2008年12月02日
小クラブで再び花を咲かせるFWニーノ・ブーレ(元ガンバ大阪)
DF/MFミルコ・フルゴヴィッチ(ディナモ/千葉)、MF/DFゴラン・ルビール(ハイドゥク/湘南)、DFダリオ・ダバツ(リエカ/広島)といったJリーグからの出戻り組がプレーするクロアチア・リーグにおいて、現在好調なのがインテル・ザプレシッチのFWニーノ・ブーレ(写真)です。2000年夏から一年半、ガンバ大阪でプレーし、リーグ40試合で23ゴールと大きな成功を収めた彼も今年で32歳。昨季にプレーしたリエカを不当に追い出され、所属クラブがない中、今季はインテルに拾われる形で加入。若い選手が多い中、リーダーとして攻撃陣を引っ張り、チームはディナモとハイドゥクに次ぐ27得点、本人も13試合で6ゴール、3アシストと活躍しています。ゴールもFKあり(動画)、ヘディングあり(動画)、またベテランらしい狡猾なゴール(動画1、動画2)ありと多彩。 私がクロアチアに住み始め、6年前に初めてインタビューした選手が彼でして、当時はクロアチア語の会話に自信がなかったことからメールにての応答をお願いしたところ、快く引き受けてくれたのを覚えています。今でもスタジアムで会うと気軽に声を掛けてくれるブーレ。昨年7月、リエカに在籍した頃にはカフェで若手たちと一服していた際に呼びかけられ、 「Jリーグでもう一回プレーしたいんだ」 と本音を述べながら、GKラドマンら周囲の若手にJリーグの素晴らしさを語っていた光景が思い出されます。そんな彼がSportske Novosti紙で興味深いインタビューに答えていますので、一部抜粋して翻訳してみました。
-ニーノ、君は素晴らしいプレーをしているけど何が起こったのか? もしや「白鳥の歌」("白鳥は断末魔に歌を歌う"と言う伝えにちなむ比喩)なのか、それとも成熟、もしくは第三の何かが理由?
「これが僕の"白鳥の歌"だなんて言いたくはないよ。その例えは終わりが近づいたという意味だろうけど、僕はまだまだ現役として長く、そして良いプレーをするつもりだからね。真の成熟の結果として、この秋にこの好調が訪れたものだと考えているんだ。落ち着いているし、神経質になることもない。素晴らしい家族がいるし、生活の心配もさほどない。つまり、穏やかにサッカーに専念できているんだ」
-クロアチア、そして日本、オーストリアでプレーしたきた。これまでどこの経験が最高だった?
「ガンバさ。23歳の時、僕は多くの偏見を持って日本へとやってきた。日本人はサッカーなんて分かってないから、全ては楽なもんさと思っていたんだよ。しかし、大きなサプライズが待っていた。Jリーグは素晴らしいサッカーをやっているし、競争は恐ろしいほど激しかったのさ。あの二年間はファンタスティックな経験だった。最高のプロフェッショナルのように感じたよ。全ては完璧だった。報酬や条件、移動においてもね。クラブの価値さえ除ければ、Jリーグはプレミアリーグに何ら遅れていない。日本では多くの同胞がチャレンジしたけど、ほとんどが直ぐに戻ってきた。その事実はJリーグがどんなリーグかをはっきりと物語っているよ」
-君はこれまでのキャリアの中で頻繁にクラブが変わっている。9クラブも、だ。最初のザグレブ以外はどうして長く留まることがなかったのかい?
「それは何度も自問自答したよ。理由はおそらく私の性格によるものだろう。こそこそすることは好きじゃないからね。何かが私の妨げになったり、不正を見たりしたら、怒りが天へと達してしまう。自分に対してだけでなく、他人に対してもそうだ。最後には"曲がったドリナ川を直す"(不可能をやる、の意)のは私だと結論づけてしまったんだ。今は随分と楽な気分だけどね」
-人生には様々なストーリーがあるが、何が君にとって最悪だった?
「個人的には二つ、困難な瞬間があった。まずは1997/98シーズンに起こったことだ。(ザグレブで)良いプレーをしていて、(クロアチア代表監督の)ブラジェヴィッチがフランスW杯の代表候補リストに私の名を連ねてくれた。また同年にはザグレブからディナモに移籍するはずだったんだよ。契約書はセッティングされていたし、ディナモがキャンプを張るスペインに向けてカバンも荷物でいっぱいだった。サインしていなかっただけで、全ては終わっていたはずだったんだ。天にも昇る気分だったし、世界が自分に開けていると思ったけど、全てが台無しになってしまった。何もかもね。ディナモ移籍もフランスW杯も」
-なぜ全てが台無しになったのか?
「私をプッシュしてくれるような人を誰も持っていなかったからさ」
-キャリアにおけるもう一つの最悪の瞬間は?
「それは最近の話で、2008年夏に起こった。リエカが私を路上へと放り捨てた時さ。ある一人の人物が私を切り捨てた。その名前は挙げるつもりはない。けれども、もし私が謝る必要があるのなら謝るよ。
私を戦力外にしたのはプレー内容とは関係なかったなんて恐ろしい話さ。クロアチアでは全く当たり前となった事柄のせいで私は戦力外となった(※未払給与の支払をクラブに要求したためと思われる)。もし自分のものを要求し、引っ込めることをしなければ、要らない、となってしまうんだよ」
-どうしてインテルへとやって来たのか?
「それは興味深い話さ。僕を見てくれ! パッと見、何歳だと思う?」
-26歳かな。
「ほら、そうだろ。まさに自分もそう感じているんだ。しかし、僕は32歳で、それが大きな障害となった。仕事がない状態で自分をあちこちに売り込んだけど誰も欲しなかった。誰もが僕の生年月日を目にしたからさ。コンディションを維持するようトレーニングしたよ。マクシミールの森を走ったさ。ある日、マクシミールでブラチュン監督(当時)が私を気に掛けてくれてね。"ニーノ、どこかクラブが見つかるまで私たちと一緒にトレーニングしないか? 仲間がいる方が楽だろう"と言ってくれたんだ。ブラチュンは偉大な人物であることを示してくれたし、そのことは決して忘れないよ。僕がまだまだやれることをインテルが知ると直ぐに話はまとまった」
-君はあらゆる経験をしてきたけど、若手たちとは気が合うのかい?
「彼らとは素晴らしく気が合うよ。でも、まったく理解はできないけどね」
-なぜ理解できないのかい?
「僕たちの親は何かを残すために40~50年間働くものだ。サッカー選手にとってはそのプロセスが早い。10年間働くだけで良い生活を保障することも可能だし、億万長者にだってなれる。テーブルの上のお金を目にしたら、自己犠牲を払うのは当たり前なんだよ。しかし、若者は自己犠牲を好まないんだ。彼らはトレーニングも好きではない。やらねばならないから、トレーニングをやっているなんて姿勢が見られるんだよ。
誰もが陥るような状況に私も立たされたことがある。24歳の時、ユベントスやヴェルダーの移籍話をメディアが書き立てたけど、実現はしなかったんだ。けれども、私は諦めなかった。若者はもっとヤル気を持ち、練習しなければならないし、クラブに対してもっとリスペクトすべきだと思うのだが…。残念ながら、多くの者が30歳になってようやく失ったものを理解するんだよ」
-インテルは一部に残留するか?
「もちろん残留するよ。このクラブに少しだけでも資本が注入され、それが今のメンバーを二年間維持することの助けとなったならば、最小限の補強選手と共にUEFAカップで戦えるだろう」
-君はインテルに残留するのか?
「インテルとは今年末まで契約がある。その際に何が起こるのか興味を持っているよ。おそらく再び路上に終わるなんてことはないだろう」
(二番目の写真はリエカのチームメイトGKラドマンとMFマルキッチと、三番目の写真は現在チームメイトのMFクーケッツと競り合ったシーン)
posted by 長束恭行 |22:41 |
サッカーコラム |
コメント(4) |
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小クラブで再び花を咲かせるFWニーノ・ブーレ(元ガンバ大阪)
コメント投稿者ID :
興味深いですね。
欧州サッカーファンから、相撲で言えば、幕下よりも下くらいに見られてるJリーグが、プレミアに遅れてないなんて、ただし、クラブの価値を除けば、か。これってどういう意味? 実力ってこと?
まあ、かなり社交辞令が入ってるだろうから、そのままには受け取らないけど。
Jリーグをあまりに低く見る意見には疑問を持ちますね。
posted by 鹿島ファン | 2008-12-03 06:16
小クラブで再び花を咲かせるFWニーノ・ブーレ(元ガンバ大阪)
コメント投稿者ID :
ここでいうクラブの価値って、おそらくですが伝統とかそういった意味合いではないでしょうか。僕は金銭的な価値も実力も雲泥の差があると思いますが。。
日本はこれからの国ですよ!
posted by 日本人 | 2008-12-03 15:42
小クラブで再び花を咲かせるFWニーノ・ブーレ(元ガンバ大阪)
コメント投稿者ID :
ニーノブーレ懐かしいなぁ・・・
posted by 脚 | 2008-12-04 00:55
小クラブで再び花を咲かせるFWニーノ・ブーレ(元ガンバ大阪)
コメント投稿者ID :
一番上の鹿ファンへ。
>ただし、クラブの価値を除けば、か。これってどういう意味?
「プレミアリーグと比べて」って言ってるじゃないか。
当然の見立てでしょ。
マンUやリバプールみたいなクラブと比較して、
まさか鹿島が同格とでも?w
しかも「社交辞令」って…長束さんがちゃんと、
Sportske Novosti紙のインタビューより抜粋・翻訳って書いてあるじゃないか。
何も読んでないのか??
posted by 痛い鹿サポ… | 2008-12-11 09:28
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