2008年05月16日

ディナモ・ザグレブ二冠達成後にソルド監督が辞任表明

14日、クロアチア・カップ決勝第2戦「ハイドゥク・スプリトvs.ディナモ・ザグレブ」が、スプリトのポリュウド・スタディオンで行われました。
ラブジンの太陽ザグレブでの初戦はディナモが3-0で完勝したこともあり、ライバルの到来とはいえスプリト市民の関心は低く、観客は6000人ほど。ハイドゥク・サポーターのトルツィダは怒りを込めて「お前たちはハイドゥクではない」という横断幕を掲げました。

ハイドゥクは怪我から司令塔のチェルナトが復帰し、以下のようなスタメンになりました(システムは3-4-1-2)。
GKバリッチ-(右から)DFパンジャ、ジヴコヴィッチ、マロチャ-MFバルトゥロヴィッチ、リニッチ、リュビチッチ、ガブリッチ-チェルナト-FWルカビナ、カリニッチ
一方のディナモは現時点でのベストメンバーです(システムは4-4-2)。
GKコッホ-DFエトー、ビシュチャン、ミクリッチ、チャレ-MFミキッチ、ヴコイェヴィッチ、ヴルドリャク、モドリッチ-FWマンジュキッチ、タディッチ

とかくダービーにありがちなファウルが多く、選手たちが神経質に陥った試合でした。開始4分、ジヴコヴィッチがペナルティエリアにマンジュキッチにボールをかっさわれ、左からシュートしますが、GKバリッチの正面を突いたため難を逃れます。
ハイドゥクも7分にチェルナトが左サイドを駆け上がりながらクロスボール。第32節の直接対決の時と同様に、ゴール前で二人のDFで挟まれたルカビナがヘディングで合わせたものの、ボールはクロスバーを越えてしまいました。
問題の場面は19分、ミキッチがパンジャに厳しいタックルで削ったのを受けて両チームの選手が揉みあいとなり、その中でも激しくやりあったバリッチとチャレが退場。お互い10人になり、GKを失ったハイドゥクはカリニッチを下げてGKヴァルヴォディッチを投入します。しかし、このヤルニ監督の采配に怒ったカリニッチはキャプテンマークを監督の足元に捨ててピッチを去ってしまいました。
24分、モドリッチが右サイドのマンジュキッチに展開し、胸トラップからシュートしますが、ボールはわずかに左ポストを逸れます。
その後はハイドゥクがゲームを支配すれど、シュートチャンスまでは持っていけません。この日は右アウトサイドに入ったバルトゥロヴィッチが何度かスピードを活かしての突破を図っており、38分にそのバルトロヴィッチの右クロスにペナルティエリアでリュビチッチとビシュチャンが競合い、ボールはゴールの方向に行きましたが、GKコッホが掻き出すことに成功します。
その直後、左サイドでルカビナがビシュチャンをかわして突破し、ペナルティエリアのリニッチにラストパスを送った際、リニッチがヴコイェヴィッチにユニフォームを引っ張られて倒れたものの、主審のベセクはPKを取りません。
ディナモは43分、モドリッチがマーカーを引きつけてから走り込んだヴコイェヴィッチにスルーパス。近距離でヴコイェヴィッチがシュートしますが、GKヴァルヴォディッチがセーブしました。
前半終了間際、再び怪我をしたチェルナトが退き、ユース上がりのMFチュリュリッチに交替。チームとしてはチェルナトを引き留めたいものの、買取オプションを使うには予算がなく、このまま退団が濃厚。ディナモ・キエフから同じくレンタルされたDFサブリッチ、FWヴェルパコヴスキスと共に怪我のまま返却されることになりました。

後半も低調なリズムで試合が続きます。決定機は57分、リニッチからの縦パスが俊足を活かしたルカビナに通るものの、GKコッホはかわしたとはいえ、右足で逆回転を掛けたシュートはポスト脇を逸れてしまいます。
ディナモは66分、左サイドをモドリッチが相手二人を引っ張りながら突破し、ゴール前のタディッチ目掛けて折り返したものの、シュートを打ち切れずに終わりました。
続くハイドゥクの決定機は68分に訪れます。チュリュリッチの右FKにジヴコヴィッチがヘディングシュートを放つものの、ボールはクロスボールに嫌われました。
その1分後、マンジュキッチが突破を図ってペナルティエリアに侵入しようとしたところ、相手のタックルに掛かったフリで倒れてしまい、二枚目のイエローカードで退場。これでピッチ上は10人対9人になりますが、それでもハイドゥクはゴールを奪うことができません。逆にディナモは84分、途中交替のFWバラバンが右から持ち込んでGKと一対一でシュートしますが、ボールはクロスバーの上を超えていきます。
終了間際にハイドゥクはゴール前の混戦の中、リュビチッチが二度に渡ってシュートするも、いずれもビシュチャンがブロック。またその直後にはルカビナはビシュチャンのクリアミスをついてGKと一対一になるも決められず、スコアレスドローのまま試合は終了しました。

トータルスコア3-0でディナモが昨年に引き続き二冠を達成。クロアチア独立以降、9度目のクロアチア・カップ制覇となりました。この試合でディナモとお別れとなった主将のモドリッチが、クロアチアの有名なナイーブアート画家イヴァン・ラブジンが制作した「ラブジンの太陽」(トップの写真)と呼ばれるカップを高く掲げています。

ソルドとマミッチ試合前からディナモの二冠は規定路線だったとはいえ、爆弾は試合後に待っていました。仮設スタンドで勝利者インタビューを受けたズボニミール・ソルド監督(写真右)は
「スポーツ・ディレクターのゾラン・マミッチ(写真左)には辞任の意向を伝えた」
と語り、"ならば今後はどうするのか?"と聞かれ、
「休暇を取りに行くよ」
と笑顔で答えました。また試合後の記者会見では
「試合後に自分の決定をスポーツ・ディレクターに伝えた。このような環境下では、この先の協力は不可能だ」
と語っています。イヴァンコヴィッチ監督が率いたシーズン前半とは違って、冴えない試合が多かったことにズドラヴコ・マミッチ副会長は不満を持っており、ここ最近はメディアで解任されるという報道が多々ありました。そのような状況下でもフロントはソルドを庇うことはなく、次々と主力選手を売ってしまうのにも拘らず、欧州カップで結果を求めるフロントにソルドは不信感を持ってしました。既に前半でリーグの行方が決まり、選手のモチベーションが低い中で、新任監督のソルドに内容まで求めるのは酷でありました。むしろ、きちんと二冠を達成し、4-4-2システムを定着、そしてシーズン前半に埋もれていたFWタディッチ、MFヴルドリャク、MFミキッチといった選手たちを生き返らせた功績こそを認めなくてはなりませんでした。
スポーツディレクターのゾラン・マミッチはソルドと共に1998年ワールドカップ3位の代表メンバーであり、深い友人関係でもあったわけですが、辞任を伝えられたことに
「完全に打ちひしがれている。ソルドが辞表を出すとは予想していかった。カップ制覇でお祝いするはずが、この一件で崩れてしまった。見ての通り、顔には笑みがないだろう。新監督については分からない。ソルドの辞表が突然、驚きとして訪れたのに、今どうしようというのだね」
とショックを隠せずにいます。
また辞任を聞かされたズドラヴコ・マミッチ副会長(写真)は彼ならではのスタイルで文句をぶちまけました。
マミッチ副会長「それは初耳だ。なぜ物事がこうなったのはさっぱり分からない。ソルドとは木曜11時にクラブで話し合いをすることになっていた。本当に驚いている。これは異常な振舞いだ。同じ言葉を繰り返すオウムのように、我々は公に解任はないと説明してきたのに、今となってはこうだ…。
ソルドは正しい態度を取らなかったし、このような振舞い方をされるとは予想だにしてなかった。まず最初に我々に対して辞任すると話すべきだった。たとえ他のやり方がなかったとしても、気に入らないのならばそうだと我々に言うべきだ。
ソルドはエゴイストだ! モドリッチのディナモとのお別れや、偉大なトロフィーのお祝い以前にでしゃばったのだから。創造してくれ。これから残された選手たちとバスで戻る光景を。二冠のお祝いを今夜楽しむはずだった全ディナモ関係者を喜びを打ち砕いてくれた。驚いているし、失望している。これほどのエゴイズムは予想していなかった…」
後任としては前監督のブランコ・イヴァンコヴィッチ、スラヴェン・ベルーポの監督を辞任したクルノスラフ・ユルチッチ、オシエク監督のイリヤ・ロンチャレヴィッチ、二部イストラ監督のエルビス・スコーリエなどが候補に挙がっていると報じられています。

またキャプテンマークを投げ捨てたカリニッチ(写真)の態度には批判が集まっており、カリニッチ本人は
カリニッチ「交替の際に怒りからキャプテンマークを投げたことには反省している。ハイドゥクのサポーターには謝るし、もう二度としないと約束する」
と語ったもののヤルニ監督への謝罪の言葉はなく、
「今回の事件の後はチームを去らなければならないのは明らかだ。なぜ僕が外されなくてはならないのかが分からない。ディナモ相手に得点を決めたかったのに。オファーについては何も知らない。けれども、新たな移籍先を見つけられることだろう。もうハイドゥクでやることはない」
とコメントしています。彼の態度にはこの試合を視察していたビリッチ代表監督もカリニッチに苦言を呈しました。またカリニッチを視察するためにヴェルダー・ブレーメン、シャルケ、シャフタール・ドネツクのスカウトが試合に来ていたのですが、カリニッチの交替を受けてヴェルダーのスカウトも客席を去ったとも報じられています。
ちなみにルカビナも移籍を希望し、フロントに契約の破棄を要求したとも言われています。ヤルニ監督は続投の方向性ですが、来季に向けての問題は山積みのようです。


posted by 長束恭行 |01:10 | サッカーニュース | コメント(0) |
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