2010年03月21日

キプロス取材に来ています

nogomet-148352.jpg現在、半分取材を兼ねた旅行でキプロスに来ています。地中海でキプロスはクロアチアと負けず劣らずの観光国ですが、こちらは更に温暖な気候な土地だけにプレシーズンだろうが多くの観光客が訪れています。日本からの観光客はまだまだ少ないものの、海洋リゾートや遺跡好きならば気に入る国のはず。とりわけ旧宗主国だったイギリスからの観光客(とりわけ年配組)が多いようで、移住向けに随分とお手頃に不動産物件が売買されているようです。

人口100万人にも満たない国ながら、アノルトシス・ファマグスタ、APOELニコシアと二シーズン連続でキプロスのクラブがチャンピオンズ・リーグ本選に出場しています。ちょうど手頃な航空券を手に入れたこともあって、この快挙の背景の裏にあるのは何か知るべくキプロスにやって来た次第です。メインは日曜日のAPOELニコシアvs.オモニア・ニコシアの首位決戦ですが、土曜日にAELリマソールでプレーする元ボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFドゥシャン・ケルケズ(33・写真)にインタビューすることに成功しました。彼は2005~2007年にリエカでプレーしたこともあって、どんな選手かは知っていたのですが、今ではキプロスで3番目に人気のあるAELリマソールで常時レギュラーかつキャプテンを務めています。アポなしだったとはいえ、練習後に30分以上に渡って話を聞けました。

また詳しくはレポートで書けたらと思っているのですが、キプロスという国がスポーツに投資した者(つまりスポンサー)に対して税金優遇を施しているのと、高額な放映権がクラブに入ることで潤沢な資金を抱えており、あちらこちらから外国人が流入しています。キプロスはEU加盟国であり、EU圏外の選手でも1年プレーすればEU圏の選手扱いを受けることから、11人全てが外国人になることは稀ではないようです。とりわけ最近は安い価格で若いポルトガル人を獲得するのがブームとなっており、彼らも更に有名なクラブに移籍するためのステップアップの場と考えている、と教えてもらいました。
ただし、フロントに辛抱強さがなく、成績が悪いと直ぐに監督のクビを切ってしまうのが問題のようです。結局は指導者も選手も外国人次第のところがあり、結果的にはインフラを含めた長期プランを実行してきた上位のクラブが着実に力をつけ、選手も売却せずに長くチームに留めてきたことで、欧州クラブシーンにおけるキプロス旋風に繋がっているそうです。

nogomet-148370.jpgしかし、なぜキプロス代表が比例して強くならないかと言うと、直ぐに強化を施したいクラブが外国人頼りになってしまうのと、キプロス人選手そのものが自惚れ屋で自己努力を励まないのが要因のよう。キプロス人は「自分は最高だ」と練習後に居残りすることなく、さっさとカフェに行ってしまう、とこの日も練習後に追加で筋トレを行っていたケルケズは嘆いてました。あとは北キプロス(占領したトルコ人勢力)の脅威から若い選手も2年間の兵役を行かねばならず、それが選手の成長に大きく阻害していると政治的な側面からも理由を教えてくれました。ちなみにケルケズはセルビアの首都ベオグラード生まれでパルチザン・ベオグラードのユースを経たのち、父親がボスニア生まれのセルビア人ということからボスニア・ヘルツェゴビナのリーグ、そして同国代表でプレー、更にクロアチアのリエカでもプレーしたという変り種です。各民族に友人がいるだけに、政治的テーマはキプロスでも好まないようでした。

ちなみにキプロスには旧ユーゴ系の選手が30人ほどプレーしています。同じくAELに所属するマケドニア現役代表MFヴラトコ・グロズタノスキからも同じ話を聞きましたが、気候に恵まれ、人々もフレンドリーで、給与も本国以上のキプロスはサッカー選手にとって天国のようです。人口が少なくともサポーターはギリシャ人やトルコ人と同じくサッカーに対して熱狂的で、ケルケズは"病的"とすら形容してました。また自分以上に家族がこの土地を好んでくれていることが夫として本望らしく、将来もキプロスでコーチ業に進む道を考えている、とも述べていました。

スタンドで行った彼へのインタビュー中に12位のアリス・リマソールと8位のエトニコス・アチナスの公式戦がありましたが、プレーそのものはクロアチア・リーグの同ランクのチームよりもレベルは高く、となると日曜の首位決戦はどんな戦いになるか楽しみであります(APOELとオモニアは政治的理由で分裂したこともあり、ライバル意識も強かったりします)。

旅行そのものは、ホテルがオーバーブッキングだったり、レンタカーが山中でパンクしたり、と何かとトラブル続きではありますが、月曜日には帰国する予定です。


posted by 長束恭行 |02:12 | サッカーコラム | コメント(0) |
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