2009年11月14日
「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.ポルトガル」の決戦を前に/オシムのインタビュー
ワールドカップ欧州予選のプレーオフ第一戦が14日に行われます。クロアチアはグループリーグで敗退しましたが、ここでの注目は俄然、隣国のボスニア・ヘルツェゴビナに向けられています。 クロアチアを1998年にワールドカップ3位に導いたミロスラフ・"チーロ"・ブラジェヴィッチが監督であるのが第一の理由で、ここ最近のクロアチアのスポーツニュースは、リヒテンシュタインと親善試合で戦う以上にポルトガルとプレーオフで戦うボスニア・ヘルツェゴビナが扱われているのです。今夜の「ポルトガルvs.ボスニア・ヘルツェゴビナ」戦はクロアチア国営放送でも生放送。私自身も9月のボスニア・ヘルツェゴビナvs.トルコ戦で現地取材し、様々な方面からボスニア・ヘルツェゴビナがワールドカップに賭ける想いを色々と聞かされ、肩入れをしながら今か今かと大一番を待っているところです。 イヴィツァ・オシムもまた、祖国ボスニア・ヘルツェゴビナには特別な想いを感じているようです。ポルトガルとの決戦を前にSARAJEVO-X.COMのインタビューに答えています。ポルトガルばかりが注目されている中、今回のボスニア・ヘルツェゴビナの戦いをどう分析しているか参考になる話ですので、これを機に翻訳してみました。
世間は彼を愛し、彼のいかなる発言を信用している。ポルトガル戦を前に彼と競合できる話し相手はいない。ボスニア・ヘルツェゴビナで史上最多のトロフィーを得たイヴィツァ・オシムとどうやって話を進めようかと私は考えた。彼はポルトガル戦の戦いについて彼は何でも語るだろう。しかし、最初の質問を私がする前にオシムはこう話し始めた。 「リスボンでの試合は厳しい試合になるだろう。多くの頭が必要となってくる。この試合は頭脳、そして勇敢さを賭けた戦いだ。勇敢さを持っているか、持っていないか。もし有利な結果を望むならば、選手全員が最善の活躍をせねばならない」 -ロナウドは触れるに値するテーマだ。彼がいないポルトガルはどれくらい弱いのか? 20%、それとも30%? 「もし彼の欠場が我々を助けることがないならば、何が可能かなんて私には分からないよ。彼の損失を補えることはできない。パーセンテージについては語りたくないね。彼は決定力のある選手というだけでなく、攻撃を組み立てる中心選手で、巧みにゴールを決めてきた。まるで職人のようにね。しかし、彼の代わりにスタメン出場する選手のモチベーションがとりわけ高いことを我々は忘れてはならない。自己証明するチャンスを得た彼は、全力を出して戦うだろう。(ロナウドの欠場は)我々に多くのプラスをもたらす一方で、我々に問題をもたらす可能性もある。最高の選手がチームに欠けることは、新たにチームを一体化させるものなのだよ」 -この戦いで本命とされるポルトガルにどうやって相対するのか? ルスでの戦いは何をもらたすのか? 「我々の相手、ポルトガルは最高級の選手達による質の高いチームを持っている。選手達がどのクラブでプレーしているかを見れば、現代的な代表チームであると結論づけられるだろう。攻守両方に優れたプレーをし、とりわけディフェンスは優れている。ペナルティエリアからなるべく彼らを遠ざける必要があるし、走力で相手を苦しめることが最重要だね。彼らのパワーは本物だが、その楽観ぶりも果てしない。けれども、負けることのないチームはどこもないのだよ。我々の代表選手達はポルトガルに対して走力による戦いへと持ち込まねばならない。そして、90分を通しての集中力は100%であるべきだ。なぜなら、他の全ての面では頭痛を抱えることになるだろうからね。 ギリシャはユーロ2004でポルトガルを二度に渡って倒した。私の考えでは、ギリシャはボスニア・ヘルツェゴビナよりも優れたチームではない。ポルトガルは我々との戦いを前にして、幾らかの恐怖を抱いているのは間違いないだろう。プレーオフまでボスニア・ヘルツェゴビナが偶然にやってきたわけでない、ボスニア・ヘルツェゴビナにもクオリティがあることを彼らは意識しているはずだ。このような諺があることを知っているかね。"ヘビが殺したものは、トカゲであっても恐い"。我々はポルトガルよりも大きなトカゲなのだよ」 -数字を見るとポルトガルはセットプレーからの失点が多い。セットプレーは我々の武器となりえるのは? 攻撃陣にジェコとイビシェヴィッチがいることを考えれば、セットプレーの状況下で得点を挙げられるのは? 「今日はほとんど全てのゴールがセットプレーで生まれている。時には試合の早い段階でゴールが生まれ、予想しなかった方向へと向かうこともある。私が少し恐怖を抱いているのは我々の中盤、正確にいえばサイドだ。けれども、今、不安を持ち込むことはしたくない。相手に問題を読まれ、余りに負担になってしまうことを私は恐れているんだ。選手達が問題を切り離し、プレッシャー下に置かれないことがとても重要だ」
-ここまで来たことも大きな成功では? 「もちろん。この成功に最も値するのは指導者、そして同じく選手達だ。今は"あるか、なしか"の状況に訪れた。ニュアンスや策略、予想するのが難しいちょっとした事柄が試合を決めるだろう。もう一つ非常に重要な要素となるのは運だよ。しかし、運は呼び込む必要があるし、運が訪れることに値せねばならない。ボスニア・ヘルツェゴビナは中盤に問題を抱え、かつ若いチームであることは私の悩みでもあるが、リスボンでは有利な結果を導きだせるものだと信じている。もちろん、列挙してきた全ての事柄を考慮し、その憶測に沿っての話だが」 -ゼニツァでの第二戦が南アフリカへの渡航者を決めるのか? 「より賢いチームが先に進めるものだと考えているし、そう私は語ってきた。しかし、もしやそのことは正しくないのかもしれない。選手達は自分のチャンスを分かっている。"ピッチ上に魂を残していく"と、まるでポルトガルとの戦いの後に試合はないかのように選手達がコメントしているのを私は読んできた。精神的な準備もしっかりとやる必要がある、プレーオフの戦いの後も人生は続き、様々なことが起こるんだと選手達には説明する必要があると思うんだ。 しかし、我々の代表選手達がヨーロッパのリーグでプレーし、しっかりと重要な試合を経験してきたという事実が、私を励ましてもくれている。チャンスを逃したデンマーク戦(ユーロ2004予選最終戦)を思い出し、そこから教訓を導き出せ。謙虚さは長所となるが、自分のことを過小評価する必要はない。繰り返すが、最重要な要素の一つは運となるだろう。けれども、本来の実力が投影されるのはピッチの上だけだ」 -ミロスラフ・"チーロ"・ブラジェヴィッチ監督は詳細全てに分析を済ませたと信じているか? 「信じている。チーロは全てを知っている。チームは土曜日の試合に向けて最大限まで集中し、勇敢さと頭脳を持つだろうと考えている。今回のチャンスは特別だし、それを活かす必要がある。もう一度私は言及するが、幸運と勇敢さに加えて、より賢いチームが勝ち抜くものだ。ポルトガルは賢いチーム。我々は彼らに対抗し、彼らを凌駕しなければならない。もしそれに成功したならば、ワールドカップに進出するのは間違いない」 最後に注目点をはっきりと語る。 「ミシモヴィッチが特別なインスピレーションを持ち、得点するよう願っている。もし勝ち抜けたならば、次は何かね?」 笑いながら彼は話を終えた。
現在発売中の週刊ファミ通で、『J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! 6 Pride of J』(セガ/PSP)に登場するイビチャ・オシムのインタビューの聞き手を務めています。宜しかったらご覧になって下さい。
posted by 長束恭行 |23:10 |
サッカーニュース |
コメント(5) |
この記事に対するコメント一覧
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「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.ポルトガル」の決戦を前に/オシムのインタビュー
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ギリシャとウクライナのファンの方には申し訳ないですけど、出来ればポルトガル×ウクライナ、ギリシャ×ボスニアというカードになって欲しかったですね。ポルトガルとボスニア、どちらかが消えてしまうのは勿体無いです。
勿体無いと言えばズラタンのスウェーデンやモドリッチのクロアチアも観たかったなぁ。アジアの出場枠はやっぱり多過ぎですよ。
posted by ジダン | 2009-11-15 00:35
「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.ポルトガル」の決戦を前に/オシムのインタビュー
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アジアの枠を減らしても、各グループの3位にワールドカップ出場のチャンスがまわってくるわけではないですけどね。ウクライナ・イングランドと2分2敗だったクロアチアと、予選でマルタ以外のチームとの8試合で8得点だったスウェーデン・・・この現実は受け入れるべきでしょう。
posted by ↑気持ちはわかるけどね | 2009-11-15 02:10
「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.ポルトガル」の決戦を前に/オシムのインタビュー
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そんな事いちいち言われんでも解っているって(苦笑)
ただ一サッカーファンとしてはニュージーランドやら北朝鮮なんかよりスウェーデンやクロアチアが観たいのは当然の事。
posted by ジダン | 2009-11-15 08:19
「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.ポルトガル」の決戦を前に/オシムのインタビュー
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ワールドだからね(苦笑)
ユーロまで待ちなされ
posted by p | 2009-11-15 08:46
「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.ポルトガル」の決戦を前に/オシムのインタビュー
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ファミ通のインタビュー拝見しました。
ゲーム雑誌にあるまじき質の高い内容で感心しましたが、「訳」だけではなくインタビュアーも努められていたんですね。
質問内容についてある程度指示もあったとはおもいますが、eb!にはちゃんと「聞き手・訳」と明記していただきたいものです。
posted by 読者 | 2009-11-15 13:07
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世間は彼を愛し、彼のいかなる発言を信用している。ポルトガル戦を前に彼と競合できる話し相手はいない。ボスニア・ヘルツェゴビナで史上最多のトロフィーを得たイヴィツァ・オシムとどうやって話を進めようかと私は考えた。彼はポルトガル戦の戦いについて彼は何でも語るだろう。しかし、最初の質問を私がする前にオシムはこう話し始めた。
「リスボンでの試合は厳しい試合になるだろう。多くの頭が必要となってくる。この試合は頭脳、そして勇敢さを賭けた戦いだ。勇敢さを持っているか、持っていないか。もし有利な結果を望むならば、選手全員が最善の活躍をせねばならない」
-ロナウドは触れるに値するテーマだ。彼がいないポルトガルはどれくらい弱いのか? 20%、それとも30%?
「もし彼の欠場が我々を助けることがないならば、何が可能かなんて私には分からないよ。彼の損失を補えることはできない。パーセンテージについては語りたくないね。彼は決定力のある選手というだけでなく、攻撃を組み立てる中心選手で、巧みにゴールを決めてきた。まるで職人のようにね。しかし、彼の代わりにスタメン出場する選手のモチベーションがとりわけ高いことを我々は忘れてはならない。自己証明するチャンスを得た彼は、全力を出して戦うだろう。(ロナウドの欠場は)我々に多くのプラスをもたらす一方で、我々に問題をもたらす可能性もある。最高の選手がチームに欠けることは、新たにチームを一体化させるものなのだよ」
-この戦いで本命とされるポルトガルにどうやって相対するのか? ルスでの戦いは何をもらたすのか?
「我々の相手、ポルトガルは最高級の選手達による質の高いチームを持っている。選手達がどのクラブでプレーしているかを見れば、現代的な代表チームであると結論づけられるだろう。攻守両方に優れたプレーをし、とりわけディフェンスは優れている。ペナルティエリアからなるべく彼らを遠ざける必要があるし、走力で相手を苦しめることが最重要だね。彼らのパワーは本物だが、その楽観ぶりも果てしない。けれども、負けることのないチームはどこもないのだよ。我々の代表選手達はポルトガルに対して走力による戦いへと持ち込まねばならない。そして、90分を通しての集中力は100%であるべきだ。なぜなら、他の全ての面では頭痛を抱えることになるだろうからね。
ギリシャはユーロ2004でポルトガルを二度に渡って倒した。私の考えでは、ギリシャはボスニア・ヘルツェゴビナよりも優れたチームではない。ポルトガルは我々との戦いを前にして、幾らかの恐怖を抱いているのは間違いないだろう。プレーオフまでボスニア・ヘルツェゴビナが偶然にやってきたわけでない、ボスニア・ヘルツェゴビナにもクオリティがあることを彼らは意識しているはずだ。このような諺があることを知っているかね。"ヘビが殺したものは、トカゲであっても恐い"。我々はポルトガルよりも大きなトカゲなのだよ」
-数字を見るとポルトガルはセットプレーからの失点が多い。セットプレーは我々の武器となりえるのは? 攻撃陣にジェコとイビシェヴィッチがいることを考えれば、セットプレーの状況下で得点を挙げられるのは?
「今日はほとんど全てのゴールがセットプレーで生まれている。時には試合の早い段階でゴールが生まれ、予想しなかった方向へと向かうこともある。私が少し恐怖を抱いているのは我々の中盤、正確にいえばサイドだ。けれども、今、不安を持ち込むことはしたくない。相手に問題を読まれ、余りに負担になってしまうことを私は恐れているんだ。選手達が問題を切り離し、プレッシャー下に置かれないことがとても重要だ」
-ここまで来たことも大きな成功では?
「もちろん。この成功に最も値するのは指導者、そして同じく選手達だ。今は"あるか、なしか"の状況に訪れた。ニュアンスや策略、予想するのが難しいちょっとした事柄が試合を決めるだろう。もう一つ非常に重要な要素となるのは運だよ。しかし、運は呼び込む必要があるし、運が訪れることに値せねばならない。ボスニア・ヘルツェゴビナは中盤に問題を抱え、かつ若いチームであることは私の悩みでもあるが、リスボンでは有利な結果を導きだせるものだと信じている。もちろん、列挙してきた全ての事柄を考慮し、その憶測に沿っての話だが」
-ゼニツァでの第二戦が南アフリカへの渡航者を決めるのか?
「より賢いチームが先に進めるものだと考えているし、そう私は語ってきた。しかし、もしやそのことは正しくないのかもしれない。選手達は自分のチャンスを分かっている。"ピッチ上に魂を残していく"と、まるでポルトガルとの戦いの後に試合はないかのように選手達がコメントしているのを私は読んできた。精神的な準備もしっかりとやる必要がある、プレーオフの戦いの後も人生は続き、様々なことが起こるんだと選手達には説明する必要があると思うんだ。
しかし、我々の代表選手達がヨーロッパのリーグでプレーし、しっかりと重要な試合を経験してきたという事実が、私を励ましてもくれている。チャンスを逃したデンマーク戦(ユーロ2004予選最終戦)を思い出し、そこから教訓を導き出せ。謙虚さは長所となるが、自分のことを過小評価する必要はない。繰り返すが、最重要な要素の一つは運となるだろう。けれども、本来の実力が投影されるのはピッチの上だけだ」
-ミロスラフ・"チーロ"・ブラジェヴィッチ監督は詳細全てに分析を済ませたと信じているか?
「信じている。チーロは全てを知っている。チームは土曜日の試合に向けて最大限まで集中し、勇敢さと頭脳を持つだろうと考えている。今回のチャンスは特別だし、それを活かす必要がある。もう一度私は言及するが、幸運と勇敢さに加えて、より賢いチームが勝ち抜くものだ。ポルトガルは賢いチーム。我々は彼らに対抗し、彼らを凌駕しなければならない。もしそれに成功したならば、ワールドカップに進出するのは間違いない」
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