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ホッフェンハイム躍進を語る/トミスラフ・マリッチのクロアチア紙インタビュー

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26日のブンデスリーガ第9節でホッフェンハイムがハンブルガーSVを3-0と粉砕し、堂々の首位に立ちました。この試合の前半は衛星放送で見ていましたが、ハンブルガーSVがハーフウェーラインを一向に超えられず、オリッチとペトリッチが立ち往生し、あっさりと三発をぶち込こまれる光景を見て、ホッフェンハイムというチームが如何に本物であるかを見せつけられました。

nogomet-53865.jpg今から2年半前、片田舎のジンスヘイムに足を運びれ、当時はまだ三部だったホッフェンハイムでトレーニングするトミスラフ・マリッチ(写真)の元を訪ねました。浦和レッズでの経験や日韓ワールドカップに関連してマリッチにロングインタビュー(こちらに掲載)を行ったわけですが、あの時に彼は
「ホッフェンハイムはブンデス一部参入の野心を持ったクラブで、いずれはそのサクセスストーリーがドイツで語られることだろう」
と予言していました。2007/08シーズンに二部に昇格し、今季から一部に昇格。そして今は首位。これまで多くのクロアチアのサッカー関係者にインタビューしてきましたが、その中でもマリッチは一つ一つの言葉に最も心がこもっていたのを覚えています。それだけに今のホッフェンハイムの躍進を喜ばずにいられません。

そのハンブルガーSVとの決戦を前に、Sportske Novosti紙がトミスラフ・マリッチにインタビューをしています。ホッフェンハイムの躍進の理由やクロアチア代表に関する話がある興味深い内容なので翻訳してみました。


「クロアチア代表での古くからの知人であるイヴィツァ・オリッチとムラデン・ペトリッチと会えることを楽しみにしているよ」
-ホッフェンハイムのラルフ・ラングニックの第一アシスタントコーチのトミスラフ・マリッチは語った。

「オリッチとは私がクロアチア代表に最後に呼ばれた2003年末以来会ってない。ペトリッチとは今夏、(クロアチアの保養地)ブレラでの夕食で会ったよ」

-クロアチアの強力ツートップに対し、ホームのホッフェンハイムは厳格に対処していくつもりか?
「いや、決して我々は"警官"(マンマーク)を置くことはしないよ。選手個々やスペースではなく、ボールに狙いを定めるのさ。ボールホルダーに対して我々は二人、行けるのならば三人で当って行くんだ」

-それには申し分のない程のフィジカルの準備が必要なのでは?
「もちろん。走力は現代サッカーの最も重要な要素の一つだ。パワーのない選手なんて選手じゃないよ」

nogomet-53867.jpg-ブンデス初参戦ながら今季のヒットとなったホッフェンハイムだが、ハンブルガーSVとの試合でどんな結果だったら満足できる?
「ホームだろうがアウェーだろうが、我々は同様に戦うんだ。つまり、勝利するよう努力するということだ。けれども、"相手をぶっ壊す"なんて命題を持ってして戦うことは決してない。ハンブルガーSVの長所も短所も分かっている。カウンターに気をつけながら、勝点3を狙いに行くよ。引分けでも充分だろう」

-多くの人々に印象づける貴方たちの成功をどのように捉えているか?
「トレーニングにおいて我々は完全に集中しているんだ。誰もが完璧ではないのだから、個々の練習次第でクオリティを高められることは意識している。また完璧なセレクション、とりわけユース学校でのセレクションには誇りを持っているよ。このように上手く進んでいることは幸せだけど、順位表を見て浮かれることはないし、調子にも乗ることはないさ。目標は美しく、そして速いプレーをすることだ。一試合ずつ戦いながらも、勝った際には高揚感に溺れることはなく、負けた時でもフラストレーションに悩まされはしない。自分たちがどんな存在かは分かっているし、他のチームがどうかも分かっているんだ。バイエルン、シャルケ、バイヤー……彼らは僕たちが傲慢になれるような相手でないことは当たり前だ」

-マリッチは攻撃陣の構築を担当している。ボスニア代表のイビシェヴィッチ、サリホヴィッチ、フランス国籍のセネガル人バの調子を見れば、彼の成果はファンタスティックだ。
「素晴らしい若者だし、個性のある若者だよ。向上心やヤル気で溢れているね」

nogomet-53868.jpg-トミスラフはなぜホッフェンハイムへやってきたのか?
「ヘイルブロンに生まれただけに、ここは私の出身地方だ。天皇賞決勝から3部リーグへとやってきたこと、(浦和の)7万人のサポーターが(ホッフェンハイムの)1000人のサポーターに変わることが通常でなかったことは認識しているよ。いくらホッフェンハイムのプロジェクトが約束されたものであってもね。私はリスクへと赴き、それが当ったんだ」

-ブンデス二部昇格の際には、スタッフとしてのポジションを与えたラングニック監督と協力しながら、選手としても大いにチームを助けた。
「同時に自分自分もトレーニングし、必要とあればピッチへと飛んでいったんだ。そんな役割を喜んで引き受けたよ」

-束の間に彼はケルンの有名な監督学校でB級とA級のライセンスを取得した。まもなく最も価値のあるプロ級ライセンスを所有することになる。
「サッカーを学ぶことに恐ろしいほど関心を持っているんだ。シェフ(ラングニック)からは多くのことを学んだよ。彼は相当な完璧主義者だし、システムや戦術のエキスパートだ。お互いが理解しながら、補完し合っているよ。気を使い合うこともないしね。袖を絡めながら一緒に働いているんだ。またスポーツには運も必要で、現時点では運が我々についている。そして自らのコンセプトを諦めることはしない。安定したブンデス一部のクラブになることを我々は確信していのさ」

-トミスラフ・マリッチと彼の妻レナータは定期的にクロアチア国営放送を見ているだけに、クロアチアで起こっていること全てに眼を向けている。元代表として今のクロアチア代表に関しては?
「現在戦っている予選でミスを犯したというつもりはない。イングランドと戦う前から自らを英雄視する必要はなかった、という意見に同意するけど、あの敗北は様々な状況が重なり合って起きたものだ。泣く必要はないんだよ。プレーオフを経て、南アフリカまで到達すればいい。プレーオフは我々にとって初めてでないのだから」

-ビリッチ監督は?
「スラヴェン・ビリッチはカールスルーエで一シーズン一緒にプレーした。5歳年上だったわけだけど、彼はスター選手だったし、キャプテンマークを身につけたリーダーで、僕はまだ駆け出しだった。彼がいかなる才能かは直ぐに理解したよ。エドゥアルドとクラニチャールが怪我から回復し、モドリッチが活躍し、マンジュキッチが定着するようになれば、クロアチアはまた脅威となり、輝く存在になるだろうね」

-左足首の骨折が貴方をユーロ2004・ポルトガル大会を遠ざけてしまったことを悔やんでいるか?
「いや、信じ難い協調性と愛国心が染み渡った雰囲気を持つクロアチア代表の一員となったことを私は本当に幸せに感じているんだ。クロアチア代表としての9試合は、生きている間ずっと記憶していることだろう」




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ホッフェンハイム躍進を語る/トミスラフ・マリッチのクロアチア紙インタビュー

> エステルさん
昨日、スカパーの方から「Foot!」のマリッチの回を送って頂き、見ることが出来ました。
あの練習場が二年前とまったく変わってなくて、またマリッチも髪の毛を切ったぐらいで変わってなくて、ついつい懐かしんでしまいましたよ。
ホッフェンハイムは4000万ユーロつぎこんだスタジアムの横に、1500万ユーロをつぎこんだ5面の練習場を新たに作ったそうで、来年からはそちらで練習するようです。指導者としてもマリッチの挑戦はまだまだ続きそうですね。

ホッフェンハイム躍進を語る/トミスラフ・マリッチのクロアチア紙インタビュー

いつも読んでいます。この記事を読ませていただいたことを長束さんに感謝致します。

ホッフェンハイム躍進を語る/トミスラフ・マリッチのクロアチア紙インタビュー

この間TVのサッカー番組でホッフェンハイムの特集をしていて、マリッチのインタビューが放送されたんですが彼の丁寧で誠実な受け答えがとても印象に残りました。日本で生の声を聞くことなどなかなかないことなので喜んでいたところこちらにもインタビューが掲載されたので、その時のマリッチの表情など思い出しながら読ませていただきました。

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長束 恭行(ながつか やすゆき)
クロアチア・サッカーを専門とするジャーナリスト・通訳。
1997年、クロアチア初訪問でディナモ・ザグレブの試合に感銘を受け、銀行を退職。のちも渡航を繰り返し、2001年よりクロアチアの首都ザグレブに移住して現地のサッカーを追う。クロアチアのネットメディア「Sport-net」にも所属。2011~2015年はリトアニアの首都ビリニュスに滞在。
訳書に「日本人よ!」(著者:イビチャ・オシム、新潮社)、著作に「旅の指さし会話帳 クロアチア」(情報センター出版局)、共著に「ハリルホジッチ思考」(東邦出版)がある。
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