2010年09月06日

クロアチア、ユーロ2012予選好発進/ラトビアに3-0で快勝

9月3日、クロアチア代表にとってはユーロ2012予選の初戦となるラトビア戦が、敵地リガのスコント・スタジアムで行われ、「3-0」で快勝。幸先良い滑り出しとなりました。

nogomet-188028.jpg怪我人続出でワールドカップ出場を逃したクロアチアにとって、ユーロ2012予選は言い訳なしの全身全霊を賭けた戦いとなります。名門クラブからのオファーが尽きず、一度は退任を考えたスラヴェン・ビリッチ監督(写真)も選手達の慰留を受けて続投を決意。システム変更や新たな選手のテストを重ねながら、チームの再構築を進めてきました。今年に入ってからはベルギー、オーストリア、ウェールズ、エストニア、スロバキアの中堅国を相手に親善試合をこなし、3勝2分で得点5・失点1。今のクロアチアは攻撃陣を中心に申し分ない戦力を抱えながらも、誰もが納得するようなゲーム内容ではなく、国内メディアも「予選敗退した際のアリバイはもう存在しないぞ」とビリッチ監督に対してプレッシャーを高めてきました。

クロアチアはグループFでギリシャ、イスラエル、ラトビア、グルジア、マルタと戦います。比較的恵まれた組合せとはいえ、格下相手には気が抜けるメンタリティを彼らも自覚しており、ラトビア戦を前にしたビリッチ監督も
「ラトビアは我々より劣るが、はまればサプライズを起こせるほど強いチームでもある。我々は成功への願望が強いものの、彼らだって同じこと。初戦は今後を占う戦いだけに本当に重要な試合だ」
と注意を促しました。チームの柱となるMFモドリッチが太股の負傷で欠場したことで、ビリッチ監督が選択した布陣はエドゥアルドをトップ下に置く4-2-3-1。過去は4-4-2を多用してきたクロアチア代表にとって、4-2-3-1は今予選から使う新システムです。ラキティッチ、スルナ、チョルルカが従来のポジションを変更し、弱点だった左SBにはハイドゥクで活躍するストゥリニッチが起用。また右MFはマンジュキッチが有力でしたが、直前でシュトゥットガルト移籍が破談に終わって意気消沈するペトリッチを敢えて先発で使ってきました。
GKルニェ-(右から)DFスルナ、チョルルカ、シムニッチ、ストゥリニッチ-MFヴコイェヴィッチ、ラキティッチ-MFペトリッチ、エドゥアルド、クラニチャール-FWオリッチ

アイスホッケーやバスケットボールに人気が集まるラトビアが、よもやのユーロ本戦進出したのは6年前。2008年にハイドゥク・スプリトにも在籍したFWヴェルパコフスキスや、欧州最多キャップを誇るDFアスタフィエフス、昨季のスイスリーグの最優秀GKに選ばれたヴァニンスらを抱えるものの、欧州では小粒なチームに変わりありません。しかしながら、先のワールドカップ予選にてホームで敗北を喫した相手はギリシャのみ。同組のイスラエルを上回る5勝2分3敗の成績を残しました。そんなラトビアのスタメンは以下になります(4-4-2)。
GKヴァニンス-DFクラヴァ、イヴァノフス、ゴルクシュス、ミハジュクス-MFルビンス、ラフィスキス、ライザンス、カウナ-FWカルルソンス、ヴェルバコフスキス

nogomet-188029.jpg冷たい雨が降る中、クロアチアは試合開始からポゼッション率70%でゲームをコントロール。事前情報からラトビアがサイド攻撃に弱いと聞いており、ボランチのラキティッチ(写真)による左右のロングパスを交えながら、SBも加えた厚みのあるサイド攻撃を推し進めます。しかしながら、高さもあり、ポジショニング良くゴール前を固めるラトビアDF相手にヘディングシュートに持ち込むのは容易じゃありません。
利き足とは逆に配置された左右のクラニチャールとペトリッチが内へ切れ込み、ミドルシュートというパターンも期待されたものの、所属クラブでベンチに座りがちな二人のシュート精度はいまいち。スペースがあればこそ活きるオリッチはラトビア守備陣に埋もれてしまい、組立てを期待されてトップ下に入ったエドゥアルドも手持ち無沙汰になってしまいました。

ペナルティエリアの外からミドルシュートでこじ開けるしかないクロアチアは、2分にクラニチャール、13分にオリッチがグラウンダーでシュートを放つものの、力なくGKヴァニンスの正面。24分に中央から放ったペトリッチのミドルはクロスバーを遥かに越えます。ラトビアの前半唯一のシュートは32分、カウナがミドルを放ちますが、GKルニェの正面に。40分、クラニチャールのミドルは枠を捉えたものの、GKヴァニンスがパンチングで掻き出します。
サイド攻撃を推し進めるならば、ヘディングの強いFWイェラヴィッチを投入してパワープレーに持ち込むのが良策のはず。このまま前半を0-0で終えるのではと予想した中、43分にようやく先制点が決まります。オリッチが絶えず最終ラインにプレッシャーを掛けたのが功を奏し、中途半端なクリアを拾ったスルナが右に開いたオリッチに展開。オリッチのクロスボールはバーに当たってゴール前で浮き上がり、それをペトリッチが押し込みます。ラトビアのような手堅いチームには、早い先制点で満足して気が抜けて反撃されるよりも、前半終了間際の先制点で己のモチベーションを高め、後半勝負と考え始めた相手にダメージを与えた方がベターでしょう。この先制点は最高の時間帯でした。

nogomet-188031.jpg後半もクロアチアのペースで推し進め、51分、ペトリッチ(写真)が右から左足で大きくクロスを上げると、ファーポストで待つオリッチがヘディングシュートを押し込み2-0。ハンブルガーSVでチームメイトだった二人は、この攻撃パターンを試合前から約束していたそうです。
これで楽になったクロアチアはお約束通りに気が緩み、ラトビアに攻め込まれます。52分、ヴェルパコフスキスがゴール前でバイシクルシュート。ボールがラインを越えようとした瞬間にカバーに入ったクラニチャールが間一髪でクリア。60分には再びヴェルパコフスキスが左クロスにピタリで合わせてヘディングシュートを放つも、ボールはサイドネットに留まります。
クロアチアは62分にFWイェラヴィッチ(←エドゥアルド)、70分にプラニッチ(←ヴコイェヴィッチ)を投入。72分、そのプラニッチからのスルーパスがイェラヴィッチに通るもループシュートはポストの右へ。78分にはオリッチの右クロスがゴール前のイェラヴィッチに通りましたが、得意のヘディングシュートは不発に終わります。先月末にラピッド・ウィーンからグラスゴー・レンジャースに移籍したばかりのイェラヴィッチは、代表に定着するまでの大活躍と違って精細に欠けました。新たなクラブ環境への慣れが代表でのプレーに影響することは、先のワールドカップ予選でも顕著に現れただけに(ex.モドリッチ、チョルルカ、オリッチ…)、イェラヴィッチやマンジュキッチには少し時間が必要かもしれません。
逆に20分間ながら、ボランチとして速いボールの出し入れで効果的なプレーを見せたのがプラニッチ。左SBは不適格とされ、左MFもポジション争いに出遅れた彼ですが、バイエルン・ミュンヘンで一年を過ごし、今はファン・ハールからボランチを任されたことで一皮剥けた感があります。コヴァチ兄の引退後はボランチ不足が嘆かれ、モドリッチを一つ前のポジションで使いたいクロアチアですが、ラキティッチやプラニッチがボランチで使えることが証明されたことで、戦術的なオプションが以前より増えたことが今の強みでしょう。
ゲームを締め括るゴールは81分、クラニチャールの左CKをGKヴァニンスが弾いたところを、右のスルナがズドンとミドルシュート。敵地による「3-0」という勝利は、不安説を一掃する会心の結果となりました。
(ダイジェスト動画はこちら)

試合後、ビリッチ監督はこのように述べています。
「このアウェーマッチは、我々コーチ陣にとっては最も難しい試合だと捉えていた。ワールドカップ予選の失敗を経て、我々は自信を失いかけていただけにね。だから、この試合を勝利者として終えるのが命題だったんだ。その命題を成し遂げたことこそ、我々にとって大きな意味がある。
先制点はこの試合を解決するのを最高の形で助けるゴールだった。ペトリッチはクラブで難しい状況に立たされているのにもかかわらず、今夜は良いプレーをしようというモチベーションを持ってくれた。チームとしては辛抱強くプレーしたよ。ハーフタイムに選手達には"何だろうと引くな"と指示を出した。そして二点目が勝負を決めるゴールとなったんだ。サイドで数的優位を作り、また彼らのカウンターも上手く阻止した。ただ、ヴコイェヴィッチとスルナがイエローカードをもらったのは余計だったね。この勝利は大きな勝利だ。しかし、強調するが今の我々が溺れる必要はない。ギリシャ戦が待っているが、これは今日と全く異なる試合となるだろう」

そのライバルとなるギリシャはホームでのグルジア戦でまさかのドロー(1-1)。勇退したオットー・レーハーゲルに代わるポルトガル人監督のフェルナンド・サントスの下、攻撃的サッカーに転じようとするギリシャですが、今までのモットーとは異なるスタイル形成は時間が必要です。そんなギリシャを今のうちに叩けば、グループで優位に立つのは間違いありません。怪我のモドリッチもこの試合に合わせて復帰し、エドゥアルドに代わって起用される模様。グループFの運命を握る「クロアチアvs.ギリシャ」は7日、ザグレブのマクシミール・スタディオンで行われます。


posted by 長束恭行 |19:54 | サッカーニュース | コメント(3) |
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