2009年03月21日
ボスニア紙アバスのイヴィツァ・オシムのインタビュー
20日付けのボスニア・ヘルツェゴビナの日刊紙アバスに、前日本代表監督のイヴィツァ・オシムのインタビュー記事が掲載されていました。 コメントを中心に翻訳してみましたので、ここで紹介しましょう。
「戦いはいつもあった。そして今も戦いがある。私は毎日、新たな日のために戦っているんだ」 -自宅のあるグラーツでリハビリをしているイヴィツァ・オシムはそう語った。 「小道をランニングし、自転車にも乗っている。すると非常に疲れるんだ。しかし、私はより良い気分になるし、自分は生きていると感じるのさ。(倒れた)11月は自分のもう一つの誕生日として祝っているよ。あの時に全てが終わったが、再び全てが始まったんだ。 (妻の)アシマと(息子の)アマルはあの時、私に仕返しすることができたんだけどね。しかし幸運なことに、救急車を呼んでしまったのさ」 -辛い時でさえ、ボスニア・ヘルツェゴビナ史上最高の監督はユーモアを失わなかった。試合の興奮がもたらす危険性を医者が注意するのは許されなかったのだろう。いや、許されなかった。そうすると、彼自身を失わせることになってしまう。 「(試合は)見てるよ。全て見ている。ビッグクラブはどこも同じプレーをしているな。サッカーに余りにもお金が絡んでしまい、誰もリスクを負おうとしない。どのチームも同じ戦術だ。 強いセンターバックが2人、強いサイドバックが2人、強いボランチが2人、図体の大きなFWが2人、直接FKか20mのミドルシュートで点が決められる1人。試合はもっぱら退屈なものになってしまう。なぜならチーム同士が簡単に中和し合ってしまうからだ。唯一、バルセロナだけが違うものを持っている」 -オシムは言う。 彼の息子アマルはエディン・ジェコが(ジェリェズニチャールの)ジュニアユースでプレーしていた時、ジェコのクオリティを見出した。イヴィツァはヴォルフスブルグのマイストーレを世界最高のFWの一人とさえ考えている。 「ジェコは将来における選手だ。彼やドログバのような選手だけが、将来のサッカーでプレーできるだろう。この先のシーズン、彼はブンデスリーガで最高の選手になるだろうし、現時点で既にバイエルンのルカ・トニ以上の力を出している。彼は全てを持っているんだ。プレーが分かっているし、ジャンプもできる。スピードは充分速いし、両足それぞれのシュートを身に付けている。フィジカル能力も理想的だ」 -オシムはジェコに対して賞賛の言葉ばかりを口にした。 サラエボに戻ることをシュワーボ(彼の愛称の一つ)は、初日から考えていた。しかし、家族のほぼ全員が反対している。なぜならオシムが故郷に戻ると、毎日のように多くの友人や知人が対話に訪れるからだ。 彼は誰に対しても「私はもう行かねばならない」と言わないだろう。彼が何時間もテーブルに座って、20人もの相手が次々と入れ替わることは目に見えている。しかし、最後にやってきた者はオシムのどの知恵も新鮮と感じることだろう。 「私はサラエボに戻るつもりだよ。戻るのは当然のことだ。まだ私が車を運転することを許可してくれないけど、秋には訪れたいものだね。誰かを重荷にさせたくはないが、試合は見たい。もしモスタルに行きたくなったらモスタルに行くさ。もちろん。その前にゴイコ(ヤブラニッツァにある有名な羊肉レストラン)で羊肉を食べに寄らないとな」 -イヴィツァ・オシムは語った。 彼はジェリェズニチャールの終身会長に就任するに値するのに、チームからは何かしらの役職を任せるような連絡を未だに受けていない。しかし、それについては考えていないようだ。 「ストレスになるものは何もやることはできないだろう。とはいえ、(世の中は)全てがストレスだがね。どこか子供や若者、学生を助けられるような場所で働きたいね。昔はジェリェズニチャールも学生リーグから選手を連れてきたものだった。あそこは特別に強いリーグだったんだ。学校、大学、街の路上。それらは素晴らしい(選手育成の)ベースであった」 オシムに対してボスニア・ヘルツェゴビナのサッカー界の悪い財政状況や条件を語ると、それらはハンディキャップではなく、昔はモチベーションであったと語り始めた。 「夢だ。大事なのは夢なのだよ。もし子供がジェコのようになりたいと夢見たならば、その夢は彼を支え、多くのヤル気を持つものだ。いかなるお金でも生み出せないヤル気をね。夢を抱く彼らは間違いなく成功を成し遂げるのだよ」 -そうオシムは語った。 オシムにとって最高のフットポーラーはスティーブン・ジェラード。監督では若いペッペ・グアルディオラを好んでいる。 「ジェラードは並外れている。リバプールがチャンピオンリーグ決勝でミランを倒した時、彼は一試合で5つのポジションをこなし、どのポジションは良いプレーをしていた。トーレスも非常に素晴らしい選手だ。クリスティアーノ・ロナウドは全てを持っているが、栄光を背負うことができないように見える。今シーズンは自分のためにプレーしており、完全にチームプレーから離れている。ボールを彼に与える必要があろうとも、ボールホルダーは(ロナウドを無視して)ドリブルをしてくれ。 若いグアルディオラはバルセロナにとって理想的な解決だ。彼らは他のチームとは異なるプレーをし、より美しいプレーをしている。彼は本物の選手だったが、まだまだヤリ手だったようだ。サッカーにとってグアルディオラが現れたことは素晴らしいね」 -とオシムは考えている。 歌手のハリド・ベシュリッチが交通事故に遭ったことはオシムをとりわけ揺るがせていた。伝説的な指導者は伝説的な歌手に激励を望んだ。 「ハリドは偉大な、特別愛すべき人間だ。自分と戦い、そして回復してくれるよう願っている。彼に宜しくと伝えてくれ。彼は戦うだろう。間違いなく」
3月上旬にインタビュー通訳の仕事でオシムと会う機会がありましたが、サッカー中毒ぶりは相変わらずでありました。心は夜のシュトゥルム・グラーツvs.オーストリア・ウィーン観戦に飛んでおりまして(苦笑) インタビューの場に教え子のマリオ・ハースがばったり現れ、楽しそうに話しているのが印象的でした。 (写真はシュトゥルム・グラーツのファンショップの壁写真)
posted by 長束恭行 |08:07 |
サッカーニュース |
コメント(1) |
この記事に対するコメント一覧
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ボスニア紙アバスのイヴィツァ・オシムのインタビュー
コメント投稿者ID :
夢だ、大事なのは夢なのだよ・・・
人生のキーワードですね。
情熱に従って生きる事を忘れてはいけない。
私も頑張ります。この記事を有難う。
長束さんも。
posted by サッカーファン | 2009-04-01 18:31
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試合の興奮がもたらす危険性を医者が注意するのは許されなかったのだろう。いや、許されなかった。そうすると、彼自身を失わせることになってしまう。
「(試合は)見てるよ。全て見ている。ビッグクラブはどこも同じプレーをしているな。サッカーに余りにもお金が絡んでしまい、誰もリスクを負おうとしない。どのチームも同じ戦術だ。
強いセンターバックが2人、強いサイドバックが2人、強いボランチが2人、図体の大きなFWが2人、直接FKか20mのミドルシュートで点が決められる1人。試合はもっぱら退屈なものになってしまう。なぜならチーム同士が簡単に中和し合ってしまうからだ。唯一、バルセロナだけが違うものを持っている」
-オシムは言う。
彼の息子アマルはエディン・ジェコが(ジェリェズニチャールの)ジュニアユースでプレーしていた時、ジェコのクオリティを見出した。イヴィツァはヴォルフスブルグのマイストーレを世界最高のFWの一人とさえ考えている。
「ジェコは将来における選手だ。彼やドログバのような選手だけが、将来のサッカーでプレーできるだろう。この先のシーズン、彼はブンデスリーガで最高の選手になるだろうし、現時点で既にバイエルンのルカ・トニ以上の力を出している。彼は全てを持っているんだ。プレーが分かっているし、ジャンプもできる。スピードは充分速いし、両足それぞれのシュートを身に付けている。フィジカル能力も理想的だ」
-オシムはジェコに対して賞賛の言葉ばかりを口にした。
サラエボに戻ることをシュワーボ(彼の愛称の一つ)は、初日から考えていた。しかし、家族のほぼ全員が反対している。なぜならオシムが故郷に戻ると、毎日のように多くの友人や知人が対話に訪れるからだ。
彼は誰に対しても「私はもう行かねばならない」と言わないだろう。彼が何時間もテーブルに座って、20人もの相手が次々と入れ替わることは目に見えている。しかし、最後にやってきた者はオシムのどの知恵も新鮮と感じることだろう。
「私はサラエボに戻るつもりだよ。戻るのは当然のことだ。まだ私が車を運転することを許可してくれないけど、秋には訪れたいものだね。誰かを重荷にさせたくはないが、試合は見たい。もしモスタルに行きたくなったらモスタルに行くさ。もちろん。その前にゴイコ(ヤブラニッツァにある有名な羊肉レストラン)で羊肉を食べに寄らないとな」
-イヴィツァ・オシムは語った。
彼はジェリェズニチャールの終身会長に就任するに値するのに、チームからは何かしらの役職を任せるような連絡を未だに受けていない。しかし、それについては考えていないようだ。
「ストレスになるものは何もやることはできないだろう。とはいえ、(世の中は)全てがストレスだがね。どこか子供や若者、学生を助けられるような場所で働きたいね。昔はジェリェズニチャールも学生リーグから選手を連れてきたものだった。あそこは特別に強いリーグだったんだ。学校、大学、街の路上。それらは素晴らしい(選手育成の)ベースであった」
オシムに対してボスニア・ヘルツェゴビナのサッカー界の悪い財政状況や条件を語ると、それらはハンディキャップではなく、昔はモチベーションであったと語り始めた。
「夢だ。大事なのは夢なのだよ。もし子供がジェコのようになりたいと夢見たならば、その夢は彼を支え、多くのヤル気を持つものだ。いかなるお金でも生み出せないヤル気をね。夢を抱く彼らは間違いなく成功を成し遂げるのだよ」
-そうオシムは語った。
オシムにとって最高のフットポーラーはスティーブン・ジェラード。監督では若いペッペ・グアルディオラを好んでいる。
「ジェラードは並外れている。リバプールがチャンピオンリーグ決勝でミランを倒した時、彼は一試合で5つのポジションをこなし、どのポジションは良いプレーをしていた。トーレスも非常に素晴らしい選手だ。クリスティアーノ・ロナウドは全てを持っているが、栄光を背負うことができないように見える。今シーズンは自分のためにプレーしており、完全にチームプレーから離れている。ボールを彼に与える必要があろうとも、ボールホルダーは(ロナウドを無視して)ドリブルをしてくれ。
若いグアルディオラはバルセロナにとって理想的な解決だ。彼らは他のチームとは異なるプレーをし、より美しいプレーをしている。彼は本物の選手だったが、まだまだヤリ手だったようだ。サッカーにとってグアルディオラが現れたことは素晴らしいね」
-とオシムは考えている。
歌手のハリド・ベシュリッチが交通事故に遭ったことはオシムをとりわけ揺るがせていた。伝説的な指導者は伝説的な歌手に激励を望んだ。
「ハリドは偉大な、特別愛すべき人間だ。自分と戦い、そして回復してくれるよう願っている。彼に宜しくと伝えてくれ。彼は戦うだろう。間違いなく」

