにショコタが戦力外になる可能性大)。
56分、ザダールはMFエレズの右からのクロスにテルケシュがニアで合わせるものの、これは若いGKケラヴァが好セーブ。
61分にザダールのビラヴェールが、ディナモDFチャレをプレー中に叩いてしまったためにレッドカード。これで楽になったディナモは、67分にブリャト(写真)が中央からドリブルで3人をかわしてシュート。ザダール出身の彼にとっては、怪我とスランプを振り払うような地元での復活弾となりました。
更に70分、モドリッチの左からのFKにまたしてヴグリネツがヘディングで合わせて5-2。モドリッチは5点のうち4点に絡んでおり、ディナモは彼に依存したチームであることを再び証明することになってしまいました。
2位ハイドゥク・スプリトは、9位チバリア・ヴィンコヴチとホームで対戦しました。今季のハイドゥクはチバリアと二試合戦って、いずれもドローと分の悪い相手。降格争いで必死のチバリア相手によもやの結果と被害を受けてしまいました。
開始5分、チバリアのMFフシッチが中央から20mの強烈なミドルシュートを決めて先制点を挙げます。チバリアにとっての最初のシュートが失点に至ったのですが、今季のハイドゥクはこのような不用意な失点が多く見受けられます。
ハイドゥクも25分、ペナルティエリアへFWルカビナが縦パスを送り、MFチェルナトがヘディングで落としたところをFWカリニッチがボレーシュートしましたが、ボールはGKブルツサがキャッチ。
けれでも31分、左サイドからカリニッチがボールを運び、相手がチェックしたこぼれ球がチェルナトに届くと、そのままシュート。ボールは相手DFの足に当たり、左でフリーのカリニッチへ。これを流し込んで同点に追いつきます。
後半に入って49分、エドゥアルド、チュスティッチに続く惨劇を眼にします。チバリアのFWアンドリチェヴィッチが、ルーズボールを奪う代わりにDFペライッチ(写真)の右足へとタックル。膝下の脛骨と腓骨の両方が折れ、有り得ない方向へと足がぐにゃりと曲がってしまいました。そのまま病院に運ばれて手術が行われ、成功はしたものの復帰まで6~8ヶ月と見られています。またレッドカードを受けたアンドリチェヴィッチもタックルの際に脳震盪を患い、同じ病院へと運ばれました。エドゥアルドを酷い骨折に追いやったバーミンガムのDFテイラーに対して、FAは3試合出場停止という生温い処分をしましたが、クロアチア・サッカー協会は少なくとも6ヶ月、長ければ2年という出場停止処分を与えることになりそうです。またチバリアはチュスティッチの死亡事故に引き続き、再び加害者になってしまいました。
その後、ハイドゥクは数的優位を活かすことができず、逆に75分、FWマルチッチの左クロスに中央へと飛び込んだMFバガリッチがヘディングシュートを決めてチバリアが勝ち越し。ハイドゥクの攻撃から守りきり、残留争いにとって貴重な勝利を収めました。ハイドゥクにとっては非常に後味の悪い敗北になっています。
(写真は協力関係にある
これはディナモ・ザグレブのサポーター、バッド・ブルー・ボーイズの有名な応援ソング
結成は1986年3月17日、ハイドゥク・スプリトのアウェーマッチの後でありました。ショーン・ペンの映画「バッド・ボーイズ」が名前の由来とも言われる彼らは、チトー死後のユーゴ内における民族主義の高まりと共にメンバーを増やしていきます。ただし、当初はザグレブ市内の各地区で若者が集まり、それぞれのバッド・ブルー・ボーイズを結成。またザグレブ以外の都市、更には国外のクロアチア人コミュニティにまで自らのバッド・ブルー・ボーイズが広がっていきました。
歴史に残る事件は1990年5月13日に起こりました。舞台はディナモvs.ツルヴェナ・ズヴェズダ(レッドスター)。ズヴェズダのサポーター「デリエ」が南スタンドで暴れたのがきっかけに、バッド・ブルー・ボーイズとユーゴ警察が衝突。ボバンが警官に飛び蹴りを食らわせたシーンでご存知の方もいることでしょう(この事件に関する私の記事は
同時に彼らは新たな戦いを抱えました。ディナモに肩入れしていた初代大統領のトゥジマンが、クラブ名が共産主義的だとして1991年に改名を強います。ハシュク・グラジャンスキー、そしてクロアチア・ザグレブと改名を余儀なくされた時代には、トゥジマン大統領に対しての抗議活動を繰り返しました。冒頭の「DINAMO JA VOLIM」はその当時に作られた応援ソングです。1995年に戦争が終わったところでも、彼らに圧力を加える政府の戦いはトゥジマン大統領が亡くなる1999年末まで続きました。まさに1990年代はバッド・ブルー・ボーイズにとって闘争の時代であり、それに共鳴する若者が次々と加わった時代でもあったわけです。
トゥジマンの死後から2ヶ月、2000年2月14日に「ディナモ」の名称が戻ります。しかし、その後に待っていたのは、戦う相手を失った喪失感でありました(この辺りは宇都宮徹壱さんが書いた
2000年6月にスロバキアで行われたU-21欧州選手権に私はクロアチアU-21代表の応援に駆けつけたのですが、そこではクロアチア各地のサポーターと知り合いました。その中にはもちろんバッド・ブルー・ボーイズがいて、そのメンバーがたまたまザグレブvs.リエカを観戦していたのです。彼らは直ぐに私の友人となり、私もディナモ・サポーター協会に通うようになりました。同年、私は外国人としては初の協会会員となります(会員番号939)。つまり、私も晴れてバッド・ブルー・ボーイズの一員になったのです。誰もが私を同胞と見なしてくれ、あらゆる場所へと引っ張っていってくれました。余所者に冷たい人の多い首都ザグレブの中で、彼らは数少ない「仲間」といえる存在だったのです。
時は流れ、2005~2006年頃から状況は変わっていきます。ある友人は仕事が忙しくなり、ある友人は結婚して、スタジアムへ足を運ばなくなりました。暴力行為のためスタジアムの出入りが禁止になった友人もいます。一番の親友は寂しい顔をしつつ、「俺たちゃ年金生活者になったのさ」と冗談を口にしました。そう、第二世代の彼らも「卒業」を迎える頃だったのです。
この頃からバッド・ブルー・ボーイズには第三世代といえる若者(高校生~20歳前後)が占めるようになりました。かつて日本でも「戦争を知らない子供たち」という歌が流行りましたが、バッド・ブルー・ボーイズの第二世代と第三世代にもジェネレーションギャップが存在します。第三世代はいわゆる現代っ子たち。日本同様にインターネットや携帯電話が一般化する中で、生身の人間との接し方が下手になっています。彼らは異邦人の私に対して冷たく、コミュニケーションを図ろうともしません。協会事務所もマクシミールから移転してしまい、かつての仲間たちがいない場所には足が遠のいてしまいました。最後まで付き合いのあった上の親友も結婚して故郷リエカに帰ってしまい、バッド・ブルー・ボーイズとは完全につるむことがなくなってしまいました。私も他に仕事を抱えるようになったこともあり、本格的に「卒業」を迎えてしまったのです。ディナモの試合はあくまで撮影取材に行くだけで、私の存在を知らず、かつ外国人として敵視するようなバッド・ブルー・ボーイズのガキから避けるべく行動するようになりました(最近、試合観戦に来た日本人旅行者が袋叩きに遭ったと聞いています)。
盛り上がりに欠けた水曜日のディナモvs.オシエクの試合中、ピッチ際でカメラを構える私の携帯に電話がかかってきました。東側のスタンドで観戦しているトモからでした。
「おう、元気か? 試合後、久しぶりに飲みに行こうぜ」
スキンヘッドの彼と私は同い年。ディナモ・サポーター協会の事務所で知り合い、2年前まではよく飲みに行ったバッド・ブルー・ボーイズのメンバーです。マクシミールの敷地にある喫茶店には、第二世代のトモとモロ、そして第三世代の21歳の若者が待っていました。トモ、モロ、私の間でつい昔話に花が咲きます。
「最近は事務所に顔を出すのかい? 新たな世代は感じ悪いし、もう僕は行かなくなったよ」
北側のゴール裏に顔は出さず、古い仲間と東側のバックスタンドで観戦を続けるトモはこう苦笑いします。
「ああ、俺も行かなくなったなあ。若い奴らは俺たちにも挨拶しないぜ」
「ということは、お前も"年金生活者"になったのか?」
「いやいや、そこまではいかないけどな(笑)」
名前は聞き忘れたのですが、第三世代の彼は北側のスタンドに通い続け、ディナモに青春を捧げている若者でした。彼にこんな質問を投げかけました。
「なんで最近のバッド・ブルー・ボーイズの若者たちは変わっちまったのかい?」
すると、彼は率直に語ってくれました。
「僕はトモやモロといった古いメンバーとつるんで話を聞くことが大好きなんだけど、僕みたいなのは少数なんだ。残念ながら、新たな世代は古いメンバーに対してだけでなく、誰に対しても敬意を払えなくなってしまったんだ。かつては横の繋がりが強かったと聞いているけど今は違う。ネットなどで呼びかけないと集まらなくなってしまったしね」
トモはそんな彼に同情します。
「昔は試合前に仲間たちとビールを飲んで盛り上がってから、スタジアムへと足を運んだものさ。しかし、今じゃ新たなサポーター法のせいで、酔ったサポーターは入場禁止だからな。盛り上がりに欠けるのは仕方ないさ」
"バッド・ブルー・ボーイズは減っているのか?"-この質問に彼は苦悩を滲ませました。
「ああ。警察のコントロールはますます強くなるし、学校や家族からも白い目で見られるからね。仲間うちでもバッド・ブルー・ボーイズになるのはほんと少ないよ」
「今じゃ、バッド・ブルー・ボーイズがパンクに殺される時代だからな。時代も変わったよ」
トモはつい最近、ザグレブで発生した事件を引き合いに出しました。公園で酒盛りをするパンクの一団にバッド・ブルー・ボーイズが酒をせびり、拒否されたことで両者が大喧嘩。一人の少年がナイフを持ったパンクに刺殺されたのです。私も第一報を聞いた時は立場が逆かと思ったわけですが、これも時代の変化なのでしょう。
「そういえば、イヴァンが新たなサポータークラブの事務所で働き始めそうだ」
トモから聞いた言葉を頼りに昨日、一つの事務所を訪ねました。その事務所は
「ヤスユキ、うちの会員に登録しないか? 特典として、ここにある帽子かマフラー、Tシャツを一つプレゼントするぞ」
私と同じ35歳になったとはいえ、風貌は昔と変わらず、まだまだバッド・ブルー・ボーイズを卒業しそうにないイヴァンに薦められると嫌とは言えません。会員番号1286番。所属組織は変わったとはいえ、私は5年ぶりにバッド・ブルー・ボーイズの一員になりました。バッド・ブルー・ボーイズのマスコット、ブルドックがワンポイントで入ったブラックの帽子を被った私は
「家からも近いし、また遊びに来るよ」
とイヴァンに挨拶を残して事務所を後にしました。中学に再入学して学生帽を被る一年生のような気分です。今度は現代っ子のバッド・ブルー・ボーイズたちとも上手くやっていけるといいのですが。
ウィンターブレークが明けてからリーグ戦は7節終了したのですが、オシエクはディナモと並び勝点17を稼ぐ好調ぶり。オシエクは元来優秀な選手が生まれる土地であり(シュケル、ヴラオヴィッチ、バビッチ、ヴラニェシュなど)、かつユース育成には定評があります。この冬にエースFWユキッチ(→サンフレッチェ広島)、U-21代表MFディニャール(→テレク・グロズヌイ/ロシア)、ブラジル人DFロペス(→テレク・グロズヌイ)を放出して140万ドルの移籍金を稼いだ上、ロンチャレヴィッチ監督は現有戦力でチームを整えました。ディナモも欲しがっているFWニクシッチ(20)は右足膝の靭帯損傷で今季は絶望とはいえ、同じく関心を持っているMFヴィーダ(18・写真右)はサスペンション明けでボランチにて先発出場しました。
ディナモは司令塔のモドリッチが病気のために欠場したこともあって、ソルド監督はこの試合も来季を想定したメンバーで戦うことになりました。
オシエクは互角の戦いを見せてくれると期待したのですが、戦意を喪失したかのようなプレーぶり。ディナモも優れたサッカーをするわけでなく、攻撃で目立つ選手は持ち前のスピードで右MFに定着したミキッチ(写真)とレギュラーの座を取り戻したいFWマンジュキッチの二人だけでした。
先制点はそのマンジュキッチが生み出します。20分、MFサミールからピッチ中央でボールをもらったマンジュキッチはドリブルで相手をかわしてミドルシュート。ボールはDFスタラナティッチに当たって方向が変わり、今季リーグ10得点目となるゴールとなります。
その5分後、縦へのロングパスをマンジュキッチがヘディングで落とし、FWタディッチがペナルティエリアでシュートするも、ボールはクロスバーの遥か上。
しかし45分、GKコッホのゴールキックをマンジュキッチがヘディングで前方へと押し出すと、ゴール前へと走り込んだタディッチはDFプラニッチの処理ミスもあってシュートを決め、リードを2点とします。
この試合で一番美しかったアクションは57分、DFブリャトがマンジュキッチとのワンツーから前方のタディッチにボールを当て、タディッチは背後のマンジュキッチを使ってのパス&ゴー。浮き球で貰い返したタディッチは胸トラップとフェイントでマーカーをかわし、最後はゴール前へと走り込んだMFヴコイェヴィッチへラストパス。これを押し込んで3-0とします(写真左)。
しかし、またしてこの試合でもディナモの悪い癖が出てしまいます。オシエクもようやくエンジンが掛かってチャンスを作り始め、74分、途中交替のMFヴィタイッチがミドルシュートを左に決めて3-1。
82分にFWパブリチッチがGKコッホを右からかわしてシュートするも、ゴール前をカバーしたDFドゥルピッチにクリア。しかし、終了間際には再びヴィタイッチが20mの距離のミドルシュートを決めて3-2としてタイムアップ。
「私のチームは90分間集中して、試合の終わりを迎えることができない。3対0とした段階で、ルーチン的に試合を運ぶのではなく、問題を抱える状況へと飛び込んでしまっている。理由は集中力の低下。それが唯一だ。またコミュニケーションの問題を抱えている。選手にはいつもピッチでコミュニケーションしろと注意を促しているのだが」
と試合後、ソルド監督も苦言を呈しています。また優勝が決定してから最初のホームの試合というのに、優勝チームを迎えた観客は約2000人と、非常に寂しい雰囲気ともなりました。
注目のカードは2位ハイドゥク・スプリトと3位スラヴェン・ベルーポの対決。ポリュウド・スタディオンで行われたこの試合はクロアチア国営テレビで生中継されました(こちらも観客は2500人ほど)。
スラヴェン・ベルーポは主力5人を怪我とサスペンションで欠きながら、分厚い中盤を敷いてハイドゥクの攻撃を食い止めます。ハイドゥクは左サイドバックのフルゴヴィッチを移籍で失って以来、有効なサイド攻撃を仕掛けられません。かつてはクロアチア代表の名サイドバックであり、4バックの信仰者でもあるヤルニもこれには苦悩しており、前半の攻撃は中央からのロングパス一辺倒。前線のFWコンビ、カリニッチとルカビナも孤立してしまいます。
しかしながら42分、左クロスがオーバーしたところをMFチェルナトが背面で上手くトラップすると、振り向いてマーカーをフェイントでかわして縦へと切れ込み、クロスボール。これにルカビナがヘディングで合わせて先制点を生み出します。
後半はハイドゥクがゲームをしっかりとコントロールするものの決定機はなかなか作れず、試合が終わるに連れ、徐々に押し込まれます。85分、途中交替で入ったスラヴェン・ベルーポのFWクレシンゲルが右サイドからシュートするも、ポストにシュートは叩かれてしまいました。
しかしながらロスタイム、MFカブリッチ(写真)が強烈なミドルシュートをゴール右上隅に叩き込み、2-0で納得の勝利。ハイドゥクは3位スラヴェン・ベルーポに勝点4、また今節で今年初の勝利を収めた4位リエカにも勝点5を引き離し、2位の座を固めつつあります。
ちなみにクロアチアは来季のUEFAカップの枠を二つ持っており、カップ優勝とリーグ2位が出場できるわけですが、ハイドゥクは2位と共にカップ戦の決勝進出が濃厚です。ということでUEFAカップの枠はリーグ3位に周ってくることになり、次節のスラヴェン・ベルーポとリエカの直接対決が大事な一戦となります。
今節はハットトリック達成者が実に3人。ザダールのFWテルケシュは19ゴールで単独トップとなり、今年は不振に喘いでいたリエカのFWヂャロヴィッチも得点ランク2位タイに浮上。またザグレブのMF/FWイブリチッチはPKを含む4得点を叩き出しています。
全試合の結果はこちら。
(試合名をクリックすれば、クロアチア国営テレビのダイジェスト動画が見られます)
開始1分、DFチャレのパスカットからカウンターが始まり、MFサミール、FWタディッチと繋いで、最後は左からチャレがグラウンダーで折り返し。最後は中央でFWヴグリネツ(写真)が足を伸ばしてボールに合わせ、いきなりの先制点を叩き出します。
その後はそれぞれがチャンスを作るものの、雨のためピッチが滑りやすく、フィニッシュにいずれも失敗。とりわけディナモは22分にタディッチ、26分にヴグリネツが一対一をGKバノヴィッチに止められてしまいました。
しかし33分、サミールの左CKが大きく弧を描き、GKバノヴィッチの判断ミスもあって、直接ゴールへと吸い込まれて追加点となります。
ディナモは36分にMFミキッチの右クロスからタディッチが好位置でヘディングシュートするも、枠を思い切り外し、終了間際にはDFブリャトの右クロスからのチャンスにサミールが押し込むも、ゴールラインでクリアされます。
初めて組んだスタメンということも加わって、ディナモはまたして後半にガクッとペースが落ち、その一方でメヂムリエが息を吹き返します。54分、左サイドからMFダルモピルがミドルシュートを突き刺して一点差に縮めると、その直後にはペナルティエリアでMFエリオマールがシュート。しかし、これはディナモのGKケラヴァがセーブします。
その後もメヂムリエはセットプレーで何度もGKケラヴァを脅かしますが、いずれもわずかにシュートが枠から外れます。77分にはゴール前でボールを繋ぎ、さて最後はFWバビッチがシュートしますがクロスバーの上。
苦しみながらもディナモは2-1で勝利を収め、リーグ史上最速でのスピード優勝を決めました。ライバルのハイドゥク・スプリトが早々と失速したこともありますが、今季はディナモの強さが余りにも目立ったシーズンでありました。
2位ハイドゥク・スプリトはアウェーで6位ザダールと対戦しています。
ザダールのMFチュスティッチが激突死して二週間、スタノヴィ・スタディオンの西側スタンドのコンクリートのフェンスには発砲スチロールを敷き詰めることで試合が行われました。シーズン終了後にはスタンドの撤去工事が行われることになっています。
ザダールのメンバーは正面にチュスティッチの背番号"24"が書かれたユニフォームを背負い、またハイドゥクも試合前には"24"とチュスティッチの名前が書かれたシャツを着ることで弔いました。また、多数駆けつけたハイドゥク・サポーターのトルツィダもチュスティッチへの弔いの横断幕を掲げ、何度も彼の名前を叫ぶなど、特別な雰囲気での試合となりました。
ザダールにとっては精神的なダメージがまだ残っているせいか、ホームを得意としながらも試合開始からハイドゥクに主導権を握られてしまいます。
開始2分、MFアンドリッチからの縦パスにオフサイドラインをかいくぐったFWルカビナ(写真)がシュート。ボールはGKスバシッチを打ち破るも、ゴールラインでDFプーリッチにクリアされます。
16分にもカウンターからルカビナが抜け出し、シュートはスバシッチに止められてしまいますが、その4分後、ルカビナが右に走り込んだDFルビールに展開し、ルビールのクロスボールへルカビナが直進。ヘディングシュートを叩き込んで先制に成功します。
ザダールも22分、ゴール前の混戦からFWジュパンがシュートするも、ボールはクロスバーを越えてしまいました。
ハイドゥクは33分、MFチェルナトが左サイドのFWカリニッチへとボールを送り、折り返しにルカビナが走り込んで、この日2点目を叩き出します。
後半に入ってもハイドゥクが押す展開となり、49分、カリニッチがボールキープしたところを倒されるものの、こぼれ球をMFガブリッチが拾って、最後は併走したフリーのチェルナトに送って彼がゴールを決めて3-0。
しかしながらサダールも76分、FWラショが倒れされて得たPKをFWミトロヴィッチがしっかりと決めて一点返します。ちなみにゴールを決めたミトロヴィッチはスタンド観戦するチュスティッチの父と弟のところへと訪れ、「彼のために」と一言だけ残しました。
85分にブルドッグがピッチに乱入し、3分間中断するといったハプニングや、終了間際には両チームの選手が諍いを起こすシーンもありましたが、試合はハイドゥクが3-1で制しています。
全試合の結果はこちら。リエカはオシエクに敗れ、2008年に入って以来、いまだに勝利できていません。
(試合をクリックすれば、クロアチア国営テレビのダイジェストが見られます)
一部のクロアチア・メディアはリバプールが文面でオファーをディナモに提示したと報じました。金曜日にクラブ側はオファーが届いたことを否定していますが、イングランドのクラブとは何らかのコンタクトがあることは認めています。ただし、ディナモ側の拒否で何度も移籍話を潰されたモドリッチは
「移籍の可能性についてはもう話したくないよ。移籍の手続きが全て終わった際に、座って話をしようじゃないか」
とジャーナリストに対して苦々しくコメントしています。
また英国メディアはトッテナム・ホットスパーがモドリッチを獲得したがっていると報じており、このほどディナモのマミッチ副会長とトットナムのコモリー・ディレクターがロンドンで接触したとのこと。二人ともここ最近はロンドンにいた事実はなく、接触は誤報なのですが、トッテナムが関心を持っているのは事実。昨年末にマミッチ副会長がロンドンに渡った際には話し合いがもたれ、その時は金額で折り合いがつきませんでした。トットナムはユベントスのMFティアゴの獲得が失敗に終わり、再びモドリッチへと向かっているようです。
またニューキャッスル・ユナイテッドも新たにモドリッチに関心を持っていると言われています。これまでjマミッチ副会長と交渉の席についたとされるチェルシー、アーセナル、マンチェスター・シティも含め、イングランドのクラブ間での争奪戦が激しくなりそうです。移籍金は200~300万ユーロ辺りとされています。
先月、クロアチアU-21代表の合宿に現れなかったリエカ所属のMFアナス・シャルビーニ(写真)に対して、クロアチア・サッカー協会の規律委員会は10万クーナ(約220万円)という高額な罰金を課したのですが、今度はシャルビーニがラディッチU-21代表監督をメディアを通して中傷したということで規律委員会に訴えました。
シャルビーニとラディッチは昨年にも対立しており、シャルビーニが起用されないと知るや合宿所から帰ってしまう事件が起きました。謝罪したことで再召集したわけですが、またしてラディッチは裏切られたことに。罰金を科せられたシャルビーニが楯突いたことにラディッチはとうとう怒りが頂点に達し、
「アナスについて話したくはない。話すに値しない奴だ。彼が誰だってんだ? 代表でプレーする時よりも代表でプレーしない方が話題になっているじゃないか。いかなる議論などしたくはない。奴は嘘をついているのだから。どっちが人格欠如しているというのかね? 奴は人格欠如したままだ」
とメディアに不満をぶちまけました。これに今度はシャルビーニが弁護士を通して訴えたことになります。もし訴えが通ると今度はラディッチが罰金もしくは活動停止に追い込まれます。泥沼化した二人の関係に、U-21代表のアシスタントコーチも務めているリエカのダリッチ監督も手がつけられない状況に陥っていまいました。シャルビーニは将来性豊かなファンタジスタとはいえ、今年になってからは調子も冴えず、またこの騒動でかなり評価を落としています。

