2010年02月15日
シーズン再開後の戦力分析/ハイドゥク・スプリト編
前回はディナモ・ザグレブの戦力分析をしましたが、第二弾はライバルのハイドゥク・スプリトを取り上げましょう。 監督のエドアルド・レーヤがラツィオ監督就任のため、ハイドゥクとの契約を解消したのがつい先日の今月9日。その3日後に後任に選ばれたのが、レーヤ同様に監督生活30年のスタンコ・ポクレポヴィッチ(71)でした。当初は後任に現ザグレブ監督のイゴール・シュティマッツの名前が挙がり、シュヴァグシャ会長とも交渉の席を持ったと報じられたことで、シュティマッツを嫌うサポーターの一部がポリュウド・スタディオンに抗議に向かうという一幕も起きましたが、シュヴァグシャ会長曰く「後任候補に関する相談をしただけで、シュティマッツ本人が"監督オファーがあった"と述べたのは自己宣伝に過ぎない」とオファーを送ったことを否定。1984~86年、そしてクロアチア・リーグ誕生直後の1992年に監督を務め、2008年までハイドゥク・ユースの校長を務めたポクレポヴィッチに白羽の矢が立ちました。 就任会見でポクレポヴィッチ(写真・提携先のSport-netより)はこう述べました。 「私を知る者は誰もが、私には二つの大きな愛があることを証明してくれるだろう。一つは私の妻と子供達への愛、そして二つ目がハイドゥクへの愛だ。契約期間は3ヶ月だが、それが私にプレッシャーになることはない。何よりも重要なのはしっかりと練りこまれたプロジェクトなのだ。 ハイドゥクは非常に優れたチームだし、レーヤも良い仕事をしてきたのは事実だ。私はプロジェクト実現という目標に向けてその仕事を続けていく考えだよ。つまり、それはカップ戦優勝であり、観客にとって魅力的なプレースタイルの形成だ」 彼はサポーターのトルツィダから愛される指導者の一人とはいえ、一部からは"年寄りではなく、若い人物に任せるべき"との批判も出ております。 さてチームの戦力に関してはいえば、秋よりもダウンしたと言わざるを得ません。ディナモに対する唯一の対抗馬であるべきクラブであるのにもかかわらず、シーズン前半で7位に留まった責任にフロントは選手になすりつけました。しかし、この不振の原因は経営に問題があったのは言わずもがなです。
ハイドゥクは借金体質を解消するため、2008年に負債を株式化。地元の富豪が次々と株を買占めたことで、負債を解消し、一時は潤沢な資金を得たものの、新たに複数の大口株主が経営や補強に口出しするようになってしまいました。それにより過去に代表に名を連ねたベテランや、将来を嘱望される若手を高額な年俸で次々と契約。個々が贔屓にするユース選手も次々とプロ契約を結んだことから、ウィンターブレイクに入るまで契約選手は52人まで膨れ上がってしまいました。 しかし、昨シーズンもFW不足が叫ばれていたのにもかかわらず、夏にはエースFWのニコラ・カリニッチをブラックバーンに売却した一方で、チームに新たに加わるのは中盤の選手ばっかり。これにより戦力的にアンバランスとなるだけでなく、年俸を巡って選手間の不和まで生じてしまいました。起爆剤となるべく獲得したシャルビーニ兄弟も不発。フロントは開幕から監督の首を次々とすげ替え、それから株主達はフロント自体を全て刷新した上で新たに招聘したレーヤは、既に今季4人目の監督でありました。 この冬、新フロントは人件費を圧縮すべく、高い年俸を貰う選手に給与削減、もしくは契約解消を求めます。同意しなかったDFフルヴォイエ・ヴェイッチ(32)、DFアンソニー・シェーリッチ(31)、MFマリヤン・ブリャト(28)、MFダリオ・イェルテツ(24)は戦力外とされ、練習は夜明けと暮れのランニングのみという仕打ちを受けてしまいました。 そんな逆境の中、レーヤは冬の始動を前にセレクションを行って戦力を絞り込み、フロントに対して戦力的に薄いFWと守備的MFの補強を訴えました。 ハイドゥクはダブルボランチを敷きますが、このポジションで唯一のバックアッパーとなるクレショ・リュビチッチ(21)が足を骨折したため、フロントは早急に動かねばなりませんでした。一時はヴェルダー・ブレーメン所属の元代表MFユーリツァ・ヴラニェシュ(30)の名前が上がり、本人も乗り気だったのですが、移籍金ゼロにもかかわらず年俸で折り合いません。
最終的に連れてきたのは、ザダールに所属するU-21代表のマリン・リュビチッチ(21・写真)。ハイドゥク・ユース育ちの彼はトップチームで31試合にプレーしたのにもかかわらず、2008年8月、戦力外通告を受けてハイドゥクを追われてしまいます。ショックを受けた彼は、小クラブのザダールに入団。復讐劇として彼は二度に渡り、ハイドゥク相手に決勝ゴールを叩き込み、当時のヴチェヴィッチ監督、ミシェ監督を辞任に追い込みました。一方的に切ってから一年半後、彼に頭を下げて戻ってもらったハイドゥクは、やはり選手を見る目がなかったと言えましょう。 FWに関していえば、開幕当初はレギュラーだったブラジル人FWパライーバをレンタル先のグレミオに返却。昨年はFCソウルでプレーしたブラジル人長身FW、リカルド・ドス・サントス・アンデルソン(26)を合宿中にテストしたものの、首脳陣を満足させるまでに至らず。最終的にFW陣に加わったのはユースのマリオ・リヴァヤ(16)のみ、という散々な状況。"FWではなく本職のMFで使われたい"と希望するボスニア・ヘルツェゴビナ代表のセニヤド・イブリチッチ(24)をこの春もFW起用しないと駒がおらず、ハイドゥクで未だゴールのないアフマド・シャルビーニ(25)とのツートップを組むのが第一プランとなっています。 スペイン合宿を終え、クロアチアに戻ってからは二部リーグのNKユナク相手に何とか逆転勝利。13日にはクラブ創立99周年の記念行事として、本拠地のポリュウド・スタディオンでボスニアのジェリェズニチャールと親善試合を行いました。 シーズン再開前のゲネプロとなる試合。6000人の観客が目にしたのはお粗末なハイドゥクのサッカーでした。中盤から満足なボールが散らず、有効となるクロスボールも送り込めません。FWアフマド・シャルビーニは20分にビッグチャンスを逃し、スタンドからは口笛が吹かれます。結果はスコアレスドロー。イニシアティブを取ってもチャンスが生まれないサッカーに不満が残る内容となりました。
ベンチに座ったポクレポヴィッチ監督はこうぼやきます。 「誕生日ケーキは、よくミックスされていなかったよ。確かなコンビネーションもなければ、正確なパスもない。リーグ再開まで時間があるとはいえ、こんな内容で嘘はつけないだろう。この試合で賞賛できるような選手は一人も挙げられないよ。合宿を最初から追ってきた人々は"これまでで最悪の試合だ"と私に言っているけどね」 また今季からジェリェズニチャールを率いるアマル・オシム(写真)は試合後、こう本音を漏らしました。 「ハイドゥクのプレーがどうかって? 現時点の彼らがこうなのは偶然や何かではない。これがハイドゥクの持つ全ての実力であり、ハイドゥクとディナモを比較しようならば、ディナモはハイドゥクのずっと先を行っている。個人能力にしても、戦術面にしても、フィジカル能力にしてもだ。分からないけど、もしやハイドゥクの選手達にとっては調子の悪い日だったのかもしれない」 アマルから悪い意味の"お墨付き"をもらったハイドゥク。監督交代のゴタゴタに加え、戦力的にも整わなかったクラブにこの春の巻き返しを期待するのは酷なことといえましょう。 この春の予想スタメン、並びに戦力の行き来は以下のようになります。 Ah.シャルビーニ イブリチッチ An.シャルビーニ トマソフ スココ アンドリッチ ストゥリニッチ マロチャ J.ブリャト ルビール スバシッチ 【加入】 MFマリオ・リュビチッチ (←ザダール) DFマテイ・ヨニッチ (←ザダール/レンタルから返却) DFゴラン・ヨジノヴィッチ (←ザダール/レンタルから返却) 【放出】 FWラファエル・パライーバ (→グレミオ/レンタル先へ返却) FWマリオ・サチェール (→ヴァルテクス/レンタル) MFティアゴ・リベスロ (→グレミオ/レンタル先へ返却) GKボジタール・ラドシェヴィッチ (→ジェリェズニチャール/レンタル)
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posted by 長束恭行 |01:05 |
サッカーニュース |
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当初は後任に現ザグレブ監督のイゴール・シュティマッツの名前が挙がり、シュヴァグシャ会長とも交渉の席を持ったと報じられたことで、シュティマッツを嫌うサポーターの一部がポリュウド・スタディオンに抗議に向かうという一幕も起きましたが、シュヴァグシャ会長曰く「後任候補に関する相談をしただけで、シュティマッツ本人が"監督オファーがあった"と述べたのは自己宣伝に過ぎない」とオファーを送ったことを否定。1984~86年、そしてクロアチア・リーグ誕生直後の1992年に監督を務め、2008年までハイドゥク・ユースの校長を務めたポクレポヴィッチに白羽の矢が立ちました。
就任会見でポクレポヴィッチ(写真・提携先の
ハイドゥクは借金体質を解消するため、2008年に負債を株式化。地元の富豪が次々と株を買占めたことで、負債を解消し、一時は潤沢な資金を得たものの、新たに複数の大口株主が経営や補強に口出しするようになってしまいました。それにより過去に代表に名を連ねたベテランや、将来を嘱望される若手を高額な年俸で次々と契約。個々が贔屓にするユース選手も次々とプロ契約を結んだことから、ウィンターブレイクに入るまで契約選手は52人まで膨れ上がってしまいました。
しかし、昨シーズンもFW不足が叫ばれていたのにもかかわらず、夏にはエースFWのニコラ・カリニッチをブラックバーンに売却した一方で、チームに新たに加わるのは中盤の選手ばっかり。これにより戦力的にアンバランスとなるだけでなく、年俸を巡って選手間の不和まで生じてしまいました。起爆剤となるべく獲得したシャルビーニ兄弟も不発。フロントは開幕から監督の首を次々とすげ替え、それから株主達はフロント自体を全て刷新した上で新たに招聘したレーヤは、既に今季4人目の監督でありました。
この冬、新フロントは人件費を圧縮すべく、高い年俸を貰う選手に給与削減、もしくは契約解消を求めます。同意しなかったDFフルヴォイエ・ヴェイッチ(32)、DFアンソニー・シェーリッチ(31)、MFマリヤン・ブリャト(28)、MFダリオ・イェルテツ(24)は戦力外とされ、
最終的に連れてきたのは、ザダールに所属するU-21代表のマリン・リュビチッチ(21・写真)。ハイドゥク・ユース育ちの彼はトップチームで31試合にプレーしたのにもかかわらず、2008年8月、戦力外通告を受けてハイドゥクを追われてしまいます。ショックを受けた彼は、小クラブのザダールに入団。復讐劇として彼は二度に渡り、ハイドゥク相手に決勝ゴールを叩き込み、当時のヴチェヴィッチ監督、ミシェ監督を辞任に追い込みました。一方的に切ってから一年半後、彼に頭を下げて戻ってもらったハイドゥクは、やはり選手を見る目がなかったと言えましょう。
FWに関していえば、開幕当初はレギュラーだったブラジル人FWパライーバをレンタル先のグレミオに返却。昨年はFCソウルでプレーしたブラジル人長身FW、リカルド・ドス・サントス・アンデルソン(26)を合宿中にテストしたものの、首脳陣を満足させるまでに至らず。最終的にFW陣に加わったのはユースのマリオ・リヴァヤ(16)のみ、という散々な状況。"FWではなく本職のMFで使われたい"と希望するボスニア・ヘルツェゴビナ代表のセニヤド・イブリチッチ(24)をこの春もFW起用しないと駒がおらず、ハイドゥクで未だゴールのないアフマド・シャルビーニ(25)とのツートップを組むのが第一プランとなっています。
スペイン合宿を終え、クロアチアに戻ってからは二部リーグのNKユナク相手に何とか逆転勝利。13日にはクラブ創立99周年の記念行事として、本拠地のポリュウド・スタディオンでボスニアのジェリェズニチャールと親善試合を行いました。
シーズン再開前のゲネプロとなる試合。6000人の観客が目にしたのはお粗末なハイドゥクのサッカーでした。中盤から満足なボールが散らず、有効となるクロスボールも送り込めません。FWアフマド・シャルビーニは20分にビッグチャンスを逃し、スタンドからは口笛が吹かれます。結果はスコアレスドロー。イニシアティブを取ってもチャンスが生まれないサッカーに不満が残る内容となりました。
ベンチに座ったポクレポヴィッチ監督はこうぼやきます。
「誕生日ケーキは、よくミックスされていなかったよ。確かなコンビネーションもなければ、正確なパスもない。リーグ再開まで時間があるとはいえ、こんな内容で嘘はつけないだろう。この試合で賞賛できるような選手は一人も挙げられないよ。合宿を最初から追ってきた人々は"これまでで最悪の試合だ"と私に言っているけどね」
また今季からジェリェズニチャールを率いるアマル・オシム(写真)は試合後、こう本音を漏らしました。
「ハイドゥクのプレーがどうかって? 現時点の彼らがこうなのは偶然や何かではない。これがハイドゥクの持つ全ての実力であり、ハイドゥクとディナモを比較しようならば、ディナモはハイドゥクのずっと先を行っている。個人能力にしても、戦術面にしても、フィジカル能力にしてもだ。分からないけど、もしやハイドゥクの選手達にとっては調子の悪い日だったのかもしれない」
アマルから悪い意味の"お墨付き"をもらったハイドゥク。監督交代のゴタゴタに加え、戦力的にも整わなかったクラブにこの春の巻き返しを期待するのは酷なことといえましょう。
この春の予想スタメン、並びに戦力の行き来は以下のようになります。
Ah.シャルビーニ
イブリチッチ
An.シャルビーニ トマソフ
スココ アンドリッチ
ストゥリニッチ マロチャ J.ブリャト ルビール
スバシッチ
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DFマテイ・ヨニッチ (←ザダール/レンタルから返却)
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【放出】
FWラファエル・パライーバ (→グレミオ/レンタル先へ返却)
FWマリオ・サチェール (→ヴァルテクス/レンタル)
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GKボジタール・ラドシェヴィッチ (→ジェリェズニチャール/レンタル)

