2008年02月25日

クロアチア・リーグ第20節/ディナモ、またしてヴァルテクスに敗北

ウィンターブレークが明けて最初の節となるクロアチア・リーグ第20節が、2月22日・23日の両日に行われました。私はインテル・ザプレシッチvs.ザグレブとディナモ・ザグレブvs.ヴァルテクス・ヴァラジディンの二試合を撮影取材してきました。

首位ディナモは11位ヴァルテクスとホームのマクシミール・スタディオンで対戦(観客8000人)。今季のヴァルテクスはクジェ監督(現ジェフ千葉監督)を迎えたものの開幕4連敗で辞任。その後はベセクが監督に就任し、更に8連敗まで伸ばしたのですが、第9節でディナモに4-3で今季初勝利。ディナモの連勝記録を28でストップしたのが、その時は最下位のヴァルテクスでした。その後は勝点を18まで伸ばしてきたとはいえ、まだ降格圏内にあります。一方、首位を独走するディナモはソルド新監督にとっての初陣となりました。

タディッチ試合前には「自陣のペナルティエリアに"バス"を置く」とディフェンシブな戦いを示唆したヴァルテクスのベセク監督でしたが、蓋を開けてみると最終ラインを高く上げ、コンパクトなディフェンスでボールを奪うやMFムムレクを中心にしたパスを繋いでの速い攻撃に転じます。
それでも前半はディナモのペースで、12分にDFミキッチから左クロス、一分後にはFWマンジュキッチが左クロスを通すものの、ゴール前のFWタディッチ(写真下)はシュートを打ち切れません。25分にはDFビシュチャンの縦パスにMFモドリッチが抜けたものの、疑わしいオフサイドを取られてしまいます。その後も前がぽっかり空いた右サイドのミキッチにボールが渡り、対角線にグラウンダーのパスを通しますが、ファーポストに飛び込んだマンジュキッチの足に届きません。
ヴァルテクスもチャンスを伺い、15分にFWムヤノヴィッチのロングシュートが左ポストを叩けば、36分には縦のロングパスがFWムヤノヴィッチに通ってGKコッホと一対一になったものの、コッホの鋭い飛び出しでムヤノヴィッチがシュートを打つ前にブロックします。

ムムレクとドゥルピッチ前半は得点が動きませんでしたか、後半早々48分、ヴァルテクスがペナルティエリア右でFKを得ると、キッカーのムムレク(写真左)は角度のないところからGKコッホをあざ笑うかのようなサイドネットを突き刺す直接FKを決め、先制に成功します。ムムレクは前のディナモ戦でも同様の決勝ゴールを決めており、36歳のGKコッホにとって同世代のムムレク(35歳・同じ1972年生)は天敵ともいえる存在といえましょう。
更に54分、左からのフリースローをムムレクがノートラップのまま直ぐにペナルティエリアに放り込むと、そこにはムヤノヴィッチが。マークするはずのDFドゥルピッチ(写真右)もすっかり油断しており、ムヤノヴィッチはそのまま右足で合わせて追加点を決めます。
直ぐにディナモはMFグエラを外してFWバラバンを投入し3トップの形を取りますが、59分、最終ラインで一人ボールを持ったDFチャレがムヤノヴィッチにかっさられると、そのまま後を追ってタックルで倒してしまい一発退場。身体能力の数値はチーム一であるものの、いつもポカを繰り返すチャレに対してサポーターは愛想を既に尽かしているのですが、2008年になっても成長は見られないようです。
それでもディナモは一人少ないとはいえ、ワイドに相手ディフェンスの裏を狙いながら攻撃を仕掛けます。しかし、モドリッチのシュートはGKマヂャリッチに止められ、右クロスからバラバンがダイビングヘッドするものの失敗。78分、モドリッチのスルーパスからタディッチが抜けてシュートを決めて1点差に縮めたものの、それ以上の力はなく、またしてヴァルテクス相手に屈してしまいました。

試合後、ソルド監督は
「一週間に渡って選手たちには何が待ち構えているかを注意してきたのだが、片方の耳から入っても逆の耳からその注意が出て行くようだった。ヴァルテクスはショートパスでプレーしてきたのに、選手たちは相手に離れて立ってしまっていた。それではダメで、現在は走らずしてサッカーをプレーすることできないんだ」
と苦言を呈しました。キャプテンのモドリッチは
「エドゥアルドの骨折を知って僕は最悪な気分だし、ショックを受けている。しかし、それがピッチ上における敗北の全ての言い訳ではない。悪かった僕たちをヴァルテクスは破壊したんだ」
とコメントしています。今季のディナモはヴァルテクスに二敗、スラヴェン・ベルーポに一敗しているのですが、水曜日のカップ戦はそのスラヴェンが相手だけに不安視されているところです。


4位ハイドゥク・スプリトはホームのポリュウド・スタディオンで2位リエカを迎えての「アドリア海ダービー」(Jadranski derbi)を戦いました。試合は生放送され、6000人ほどの観客が入っています。
ハイドゥクはトゥドール、サブリッチの両センターバックが怪我。その代わりにシーズン前半を怪我で棒に振ったジヴコヴィッチが戻ってきました。また怪我上がりのエースFWカリニッチは緊急時に使えるようベンチスタート。一方、リエカはイヴァノフ、サファリッチの両センターハーフが怪我で、右MFのブーレはサスペンションでしたが、シュトゥロク、ヤキロヴィッチ、マルチッチといったメンバーを宛がいました。

試合は直ぐに動きます。開始5分、中盤の密集状態からヤキロヴィッチが出した縦パスに反応したMFシャルビーニがオフサイドぎりぎりで飛び出すと、そのまま一人でドリブルでゴール前まで持ち込み、最後はGKヴァルヴァロヴィッチの左脇を抜くシュートを決めてリエカが先制します。
ヴェルパコヴスキスしかしハイドゥクは17分、MFツェルナトの縦パスをFWルカビナがペナルティエリアで右足で軽くスペースに叩いて抜けようとすると、マーカーのDFチャガリが耐え切れずルカビナの身体を掴んで倒してしまい、レッドカード&PK。しかし、ルカビナが放ったPKはGKジリッチによって止められてしまいます。
失敗はしたとはいえハイドゥクの勢いは止まらず、20分、MFルビールが正面から放ったミドルシュートはGKジリッチが一度は止めたものの、弾かれたボールをFWヴェルパコヴスキス(写真)が押し込んで同点に追いつきます。
25分にはツェルナトがバイタルエリアでミドルシュートを放ちましたが、ボールは左ポストを叩き、弾かれたボールをMFガブリッチが押し込んだものの今度はオフサイドの判定に終わりました。
リエカも次第に取り戻し、31分にFWヂャロヴィッチ、38分にシャルビーニがそれぞれシュートを放ったものの、結果は1-1のまま後半を迎えます。

後半はそれぞれがチャンスを作れど潰しあう展開に。ハイドゥクは数的優位を十分に生かせず、チェルナトを中心にした攻撃も不発に終わります。滑り出しの良かったリエカも60分を過ぎると疲れが見えてきましたが、72分、カウンターからヂャロヴィッチが右サイドから折り返し、ファーサイドのFWシュコーロが無人のゴールに押し込むだったのにもかかわらず、シュートはクロスバーを超えていきました。
81分にハイドゥクは切り札のカリニッチを投入。その直後、FWブシッチがチェルナトの浮き球のパスをペナルティエリアでもらい、GKジリッチと一対一になりましたが、ボールコントロールが上手くいかず、シュートも枠を外してしまいます。試合はそのまま1-1で終了。お互い痛み分けの結果となってしまいました。


全試合の結果はこちら。
クロアチア・リーグをより身近に感じて頂くため、今回から試合のダイジェスト映像(クロアチアTV制作)のリンクを張っておきます。

グルギッチInter Zapresic - Zagreb 1:1
1:0 13' Rajko Vidovic
1:1 74' Marko Grgic (写真左)

Sibenik - Osijek 1:0
1:0 25' Kresimir Makarin

Cibalia Vinkovci - Medimurje 2:0
1:0 25' Zeljko Malcic
2:0 93' Luka Kujundzija

Zadar - Slaven Belupo 1:0
1:0 76' Jakov Surac

Dinamo Zagreb - Varteks Varazdin 1:2
0:1 51' Miljenko Mumlek
0:2 55' Goran Mujanovic
1:2 79' Josip Tadic

Hajduk Split - Rijeka 1:1
0:1  5' Anas Sharbini
1:1 19' Maris Verpakovskis

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点49)、2位…リエカ(38)、3位…ハイドゥク・スプリト(34)、4位…スラヴェン・ベルーポ(33)、5位…ザダール(28)、6位…チバリア・ヴィンコヴチ(26)、7位…オシエク(25)、8位…ザグレブ(23)、9位…シベニク(23)、10位…インテル・ザプレシッチ(22)、11位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(21)、12位…メヂムリエ(11)

【得点】
14ゴール…ロヴレク(ザグレブ)
13ゴール…カリニッチ(ハイドゥク)、ヂャロヴィッチ(リエカ)
11ゴール…テルケシュ(ザダール)
10ゴール…モドリッチ(ディナモ)
9ゴール…マンジュキッチ(ディナモ)
8ゴール…ニクシッチ(オシエク)

【アシスト】
8アシスト…ムムレク(ヴァルテクス)
7アシスト…マンジュキッチ(ディナモ)
6アシスト…モドリッチ(ディナモ)、ブーレ(リエカ)、ツェルナト(ハイドゥク)


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posted by 長束恭行 |20:24 | サッカーニュース | コメント(4) |
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2008年02月25日

エドゥアルド、怪我後の最初の声明/ラパイッチ、二部トロギルと契約

バーミンガム戦で左足首に重傷を負ったクロアチア代表FWエドゥアルド・ダ・シルヴァ(写真)が、クロアチア・サッカー協会の公式サイトで手術後最初となる声明を出しました。

エドゥアルド「クロアチアから力強い励ましが僕のところに頻繁に届いており、これには感謝の言葉が見当たらないよ。サポーター、監督、チームスタッフ、チームメイト、そして皆に感謝している。この瞬間において、それは僕にとって本当に大きな意味があるんだ。
僕の負傷がメディアでも大きな波紋を呼んでいるのは信じられなかったし、これほど強くて一体感を持った励ましを得るとは思わなかった。多くの人たちが僕やクラブ、妻のアンドレアに連絡してきて、電話が鳴り止むことがない。けれどもこの声明を通して、できたらこの先数日間は電話を控えてくれるようお願いしたいんだ。僕と家族にとって不必要な、大きすぎるプレッシャーを取り除きたいんだよ。現在の僕には平穏が本当に必要なんだ。とりわけ手術後のこの時期には。しっかりと眠り、そして休みたい。メディアにもロンドン訪問をせがんだり、電話で連絡をしようとしないことをお願いしたいんだ。近いうちに話す機会はたくさんあるのだから…」

エドゥアルドは25日夜と26日朝にビリッチ監督と電話で話し、また代表のチームドクターであるバフティヤレヴィッチ氏とも26日に話をしました。バフティヤレヴィッチ氏は
「足首の開放骨折であり、腓骨は折れたものの頸骨は折れていない。最も大きな損傷は足首の靭帯だ。ドゥドゥを手術した医師とも話したが、彼の言葉だと手術に関しては非常に上手くいったそうだ。医師は満足しており、組織の再生も上手く行くだろうと回復には楽観的だったよ。
ドゥドウも大丈夫で、痛みはないといっていた。今日(昨日)にはロンドンに運ばれ、そこでリハビリも続けることになる。二週間後にはフィジカルセラピーも始まることになるだろう」
と述べています。とはいえ、バフティヤレヴィッチ氏は安易に楽観視することを牽制しており、最終的な回復までは一年掛かる可能性も述べています。ちなみに数週間はロンドンの病院で、それからザグレブに戻ってリハビリを続けることになります(ちなみにクロアチアには代表ドクターも務め、クロアチア内外のスポーツ選手が頼る外科の名医、ボリス・ネメツ氏がいます)。

クロアチアでは国営テレビの夜のニュースで二日続けてトップニュースで扱われ、今日(26日)はロンドンにスタッフを送って生中継、またスプリトからはビリッチ監督が生中継でインタビューを受けました。既に10人ものジャーナリストと国営テレビを含めた3つテレビ局がクロアチアからロンドンに渡っているそうです。
クロアチアでもテイラーを攻める声が上がり(こんな復讐劇もしてます)、被害側と加害側に関する議論が私のコメント欄でも交わされいるようですが、エドゥアルドはテイラーに対して憎しみを持つような青年ではないと私は思っています。というのは、一年前にエドゥアルドも加害者の立場になってしまったことがあるからです。

2007年1月9日、冬休みが明けた翌日のディナモ・ザグレブの練習で、エドゥアルドがDFマリャン・ブリャト(写真中央)にタックルに入ったところ蟹ばさみのようになり、ブリャトの左足の腓骨を折ってしまいました。これにはエドゥアルドも酷く動揺し、入院したブリャトもエドゥアルドとブリャト
「ドゥドゥは僕以上にショックを受けている。彼に対して何も非難してないとはいえね。このようなことは起こるものだし、立場が逆になることだって有り得たのだから。彼とは毎日連絡を取り合っているよ」
と、エドゥアルドをかばいました。
リーグ再開後の最初の試合となった2月17日のアウェーのリエカ戦でエドゥアルドがPKを含む二得点を決めたのですが、ゴールを決めた際に彼はカメラに詰め寄り(試合は生放送)、パンツをまくしあげると彼のスパッツには「Buki mi smo uz tebe(ブリャト、僕たちは君を支えているよ)」とマジックで書いてありました。エドゥアルドがそんなことを準備しているとはチームメイトの誰も知らなかったのです。
「このゴールはブリャトに捧げるものだ。(シーズン再開前の)準備期間ではいつも彼のことを考えていた。どれだけ僕らが彼のことを思っているか、できるだけ彼が早く戻ってきて欲しいという思いで、何かをしようと考えたんだよ。試合後には彼から感謝の携帯メールが届いていた。それから僕は彼に電話をして、この春は彼に捧げるべくもっとたくさんのゴールを決めるよ、と約束したんだよ」
スパッツにメッセージを書いたことがモラル的にもルール的にも反するとしてお咎めを後でもらったエドゥアルドでしたが、約束通りその後もエドゥアルドはゴールを量産。最後はシーズン記録となる34得点を叩き出したのです。

エドゥアルドとディナモ2006年ワールドカップ・ドイツ大会では代表チームに同行するほど将来が期待されたブリャトでしたが、回復までは6ヶ月を要しました。かつての輝きは失われ、ベンチにも座れない状況に甘んじています。そんな彼は今回のエドゥアルドの怪我に触れ、
「試合をテレビで見ていたが、彼がピッチに横たわった瞬間、冷や汗が湧き、直ぐに自分の怪我のことを思い出した。僕は泣きそうになった。本当にショックを受けている」
と語り、25日のうちにエドゥアルドに電話を入れたそうです。
「電話では彼を励まし、僕がどんな風だったか彼に色々と話した。あらゆる励ましが最も重要だ。僕が一番辛かった時に支えてくれた家族や友人、サポーターたちに感謝しているんだ」
とインタビューで振り返っています。二人の友情は怪我を通して更に強くなり、今ではこうしてエドゥアルドが支えられる立場になっているのです。
テイラーも謝罪でバーミンガムの病院を訪れようとしたものの、手術もあって面会できなかったと聞いていますが、いずれはエドゥアルドと会うことでしょう。事実、エドゥアルドはJutarnji-list紙の最新のインタビューでも
「もちろん、テイラーの謝罪は受け入れるつもりだ。彼に罪を着せることはない。人生はそんなものさ。サッカーではそのような事柄も起こるということなのだよ」
と語っています。

(写真内の黄色の囲み…上がエドゥアルド、下がブリャト)


元代表MFのミラン・ラパイッチ(34・写真)が23日、クロアチア二部リーグのトロギルと正式に契約を結びました。契約期間や年俸は明らかにされていませんが、「二部の選手としては最高水準の年俸ではあるものの現実的な枠内のもの」(ブルカン会長)とされています。
ラパイッチハイドゥク時代はスポーツディレクターで、現在はトロギルの会長を務めるヴィンコ・ブルカンから背番号10のユニフォームを手にしたラパイッチは
「ハイドゥクとの交渉が物別れになるや、直ぐに私は友人のブルカンとの話し合いへと向かった。我々の長年に渡る友情が、トロギルへとやってきた第一の理由だよ」
とコメント。また彼を不要と考えたハイドゥクに対しては
「いずれハイドゥクには帰ってくるだろうが、クラブにいる奴らがあそこにいるかどうかだ。私は奴らがいないことを願っているよ。それはフロント、現場の全員に対してだ。クラブに起こりえる最悪なことを彼らは起こしてくれた。ハイドゥクは非常に悪い状況にあり、現在の状況が立ち直るにはまだ何年も必要だろう。しかし、唯一間違いないのは、決して私はハイドゥク相手にプレーはしないということだ。何年間もあの白いユニフォームを身にしてきたわけだからね」
と語っています。
トロギルはこの3年間で4部リーグから3部、そして現在は2部リーグまで上り詰め、現在は8位をキープ。一部との入替戦に挑める2位のフルヴァツキ・ドラゴヴォリャッツとは13試合残して勝点13引き離されているのですが、ブルカン会長はラパイッチがいればまだ狙える範囲だと考えているようです。またスタジアムが二部のクラブの基準に達せず、現在はハイドゥクの本拠地ポリュウド・スタディオンを仮として使っているのですが、
「トロギルがポリュウドでプレーするという事実も、このチームとサインすることを決めた理由の一つだった。ポリュウドでプレーすることは私にとって常に最大の楽しみであるからね」
と語るラパイッチは、次の日曜日に行われるフルヴァツキ・ドラゴヴォリャッツ戦で観客が多く訪れることを望んでいます。
ラパイッチは40歳まで現役でプレーすることを望んでおり、トロギルもラパイッチは長期に渡ってチームに貢献してもらうことを願っております。


クロアチアとスロベニアの親善試合が5月23日にマリボルで行われることで両方のサッカー協会が合意してましたが、ビリッチ監督が合宿地に近いリエカで試合を行いたいことと、両国間の感情のもつれから試合がエキサイトして怪我人が出るのを恐れ(建前上はスロベニアは強い相手と言っていますが)、スロベニアとの試合を避けたいことをメディアに言明。マリボルのスタジアム修復記念でクロアチアを招待しようと思っていたスロベニア・サッカー協会が嫌悪感を示し、直ぐに両サッカー協会が話し合いをしました。試合は8月20日に延期され、急遽、スロベニアに代わる対戦相手を探したところモルドバが同意。5月24日に親善試合を行うことが決まりました。両国間の対戦は初めて。会場は最終決定していませんが、ビリッチの希望通りリエカとなる予定です。


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posted by 長束恭行 |05:45 | サッカーニュース | コメント(4) |
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2008年02月24日

クロアチア代表FWエドゥアルド、卑劣なタックルで重傷

既にテレビ放映やニュースでご存知だと思いますが、アーセナル所属のクロアチア代表FWエドゥアルド・ダ・シルヴァ(写真)が、24日のプレミアリーグ・対バーミンガム戦でイングランドのDFマーティン・テイラーに卑劣極まりないタックルを浴び、利き足である左足を開放骨折してしまいました。余りに酷い光景に中継していたスカイスポーツはリプレイを流さなかったほどですが、このニュースはクロアチア国内を瞬く間に流れ(民放のニュース映像)、サッカー関係者だけでなく国民も悲しみにくれている状態です。

エドゥアルド悲劇は試合が開始し、わずか2分でおきました。中央からドリブルで仕掛けるエドゥアルドをあからさまに潰すかのようにテイラーは足首に目掛けてタックル。左足首が90度折れ曲がり、骨もむき出しになるほどの重傷。もちろんのことテイラーはレッドカード。8分間試合は中断し、エドゥアルドは酸素マスクをつけたまま運ばれ、そのままバーミンガムの病院に送られました。

アーセナルの選手たちも動揺を隠せず、試合は終了間際のPKで2-2に追いつかれたわけですが、試合後、ヴェンゲル監督は
「あのような選手はレッドカードが必要なだけではない。ピッチで何をしでかすか分からないのだから。決してもうサッカーをする必要はないはずだ。長いキャリアにおいて多くの汚いものを見てきたが、あのような残虐なタックルを見たのは極稀なことだ。彼にとってはシーズンだけでなく、それ以上のものが失われてしまった。エドゥアルドは素晴らしい若者で、痛みに苦しむ彼を見たチームメイトは非常にショックを受けていた」
と、テイラーに対して怒りをぶつけました(その後は"言い過ぎた"と釈明しましたが)。

ワールドカップ後にビリッチ監督が就任して以来、エドゥアルドはクロアチア代表のエースとして予選全試合に出場し、チーム最多の10得点を挙げました。
エドゥアルドイングランド戦やイスラエル戦を始め、彼の活躍でモノにした試合は随分とあったわけですが、エドゥアルドのユーロ絶望云々よりも、選手生命が関わるほどの重傷かという悲劇的なニュースにクロアチアのサッカー関係者は衝撃を受けています。
代表広報とお茶をしていた時に第一報を耳にしたビリッチ監督は
「たった今、私が何を言えばいいのか分からないし、何かを言うことに意味があるのかすらも分からない。エドゥアルドは私にとって息子のような存在だ。彼が良くなることが私にとって唯一重要なことなんだ。ドゥドゥ(エドゥアルドの愛称)は帰ってくる。それは間違いない。しかし、それがユーロ開幕の前だろうが後だろうが、構想からは絶対に外れてしまうだろう。とにかく怪我を治して欲しい…。今、彼に送れるメッセージは"私は君を本当に愛しているし、代表の仲間たちも心から君を支えている"ということだ。」
と言葉を選びながらコメントを残しました。

テレビ中継を見ていたアシスタントコーチのアサノヴィッチは
「タックルを見て直ぐにスラヴェン(ビリッチ)に連絡をした。ここはクロアチアにとって、クロアチアのスポーツ界にとって大きなショックだし、我々、そして選手たちにとっても大きなショックだ。今、何かを予想するのは困難だ。言えることはドゥドゥはユーロの舞台にいないということ。映像を見たところ怪我は重いし、復帰にどれぐらいかかるのかを口にするのは難しい。長いのだけは確かなことだ。残念ながら代表チームの大事な鎖の一つを私たちは失ってしまったのだよ。しかしまず何より、彼がなるべく早くサッカーに戻り、また良いプレーをしてくれることを私たちは願っているんだ」
同じくビリッチのアシスタントを務めるプロシネチュキは
「我々全員がショックだ。それ以外、何を言えばいいんだね。スタッフ全体もショックを受けているし、我々だけでなく国家全体がショックを受けている。キャリアそのものを破壊させるようなことが起こりえるのも、この職業のリスクだ。しかし、今回起きてしまったことには我々全員が悲しんでいる。
代表のFWのポジションに誰が代わりとして来ても大変だよ。なぜならドゥドゥは絶好調だったからね。ただし我々の幸運は、他のFWの選手たちも調子がいいので、代わりの適任者は見つけられるだろう。とはいえ、最も重要なことは彼が回復することだ」
また、ご意見番でもあるブラジェヴィッチ(現NKザグレブ監督)は
「恐ろしいことだ。私は心を落ち着かせるために薬を飲まなければならないほどだった。本当に言葉を失った。これは大きな悲劇だよ。誰が代表で彼の代わりになるか、なんて今の私には関心はない。たとえ、それが国家的な関心事だとしても、今はこの悲劇にショックを受けている。ビリッチは間違いなく代わりを見つけるだろうが、時間は必要だろう。
エドゥアルドが間違いなく戻れるほど、今日の医学は進歩している。彼も以前に困難な怪我を克服して帰ってきた(2001年に踵の骨と筋肉を負傷)。彼が戻ってくることには疑いはない。しかし、これは大きなショックだ」
とコメントを残しています。

エドゥアルドのチームメイトも同様に悲しみに暮れています。
エドゥアルドディナモでも代表でもチームメイトだったチョルルカ(マンチェスター・シティ)は
「トレーニングから帰ってくると、ペトロフが電話でエドゥアルドに酷いことが起こったと連絡をくれた。脅えながらも直ぐにインターネットで写真を見ると、僕は完全にショックを受けた。ドゥドゥがユーロに出られないことは大して重要ではない。このような怪我から回復し、いつかは再びプレーすることだけが重要なんだ。僕たち代表のチームメイト全員が彼の健康のために祈っている。あのディフェンダーのタックルには酷く失望しているよ。あれはサッカーと関係ない。あのような輩にはピッチに立つ場所などないはずだ。エドゥアルドは人生で知り合った人の中で最も好青年だし、一つの欠点もない人間なのに」
ディナモ・ユースで一緒に育ったクラニチャール(ポーツマス)はワールドカップ以来、クロアチア・メディアへ貫き通した取材拒否を忘れて口を開き、
「彼に起こったこと全てが僕には気の毒でならない。ジュニアの時からディナモ、そして代表で友情を温め、一緒の道を進んできた。怪我が起きてから数分後、スルナが僕に電話をしてきたが、スルナも電話口で喋ることができなかった。テイラーの残忍なタックルには誰もが衝撃を受けているんだよ。まだショックだろうから明日に連絡することはないけど、2,3日したらロンドンの彼を訪れるつもりだ。全員が彼と一緒だし、全員が彼を支えているんだ」
代表でツートップを組んだペトリッチ(ボルシア・ドルトムント)は
「言葉にできないよ。ハンザ・ロシュトクとの試合前に重い怪我をしたと聞いたが、試合後にどれだけのものか知ることになった。まだ写真は見てないが、誰もが恐ろしいものだと言っている。ショックだね。エドゥアルドのような良い人間にあのようなことが起こるなんて酷すぎるよ。あんな怪我は誰に対しても望まないし、最悪な相手にだって望まない。しかし、なぜエドゥアルドに?
どんな怪我にしろ、戻ってくるのは難しい。僕もそうだった。再び一対一になったり、ボールを受けた時には、選手には怪我の前と同じではないんだよ。エドゥアルドには表現しようのない痛みが間違いなくあっただろう。長い時間が掛かるが、戻ってくることがまず重要だ」
と述べています。

また午後5時からディナモ・ザグレブvs.ヴァルテクス・ヴァラジディンの試合があったのですが、昨シーズンまでエドゥアルドと一緒にプレーしていたディナモの選手たちもショックからか覇気がなく、試合も1-2で敗れてしまいました。試合後にコメントを求められたヴコイェヴィッチは
「お願いだから、私に何も聞かないでくれ」
と眼に涙を貯め、
「僕の人生で最も悲しい日の一つだ。僕の大親友であるエドゥアルドが怪我したあと、試合にも負けてしまった。これより最悪なことがありえるのかい」
声を振り絞って悲しいコメントを残しています。

試合同日、バーミンガムの病院でエドゥアルドには長時間に渡る手術が施され、最新の情報だと幸運なことに手術は成功。メスを入れたのはイングランド代表のドクターも務める外科医で、これまで似たようなケースの手術を経験していたそうです。骨折箇所は外側の腓骨だけで、内部の骨まではいたらず。もし内部まで損傷していたならば選手生命が終わる可能性が十分にありました。とはいえ、ギプスを付けるのは6週間、治るまでには5~6ヶ月と見られています。日曜の昼までバーミンガムの病院に留まり、それからロンドンの病院へと移される予定です。

エドゥアルドエドゥアルドとは私がザグレブに来た2001年以来よく知っていますが、控えめながらもフレンドリーな好青年です。ワールドカップ・ドイツ大会では最後に代表を外され、続くユーロでは怪我で棒に振ってしまうことに悲しさと悔しさでいっぱいです。
ブラジル人でありながらもクロアチアに同化し、ここでは"同胞"としてクロアチア国民の誇りとなってきました。皮肉にも明日がエドゥアルドの25歳の誕生日でありますが、愛すべき彼の下にはお祝いと共に多くの励ましが届くことでしょう。まずは怪我をしっかり完治して、献身的なプレーと華麗なゴールを再び見せて欲しいです。

「Drzi se, DUDU!  (頑張れ、ドゥドゥ!)」


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posted by 長束恭行 |11:32 | サッカーニュース | コメント(46) |
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2008年02月23日

コソボ初代代表監督になりたかったブラジェヴィッチ

コソボの独立宣言で再びこの地域もキナ臭くなってきました。まだクロアチアはコソボ独立を承認してないのですが、ベオグラードでは一連のデモ行動の中でクロアチア大使館も攻撃され、またザグレブでは中央広場でセルビアの国旗を焼いて44人が逮捕されるなど、コソボとは関係のない両国間の軋轢も再び生じてきています。

歴史を紐解くとクロアチアとコソボの繋がりは14世紀まで遡ります。海洋貿易で繁栄したドゥブロヴニク自治共和国からの商業人と鉱夫たちがボスニア・ヘルツェゴビナを経由してコソボへと移住し、カトリック信仰を維持しながらコソボの地に住み続けました。彼らの多くがは現在のコソボの首都プリシュティナ近郊のヤニャボ地方に住んでいたことから「ヤニェヴチ」と呼ばれています。700年近くに渡って子孫を築き、1981年当時は8700人ほど住んでいたクロアチア人のヤニェヴチも一連のユーゴ紛争の波に飲まれます。
1991年以降はアルバニア人勢力の圧力が異様に高まったコソボで彼らは住み辛くなり、多くがクロアチアへと移住しました。1998年に始まったコソボ紛争の時には1800人まで激減し、今日では320人ほどしか住んでおらず、その彼らもいずれはコソボの地を去らざるをえない状況です。ザグレブにもパン屋やケーキ屋などを営みながら「ヤニェヴチ」が住んでいるのですが、どちらかというとクロアチア国内に住むアルバニア人同様に差別の対象になっているのが現実です。

さて政治や歴史の話は横に置いといて、サッカーのブログらしくテーマを本題に移しましょう。
ブラジェヴィッチ監督このままコソボが国際的に承認されていけば、いずれはコソボ・サッカー協会もFIFAやUEFAに加盟する運びです。これまでコソボ代表の試合は幾つか行われたものの、いずれも非公式なもの。新たに誕生するだろうコソボ代表の初代監督のポジションに関心を抱く人物がいます。
ミロスラフ・"チーロ"・ブラジェヴィッチ(写真)、そう1998年ワールドカップ・フランス大会で3位に導いた人物です。
「コソボとはセンチメンタルな関係にあるんだよ。だからといって、私は反セルビアというわけではない。クロアチア国内にも多くのセルビアの友人がいるし、ショービニスト(盲目的愛国主義者)ではないからね。もし私をコソボの代表監督に選んでくれたならば、その座を賭けて戦っていくつもりだよ」
1990年代はクロアチア初代大統領のトゥジマンと結託し、サッカーを通して愛国心を高めただけでなく、毒までも撒き散らしたブラジェヴィッチ。トゥジマンの死後、かつての政治力は失い、ディナモ副会長のマミッチやサッカー協会会長のマルコヴィッチといった権力者を敵に回しながらも、常に監督としてサッカー界に関わっています。またメディアのご意見番を務める以外に、自らがホスト役を務めるの対談番組「チーロスコープ」を持っているほど。上記の発言はその番組のものでした。

ブラジェヴィッチとコソボの関係を説明するためには時代を1980年代まで遡ります。彼が最初の名声は1981/82シーズンのディナモ・ザグレブ優勝です。
ブラジェヴィッチ監督1980年末にチトーが亡くなり、クロアチアの民族主義が次第に高まる中、クラニチャールやザイエッツ、ムリナリッチらを要し、ツルヴェナ・ズヴェズタ(レッドスター)、パルチザン、ハイドゥクといったライバルを押さえて24年ぶりの優勝。それで彼は確固たる地位を築きました。1983年以降はスイスに渡り、1986年にユーゴへと戻ってきた時のクラブがコソボのFKプリシュティナだったのです。そして二部降格の危機にあったプリシュティナを救い、一部残留を果たしました。わずかな就任期間ながら、コソボのアルバニア人にとっても英雄的な存在となったのです。
「クロアチアで私はどんどんと忘れられた存在になっているが、コソボではまだ私が覚えられているんだ。なぜなら、彼らも信じられないような業績を私は成し遂げたからだよ! 監督に呼んでくれるのならば、本当に感激することだろうね」
ちなみにブラジェヴィッチは非公式ながら2006年にロマ(ジプシー)の欧州代表の初代監督に就任しており、彼が監督を務めるNKザグレブのメディッチ会長もそれにはお冠状態です。
「コソボの監督に呼ばれたところでも、メディッチ会長が私を手放してくれるかどうかは疑わしいね。6ヶ月経っても、一クーナ(一銭)も給料を払ってくれないとはいえね…」
とこぼしています。

ちなみにコソボ代表監督にはアルバニア人の就任が濃厚で、クロアチア最初の代表戦(1990年・対アメリカ)にも出場したクイテム・シャーラ、1998年のクロアチア代表メンバーであるアドリアン・コズニクが候補に挙がっています。コズニクは
「現在のアルバニア代表にはコソボ生まれの選手が6~7人いる。常にあそこはタレントあるサッカー選手がいる場所だった。もちろんのこと将来性はあるし、時間と共に非常に優れた代表が生まれる可能性だってある」
と、旧ユーゴスラビアで7番目となる代表チームのポテンシャルを語っています。クロアチアのコーチアカデミーを修了したコズニクはコソボ初代監督就任に意欲を燃やしており、師匠格に当たるブラジェヴィッチも
「コズニクは若いし、野心もある。働くことも大好きだし、何よりあちらのメンタリティをよく知っている。私も彼を監督として推薦したいものだね」
と述べています。

ブラジェヴィッチ監督とヤルニコソボ初代監督の座は諦めつつあるたとはいえ、70歳超えてもいまだに現役監督。「全監督における監督」との愛称を持ち、彼の教え子たちが次々と指導者として活躍しています。ビリッチ、クラニチャールの歴代二人のクロアチア代表監督だけでなく、ソルド(ディナモ監督)、ヤルニ(ハイドゥク監督)、ユルチェヴィッチ(スラヴェン・ベルーポ監督)、ダリッチ(リエカ監督/かつてチーロのアシスタント)のクロアチア上位4チームいずれの監督も教えを受けています。メソッドは新しくはないとはいえ、選手へのモチベーションづけやトレーニング方法など、影響を受けたサッカー関係者は数知れず(実際に彼の練習を見に行くとメニューが豊富です)。生涯現役監督を貫くと思いきや、最終目標は違うところにもあるようです。
「ズボニミール・ボバンがクロアチア・サッカー協会へと入り、いずれは協会長になるなんてメディアは書き立てているけど、ボバンは協会には行かないよ。彼はいつかパントヴチャク(大統領官邸がある地区)に住み、クロアチア大統領になるんだから。これに関してはサナデル現首相の裁量次第たが、もしボバンが立候補したら私たち誰もが彼に投票するよ。そして最後は私がサッカー協会長になるのさ」
半分真面目とも半分冗談とも取れる発言をつい最近しています。そんなお茶目な性格が今でもブラジェヴィッチが愛されている理由かもしれません。

(一番下の写真は師弟対決となったブラジェヴィッチとヤルニ)


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posted by 長束恭行 |19:31 | サッカーコラム | コメント(4) |
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2008年02月22日

クロアチア・リーグ後半戦の展望

2ヶ月半の間、ウィンターブレークに入っていたクロアチア・リーグも、金曜日のインテル・ザプレシッチvs.ザグレブを皮切りに再開します。これまでは19節が終了し、残りは14節。クロアチア・リーグは総当り3回戦という変則的なルールで、12チームによる総当り2回戦が終わったのち、それまでの順位を参考に残りの11節の日程が決まります。1~6位のチームが一試合多くホームゲームを開催することになります。

現在はディナモが16勝1分2敗、勝点49で首位を独走。優勝はほぼ確定とされています。UEFAカップの出場権が得られる2位争いはリエカが勝点37で、勝点33で並ぶスラヴェン・ベルーポとハイドゥク・スプリトとは一つ頭抜けている状態。上位4クラブを中心に春の戦いの展望ならびに注目点を挙げていきましょう。


1位 ディナモ・ザグレブ (勝点49・16勝1分2敗)

モドリッチ開幕前にはFWエドゥアルド(→アーセナル)、開幕直後にはDFチョルルカ(→マンチェスター・シティ)が移籍しながらも、「プロフェソール(教師)」のニックネームを持つイヴァンコヴィッチ監督のもと常勝軍団となったディナモ。昨シーズンから足掛けでリーグ28連勝という記録を作ってきました。欧州カップでは目標だった38年ぶりの年越しを果たせず、ウィンターブレーク直前の第19節ではスラヴェン・ベルーポに2-5という大敗を喫したとはいえ、チーム平均年齢がリーグの中で最も若いこともあって、選手成長の手腕に長けたイヴァンコヴィッチ監督の下で更なる発展が期待されていました。しかし1月、室内選手権でマミッチ副会長に暴言を吐かれたことでイヴァンコヴィッチ監督が辞任を発表。ユースを指導していたソルドが新監督に就任しました。
システムはイヴァンコヴィッチの4-2-3-1から、ソルドがシュトゥットガルトで慣れてきた4-4-2へとチェンジ。ただしツートップの一角を務めるマンジュキッチはプレー範囲が広く、中盤によく下がるため、マイナーなチェンジといって過言はないでしょう。
この冬にMFポクリヴァチュ(→モナコ)、DFシルデンフェルド(→ベジクタシュ)の二人を放出した代わりに、一時は現役引退したと思われたDF/MFビシュチャンがディナモに復帰。ソルドはストッパーとして起用する予定ですが、手薄なボランチも埋められる経験豊かな彼の加入は大きなプラス。そして、ビシュチャン以上にディナモにとってのプラスは「モドリッチ(写真)の残留」でありました。プレミアの幾つかのクラブが2500万ユーロの高額な移籍金を提示したものの、マミッチ副会長は最終的に拒否。てっきり移籍するものだと思っていたモドリッチにとってはショックでしたが、今では残りのシーズン、そして来たる欧州選手権に集中しています。
ソルド新監督による来季の欧州カップ挑戦に向けてのチーム作り、またディナモだけでなくクロアチア代表でもトッププレイヤーとなったモドリッチの雄姿に注目したいところです。

     [理想スタメン]

    バラバン  マンジュキッチ

 モドリッチ         グエラ
  
   ヴルドリャク ヴコイェヴィッチ

チャレ ドゥルピッチ ビシュチャン エトー

        コッホ


2位 リエカ (勝点37・11勝4分4敗)

若さ溢れるダリッチ新監督のもと、昨季の低迷を払拭するかのように攻守バランスの取れたサッカーを展開するリエカ。
シャルビーニチーム最多の13ゴールを奪ったモンテネグロ人FWジャロヴィッチ、パレスチナの血も流れるファンタジスタのシャルビーニ(写真)、右サイドでパスの供給役を努める元ガンバのニーノ・ブーレ、FWからセンターハーフにコンバートされた元ブルガリア代表イヴァノフら攻撃のタレント陣が揃い、かつ守備も堅固であって今季の失点17はリーグ最小です。
ただ、U-21代表にも名を連ねる左SBパミッチがレッドブル・ザルツブルクに移籍。このポジションを埋められる選手がおらず、これまでの4バックから3バックへの変更を強いられることになりました。これで守備陣が崩壊さえしなければ、このまま2位のポジションを守りきる可能性は大。あとは昨年後半に息切れしたシャルビーニがどこまで調子を維持できるかも、チームの調子を左右しそうです。

     [理想スタメン]

  ヂャロヴィッチ シュコーロ

      シャルビーニ
イェルテツ        マルチッチ

   イヴァノフ  シャファリッチ
  
 ヴチュコ  チャガリ  ブディチン

       ジリッチ


3位 スラヴェン・ベルーポ (勝点33・10勝3分6敗)

昨年にチーム創立100周年を迎えたスラヴェンは、昨季に初めてカップ戦決勝に勝ち進み、今季は初のUEFAカップ出場権を得るなど成長を続けているチームです。薬品会社のベルーポ、食品会社のポドラヴカなど地元の優良企業がスポンサーとなることで、ユーゴ時代は日の目を見なかった一地方クラブが、現在ではクロアチアの強豪の一角を占めるようになりました。
ヴルチーナ昨季のスコーリア監督から指揮を引き継いだのは、98年W杯メンバーでもあるユルチッチ。モラルと規律を重視した指導で、既に国内で幾つものクラブを指揮。スコーリア同様に野心とエネルギーに満ちた監督として名声を勝ち取りつつあります。昨季からはMFムムレク、FWドディク、GKニコロスキなどの主力が向けた一方で、FWシェヒッチ、MFユリッチ、MF/DFチャヴァル、GKイヴェシャといった中堅どころを次々と獲得。またユース出身のMFヤヤロ、MF/FWデリッチをスタメンで使うなど、チームを刷新しました。
UEFAカップでは予備戦二回戦でガラタサライに屈したものの、国内では好調を維持。慣れない過密日程もあって怪我人も発生し、ユルチッチはシステムやスタメンを頻繁に変えなくてはならなかったものの、ウィンターブレーク前の最終節ではディナモを5-2で一蹴するなど実力を備えたチームとなりました。
しかし、堅実経営を根本とするフロントは、この冬にDFラデリッチ(→エネルギー・コットブス)とFWヴルチーナ(写真・→デュイスブルク)を放出し、移籍金もしくはレンタル料を稼ぐ一方で、即戦力となる補強選手はゼロなのは現場のユルチッチ監督にとっては頭の痛いところ。これから次第に順位を落としていく可能性は十分にあります。

     [理想スタメン]

      シェーヒッチ

デリッチ   ヤヤロ  ユリッチ

    ポリャーク  ソピッチ

チャヴァル  クリスティッチ  ポルドゥルガチュ  ボシュニャク

       イヴェシャ


4位 ハイドゥク・スプリト (勝点33・9勝6分4敗)

今季はDFトゥドール、MFツェルナト、DFサブリッチ、FWヴェルパコヴスキスといった実力者を次々と獲得しながら、フロントのゴタゴタもあって早くに優勝争いから脱落した名門ハイドゥク。監督もプダール、チュトゥク、クレシッチと次々に代わり、経験不足が心配されつつもヤルニ監督になってようやく戦いぶりも落ち着いてきました。
カリニッチとはいえ、フォワードの駒がありながら得点力不足は否めず、頼りはA代表の声も掛かった20歳のカリニッチのみ(写真)。今季は13得点を挙げ、得点王候補の筆頭です。しかしながら、カリニッチも怪我やカードで悩まされ、リーグ戦は13試合出場に留まっています(それでも1試合1点ペースは凄いわけですが)。この冬の準備期間でも足の筋肉を傷めて出遅れており、リエカ戦やディナモ戦が近日中に控えているのが辛いところです。リヨンも嘱望したというFWルカビナは伸び悩み、トゥドール、サブリッチの元代表DFも揃って怪我、と戦力面ののマイナス要素は多く、また香港遠征では時差に悩まされ、ヤルニ監督も遠征そのものは準備に不必要だったと認めました。
また室内選手権や合宿に参加したユースのMFマレシュはプロ契約の金額が安いとしてディナモに移り、MFダムヤノヴィッチはルチ・エネルギアの移籍を希望して離反、またスポーツディレクターのエルツェグはフロント内での争いに敗れ、近いうちチームを去ることを示唆しており、ピッチ外でも何かと騒がす毎日が続いています。
好材料は司令塔のツェルナトがチームに馴染んできたこと、あとはFWブシッチがディナモ・キエフから復帰、DFジヴコヴィッチも怪我から復帰したぐらいです。

     [理想スタメン]

    カリニッチ  ルカビナ

      ツェルナト

 ガブリッチ アンドリッチ ルビール

フルゴヴィッチ ジヴコヴィッチ トゥドール ペライッチ

     ヴァルヴォディッチ


これからシーズン終了までクロアチア・リーグを各節、写真と共にレポートしていきます。お楽しみに。


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posted by 長束恭行 |23:30 | サッカーニュース | コメント(10) |
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