2008年03月20日
クロアチア・リーグ第24節/ザグレブ・ダービー&ヴァルテクスがハイドゥクに圧勝
3月19日、クロアチア・リーグ第24節が行われました。他国と比べれば過密日程ではないため、リーグ戦がウィークデーに行われるのは久しぶりであります。首位ディナモ・ザグレブは8位ザグレブとのダービーマッチ。共にザグレブ市がメインスポンサーとなっているとはいえ、規模も予算も大きな隔たりがあります。来月はカップ戦準決勝で対決することもあって、この試合はその前哨戦の位置づけともなりました。会場はザグレブの本拠地クラニチェヴィッチ・スタディオン。この日はこのカードの撮影取材をしてきました。ちなみに観客はここでは平均以上となる3000人ほどでした。 ディナモのソルド監督とザグレブのブラジェヴィッチ監督は、クロアチア代表チームにおける師弟関係で、今回は初対決となります。ただ、ブラジェヴィッチは弟子相手の戦績はさほど良くなく、シュティマッツには2戦2敗、ユルチッチには3戦3敗しているほか、ユルチェヴィッチには8戦3勝1分4敗、またヤルニには1戦1勝しています。ブラジェヴィッチ監督は試合前、 「今回はディナモも楽には戦えないだろう。これまでザグレブの選手たちはディナモを余りにもリスペクトして本領を発揮できずにいたけど、今の選手たちはそうそう崩れることはないからね。ただ、今回のディナモは全力でやってくるだろう。なぜなら、マミッチ副会長がドレッシングルームに入り、"5対0という結果ならば二倍の報奨金を出すぞ"と言うからな」 と、かつてディナモから追い出した天敵に対して嫌味を言うことも忘れませんでした。 一方、ソルド監督はブラジェヴィッチに関して 「長きに渡って協力しあった仲であり、大きな成功を収めてきた。ダービーマッチをやるからには、我々がザグレブで最強であることを相手に証明したいものだね」 と試合前にコメントしています。
今年になってソルド監督が指揮してからというもの、ディナモは殿様相撲ができなくなっています。リーグの優勝がほぼ決まったことで選手のモチベーションの著しく低下しているのが理由の一つ。またイヴァンコヴィッチ時代はFWの決定力の低さを埋めるべくヴコイェヴィッチ(写真)の攻撃参加が頻繁に見られたのですが、4-4-2にマイナーチェンジしたことや、ポクリヴァチュよりも前掛りなヴルドリャクとコンビとなったことで彼は守備にほぼ専念することに。バラバンとタディッチは軽いFWでありますので、かつてのような厚みのある攻撃ができなくなりました。ポジティブにいえばディナモ相手にザグレブはピッチ上でほぼ互角に戦い、ネガティブにいえば見るべきものがさほど無かったダービーマッチでした。 最初に枠を捉えたシュートは20分、FWバラバンがマーカーを外して中央からシュートを放ちましたが、威力はなくGKストイキッチがキャッチ。その5分後にはMFグェラの右CKにDFビシュチャンがニアでヘディングにて合わせたものの、これも威力なくGKがキャッチ。34分にはMFヴコイェヴィッチがミドルシュート。これまた威力なくGKキャッチ。いずれのシュートも正面というお粗末ぶりでした。ザグレブは31分に近距離からFKを得たものの、MFペイッチのシュートは壁に当たってしまいました。
後半の最初のシュートはザグレブ。46分にMFパルロヴが放ったミドルシュートはGKケラヴァの正面。試合を通して最大のチャンスは52分、MFムイジャの右からのFKにパルロヴがジャンプしてヘディングで合わせましたが、これはGKケラヴァが好反応でセーブします。 65分にはムイジャの直接FKがクロスバーを叩くなど、前半と違ってザグレブがより好機を見出します。右サイドのムイジャ(写真左)は体調不良明けで精細のないモドリッチ(写真右)をよく防ぎ、不安定な左SBのカルロスを突いてチャンスを見出しました(モドリッチは57分に交替)。 73分、ディナモは元ザグレブのFWマンジュキッチを投入。72分、グェラの左FKからゴール前で混戦となり、最後はビシュチャンが近距離からシュートするも、これはGKストイキッチが好セーブ。ザグレブもFWピシュコールを送り込みますが、タイムアップまでお互いチャンスを作れず、スコアレスドローに終わりました。 国営放送ではヴァルテクス・ヴァラジディンvs.ハイドゥク・スプリトが放送されました。このカードもクロアチア・カップ準決勝の組み合わせと同じだったりします。
開幕8連敗のツケもあって未だに降格争いをしているヴァルテクスですが、クジェに代わってベセク(写真)が監督に就任してからはベテランの司令塔ムムレクとユース出身の若手たちが上手く融合し、ここ最近は組織的なサッカーをしています。今季はディナモに唯一勝利を収めているチームであり、それも二勝。前節のスラヴェン・ベルーポ戦に敗れはしたとはいえ、素晴らしいサッカーを披露しました。 一方のハイドゥクはDFサブリッチが怪我から復帰し、ジヴコヴィッチとセンターバックでコンビを組みました。ただし、MFアンドリッチが負傷で欠場。攻撃陣はカリニッチ、ヴェルパコヴスキス、ルカビナの3トップに、トップ下がツェルナトという布陣で挑んでいます。 前半はヴァルテクスのゴールショーでありました。開始4分、MFブレゾヴェッツの左からの速いFKに、手前にポジショニングを取ったFWスムレカールがヘディングで合わせ、ボールはハイドゥク守備陣をすり抜けて右下に突き刺さり、ヴァルテクスが先制に成功します。 13分、ヴァルテクスはペナルティエリアでバックパスのために間接FKを取られますが、MFリュビチッチのシュートは壁に防がれます。 26分、ハイドゥクの17歳の左SBヨジノヴィッチがトラップミスからMFパパに自陣でボールを奪われ、そのままヴァルテクスのカウンター。パパはバイタルエリアへと走りこんだスムレカールに横パスを通すと、相手のプレッシャーを受けなかったスムレカールはきちっと足元でボールを止めてからゴール右上へと正確なシュートを放ち、この日2点目となるゴールを決めます。スムレカールはまだ19歳。ヴァルテクスの"宝石"として将来を嘱望される逸材です。
更にヴァルテクスは30分、ムムレクが右サイドでキープしてから、中央のMFゴリクに。ゴリクからの縦パスをスムレカールがスルーすると、ボールはマーカーのサブリッチの股間を抜け、そこにFWムヤノヴィッチが。ムヤノヴィッチ(写真)が滑り込みながらゴール左下にシュートを決めて、3-0とリードを広げます。 ヴァルテクスの勢いは止まらず、35分、ゴールキックのボールをスムレカールがワンタッチで前方へと送ると、オフサイドラインを突破したムヤノヴィッチが独走。最後は左にきちっとゴールを決めて4-0。ムヤノヴィッチはこれまで右MFの選手だったのですが、ベセク監督によってコンバートされたのちは俊足を武器としたフォワードに生まれ変わりました。 このままハイドゥクも引き下がるわけにはいかず、36分にはツェルナトのFKからジヴコヴィッチが、43分にはMFリニッチの右クロスからカリニッチがヘディングシュートを放ちますが、これはGKマヂャリッチがセーブ。45分のカリニッチの左からのシュートもGKマヂャリッチにセーブされ、ロスタイムにはヴェルパコヴスキスの右クロスにカリニッチがヘディングで合わせたものの、ボールは左ポストを逸れてしまいました。 後半からハイドゥクはルカビナを下げてMFガブリッチを起用することで中盤をテコ入れ。ヴァルテクスは得点差をキープすべくディフェンスに気を配っての戦いをします。 ハイドゥクは49分にヴェルパコヴスキスが飛び出し、折り返しにリニッチがシュートしたものの、威力がなくゴールラインのDFルチッチがクリア。65分にはリニッチのミドルシュートが左ポストを叩きます。76分にはガブリッチ、80分にはチェルナトが放ったシュートはGKマヂャリッチがセーブ。ハイドゥクが放ったシュート数は17本。このいずれも空砲に終わり、また荒いファウルを犯す場面も目立ちました。 試合は4-0のままタイムアップ。ヴァルテクスがまたしてジャイアントキリングに成功。リエカがシベニクと引き分けたことによって、リエカがハイドゥクに代わって再び2位の座を奪っています。 全試合の結果はこちら。 (クリックするとクロアチア国営放送のダイジェスト映像がみられます) Zagreb - Dinamo Zagreb 0:0 Medimurje - Zadar 2:3 0:1 23' Terkes 0:2 43' Terkes 0:3 63' Tomasov 1:3 69' Milardovic (PK) 2:3 75' Babic Inter Zapresic - Slaven Belupo 0:0 Sibenik - Rijeka 0:0 Osijek - Cibalia Vinkovci 2:1 0:1 7' Malcic 1:1 26' Smoje 2:1 56' Radas (OG) Varteks Varazdin - Hajduk Split 4:0 1:0 5' Smrekar 2:0 27' Smrekar 3:0 39' Mujanovic 4:0 35' Mujanovic 【順位】 1位…ディナモ・ザグレブ(勝点59) 2位…リエカ(41) 3位…ハイドゥク・スプリト(40) 4位…スラヴェン・ベルーポ(40) 5位…オシエク(35) 6位…ザダール(35) 7位…ザグレブ(29) 8位…チバリア・ヴィンコヴチ(29) 9位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(28) 10位…シベニク(27) 11位…インテル・ザプレシッチ(24) 12位…メヂムリエ(11) 【得点】 15ゴール…カリニッチ(ハイドゥク)、テルケシュ(ザダール) 14ゴール…ロヴレク(ザグレブ) 13ゴール…ヂャロヴィッチ(リエカ) 11ゴール…モドリッチ(ディナモ) 10ゴール…マルチッチ(チバリア) 9ゴール…マンジュキッチ(ディナモ)

首位ディナモ・ザグレブは8位ザグレブとのダービーマッチ。共にザグレブ市がメインスポンサーとなっているとはいえ、規模も予算も大きな隔たりがあります。来月はカップ戦準決勝で対決することもあって、この試合はその前哨戦の位置づけともなりました。会場はザグレブの本拠地クラニチェヴィッチ・スタディオン。この日はこのカードの撮影取材をしてきました。ちなみに観客はここでは平均以上となる3000人ほどでした。
ディナモのソルド監督とザグレブのブラジェヴィッチ監督は、クロアチア代表チームにおける師弟関係で、今回は初対決となります。ただ、ブラジェヴィッチは弟子相手の戦績はさほど良くなく、シュティマッツには2戦2敗、ユルチッチには3戦3敗しているほか、ユルチェヴィッチには8戦3勝1分4敗、またヤルニには1戦1勝しています。ブラジェヴィッチ監督は試合前、
「今回はディナモも楽には戦えないだろう。これまでザグレブの選手たちはディナモを余りにもリスペクトして本領を発揮できずにいたけど、今の選手たちはそうそう崩れることはないからね。ただ、今回のディナモは全力でやってくるだろう。なぜなら、マミッチ副会長がドレッシングルームに入り、"5対0という結果ならば二倍の報奨金を出すぞ"と言うからな」
と、かつてディナモから追い出した天敵に対して嫌味を言うことも忘れませんでした。
一方、ソルド監督はブラジェヴィッチに関して
「長きに渡って協力しあった仲であり、大きな成功を収めてきた。ダービーマッチをやるからには、我々がザグレブで最強であることを相手に証明したいものだね」
と試合前にコメントしています。
今年になってソルド監督が指揮してからというもの、ディナモは殿様相撲ができなくなっています。リーグの優勝がほぼ決まったことで選手のモチベーションの著しく低下しているのが理由の一つ。またイヴァンコヴィッチ時代はFWの決定力の低さを埋めるべくヴコイェヴィッチ(写真)の攻撃参加が頻繁に見られたのですが、4-4-2にマイナーチェンジしたことや、ポクリヴァチュよりも前掛りなヴルドリャクとコンビとなったことで彼は守備にほぼ専念することに。バラバンとタディッチは軽いFWでありますので、かつてのような厚みのある攻撃ができなくなりました。ポジティブにいえばディナモ相手にザグレブはピッチ上でほぼ互角に戦い、ネガティブにいえば見るべきものがさほど無かったダービーマッチでした。
最初に枠を捉えたシュートは20分、FWバラバンがマーカーを外して中央からシュートを放ちましたが、威力はなくGKストイキッチがキャッチ。その5分後にはMFグェラの右CKにDFビシュチャンがニアでヘディングにて合わせたものの、これも威力なくGKがキャッチ。34分にはMFヴコイェヴィッチがミドルシュート。これまた威力なくGKキャッチ。いずれのシュートも正面というお粗末ぶりでした。ザグレブは31分に近距離からFKを得たものの、MFペイッチのシュートは壁に当たってしまいました。
後半の最初のシュートはザグレブ。46分にMFパルロヴが放ったミドルシュートはGKケラヴァの正面。試合を通して最大のチャンスは52分、MFムイジャの右からのFKにパルロヴがジャンプしてヘディングで合わせましたが、これはGKケラヴァが好反応でセーブします。
65分にはムイジャの直接FKがクロスバーを叩くなど、前半と違ってザグレブがより好機を見出します。右サイドのムイジャ(写真左)は体調不良明けで精細のないモドリッチ(写真右)をよく防ぎ、不安定な左SBのカルロスを突いてチャンスを見出しました(モドリッチは57分に交替)。
73分、ディナモは元ザグレブのFWマンジュキッチを投入。72分、グェラの左FKからゴール前で混戦となり、最後はビシュチャンが近距離からシュートするも、これはGKストイキッチが好セーブ。ザグレブもFWピシュコールを送り込みますが、タイムアップまでお互いチャンスを作れず、スコアレスドローに終わりました。
国営放送ではヴァルテクス・ヴァラジディンvs.ハイドゥク・スプリトが放送されました。このカードもクロアチア・カップ準決勝の組み合わせと同じだったりします。
開幕8連敗のツケもあって未だに降格争いをしているヴァルテクスですが、クジェに代わってベセク(写真)が監督に就任してからはベテランの司令塔ムムレクとユース出身の若手たちが上手く融合し、ここ最近は組織的なサッカーをしています。今季はディナモに唯一勝利を収めているチームであり、それも二勝。前節のスラヴェン・ベルーポ戦に敗れはしたとはいえ、素晴らしいサッカーを披露しました。
一方のハイドゥクはDFサブリッチが怪我から復帰し、ジヴコヴィッチとセンターバックでコンビを組みました。ただし、MFアンドリッチが負傷で欠場。攻撃陣はカリニッチ、ヴェルパコヴスキス、ルカビナの3トップに、トップ下がツェルナトという布陣で挑んでいます。
前半はヴァルテクスのゴールショーでありました。開始4分、MFブレゾヴェッツの左からの速いFKに、手前にポジショニングを取ったFWスムレカールがヘディングで合わせ、ボールはハイドゥク守備陣をすり抜けて右下に突き刺さり、ヴァルテクスが先制に成功します。
13分、ヴァルテクスはペナルティエリアでバックパスのために間接FKを取られますが、MFリュビチッチのシュートは壁に防がれます。
26分、ハイドゥクの17歳の左SBヨジノヴィッチがトラップミスからMFパパに自陣でボールを奪われ、そのままヴァルテクスのカウンター。パパはバイタルエリアへと走りこんだスムレカールに横パスを通すと、相手のプレッシャーを受けなかったスムレカールはきちっと足元でボールを止めてからゴール右上へと正確なシュートを放ち、この日2点目となるゴールを決めます。スムレカールはまだ19歳。ヴァルテクスの"宝石"として将来を嘱望される逸材です。
更にヴァルテクスは30分、ムムレクが右サイドでキープしてから、中央のMFゴリクに。ゴリクからの縦パスをスムレカールがスルーすると、ボールはマーカーのサブリッチの股間を抜け、そこにFWムヤノヴィッチが。ムヤノヴィッチ(写真)が滑り込みながらゴール左下にシュートを決めて、3-0とリードを広げます。
ヴァルテクスの勢いは止まらず、35分、ゴールキックのボールをスムレカールがワンタッチで前方へと送ると、オフサイドラインを突破したムヤノヴィッチが独走。最後は左にきちっとゴールを決めて4-0。ムヤノヴィッチはこれまで右MFの選手だったのですが、ベセク監督によってコンバートされたのちは俊足を武器としたフォワードに生まれ変わりました。
このままハイドゥクも引き下がるわけにはいかず、36分にはツェルナトのFKからジヴコヴィッチが、43分にはMFリニッチの右クロスからカリニッチがヘディングシュートを放ちますが、これはGKマヂャリッチがセーブ。45分のカリニッチの左からのシュートもGKマヂャリッチにセーブされ、ロスタイムにはヴェルパコヴスキスの右クロスにカリニッチがヘディングで合わせたものの、ボールは左ポストを逸れてしまいました。
後半からハイドゥクはルカビナを下げてMFガブリッチを起用することで中盤をテコ入れ。ヴァルテクスは得点差をキープすべくディフェンスに気を配っての戦いをします。
ハイドゥクは49分にヴェルパコヴスキスが飛び出し、折り返しにリニッチがシュートしたものの、威力がなくゴールラインのDFルチッチがクリア。65分にはリニッチのミドルシュートが左ポストを叩きます。76分にはガブリッチ、80分にはチェルナトが放ったシュートはGKマヂャリッチがセーブ。ハイドゥクが放ったシュート数は17本。このいずれも空砲に終わり、また荒いファウルを犯す場面も目立ちました。
試合は4-0のままタイムアップ。ヴァルテクスがまたしてジャイアントキリングに成功。リエカがシベニクと引き分けたことによって、リエカがハイドゥクに代わって再び2位の座を奪っています。
全試合の結果はこちら。
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