2009年03月24日

クロアチア・リーグ第23節/ディナモ、オシエク相手に痛い引き分け

22日、クロアチア・リーグ第23節が行われました。今節は3巡目の総当りのスタートで、残るは11節となりました。勝点で並ぶハイドゥク・スプリトとディナモ・ザグレブの直接対決は最終節となる第33節。二強十弱のクロアチア・リーグで、ハイドゥクとディナモの二強は十弱の中に隠れる地雷をいかに踏まずして勝ち続けるかでリーグ優勝の行方が左右します。


nogomet-77927.jpgディナモ・ザグレブは、8位オシエクを本拠地マクシミールに迎えました。ユルチッチ監督が初めてディナモを指揮した第21節でも対戦した相手ですが、わずか2週間で再び顔を合わせたことになります。
ディナモは先日の新聞インタビューで倒れたFWシヴォニッチ(写真)が思いのほか早くに回復し、先発で出場。一週間前のシベニク戦と同じベストメンバーを組んできました。
一方のオシエクはクロアチアでも古豪の一つですが、ディナモとの分は非常に悪く、過去の対戦成績は3勝12分38敗(旧ユーゴ時代除く)。おまけにアシスト王のMFクネジェヴィッチ、キャプテンのMFバビッチら主力を数人欠いた状態でディナモに挑みました。観客は5500人。私もこのカードの撮影取材をしてきました。

nogomet-77929.jpgシベニク戦とは違ってパスが一向に繋がらないディナモ。とりわけゴール前ではアイデア不足のために遅攻に陥ってしまい、スピードが持ち味のマンジュキッチとシヴォニッチのツートップも分厚いオシエクDFに締め付けられてしまいます。また、あっさりと高い位置でボールを奪われては弱点の左サイドを中心にオシエクのカウンターの逆襲に遭います。ディナモの左サイドは守備に難のあるMFサミールとDFイバネスがおり、攻めあぐねればあぐねるほど、その裏がぽっかりと空くのでした。
オシエクの最大のチャンスは29分、ディナモの左サイドのスペースに走り込んだFWプリモラッツに大きくパスが出て、プリモラッツはDFを背にワントラップを入れてからシュート。ボールは左ポストに嫌われましたが、これが決まっていればオシエクは試合をモノにしたのかもしれません。
ディナモも36分、シヴォニッチが崩れながらも右に走り込んだMFエトー(写真)にボールを送るものの、エトーのシュートはクロスバーを越えてしまいます。

後半に入っても流れを変えられないディナモ。52分には左に流れたオシエクのMFヴィダコヴィッチがフェイント一発でDFビシュチャンをかわし、内側へとドリブル。ノーマークで打てるチャンスがありながらもシュートを吹かしてしまいました。
nogomet-77928.jpgユルチッチ監督が動いたのは57分。水曜日のカップ戦で良い働きを見せたMFモラレスを右MFに投入すると、モラレスはサミールの左クロスに反応して前へと飛び出してボレーシュート。しかし、GKスケンデルが好反応で防ぎます。直後にはMFカレーロがミドルシュートを放ちましたが、こちらもクロスバーの上を越えていきます。
その後もディナモがゲームを支配しながらもオシエクのディフェンスを打ち破れず、審判からもロスタイム5分という大サービスも生かせないまま、スコアレスドローで終えてしまいました。前節、チバリア・ヴィンコヴチがハイドゥク・スプリトをドローに持ち込んだ時にも優勝したかのごとく大騒ぎでしたが、この日のオシエクの選手も同じようにピッチ中央で輪を作って飛び跳ね、ザグレブへと駆けつけた200人のサポーターの前で何度もガッツポーズを見せていました(写真/中央がFWプリモラッツ)。
監督就任して4戦目で勝利をこぼしたユルチッチ監督は
「直ぐにドレッシングルームで選手に言った。"頭を上げろ。時間はあるのだから。リーグはまだまだ長く、やりたいことは全てやれるチャンスはあるんだ"と。
試合後の一番の印象は勝点3を失ったことだ。全ての試合に勝たねばならないのが問題。その問題は様々な形で選手のもとに現れてくる。まずはこのプレッシャーに適応するのが重要なのだ」
と語っています。ディナモの次節はアウェーのチバリア・ヴィンコヴチ。前節はハイドゥクが勝点2を落とした場所だけに、あっさりと勝てる相手ではないことでしょう。


今節唯一のナイターは首位ハイドゥクと7位ザグレブのスプリト対決。ハイドゥクは前節のチバリア戦で終了間際に同点ゴールを食らい、連勝記録が9でストップ。これまでの高揚感が嘘であるかのように今のチームは不安感に襲われており、20日にはペロシュ会長が記者会見で審判批判を展開。それがこの試合で効果が出たようです。
nogomet-77933.jpg実際のところ、ミシェ監督が就任してからの魅力的なムービングサッカーは今年に入ってから鳴りを潜めてました。昨年の終わりは中盤の連携力を活かし、またサイドバッグが加わることによって分厚い攻撃を見せていたハイドゥクですが、最近はリスクを冒すのを恐れ、前へと出てくる選手が少なくなり、カリニッチ頼みのサッカーに戻りつつあります。これではがっちりと守備ブロックを築くザグレブをそうそう崩せません。ザグレブは老獪なFWヴグリネツを中心に少ないタッチで攻め込むものの、カリニッチのようなフィニッシャーがおらず、0-0の均衡が続きます。
ハイドゥクは40分、45分と立て続けにMFトマソフ(写真)がシュートチャンスを無駄にしてしまい、ここ最近は立て続けで決定機をフイにしている彼に対してブーイングが集まります。しかしながら、前半終了間際、疑惑をもたれる判定が出ます。
トマスから右クロスが上がり、ペナルティエリアでFWイブリチッチとDFイヴァンコヴィッチが同時に競り合うと、イブリチッチは押された形で前に倒れ込みました。これにバティニッチ主審はPKの判定。今季はゴールの半分をPKで決めているFWカリニッチがあっさりとゴールを揺らし、ハイドゥクが苦しみながら先制点を奪いました。

nogomet-77934.jpgミシェ監督は後半頭からトマソフを下げ、今季当初はセンセーショナルな活躍をした17歳MFティチノヴィッチ(写真)を左MFとして投入。新たにクロアチア代表に選出された右MFのガブリッチと共にサイドを活性化させます。追加点は54分、ガブリッチの右クロスにMFアンドリッチがヘディングでドンピシャリとシュートを決め、2-0とリードを広げます。
その後のハイドゥクはボールを支配しながら非効率なサッカーを繰り返しますが、ザグレブも2点差を追いつく力もなく、ハイドゥクがディナモを再び勝点で引き離す勝利を収めました。
ミシェ監督は試合後、
「結果だけには満足しているが、プレーには決して満足していない。とりわけ前半は我々のいつもと違う散々なプレーもあって、ザグレブが走力や構成で完全に支配していた」
とチームの出来にケチをつけていました。
そのハイドゥクの次節の相手はアウェーでのオシエク。オシエクもチバリア・ヴィンコヴチもクロアチア東部のスラヴォニア地方にありますが、二強にとっては鬼門になるかもしれません。

チバリア・ヴィンコヴチは3位スラヴェン・ベルーポ相手に、またして終了間際のゴールで追いつく同点劇を成し遂げました。また前節、ディナモに0-3と大敗したシベニクはFWゼッツのハットトリックもあって4-0と大勝しています。

全試合の結果はこちら。
試合のところをクリックすると、クロアチア国営放送のダイジェストが見られます。

Dinamo Zagreb - Osijek 0:0

Hajduk Split - Zagreb 2:0
1:0 45' Kalinic (PK)
2:0 54' Andric

Rijeka - Croatia 3:2
1:0  2' An.Sharbini
1:1 46' Polozani
2:1 51' Budicin
3:1 56' Ceric
3:2 74' Vojnovic

Varteks Varazdin - Zadar 0:0

Slaven Belupo - Cibalia Vinkovci 1:1
1:0 30' Maras
1:1 90' Culjak

Sibenik - Inter Zapresic 4:0
1:0  2' Zec
2:0 12' Rodic
3:0 26' Zec
4:0 29' Zec

【順位】
1位…ハイドゥク・スプリト (勝点51)
2位…ディナモ・ザグレブ (49)
3位…スラヴェン・ベルーポ (36)
4位…シベニク (35)
5位…リエカ (35)
6位…ヴァルテクス・ヴァラジディン (31)
7位…オシエク (29)
8位…ザグレブ (28)
9位…チバリア・ヴィンコヴチ (27)
10位…インテル・ザプレシッチ (21)
11位…クロアチア・セスヴェッテ (20)
12位…ザダール (20)

【ゴール】
14ゴール…カリニッチ(ハイドゥク)
13ゴール…ヴルチーナ(ベルーポ)、ゼッツ(シベニク)
9ゴール…ヴグリネツ(ザグレブ)、シヴォニッチ(ディナモ)、マンジュキッチ(ディナモ)
8ゴール…ムヤノヴィッチ(ヴァルテクス)、シャルビーニ弟(リエカ)
7ゴール…モラレス(ディナモ)、ムムレク(ヴァルテクス)、イブリチッチ(ハイドゥク)、ロディッチ(シベニク)



nogomet-77936.jpgお知らせですが、25日発売のサッカー週刊誌「footballista」の移民特集の中で、私が書いたクロアチア代表DFロベルト・コヴァチにインタビュー記事が掲載されます。ドイツ生まれの移民二世として、祖国クロアチアへの想いを切々と語ってくれた内容になっています。兄のニコ・コヴァチにはインタビューしたことがあるのですが、弟は初めて。緊張したものの、思っていた以上にフレンドリーな人物でした。
その他に同号では移民選手に関するクロアチア事情、巻末コラムでエドゥアルド復帰についても書いています。宜しければご覧になって下さい。


posted by 長束恭行 |00:50 | サッカーニュース | コメント(0) |
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