2010年01月08日
失意から始まるクロアチア代表の2010年/初戦の相手はベルギー
今年最初のクロアチア代表の親善試合として、3月3日にベルギーと対戦することが正式に決まりました。場所はベルギーの首都ブリュッセル、会場はキング・ボードワン・スタジアムになります。ワールドカップ敗退後、クロアチア・サッカー協会はマッチング交渉で無能ぶりを露呈しており、昨年11月の親善試合ではリヒテンシュタイン戦しか組めませんでした。その際、ヴラトコ・マルコヴィッチ会長は今年こそ強豪国とのマッチングを実現させると豪語していたものの、協会幹部のがめつさも影響したのか苦戦しています。 クロアチアは現在FIFAランク10位で、ワールドカップ予選敗退国では最高順位にあるものの、強豪国を呼べるような資金力もないどころか、そんな国からは呼ばれもしないのが現実。ベルギーはアドフォカート新体制になって最初の試合でありますが、かつての強豪国も現在はFIFAランクで66位と低迷しています。 続いて決まったと報じられているのが、オーストリアとの親善試合。日時は5月19日、場所はクラーゲンフルトで、ユーロ2008で対戦した際と同じヴェルーターゼー・スタディオンが会場となります。ちなみにオーストリアも低迷中の国で、FIFAランクは61位となります。 2月7日にユーロ2012の予選抽選会があり、その結果次第ではカードの変更や追加があるかもしれませんが、現時点でオファーがあるのはオーストラリア、中国、韓国といった遠征話ばかり。ワールドカップ出場を逃した後は「蚊帳の外」に追いやられた感が否めません。ビリッチ監督は遠征に反対するつもりはなく、日程さえ都合がつくならば受け入れるつもりのようです。 さて、任期としては第三期を迎えたビリッチ監督(写真)ですが、直近のインタビューで「ユーロ予選突破のキーワード」を三つ挙げています。
まず第一が抽選結果。ユーロ2008予選もワールドカップ予選も彼的には欧州最難関のグループリーグに属したと考えており、今回こそは第一シードとして比較的楽なグループに入りたいと考えています。幸いなことに今回は第一シードに浮上したイングランドと同グループに入ることはありません。 第二が選手が健康であること。ワールドカップ予選敗北の最大の原因は予選を通して常に怪我人に悩まされたことでした。前半にエドゥアルドとクラニチャールを欠き、後半はモドリッチ、ペトリッチ、プレティコサ、オリッチら怪我人が続出。現在、トットナムで活躍するクラニチャールとモドリッチが揃った試合は昨年8月のベラルーシ戦のみという事実が、いかに苦しい戦いを強いられたかを物語ります。ビリッチ監督は「少なくとも代表チームの80%の選手が常に健康であることが望ましい」と述べています。 そして第三が、選手が所属クラブで継続的に出場すること。これに関しては現時点で悩む必要はなく、ほとんどの代表選手が高いパフォーマンスで活躍しています。ここ1~2シーズンでステップアップした選手達が新たなリーグやクラブに順応するまで、停滞や不調、怪我は逃れられませんでした。今はその順応期間を終えた段階であり、ビリッチ監督は「この先数年間、選手達は今まで以上のクオリティを持つことになる」と太鼓判を押しています。その一方で、「代表の試合が始まらないうちは、彼らはゴールを決め続けるだろう」と冗談めいても語っています。 あと直近のビリッチ監督のインタビューで興味深かったのが、ワールドカップ予選を通して懸案であったボランチのポジションの話でした。 ユーロ2008の本大会後に代表引退を表明していたニコ・コヴァチを説得して残留させたものの、2008/09シーズンの彼は所属クラブのレッドブル・ザルツブルクでコ・アドリアーンセ監督(当時)に干されてしまい、コンディション不足で2009年1月に改めて代表引退を発表することになりました(シーズン後に現役も引退)。 ビリッチ監督はコヴァチがいたポジションをこう評します。 「あのポジションは、バランスにおける"メガ"的に重要なポジションだ。我々はダブルボランチでプレーしているが、一人のボランチがモドリッチなだけに、クラシックな4-4-2というよりは4-1-3-2でプレーしている。その"1"のポジションに最高の選手を結びつける必要はないが、チームが崩壊しないように最も責任があり、最も賢い選手を結びつける必要があるのだ」 分かりやすいよう、予選を通してボランチにどの選手が先発起用されたか表にしてみました。 2008/09/06 カザフスタン戦(H) 3-0 【コヴァチ、モドリッチ】 2008/09/10 イングランド戦(H) 1-4 【コヴァチ、モドリッチ】 2008/10/11 ウクライナ戦(A) 0-0 【コヴァチ、ヴコイェヴィッチ】 2008/10/15 アンドラ戦(H) 4-0 【ヴコイェヴィッチ】 - - - - - - -(ニコ・コヴァチ代表引退)- - - - - - - - 2009/04/01 アンドラ戦(A) 4-0 【ユリッチ】 2009/06/06 ウクライナ戦(H) 0-0 【ユリッチ、モドリッチ】 2009/08/21 ベラルーシ戦(A) 3-1 【モドリッチ、ヴコイェヴィッチ】 2009/09/05 ベラルーシ戦(H) 1-0 【クラニチャール、ヴコイェヴィッチ】 2009/09/09 イングランド戦(A) 1-5 【クラニチャール、ヴコイェヴィッチ】 2009/10/16 カザフスタン戦(A) 3-2 【クラニチャール、ヴコイェヴィッチ】 ビリッチ監督が当初から"ポスト・コヴァチ"として第一プランに挙げていたのがイェルコ・レコ。しかし、彼はモナコでくすぶることになり、ニコラ・ポクリヴァチュもまたモナコで不遇な日々を過ごしました。チャンスを得たのはオグニェン・ヴコイェヴィッチ。しかし、彼はクロアチア・リーグでプレーしていた時からの悪い癖で、「頻繁に自分のポジションを離れてしまう」(ビリッチ談)といった問題を抱えていたのです。 「話し合いを通して直そうとは試みた。しかし、自分に何が必要とされるかを彼が完全に理解し、その役割を引き受けられるようになったのはディナモ・キエフでのプレーを重ねてだった。あのポジションで重要視しているのは、ゴールを5つ決めることではなく、常にボールよりも後ろに位置することなのだよ」
ヴコイェヴィッチがディナモ・キエフに移籍したのが2008年6月。10月のウクライナ戦とアンドラ戦に先発出場させたものの、悪い癖が抜けない彼をビリッチ監督は諦め、新たに呼んだのが33歳で初キャップを飾ることになったイヴァン・ユリッチ(ジェノア所属)でした。しかし、彼の起用は大失敗でした。大事なウクライナ戦を前にしたインタビューでチームの士気を下げる問題発言を犯しただけでなく、試合でもシェフチェンコへのマークを忘れて失点を許してしまったのでした。ビリッチ監督は今でもユリッチを"素晴らしい選手だ"と弁護していますが、 「結果的に良くなかったアイデアがあったことは明らか。そのうち完全に取り除く必要はないアイデアもあることは間違いないが、再び第一プランに挙がるかと聞かれたらノーだ」 と、ユリッチ起用はこの先無いことを示唆しています。ヴコイェヴィッチが成長をこのまま続けていけば安泰なのですが、新たな競争や解決策も問われるポジションといえましょう。 (写真は、後半にヴコイェヴィッチに指示を出すビリッチ) もう一つ懸案となるポジションは左サイドバックです。予選10試合中8試合にプラニッチ、残りはポクリヴァチュとチャレが1試合ずつ先発起用されたものの、イングランドを筆頭にクロアチアの左サイドは徹底的に攻略されてしまいました。 「左サイドは我々を苦しめているポジションの一つだ。プラニッチを起用すればオフェンシブとなり、ディフェンスが弱い相手には有効だろうが、それをカウンター攻撃の理想と考える相手も存在する。シムニッチを起用すれば守備はカバーできるが、クラニチャールが二人の選手と相対することになり、突破力を失ってしまう」 このように嘆くビリッチは、イングランド戦の秘策としてチョルルカの左サイドバック起用を6ヶ月に渡って準備してきたものの、前試合のベラルーシ戦で彼が退場したために封印されてしまいました。 このポジションを専門にする選手として、リヒテンシュタイン戦で初召集が掛かったものの怪我で見送れたストゥリニッチ(ハイドゥク)、そのリヒテンシュタイン戦で追加召集されて90分間プレーしたバルトゥロヴィッチ(クリフバス/ウクライナ)、頻繁に代表に呼ばれながらも信用に欠けるチャレ(トラブゾンシュポール/トルコ)、攻撃力は魅力だが未知数なパミッチ(スパルタ・プラハ)といった若手らが挙げられますが、いずれも決め手に欠けるのが現状です。 新たなテスト、そして自信回復のためにも試合をこなすのが今のクロアチア代表に必須なわけですが、果たしてサッカー協会が目先の金にこだわらず、どこまで有意義なテストマッチを組んでいけるのか。ユーロ2012の予選が始まる9月まで、思っているほどの時間は残されてないはずです。
posted by 長束恭行 |06:43 |
サッカーニュース |
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ワールドカップ敗退後、クロアチア・サッカー協会はマッチング交渉で無能ぶりを露呈しており、昨年11月の親善試合では
まず第一が抽選結果。ユーロ2008予選もワールドカップ予選も彼的には欧州最難関のグループリーグに属したと考えており、今回こそは第一シードとして比較的楽なグループに入りたいと考えています。幸いなことに今回は第一シードに浮上したイングランドと同グループに入ることはありません。
第二が選手が健康であること。ワールドカップ予選敗北の最大の原因は予選を通して常に怪我人に悩まされたことでした。前半にエドゥアルドとクラニチャールを欠き、後半はモドリッチ、ペトリッチ、プレティコサ、オリッチら怪我人が続出。現在、トットナムで活躍するクラニチャールとモドリッチが揃った試合は昨年8月のベラルーシ戦のみという事実が、いかに苦しい戦いを強いられたかを物語ります。ビリッチ監督は「少なくとも代表チームの80%の選手が常に健康であることが望ましい」と述べています。
そして第三が、選手が所属クラブで継続的に出場すること。これに関しては現時点で悩む必要はなく、ほとんどの代表選手が高いパフォーマンスで活躍しています。ここ1~2シーズンでステップアップした選手達が新たなリーグやクラブに順応するまで、停滞や不調、怪我は逃れられませんでした。今はその順応期間を終えた段階であり、ビリッチ監督は「この先数年間、選手達は今まで以上のクオリティを持つことになる」と太鼓判を押しています。その一方で、「代表の試合が始まらないうちは、彼らはゴールを決め続けるだろう」と冗談めいても語っています。
あと直近のビリッチ監督のインタビューで興味深かったのが、ワールドカップ予選を通して懸案であったボランチのポジションの話でした。
ユーロ2008の本大会後に
ヴコイェヴィッチがディナモ・キエフに移籍したのが2008年6月。10月のウクライナ戦とアンドラ戦に先発出場させたものの、悪い癖が抜けない彼をビリッチ監督は諦め、新たに呼んだのが33歳で初キャップを飾ることになったイヴァン・ユリッチ(ジェノア所属)でした。しかし、彼の起用は大失敗でした。大事なウクライナ戦を前にした

