2008年02月22日

クロアチア・リーグ後半戦の展望

2ヶ月半の間、ウィンターブレークに入っていたクロアチア・リーグも、金曜日のインテル・ザプレシッチvs.ザグレブを皮切りに再開します。これまでは19節が終了し、残りは14節。クロアチア・リーグは総当り3回戦という変則的なルールで、12チームによる総当り2回戦が終わったのち、それまでの順位を参考に残りの11節の日程が決まります。1~6位のチームが一試合多くホームゲームを開催することになります。

現在はディナモが16勝1分2敗、勝点49で首位を独走。優勝はほぼ確定とされています。UEFAカップの出場権が得られる2位争いはリエカが勝点37で、勝点33で並ぶスラヴェン・ベルーポとハイドゥク・スプリトとは一つ頭抜けている状態。上位4クラブを中心に春の戦いの展望ならびに注目点を挙げていきましょう。


1位 ディナモ・ザグレブ (勝点49・16勝1分2敗)

モドリッチ開幕前にはFWエドゥアルド(→アーセナル)、開幕直後にはDFチョルルカ(→マンチェスター・シティ)が移籍しながらも、「プロフェソール(教師)」のニックネームを持つイヴァンコヴィッチ監督のもと常勝軍団となったディナモ。昨シーズンから足掛けでリーグ28連勝という記録を作ってきました。欧州カップでは目標だった38年ぶりの年越しを果たせず、ウィンターブレーク直前の第19節ではスラヴェン・ベルーポに2-5という大敗を喫したとはいえ、チーム平均年齢がリーグの中で最も若いこともあって、選手成長の手腕に長けたイヴァンコヴィッチ監督の下で更なる発展が期待されていました。しかし1月、室内選手権でマミッチ副会長に暴言を吐かれたことでイヴァンコヴィッチ監督が辞任を発表。ユースを指導していたソルドが新監督に就任しました。
システムはイヴァンコヴィッチの4-2-3-1から、ソルドがシュトゥットガルトで慣れてきた4-4-2へとチェンジ。ただしツートップの一角を務めるマンジュキッチはプレー範囲が広く、中盤によく下がるため、マイナーなチェンジといって過言はないでしょう。
この冬にMFポクリヴァチュ(→モナコ)、DFシルデンフェルド(→ベジクタシュ)の二人を放出した代わりに、一時は現役引退したと思われたDF/MFビシュチャンがディナモに復帰。ソルドはストッパーとして起用する予定ですが、手薄なボランチも埋められる経験豊かな彼の加入は大きなプラス。そして、ビシュチャン以上にディナモにとってのプラスは「モドリッチ(写真)の残留」でありました。プレミアの幾つかのクラブが2500万ユーロの高額な移籍金を提示したものの、マミッチ副会長は最終的に拒否。てっきり移籍するものだと思っていたモドリッチにとってはショックでしたが、今では残りのシーズン、そして来たる欧州選手権に集中しています。
ソルド新監督による来季の欧州カップ挑戦に向けてのチーム作り、またディナモだけでなくクロアチア代表でもトッププレイヤーとなったモドリッチの雄姿に注目したいところです。

     [理想スタメン]

    バラバン  マンジュキッチ

 モドリッチ         グエラ
  
   ヴルドリャク ヴコイェヴィッチ

チャレ ドゥルピッチ ビシュチャン エトー

        コッホ


2位 リエカ (勝点37・11勝4分4敗)

若さ溢れるダリッチ新監督のもと、昨季の低迷を払拭するかのように攻守バランスの取れたサッカーを展開するリエカ。
シャルビーニチーム最多の13ゴールを奪ったモンテネグロ人FWジャロヴィッチ、パレスチナの血も流れるファンタジスタのシャルビーニ(写真)、右サイドでパスの供給役を努める元ガンバのニーノ・ブーレ、FWからセンターハーフにコンバートされた元ブルガリア代表イヴァノフら攻撃のタレント陣が揃い、かつ守備も堅固であって今季の失点17はリーグ最小です。
ただ、U-21代表にも名を連ねる左SBパミッチがレッドブル・ザルツブルクに移籍。このポジションを埋められる選手がおらず、これまでの4バックから3バックへの変更を強いられることになりました。これで守備陣が崩壊さえしなければ、このまま2位のポジションを守りきる可能性は大。あとは昨年後半に息切れしたシャルビーニがどこまで調子を維持できるかも、チームの調子を左右しそうです。

     [理想スタメン]

  ヂャロヴィッチ シュコーロ

      シャルビーニ
イェルテツ        マルチッチ

   イヴァノフ  シャファリッチ
  
 ヴチュコ  チャガリ  ブディチン

       ジリッチ


3位 スラヴェン・ベルーポ (勝点33・10勝3分6敗)

昨年にチーム創立100周年を迎えたスラヴェンは、昨季に初めてカップ戦決勝に勝ち進み、今季は初のUEFAカップ出場権を得るなど成長を続けているチームです。薬品会社のベルーポ、食品会社のポドラヴカなど地元の優良企業がスポンサーとなることで、ユーゴ時代は日の目を見なかった一地方クラブが、現在ではクロアチアの強豪の一角を占めるようになりました。
ヴルチーナ昨季のスコーリア監督から指揮を引き継いだのは、98年W杯メンバーでもあるユルチッチ。モラルと規律を重視した指導で、既に国内で幾つものクラブを指揮。スコーリア同様に野心とエネルギーに満ちた監督として名声を勝ち取りつつあります。昨季からはMFムムレク、FWドディク、GKニコロスキなどの主力が向けた一方で、FWシェヒッチ、MFユリッチ、MF/DFチャヴァル、GKイヴェシャといった中堅どころを次々と獲得。またユース出身のMFヤヤロ、MF/FWデリッチをスタメンで使うなど、チームを刷新しました。
UEFAカップでは予備戦二回戦でガラタサライに屈したものの、国内では好調を維持。慣れない過密日程もあって怪我人も発生し、ユルチッチはシステムやスタメンを頻繁に変えなくてはならなかったものの、ウィンターブレーク前の最終節ではディナモを5-2で一蹴するなど実力を備えたチームとなりました。
しかし、堅実経営を根本とするフロントは、この冬にDFラデリッチ(→エネルギー・コットブス)とFWヴルチーナ(写真・→デュイスブルク)を放出し、移籍金もしくはレンタル料を稼ぐ一方で、即戦力となる補強選手はゼロなのは現場のユルチッチ監督にとっては頭の痛いところ。これから次第に順位を落としていく可能性は十分にあります。

     [理想スタメン]

      シェーヒッチ

デリッチ   ヤヤロ  ユリッチ

    ポリャーク  ソピッチ

チャヴァル  クリスティッチ  ポルドゥルガチュ  ボシュニャク

       イヴェシャ


4位 ハイドゥク・スプリト (勝点33・9勝6分4敗)

今季はDFトゥドール、MFツェルナト、DFサブリッチ、FWヴェルパコヴスキスといった実力者を次々と獲得しながら、フロントのゴタゴタもあって早くに優勝争いから脱落した名門ハイドゥク。監督もプダール、チュトゥク、クレシッチと次々に代わり、経験不足が心配されつつもヤルニ監督になってようやく戦いぶりも落ち着いてきました。
カリニッチとはいえ、フォワードの駒がありながら得点力不足は否めず、頼りはA代表の声も掛かった20歳のカリニッチのみ(写真)。今季は13得点を挙げ、得点王候補の筆頭です。しかしながら、カリニッチも怪我やカードで悩まされ、リーグ戦は13試合出場に留まっています(それでも1試合1点ペースは凄いわけですが)。この冬の準備期間でも足の筋肉を傷めて出遅れており、リエカ戦やディナモ戦が近日中に控えているのが辛いところです。リヨンも嘱望したというFWルカビナは伸び悩み、トゥドール、サブリッチの元代表DFも揃って怪我、と戦力面ののマイナス要素は多く、また香港遠征では時差に悩まされ、ヤルニ監督も遠征そのものは準備に不必要だったと認めました。
また室内選手権や合宿に参加したユースのMFマレシュはプロ契約の金額が安いとしてディナモに移り、MFダムヤノヴィッチはルチ・エネルギアの移籍を希望して離反、またスポーツディレクターのエルツェグはフロント内での争いに敗れ、近いうちチームを去ることを示唆しており、ピッチ外でも何かと騒がす毎日が続いています。
好材料は司令塔のツェルナトがチームに馴染んできたこと、あとはFWブシッチがディナモ・キエフから復帰、DFジヴコヴィッチも怪我から復帰したぐらいです。

     [理想スタメン]

    カリニッチ  ルカビナ

      ツェルナト

 ガブリッチ アンドリッチ ルビール

フルゴヴィッチ ジヴコヴィッチ トゥドール ペライッチ

     ヴァルヴォディッチ


これからシーズン終了までクロアチア・リーグを各節、写真と共にレポートしていきます。お楽しみに。


posted by 長束恭行 |23:30 | サッカーニュース | コメント(10) |
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