2008年08月21日

親善試合「スロベニアvs.クロアチア」/ラキティッチの活躍で3-2の勝利

8月20日、スロベニア、マリボルの親善試合「クロアチアvs.スロベニア」が行われました。これまで隣国スロベニアとの対戦成績は8戦で5勝3分と負けなし。全席が屋根で覆われた真新しいスタジアム、リュツキ・ヴルト・スタディオンには9割方が埋まる11,000ほどの観客が集まりました。

ユーロ2008の準々決勝・対トルコ戦以来の試合となるクロアチア代表は、ニコ・コヴァチとモドリッチを負傷で欠いたことで、中盤の底にはレコとクラニチャールが入りました。またこの試合で記念すべき代表キャップ100を迎えるシミッチがキャプテンマークを巻いて先発出場。1996年3月13日の韓国戦以来足掛け13年の100試合目で、シミッチはクロアチアが出場したワールドカップ、ユーロの全6大会全てに出場しています。背番号100の記念ユニフォームをもらったシミッチは、選手とコーチ陣から一人一人にキスされながらの祝福を受けました。スタメンは以下のようです(4-4-2)。
GKプレティコサ-(右から)DFチョルルカ、シミッチ、コヴァチ弟、プラニッチ-MFスルナ、レコ、クラニチャール、ラキティッチ-FWペトリッチ、オリッチ

一方のスロベニアは、ケク監督のもと若返りを図っているチーム。昨季はケルンでブンデス二部の得点王となったノヴァコヴィッチがワントップの4-4-1-1のシステムを採用しています。スタメンは以下のようです。
GKハンダノヴィッチ-DFイリッチ、メレツ、シュレール、ヨキッチ-Mブレチコ、ジュロガール、コマッツ、キルム-シシッチ-FWノヴァコヴィッチ

クロアチア-スロベニア間の国民感情は決して良いとはいえず、スロベニアでは最高レベルの警備体制が敷かれた試合となりました。国歌演奏の時にもお互いのサポーターがなじり合い、ピッチでも親善試合という趣はない試合となりました。
スロベニアはアグレッシブな守備で両サイドをしっかりと抑えることで、クロアチアのサイド攻撃を防ぎます。中央から攻撃しようにもレコとクラニチャールはモドリッチのように一人で突破していくほどのスピードがなく、序盤は苦しい戦いとなります。
それを象徴するかのように開始4分、ブレチコの右CKにシュレールが目の前のシミッチを押さえ込みながらヘディングシュートを決め、スロベニアが先制します。
ラキティッチクロアチアも10分、ラキティッチ(写真)の左からのロングクロスにペナルティエリアに侵入したスルナが右足でボレーシュートを放つもクロスバーの上に。15分にはクラニチャールがキルムに背後から右足首を踏みつけられて負傷。ヴコイェヴィッチが代わりにボランチに入ります。
なかなかリズムが作れないものの地力で上回るクロアチアは34分、中央のペトリッチから左のスペースを抜けるオリッチにスルーパスが通り、GKハンダノヴィッチと一対一となるものの、ループ気味に蹴ったシュートは枠を捕らえられずチャンスを台無しにしてしまいました。
しかし、その3分後、最終ラインからのメレツの縦パスをヴコイェヴィッチが前方へと弾き返すと、ゴール前にいたラキティッチが反応。GKの前へと飛び出すと、左隅のここしかないコースへ右足のシュートを流し込んで同点へと追いつきます。39分にもラキティッチは左サイドから強烈なミドルシュート。わずかに逸れたものの好調ぶりをアピールします。

後半頭からクロアチアはペトリッチに代えてFWクラスニッチ、プレティコサに代えてGKルニェ、そしてシミッチに代えて代表初出場となるクリジャナッツを投入します。
蓋を開けると前半のテープを繰り返すかのような展開になります。激しいタックルを浴びせ、前へ前へと攻めてくるスロベニア。54分、スロベニア左CKの場面でヴコイェヴィッチがDFツェサールを倒してしまってPKの判定。これをシシッチがフェイントを入れて右へとPKを決めて2-1と再びリードします。
このまま引き下がれないクロアチアは59分、オリッチがペナルティエリア中央にヘディングで落としたボールにラキティッチが突っ込んだところ、ブルチコがクリアする代わりにラキティッチ足を引っ掛けて今度はクロアチアにPK。これをスルナが左上へと決めて、2-2と振り出しに戻します。
そして64分、ラキティッチがハーフウェーライン左から一人でドリブルでボールを運び、バイタルエリアでクラスニッチとのワンツーでGKと一対一となった彼は、左足でハンダノヴィッチの左脇を抜くシュートを決めて勝ち越しに成功。ラキティッチはこの試合、文句なしのマン・オブ・ザ・マッチに選ばれました。
スロベニアも68分、ノヴァコヴィッチがトラップから反転してのボレーシュートがクロスバーを叩き、その後もゴールを奪いに攻め込む場面がありましたが、クロアチア守備陣が持ちこたえ、スロベニア相手の負けなし記録を更新しながらの3-2で勝利を飾りました。

試合後、クロアチア代表のビリッチ監督は
「これは真の試合だった。まるで予選の試合かのようで、それこそ我々が望んでいたものだったのだよ。クオリティの高いプレーをした両チームの選手を褒めたいが、我々の方が勝利に相応しかったと思う。ゲームを支配したし、選手たちの戦いには満足をしている。
もしかしたら荒いタックルが幾つかあったかもしれないが、荒い試合ではなかった。我々もスロベニアも予選同様、この試合を真剣に捉えていたからね。ピッチで殴りあうこともなかった。もしかしたらレイトタックルがあったかもしれないが、それも全てボールへ向かってのタックルだった。
スロベニアは二度に渡ってリードした際にはイスラエル戦のことを思い出したよ。実力あるチームはそのような状況でも精神的困難に陥ることなく、同点に追いつき、そして逆転するものだ。我々はプレー面においても、試合への取組み方においても偉大な代表チームだ。スロベニアは我々のミスをついた2ゴール以外はチャンスがなかった。唯一チャンスと言えるのはノヴァコヴィッチがクロスバーにぶつけたシーンだけだったしね」
とコメントしています。
またスロベニアのケク監督は
「世界5位の代表チームを相手に、試合の大部分においてよく苦しめることができた。残念ながら最終ラインが基本的なミスを犯してしまい、クロアチアほどのランクのチームはそれを罰することを知っているものだ」
と述べています。

また大活躍のラキティッチは
「ゴールは本当に嬉しいよ。素晴らしい気分だし、この先も同じように続けられたと思う。試合はフレンドリーマッチとはいえ、フレンドリーなんてものはないよ。僕たちは常に勝ちたいんだ。チームは良いプレーをしたし、僕たちは勝利に値したのさ。コヴァチやクラニチャール、モドリッチがプレーしないのは間違いなくハンデだったけど、彼らの代わりに入った選手たちも素晴らしい活躍をして勝利に貢献した。楽観的に予選へと入っていくよ」
まだ本領発揮といかないまでも合格点のプレーをしたクリジャナッツは
「デビューは常に難しいものだ。とりわけベンチからピッチに入るのならね。ここにいられたこと、そしてクロアチア代表のためにプレーしたことは僕にとって大きな名誉だ。代表チームの雰囲気は最高だし、新たな召集を今でもかと待っているよ。批評を受けるような他の試合と違って、この試合は僕にとってはプラスだけだ」
と述べています。

既にワールドカップ予選は始まっており、同グループではカザフスタンがアンドラに3-0と勝利。また同グループのライバルたちの親善試合に触れると、イングランドはチェコ相手に終了間際のジョー・コールのゴールで何とか2-2のドロー。ウクライナはポーランド相手に1-0。ポーランド相手に何度もチャンスを作り、アーセナル所属のGKファビアンスキがいなければポーランドの大敗に繋がる試合だったようです。またベラルーシは五輪組を除けばフルメンバーのアルゼンチンに屈することなく、0-0で試合を終えています。イングランドはさておき、このグループでは旧ソ連の国々との戦いがワールドカップ出場を左右する雰囲気です。
クロアチアは9月6日にカザフスタン、その4日後にはイングランドとザグレブのマクシミール・スタディオンで対決します。


クロアチアU-21代表はコプリヴニッツァでボスニア・ヘルツェゴビナU-21代表と対戦しています。
カリニッチ、マンジュキッチ、タディッチ、ルカビナといったFW陣を欠いたクロアチアには、ブシッチ(ハイドゥク)しかFW登録の選手がおらず、MFデリッチ(スラヴェン・ベルーポ)をFW起用しました。
スタメンは以下のようです(4-4-2)。
GKイェジナ-DFシメク、マロチャ、クルシッチ、ストゥリニッチ-MFトマソフ、ヤヤロ、リュビチッチ、イリチェヴィッチ-FWブシッチ、デリッチ
試合は11分、イリチェヴィッチの左クロスにブシッチがヘディングシュートを決めて先制するものの、24分にボスニア・ヘルツェゴビナもMFシュティリッチの右CKからDFコソリッチがヘディングを決めて同点。けれども44分、トマソフ、デリッチのシュートを次々とGKヌルコヴィッチに弾かれたものの、三度目の正直としてリュビチッチがこぼれ球を左から叩き込んで2-1と勝ち越しています。


posted by 長束恭行 |23:00 | サッカーニュース | コメント(0) |
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