2008年08月28日

自滅したディナモ・ザグレブ、シャフタールに屈する/チャンピオンズ・リーグ予備戦三回戦第二戦

スルナとバデリ26日、チャンピオンズリーグ予備戦三回戦第二戦「ディナモ・ザグレブvs.シャフタール・ドネツク」が、ディナモの本拠地マクシミール・スタディオンで行われました。
二週間前の第一戦はシャフタールが2-0と勝利。ディナモにとっては2点のビハインドを追うことになります。1997年以来、私はこのラウンドでニューキャッスル、ディナモ・キエフ、アーセナル、ヴェルダー・ブレーメンと沈められた場面しか見てませんが、5度目の正直とばかり取材に足を運んできました。

ディナモ・ザグレブはGKブティナ、DFエトーが怪我で欠場。またFWタディッチも先週末の試合で足首を痛め、バラバンがワントップの位置へと入りました(4-2-3-1)。
GKケラヴァ-(右から)DFミキッチ、ドゥルピッチ、ビシュチャン、フルゴヴィッチ-MFヴルドリャク、バデリ-モラレス、マンジュキッチ、サミール-FWバラバン

シャフタール・ドネツクは国内リーグでの不調が続き、23日にも格下ボルスクラに0-1で敗北。これまで6節を終わって勝点6しか奪えず9位に甘んじています。
ライバルのディナモ・キエフは2位で勝点13、また同じ市にあるメタルルフ・ドネツクが全勝で勝点18を考えれば、かなり出遅れてしまっていると言えましょう。しかしながら、彼らの欧州での命題はチャンピオンズ・リーグ出場であり、ルチェスク監督は守備に配慮した4-2-3-1システムを採用。前回は3トップの中央だったブランドンが左サイドのMFとなり、ワントップにはアドリアーノが入りました。またシャフタールのキャプテンでもあり、クロアチア代表では左MFを務めるスルナは前試合と同様に右サイドバックへと入りました。
GKピヤトフ-DFスルナ、クチェル、チグリンスキー、シェフチュク-MFドゥリャイ、ヒュプシュマン-、ヴィリアン、フェルナンジーニョ、ブランドン-FWアドリアーノ


BBB前半は攻めるディナモに守るシャフタールという構図になりましたが、ディナモはパスを繋げようにもゴール前をしっかり固めたシャフタールのディフェンスをこじ開けることができません。シャフタールはボールを奪って攻撃に転じると、基本的には前線の4人のブラジル人の個人技を頼りにしたサッカーを展開します。
ディナモにとって望みの少ない試合とはいえ、マクシミール・スタディオンには2万人ほどの観客が集まって応援が繰り返されました。しかしながら、過激なサポーターグループのBBBは北側のゴール裏(写真)と東側のバックスタンドに分かれ、マミッチ副会長を批判すべく「マミッチ」「ジプシー」のコールの掛け合いを繰り返したり、スプリト出身のスルナがタッチライン際に来るとライターが投げつけられ、またセルビア代表のドゥリャイには「死ね、セルビア人」(正確に言えば彼の父親はアルバニア人)と叫ぶなど、やりたい放題でした。
最初のディナモのチャンスは5分、ミキッチの右のスローインからマンジュキッチが踵を使ってボールをモラレスへ。ブラジル戦を控えるチリ代表に召集されたばかりのモラレスは20mの距離でドライブシュートを放ちますが、クロスバーを越えてしまいました。
シャフタールは8分、フェルナンジーニョの浮き球からアドリアーノがゴールを背にしながらループシュートを狙うもののGKケラヴァがセーブ。また18分、スルナの右CKに対してドゥルピッチがヘディングの目測を誤り、ボールはフリーのブランドンに。しかし、トラップからのシュートは右ポストを逸れていきます。
アドリアーノとチャゴ20分にはサミール→モラレス→バラバンとパスを繋ぎ、ペナルティ外からバラバンがミドルシュートを放つもののGKピヤトフの正面に終わります。21分には右サイドのミキッチからアーリークロスがペナルティエリアのバラバンの足元へと収まり、シュート体制に入るところをクチェルに倒されたかのようにシミュレーション。イングランドのマイク・ライリー主審を騙すことはできず、バラバンはイエローカードを取られました。
若さのせいかプレーで堅さが見られ、攻守の両面でミスが目立った19歳のバデリをイヴァンコヴィッチ監督はベンチへと下げ、35分にチャゴをセントラルMFへと送り込みます。この選手交代が結果的には失敗でした。
42分、自陣のゴール近くでボールをカットしてビシュチャン→ドゥルピッチ→ミキッチとエンドライン際でボールをスライドさせたのち、前方のチャゴへとパスを送ったものの、チャゴ(写真左)は何を血迷ったかゴール前のビシュチャンへ不正確なバックパス。そんなサービスボールをアドリアーノ(写真中央)がさらい、無力なビシュチャンをかわしてシュートを流し込みました。これでディナモは4点取らないと突破できないこととなり、事実上のジ・エンド。これまで欧州の舞台で伝統的にやらかしてきた"くだらなく、かつ致命的な"失点をまたして見せてしまいました。


ミキッチが足首を痛めたことで右サイドバックにロヴレンを入れて後半がスタート。しかしながら、ディナモは勝利が絶望的になったことで意気消沈。シャフタールは好き放題にボールを回しながら、子供相手にレッスンするかのようなサッカーをやりました。
喜ぶシャフタールの選手たちそれでも57分、バラバンがゴール正面20mの距離から直接FKをゴール右上へと叩き込んで1点を返します。
しかしながら1分後、左サイドでオーバーラップしてきたシェフチュクがフェルナンディーニョからパスをもらい、ペナルティエリアに侵入。誰も止めに行こうとせず、最後はゴール前のブランドンへと繋ぎ、あっさりとシュートを決められて1-2。
69分にはフェルナンディーニョのスルーパスにヴィリアンが左からシュートを流し込んで1-3。ヴィリアンをマークするはずのフルゴヴィッチも全力で追いかけることはせず、奪われて当然のゴールでした。
このゴールをきっかけに観客はどんどんと客席を立ち、最後まで観戦したい物好きと自己愛から応援を繰り返すBBBだけがスタジアムに残りました。試合は1-3、トータルスコア1-5でディナモ・ザグレブは三年連続でチャンピオンズリーグ予備戦三回戦にて姿を消すことになりました。


試合後、シャフタールのルチェスク監督(写真)は
ルチェスク「ディナモは優秀な選手が随分と去ってしまい、昨年よりも弱くなっている。我々は戦術的には上手くやっただけに、我々に対しては勝利できなかったよ。ディナモの選手はプレッシングをかけてきたものの、そのプレースタイルに我々は慣れてしまったんだ。またボールを回すことでマンジュキッチをわざと走らせ、彼を疲れさせるようにしたのだが、ストッパー間でボールを回す際にはとりわけ注意させた。そして我々が最初のゴールを奪った後、彼らがゲームを振り出しに戻すのは不可能となった。それでゲームをコントロールしたんだ。ディナモにはUEFAカップで成功することを望んでいるよ」
と語っています。ルチェスク監督が記者会見の場を去ったのち、イヴァンコヴィッチ監督が記者会見の場に現れ、
「これが我々の現実だ。建設途中のチームであり、欠点や弱点は認識している。シャフタールが我々より優れたチームは明らかだった。しかしながら、もし我々が最初のゴールを決めていたならば、さらに熱くなったのかもしれないね。
シャフタールの勝利を祝福したいし、チャンピオンズリーグでより良い結果を残すことを願っている。とはいえ、我々も今日は希望を抱きながら、勝利にトライしたんだ。その一方で、最初のゴールが試合の方向性を決めることも意識していた。残念ながら許されない時間帯に、それも明らかな我々のミスで失点をしてしまった。そこから4点を奪えるなんて期待は難しかった」
と、淡々と敗北について述べています。


これで予備戦三回戦においてディナモは10連敗。来季からはチャンピオンズ・リーグのレギュレーションが変わり、5年間の欧州カップのポイントに基づくUEFAランキング13位~53位の国で5つの枠を巡る予備戦が行われることから、ディナモにとってはチャンスが広がります(クロアチアは現在27位)。来季以降に期待ということになるのでしょうが、その前に今季のUEFAカップで一回戦を突破し、リーグラウンドに出場できるよう意地を見せて欲しいところ。ちなみに去年はアヤックスを倒してリーグラウンドに進出し、そこで"やらかし"を連発し、リーグ敗退をしています。


個人的にこの日の見所だったのは、北京五輪のテコンドー女子57kg級で銅メダルを獲得したザグレブ出身のマルティナ・ズブチッチ(写真・試合動画)がゲストとして試合に招待されたことでした。
マルティナ・ズブチッチ笑顔が非常に可愛い女性で、試合前にはスポーツ・ディレクターのゾラン・マミッチから彼女に花束とユニフォームがプレゼント。ユニフォームには彼女の年齢にちなんだ「19」の背番号と「ZUBCIC」の名前が入っていました。
ちなみにクロアチアは北京五輪で銀メダル2つ、同メダル3つを獲得。34連勝中で金メダルは確実とされていた女子走り高跳びのブランカ・ヴラシッチは残念ながら銀メダルどまり。それでも昨日はスプリトで大々的な歓迎式典が行われました。
あとの残りは男子体操個人あん馬でフィリップ・ウーデが銀メダル、女子射撃エアライフルでスニェジャナ・ペイチッチが銅メダル、テコンドー女子67kg級でサンドラ・シャリッチが銅メダルを獲得しています。


posted by 長束恭行 |10:28 | サッカーニュース | コメント(0) |
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