2008年06月24日
ユーロ2008「クロアチアvs.トルコ」 試合後のコメント集
クロアチアvs.トルコ戦の記事を書こうと思い、ここ二日に渡ってDVDを見直そうとしているのですが、どうしてもマゾヒズムの世界になってしまって進みません。またウィーンから帰ってからというもの風邪による咳が止まらなかったのですが、ようやく落ち着きつつあります。 試合内容に関して今から触れようにも既に風化してしまっているため(というか心境的にも書き辛さがありまして)、試合後のコメントのみに留めようと思います。現在発売中のサッカー週刊誌「フットボリスタ」7月2日号にマッチレビューを書いておりますので、そちらを参照して頂ければ幸いです。 これらは試合翌日にキャンプ地で行った記者会見で、スラヴェン・ビリッチ監督が出したコメントです。 「選手たちとスタッフのことを私はとりわけ誇りに感じている。(キャンプが始まった)5月18日から6月21日までユーロ2008における活動をしたわけだけど、選手やプレーのクオリティ、そして戦い方において我々は偉大だった。記憶に残る成功を収めたんだよ。(記録上は)試合に負けることなく、大会から去ることになったのだから! しかし、我々には痛みが残っている。もっと上に行かねばならなかった。決勝に進みたかっただけに、我々は更なる失望と悲しみを感じているんだ。 (何が準決勝進出に足らなかったのか、との問いに)
PK戦は特殊なものだ。ハートも必要だし、それに立ち向かう精神状態も必要だ。トルコの同点シーンにおいては、我々が状況を認識していなかったのと、十分に集中していなかったという二つの不幸なミスがあった。(ロスタイムの)トルコの最初の攻撃は上手く食い止めたが、マイボールになった際にもっと良い対応をすべきで、トルコがやれる全てを不可能にすべきだったんだよ。
ロスタイムに審判が選手交代を認めなかったシーンに関して) 審判たちは悪くない。とはいえ、二度に渡って(第四審判の)ゴンザレスに選手交代を要求した。最初のトルコの攻撃が終わった時、そしてオフサイドの時と二度に渡りオフプレーがあり、ゴンザレスは選手交代の紙を持っていて主審のロセッティを呼んだ。ロセッティの頭の中に何があったのかは分からないよ。我々の誰かがボールを遠くに蹴り込んでしまえば、最後の笛を吹いたのは間違いない。ペナルティエリアにボールが来ようとも、攻撃をストップさせただろう。(試合後、20分に渡ってドレッシングルームから誰もが外に出なかったことに) 我々は打ちのめされていた。多くが涙をし、ある者は嗚咽を出しながら泣いていた。信じられないほどのショックだったんだ。落ち着くには誰にとっても時間が必要だった。最大の喜びがあった1分間と、最大の苦しみがあった1分間の計2分間の出来事に関して、一生を通して我々が苦悶することは疑いない。 (選手個人について何か、との質問に) 全員が全てを出してくれた。ユーロにおけるサッカーは、チームに弱点が一つでもあれば相手はそこを突いてくる。オリッチがクラニチャールに依存していたのは明らかだし、ある選手がチームの中で優秀だったのは明らかだが、一人一人が成功に貢献してくれたんだ。 (ワールドカップ2010予選に向けて) その質問はまだ早すぎる。それに向けて何ヶ月も前に準備するとはいえね。ただし、鍵となるポジションに人材はしっかりいるのは好都合だ。
(コヴァチ兄弟やシミッチなどの代表引退に関して) 誰が代表を引退するって言っているんだね? 精神的にも空虚感がある中、誰もがショックの状態にある。重要な決定をするタイミングではないんだ。夜が明ければ、夜の時よりも賢いというじゃないか。 チョルルカとスルナは平穏を取り戻すため、名も知らぬバーにでも逃げたいところだろう。モドリッチだってスパイクを投げ、クラスニッチは全てを忘れるためにできるだけ遠いところへ去りたいはずだ。私だって釣りにでも行って、決してそこから戻りたくはないんだけどね。しかしながら…。ゆっくりと時間だけが…。」 ちなみにこの記者会見の冒頭ではジャーナリストたちに感謝を述べ、最後はビリッチの申し出で全員で記念写真を撮りました。大会後はメディアと対立関係になって扱き下ろされる監督が多い中、最後までビリッチとメディアは友好関係にありました。 また試合後の記者会見で述べたビリッチのこの言葉が彼の性格を表しています。 「忘れるのはたやすくない。これは毎週あるようなリーグの試合じゃないのだから。忘れるなんて不可能だ。しかし、先へと進まねばならない。我々は若いチームだし、ワールドカップ2010予選も控えている。もう何日間か泣くだろうが、太陽だって顔を出すことで夜が明ける。我々の選手たちは特別なキャラクターを持っているんだ。もっと大きくなって帰ってくることだろう…」
常にメンバーを叱咤激励をしてきたキャプテンのニコ・コヴァチは改めて代表引退を口にしました。 「若者たちにはまだ時間があるが、私は終わりだ。私は最後の試合をプレーしたんだ。家へと帰ろう。全ては手中にあったのだけどね。しかし、これがサッカーだ。試合終了一分前に1-0とリードし、マイボールの状況だった。遠くに蹴ってしまうことはできたし、好きなことは何でもできた。しかし、常に相手のゴールに向かう攻撃性が我々のチームの個性なんだ。あのオフサイドがなければ様相は全く異なっていただろう。誰もが悲しみ、失望をしている。しかし、人生はそんなものさ。」
ゴールを演出したものの、第一キッカーとしてPKを外したモドリッチは 「悲しさ、惨めさ、哀れみ以外に何を言えばいいんだね。僕たちはトルコよりも優れていた。しかし、家へと帰らねばならないんだ。トルコがこうしてユーロを勝ち進むなんてまったく信じられないよ。PKの時は蹴る方向を決めて、上手くいくように願ったんだけど残念ながら失敗に終わった。勿体無い、本当に勿体無い。全員が本当に嘆いているよ。」
決勝ゴールを叩き込んだはずのクラスニッチは 「こんな敗北をするなんて恐ろしいよ。いいプレーをしていたし、全員が持てる力の全てを出した。まるで我々が勝ち進むことを嫌がったかのようだ。トルコは信じられないほどの幸運を持っているが、サッカーではこのようなことも起こるってことだよ。僕たちの方が優れていたけど、準決勝には勝ち進めなかった。終了一分前に得点を決めた時には僕たちが勝利を祝うものだと思っていた。しかし、まだ最後の一分間が残っていたんだ。PK戦はルーレットみたいで、ある時は当たり、ある時は外れるもの。全員が悲しんでいる。」
大会を通して好プレーを連発してきたGKのプレティコサは 「サッカーにおいて、いやスポーツ全般においてこのようなことが起こりえるなんて信じられない。そして、トルコのように三試合に渡って最後にゴールを決めることが信じられないんだ。僕たちは間違いなく全力を出した。しかし、一試合も敗北することなくユーロから去ることが決まったこの瞬間に言うべき言葉が見つからないんだ。」 とコメントしています。 私のユーロ取材も終わり、後はテレビで準決勝・決勝を見届けるのみになりました。ここ最近は本大会で期待外れの結果が多かっただけに、今大会のクロアチア代表は戦う素晴らしいチームだったと思います。チーム、サポーター、国民が一体化した二週間でありました。ユーロ1996の借りをワールドカップ1998で返したように、このユーロの借りを2年後のワールドカップで返して欲しいところですし、それができるチームのはずです。 カメラマンとして現地取材を計6試合しましたが、さすがオーストリアとスイスが開催国だけに運営は本当にしっかりとしていました。日本、クロアチアそれぞれのジャーナリストやカメラマン、また多くのサポーターと再会したり知り合ったり、と個人的にも収穫のある日々でした。気温差による風邪と夜行列車はきつかったですが…。 また期間中、コメント欄に書き込みして頂いた皆さん、本当に有難うございました。レスをつけるべきでしたが、なかなかできずにゴメンなさい。今後もクロアチア・サッカーをご贔屓にして頂ければ嬉しく思います。 もう一ヶ月もしたらクロアチア・リーグ、そしてディナモの欧州カップ挑戦も始まります。大国と比べたらマイナーとはいえ、また地道に現地のサッカー事情を伝えていきますので宜しくお願いしますね。

クロアチアvs.トルコ戦の記事を書こうと思い、ここ二日に渡ってDVDを見直そうとしているのですが、どうしてもマゾヒズムの世界になってしまって進みません。またウィーンから帰ってからというもの風邪による咳が止まらなかったのですが、ようやく落ち着きつつあります。
試合内容に関して今から触れようにも既に風化してしまっているため(というか心境的にも書き辛さがありまして)、試合後のコメントのみに留めようと思います。現在発売中のサッカー週刊誌
PK戦は特殊なものだ。ハートも必要だし、それに立ち向かう精神状態も必要だ。トルコの同点シーンにおいては、我々が状況を認識していなかったのと、十分に集中していなかったという二つの不幸なミスがあった。(ロスタイムの)トルコの最初の攻撃は上手く食い止めたが、マイボールになった際にもっと良い対応をすべきで、トルコがやれる全てを不可能にすべきだったんだよ。
(試合後、20分に渡ってドレッシングルームから誰もが外に出なかったことに)
我々は打ちのめされていた。多くが涙をし、ある者は嗚咽を出しながら泣いていた。信じられないほどのショックだったんだ。落ち着くには誰にとっても時間が必要だった。最大の喜びがあった1分間と、最大の苦しみがあった1分間の計2分間の出来事に関して、一生を通して我々が苦悶することは疑いない。
(選手個人について何か、との質問に)
全員が全てを出してくれた。ユーロにおけるサッカーは、チームに弱点が一つでもあれば相手はそこを突いてくる。オリッチがクラニチャールに依存していたのは明らかだし、ある選手がチームの中で優秀だったのは明らかだが、一人一人が成功に貢献してくれたんだ。
(ワールドカップ2010予選に向けて)
その質問はまだ早すぎる。それに向けて何ヶ月も前に準備するとはいえね。ただし、鍵となるポジションに人材はしっかりいるのは好都合だ。
(コヴァチ兄弟やシミッチなどの代表引退に関して)
誰が代表を引退するって言っているんだね? 精神的にも空虚感がある中、誰もがショックの状態にある。重要な決定をするタイミングではないんだ。夜が明ければ、夜の時よりも賢いというじゃないか。
チョルルカとスルナは平穏を取り戻すため、名も知らぬバーにでも逃げたいところだろう。モドリッチだってスパイクを投げ、クラスニッチは全てを忘れるためにできるだけ遠いところへ去りたいはずだ。私だって釣りにでも行って、決してそこから戻りたくはないんだけどね。しかしながら…。ゆっくりと時間だけが…。」
ちなみにこの記者会見の冒頭ではジャーナリストたちに感謝を述べ、最後はビリッチの申し出で全員で記念写真を撮りました。大会後はメディアと対立関係になって扱き下ろされる監督が多い中、最後までビリッチとメディアは友好関係にありました。
また試合後の記者会見で述べたビリッチのこの言葉が彼の性格を表しています。
「忘れるのはたやすくない。これは毎週あるようなリーグの試合じゃないのだから。忘れるなんて不可能だ。しかし、先へと進まねばならない。我々は若いチームだし、ワールドカップ2010予選も控えている。もう何日間か泣くだろうが、太陽だって顔を出すことで夜が明ける。我々の選手たちは特別なキャラクターを持っているんだ。もっと大きくなって帰ってくることだろう…」
常にメンバーを叱咤激励をしてきたキャプテンのニコ・コヴァチは改めて代表引退を口にしました。
「若者たちにはまだ時間があるが、私は終わりだ。私は最後の試合をプレーしたんだ。家へと帰ろう。全ては手中にあったのだけどね。しかし、これがサッカーだ。試合終了一分前に1-0とリードし、マイボールの状況だった。遠くに蹴ってしまうことはできたし、好きなことは何でもできた。しかし、常に相手のゴールに向かう攻撃性が我々のチームの個性なんだ。あのオフサイドがなければ様相は全く異なっていただろう。誰もが悲しみ、失望をしている。しかし、人生はそんなものさ。」
ゴールを演出したものの、第一キッカーとしてPKを外したモドリッチは
「悲しさ、惨めさ、哀れみ以外に何を言えばいいんだね。僕たちはトルコよりも優れていた。しかし、家へと帰らねばならないんだ。トルコがこうしてユーロを勝ち進むなんてまったく信じられないよ。PKの時は蹴る方向を決めて、上手くいくように願ったんだけど残念ながら失敗に終わった。勿体無い、本当に勿体無い。全員が本当に嘆いているよ。」
決勝ゴールを叩き込んだはずのクラスニッチは
「こんな敗北をするなんて恐ろしいよ。いいプレーをしていたし、全員が持てる力の全てを出した。まるで我々が勝ち進むことを嫌がったかのようだ。トルコは信じられないほどの幸運を持っているが、サッカーではこのようなことも起こるってことだよ。僕たちの方が優れていたけど、準決勝には勝ち進めなかった。終了一分前に得点を決めた時には僕たちが勝利を祝うものだと思っていた。しかし、まだ最後の一分間が残っていたんだ。PK戦はルーレットみたいで、ある時は当たり、ある時は外れるもの。全員が悲しんでいる。」
大会を通して好プレーを連発してきたGKのプレティコサは
「サッカーにおいて、いやスポーツ全般においてこのようなことが起こりえるなんて信じられない。そして、トルコのように三試合に渡って最後にゴールを決めることが信じられないんだ。僕たちは間違いなく全力を出した。しかし、一試合も敗北することなくユーロから去ることが決まったこの瞬間に言うべき言葉が見つからないんだ。」
とコメントしています。
私のユーロ取材も終わり、後はテレビで準決勝・決勝を見届けるのみになりました。ここ最近は本大会で期待外れの結果が多かっただけに、今大会のクロアチア代表は戦う素晴らしいチームだったと思います。チーム、サポーター、国民が一体化した二週間でありました。ユーロ1996の借りをワールドカップ1998で返したように、このユーロの借りを2年後のワールドカップで返して欲しいところですし、それができるチームのはずです。
カメラマンとして現地取材を計6試合しましたが、さすがオーストリアとスイスが開催国だけに運営は本当にしっかりとしていました。日本、クロアチアそれぞれのジャーナリストやカメラマン、また多くのサポーターと再会したり知り合ったり、と個人的にも収穫のある日々でした。気温差による風邪と夜行列車はきつかったですが…。
また期間中、コメント欄に書き込みして頂いた皆さん、本当に有難うございました。レスをつけるべきでしたが、なかなかできずにゴメンなさい。今後もクロアチア・サッカーをご贔屓にして頂ければ嬉しく思います。
もう一ヶ月もしたらクロアチア・リーグ、そしてディナモの欧州カップ挑戦も始まります。大国と比べたらマイナーとはいえ、また地道に現地のサッカー事情を伝えていきますので宜しくお願いしますね。

