2008年11月28日
UEFAカップ リーグ第3節/ディナモ、スパルタク・モスクワに破れ、リーグ突破絶望
11月27日、UEFAカップのリーグラウンド第3節「ディナモ・ザグレブvs.スパルタク・モスクワ」がマクシミール・スタディオンで行われました。氷点下まで冷え込む中で15000人ほどの観客が集まり、私も取材をしてきました。 「10年に一度の試合」-試合前からクロアチア・メディアがこのように表現したのも、39年ぶりの欧州冬越えが掛かっていたからです。ディナモは1970年のカップ・ウィナーズ・カップ以来、ディナモ・ザグレブは欧州カップで年を越えて戦ったことはなく、後一歩ながら何度も悲劇的な敗北を喫してきました。NEC戦で勝点3を得ているディナモにとって、スパルタクに勝利すればグッとリーグ突破が近くなります。 しかしながら、試合三日前になってズドラヴコ・マミッチ副会長との対立からブランコ・イヴァンコヴィッチ監督が辞任。急遽、アシスタントのマリヤン・ヴラクが指揮を握ることになりました。ヴラクはスパルタク・モスクワを現場でスカウンティングしており、スピードのあるイバネス(写真右)とミキッチを両ウィングに置くことで、守備の連携に難のあるスパルタクを崩しに掛かりました。メンバーは以下のよう(4-2-3-1)。 GKブティナ-(右から)DFロヴレン、ドゥルピッチ、ビシュチャン、フルゴヴィッチ-MFヴルドリャク、バデリ-ミキッチ、モラレス、イバネス-FWマンジュキッチ
スパルタク・モスクワはロシアきっての名門ですが、今季は低迷。シーズン途中にミハエル・ラウドルップ監督(写真)を迎えたものの8位に終わり、来季の欧州カップ出場権を逃してしまいました。エネルギー価格の低下から、石油会社ルコイルがメインスポンサーのスパルタクも財政縮小の憂き目に遭うなど良い話題はないのですが、昨季はヘタフェを準々決勝へと導いたラウドルップ監督の手腕に期待したいところ。ハイドゥク出身ながらザグレブでのクロアチア代表では絶大な支持を受けるGKプレティコサがゴールを守り、パヴリチェンコとポグレブニャクを足して二で割ったとヴラクが評する19歳のプルドゥニコフをワントップにした以下の布陣を敷いてきました(4-2-3-1)。 GKプレティコサ-DFパルシヴリュク、イラネク、ファティ、ロドリゲス-MFコヴァチ、コヴァルチュク-バジェノフ、パヴレンコ、サエンコ-FWプルドゥニコフ 凍ったピッチで身体もボールもコントロールするのが難しい中、スパルタクはロングボールを中心にディナモ・ディフェンスの裏を狙い、ディナモは前線の機動力を活かしたサッカーを試みました。
rお互いが困難な条件に慣れてくると、ようやくチャンスが訪れます。21分、イバネスが左サイドからピンポイントでDFの裏を取ったマンジュキッチにロングパスを通すと、プレティコサと一対一に。マンジュキッチは突っ込んできたプレティコサの頭上を抜くループシュートを試みますが、ボールはクロスバーを越えてしまいました(写真)。この絶好機を逃したのが展開に大きく響きます。 27分にはヴルドリャクがドリブルで持ち込んで、最後はモラレスがバイタルエリアからミドルを狙いましたが、プレティコサの正面。 スパルタクも37分、左クロスからドゥルピッチとの競合いに勝ったバジェノフが近距離からシュートを放つも左へわずか逸れます。 ヴラク監督はピッチに適応できずに鳴りを潜めていたモラレスを41分に下げ、怪我から予想以上早く復帰してきたFWバラバンを投入し、マンジュキッチとのツートップの形を作りました。前半終了前での不可解な交代に見えるこの采配をヴラクは 「イバネスやミキッチといったスピードある選手に繋ぐ役割を期待していたのだが、モラレスはそれができず多くの問題を抱えていた。コヴァチがしっかり彼をケアしていたからね。バラバンを投入することで攻撃を強化しようとした。私にとっては正しい交代だった」 と説明しています。
後半のディナモは出だし良く、51分にマンジュキッチがゴールキックをヘディングで前方へと落とすと、イバネスが俊足をかっ飛ばして一対一を作りかけましたが、プレティコサの好判断によりクリア。 直後にディナモ・サポーターのBBBが発炎筒が投げ込み始め、審判団は試合中断を示唆します。その前にもバックスタンドから副審に目掛けて瓶を投げつけられるシーンもあり、またしてUEFAから制裁を加えられることになりそうです。 次第にディナモの選手たちのフィジカルが落ちていくと、MFが一枚多いスパルタクが中盤を支配し始めます。そして75分、不運が重なって得点を奪われます。中央へドリブルするコヴァチを背走したヴルドリャクがボールをチェックするも、ペナルティエリアのFWマロヤンに渡り、ボールキープするマロヤンをドゥルピッチがチェックしたボールが今度は左のサエンコに。サエンコ(写真右から3人目)の力無いシュートはドゥルピッチの股間を抜け、目の前が遮られたブティナも反応が遅れたことで、ディナモのゴールへと吸い込まれてしまいました。
前線で孤軍奮闘していたイバネスも消耗のため79分に交代。DFエトー、MFサミールといったブラジル人を投入し、ビシュチャンを攻撃へと上げるものの効果を生みません。同点のチャンスは89分、ゴール前の混戦ののち、バックパスからフルゴヴィッチが強烈なミドルシュートを放つもプレティコサ(写真)が弾き、その跳ね返りをビシュチャンがシュートしましたが、これもプレティコサが好セーブ。いつもマクシミールではクロアチア代表GKとして好セーブ連発を見せている彼は、敵としても好セーブ連発という皮肉な結果となりました。 ロスタイム4分もモノにできないまま、ディナモは0-1と敗北。ウディネーゼ戦が残っているとはいえ、欧州冬越えの夢はほぼ絶望となりました。 試合後、ヴラク監督(写真)は
「多くのものが求められた試合だったと思う。選手たちはよく戦い、大きな努力はしたが、少なくともゼロから抜け出すには充分ではなかった。選手たちを批判することはしない。ヤル気と願望を見せてくれたからね。しかし、それでは充分ではなかったんだ。 もしマンジュキッチのゴールが決まっていたならば、試合は違う形に終わっただろう。おそろくは負けることはなかったのかもしれない。決定機は多くなかったし、少なくとも引き分けで終われなかったという悔いだけが残る」 とコメントしています。クロアチア国営放送のダイジェスト動画はこちらで見られます。 この敗北でディナモは4位に転落。計算上はまだ可能性はあるものの、次節のウディネーゼ相手にアウェーで大量得点で勝利することは難しく、また日曜日にはクロアチア・リーグでディナモが苦手としているヴァルテクス・ヴァラジディンのアウェーマッチを控えており、結果次第ではフロントの責任問題へと伝染する可能性は充分にありそうです。とはいえ、一度退陣したところでも戻ってくるのがズドラヴコ・マミッチ副会長でありますが。 1位 トットナム 勝点6 (試合数3、得点:失点 5:2) 2位 ウディネーゼ 勝点6 (試合数2、得点:失点 4:1) 3位 スパルタク 勝点3 (試合数2、得点:失点 2:2) 4位 ディナモ 勝点3 (試合数3、得点:失点 3:7) 5位 NEC 勝点0 (試合数2、得点:失点 2:4)
posted by 長束恭行 |20:57 |
サッカーニュース |
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ディナモは1970年のカップ・ウィナーズ・カップ以来、ディナモ・ザグレブは欧州カップで年を越えて戦ったことはなく、後一歩ながら何度も悲劇的な敗北を喫してきました。NEC戦で勝点3を得ているディナモにとって、スパルタクに勝利すればグッとリーグ突破が近くなります。
しかしながら、試合三日前になってズドラヴコ・マミッチ副会長との対立からブランコ・イヴァンコヴィッチ監督が辞任。急遽、アシスタントのマリヤン・ヴラクが指揮を握ることになりました。ヴラクはスパルタク・モスクワを現場でスカウンティングしており、スピードのあるイバネス(写真右)とミキッチを両ウィングに置くことで、守備の連携に難のあるスパルタクを崩しに掛かりました。メンバーは以下のよう(4-2-3-1)。
GKブティナ-(右から)DFロヴレン、ドゥルピッチ、ビシュチャン、フルゴヴィッチ-MFヴルドリャク、バデリ-ミキッチ、モラレス、イバネス-FWマンジュキッチ
スパルタク・モスクワはロシアきっての名門ですが、今季は低迷。シーズン途中にミハエル・ラウドルップ監督(写真)を迎えたものの8位に終わり、来季の欧州カップ出場権を逃してしまいました。エネルギー価格の低下から、石油会社ルコイルがメインスポンサーのスパルタクも財政縮小の憂き目に遭うなど良い話題はないのですが、昨季はヘタフェを準々決勝へと導いたラウドルップ監督の手腕に期待したいところ。ハイドゥク出身ながらザグレブでのクロアチア代表では絶大な支持を受けるGKプレティコサがゴールを守り、パヴリチェンコとポグレブニャクを足して二で割ったとヴラクが評する19歳のプルドゥニコフをワントップにした以下の布陣を敷いてきました(4-2-3-1)。
GKプレティコサ-DFパルシヴリュク、イラネク、ファティ、ロドリゲス-MFコヴァチ、コヴァルチュク-バジェノフ、パヴレンコ、サエンコ-FWプルドゥニコフ
凍ったピッチで身体もボールもコントロールするのが難しい中、スパルタクはロングボールを中心にディナモ・ディフェンスの裏を狙い、ディナモは前線の機動力を活かしたサッカーを試みました。
rお互いが困難な条件に慣れてくると、ようやくチャンスが訪れます。21分、イバネスが左サイドからピンポイントでDFの裏を取ったマンジュキッチにロングパスを通すと、プレティコサと一対一に。マンジュキッチは突っ込んできたプレティコサの頭上を抜くループシュートを試みますが、ボールはクロスバーを越えてしまいました(写真)。この絶好機を逃したのが展開に大きく響きます。
27分にはヴルドリャクがドリブルで持ち込んで、最後はモラレスがバイタルエリアからミドルを狙いましたが、プレティコサの正面。
スパルタクも37分、左クロスからドゥルピッチとの競合いに勝ったバジェノフが近距離からシュートを放つも左へわずか逸れます。
ヴラク監督はピッチに適応できずに鳴りを潜めていたモラレスを41分に下げ、怪我から予想以上早く復帰してきたFWバラバンを投入し、マンジュキッチとのツートップの形を作りました。前半終了前での不可解な交代に見えるこの采配をヴラクは
「イバネスやミキッチといったスピードある選手に繋ぐ役割を期待していたのだが、モラレスはそれができず多くの問題を抱えていた。コヴァチがしっかり彼をケアしていたからね。バラバンを投入することで攻撃を強化しようとした。私にとっては正しい交代だった」
と説明しています。
後半のディナモは出だし良く、51分にマンジュキッチがゴールキックをヘディングで前方へと落とすと、イバネスが俊足をかっ飛ばして一対一を作りかけましたが、プレティコサの好判断によりクリア。
直後にディナモ・サポーターのBBBが発炎筒が投げ込み始め、審判団は試合中断を示唆します。その前にもバックスタンドから副審に目掛けて瓶を投げつけられるシーンもあり、またしてUEFAから制裁を加えられることになりそうです。
次第にディナモの選手たちのフィジカルが落ちていくと、MFが一枚多いスパルタクが中盤を支配し始めます。そして75分、不運が重なって得点を奪われます。中央へドリブルするコヴァチを背走したヴルドリャクがボールをチェックするも、ペナルティエリアのFWマロヤンに渡り、ボールキープするマロヤンをドゥルピッチがチェックしたボールが今度は左のサエンコに。サエンコ(写真右から3人目)の力無いシュートはドゥルピッチの股間を抜け、目の前が遮られたブティナも反応が遅れたことで、ディナモのゴールへと吸い込まれてしまいました。
前線で孤軍奮闘していたイバネスも消耗のため79分に交代。DFエトー、MFサミールといったブラジル人を投入し、ビシュチャンを攻撃へと上げるものの効果を生みません。同点のチャンスは89分、ゴール前の混戦ののち、バックパスからフルゴヴィッチが強烈なミドルシュートを放つもプレティコサ(写真)が弾き、その跳ね返りをビシュチャンがシュートしましたが、これもプレティコサが好セーブ。いつもマクシミールではクロアチア代表GKとして好セーブ連発を見せている彼は、敵としても好セーブ連発という皮肉な結果となりました。
ロスタイム4分もモノにできないまま、ディナモは0-1と敗北。ウディネーゼ戦が残っているとはいえ、欧州冬越えの夢はほぼ絶望となりました。
試合後、ヴラク監督(写真)は
「多くのものが求められた試合だったと思う。選手たちはよく戦い、大きな努力はしたが、少なくともゼロから抜け出すには充分ではなかった。選手たちを批判することはしない。ヤル気と願望を見せてくれたからね。しかし、それでは充分ではなかったんだ。
もしマンジュキッチのゴールが決まっていたならば、試合は違う形に終わっただろう。おそろくは負けることはなかったのかもしれない。決定機は多くなかったし、少なくとも引き分けで終われなかったという悔いだけが残る」
とコメントしています。クロアチア国営放送のダイジェスト動画は

