2008年10月05日
UEFAカップ一回戦/ディナモ・ザグレブ、昨季に続きリーグラウンド進出
10月2日、UEFAカップ一回戦第二戦、「スパルタ・プラハvs.ディナモ・ザグレブ」がプラハのAXAアレーナで行われました。初戦のホームではスコアレスドロー。国内リーグでも3試合勝利なしとスランプ状態のディナモですが、この大一番で意地を見せました。 ディナモはMFチャゴを怪我で欠き、カルロスをボランチに起用。右サイドバックに本来センターバックのロヴレンを抜擢し、スピードあるミキッチを右MFのポジションに。また左MFにサミール、またMFモラレスを得意な中央へとシフトしました(4-2-3-1)。 GKブティナ-(右から)DFロヴレン、ドゥルピッチ、ビシュチャン、イバネス-MFヴルドリャク、カルロス-ミキッチ、モラレス、サミール-FWマンジュキッチ ディナモ以上にスランプに陥っているのがスパルタ・プラハ。ここ4試合はチームにゴールがなく、リーグでも前節にリベレツ相手に0-3で敗北(うち2得点はクロアチアのU-21代表FWケーリッチ)。ラヴィチュカ監督の解雇の噂も飛んでいます。元チェコ代表MFベルガーも怪我からの復帰に間に合わず、以下のメンバーを組んできました(4-2-3-1)。 GKコザチク-DFヴォリシェク、レプカ、クチェラ、ハド-MFクラドルブスキ、フシェク-クリッチ、キセル、マトゥショヴィッチ-FWスレピチュカ互いにディフェンスの致命的ミスでゴール続出となったわけでずか、アウェーゴール二倍ルールを巡って、その展開はドラマに次ぐドラマでありました。 ディナモが幸先良いスタートを切るものの、10分にGKブティナとクーリッチが交錯したことで、ブティナが脳震盪で退場。若いケラヴァがディナモのゴールを守ることになります。 先制点は17分、ミキッチが右サイドからクロスを入れ、ボールを受けたマンジュキッチがエリア内左でキープしながらコースを見つけてシュート。ボールはレプカにブロックされ、エリア外に出たところをマンジュキッチが追いついてモラレス(写真)に繋ぐと、モラレスはノートラップで右足でミドルシュート。ボールはアウトに回転が掛かってGKコザチクの伸ばした手から逃げるように右ネットに突き刺さります。 しかしながら、その2分後、ドゥルピッチが誤って相手のスレピチュカにパスを渡し、スレピチュカが右サイドからボールを入れると、今度はロヴレンがクリアミスして背後のクーリッチにボールが渡ってしまいます。クーリッチはGKケラヴァの股間を狙いすましてシュート。リプレイを見ると、クーリッチの位置はオフサイドだったのですが、ゴールは認められて1-1となります。 追いつかれたディナモはそれでもアウェーゴールでアドバンテージがあったものの、23分、クーリッチが胸を使ってクラドルブスキにボールを繋ぐと、ガードに入ったドゥルピッチは反応悪く、あっさりとクラドルブスキがフリーに。左足でのドライブシュートは、前がかりだったケラヴァの頭上を越えてゴールに吸い込まれ、2-1と逆転されました。先制点直後に連鎖的な守備陣のミスで続けて失点を奪われる辺りは、これまで欧州の舞台で見せた精神的な弱さを露骨に表すかのようでした。 けれども30分、最初の失点の名誉挽回とばかり、ロヴレンがパスカットしてボールを空中でコントロールしながら豪快に3人を突破。マンジュキッチにボールが渡り、右からのシュートはGKコザチクに防がれるものの、こぼれ球をロヴレンが押し込んで2-2。またして、ディナモがアウェーゴール二倍ルールでアドバンテージを取ります。 34分にはマンジュキッチがドリブルで次々と相手を突破し、ペナルティエリアでGKと三対一の形を作るも、横にパスを出すことなく強引にシュートを打ちにいって失敗。それでもディナモ優位で前半を終えます。 後半に入り、スパルタが攻めに転じるもののディナモが良く守り、カウンターを浴びせていきます。55分にはマンジュキッチ→モラレスの形で決定機を作りましたが、これはGKコザチクがセーブ。
しかしながら、64分、マンジュキッチ(写真)が左サイドからシュートを放ち、コザチクが弾いたところを途中交代のMFバデリが押し込んで3-2。ディナモの全ゴールがマンジュキッチのシュートが弾かれたところから生まれました。昨年の同ラウンドで強豪アヤックスを下した際もマンジュキッチの躍動ぶりが目立ったわけですが、自分勝手だとか傲慢だとか批判を集めようとも今年も彼が中心となりました。 崖っぷちに立たされたスパルタも77分、キセルのミドルシュートがクロスバーを叩き、82分にはヴルドリャクがペナルティエリアでハンドを取られたPKをゲット。これをクラドルブスキが決めて同点に追いつきます。 とはいえ、アウェーゴールのアドバンテージを守るべく、残り10分間を必死に耐え抜いてタイムアップ。昨年同様にUEFAカップのリーグラウンドにコマを進めることに成功しました(試合の動画はここで見られます)。 試合後、ディナモのイヴァンコヴィッチ監督は 「私にとってはどの勝利も嬉しいが、この勝利はとりわけ嬉しいよ。昨年のアムステルダムでの勝利は特別なものだったが、今はこのように勝利して二度目のリーグラウンドを戦うことになる。これは我々にとって特別な結果だし、ヨーロッパの舞台で経験を培う特別な機会なのだ」 とコメントしています。
、この勝利に水を差したのはサポーターのBBB(写真)。以前にボスニアのセルビア人戦犯のカラジッチとムラデイッチを支持する旗をスパルタのサポーターが掲げたことから、BBBが好戦的な状態になっていたわけですが、試合前日からBBBはチェコ警察と市街戦を繰り広げました。きっかけは数人のBBBがピザ屋で食い逃げしようとしたころ、店が警察に通報。武装警官が厳しく対応したことに刺激され、BBBが大暴れという毎度のこと呆れた展開となりました。最終的には300人ものBBBが連行されています(動画)。 サポーター暴動の罰としてUEFAカップそのものからディナモを締め出すという話もありますが、暴動そのものがスタジアム内ではなかったため、UEFAは罰金で済ます可能性が高いようです(過去、1994年にBBBがオーゼールでの試合で暴動を起こし、締め出しを食らったケースがあります)。またチームのメインスポンサーでもあるザグレブ市のバンディッチ市長は、プラハ市のベム市長に謝罪を入れています。 もう一つ、9月30日にUEFAカップ一回戦第二戦「CSKAモスクワvs.スラヴェン・ベルーポ」戦がルジニキ・スタジアムで行われました。 ホームの初戦では強豪相手によく対抗したとはいえ、残り10分で逆転されてしまったスラヴェン・ベルーポ。わずかな望みを賭けて挑んだアウェーマッチでしたが、ルジニキでは長く負け知らずのCSKAモスクワに勝利を奪うのは至難の業でありました。 初戦で活躍したFWヴルチーナには、DFのA.ベレズツキをしっかりとマークにつけて封じ込めます。スラヴェンも序盤はチャンスを作ったものの、36分、MFエルキンの右からのFKにA.ベレズツキがヘディングで押し込んで先制。その後は流すような展開で1-0でCSKAモスクワが勝利し、トータルスコア1-3でスラヴェン・ベルーポは敗れ去っています。 6日発売の海外サッカー週刊誌「footballista」第92号のシリーズ「サッカーの影を歩く」で、フルゴヴィッチ問題に関して記事を書いています。宜しかったらご覧になって下さい。
posted by 長束恭行 |18:03 |
サッカーニュース |
コメント(2) |
この記事に対するコメント一覧
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UEFAカップ一回戦/ディナモ・ザグレブ、昨季に続きリーグラウンド進出
コメント投稿者ID :
フルゴヴィッチ記事、読みました。
グルジアの件も、そうですが、厳しい状況がまだまだあるのだと思い知りました。
紙面の関係もあるのでしょうが、わかっていない私には少々難易度が高い部分も多かったのですが、こちらでBBBに関する内容も知って、だいぶわかった気がします。
いつもはミーハー的にサッカーを楽しむスタンスでいますが、ヨーロッパの小国のあれこれは非常に気になるので時折勉強させてもらいに来ています。
ありがとうございました。
posted by kiwami | 2008-10-09 01:08
UEFAカップ一回戦/ディナモ・ザグレブ、昨季に続きリーグラウンド進出
コメント投稿者ID :
> kiwamiさん
フットボリスタ誌の記事、読んで頂いて有難うございます。
限られた文字数の中で、どこまで本質が伝わるかは編集の方とも随分とやり取りしました。ことに民族問題となると、クロアチア人の鬱屈した性格を説明するのは難しく…(苦笑)
今旅行しているウクライナでもそうですが、どこでもお国事情がサッカー事情に関係してくるので、ほんと面白い世界ですよね。
posted by 長束恭行 | 2008-10-09 03:50
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互いにディフェンスの致命的ミスでゴール続出となったわけでずか、アウェーゴール二倍ルールを巡って、その展開はドラマに次ぐドラマでありました。
ディナモが幸先良いスタートを切るものの、10分にGKブティナとクーリッチが交錯したことで、ブティナが脳震盪で退場。若いケラヴァがディナモのゴールを守ることになります。
先制点は17分、ミキッチが右サイドからクロスを入れ、ボールを受けたマンジュキッチがエリア内左でキープしながらコースを見つけてシュート。ボールはレプカにブロックされ、エリア外に出たところをマンジュキッチが追いついてモラレス(写真)に繋ぐと、モラレスはノートラップで右足でミドルシュート。ボールはアウトに回転が掛かってGKコザチクの伸ばした手から逃げるように右ネットに突き刺さります。
しかしながら、その2分後、ドゥルピッチが誤って相手のスレピチュカにパスを渡し、スレピチュカが右サイドからボールを入れると、今度はロヴレンがクリアミスして背後のクーリッチにボールが渡ってしまいます。クーリッチはGKケラヴァの股間を狙いすましてシュート。リプレイを見ると、クーリッチの位置はオフサイドだったのですが、ゴールは認められて1-1となります。
追いつかれたディナモはそれでもアウェーゴールでアドバンテージがあったものの、23分、クーリッチが胸を使ってクラドルブスキにボールを繋ぐと、ガードに入ったドゥルピッチは反応悪く、あっさりとクラドルブスキがフリーに。左足でのドライブシュートは、前がかりだったケラヴァの頭上を越えてゴールに吸い込まれ、2-1と逆転されました。先制点直後に連鎖的な守備陣のミスで続けて失点を奪われる辺りは、これまで欧州の舞台で見せた精神的な弱さを露骨に表すかのようでした。
けれども30分、最初の失点の名誉挽回とばかり、ロヴレンがパスカットしてボールを空中でコントロールしながら豪快に3人を突破。マンジュキッチにボールが渡り、右からのシュートはGKコザチクに防がれるものの、こぼれ球をロヴレンが押し込んで2-2。またして、ディナモがアウェーゴール二倍ルールでアドバンテージを取ります。
34分にはマンジュキッチがドリブルで次々と相手を突破し、ペナルティエリアでGKと三対一の形を作るも、横にパスを出すことなく強引にシュートを打ちにいって失敗。それでもディナモ優位で前半を終えます。
後半に入り、スパルタが攻めに転じるもののディナモが良く守り、カウンターを浴びせていきます。55分にはマンジュキッチ→モラレスの形で決定機を作りましたが、これはGKコザチクがセーブ。
しかしながら、64分、マンジュキッチ(写真)が左サイドからシュートを放ち、コザチクが弾いたところを途中交代のMFバデリが押し込んで3-2。ディナモの全ゴールがマンジュキッチのシュートが弾かれたところから生まれました。昨年の同ラウンドで強豪アヤックスを下した際もマンジュキッチの躍動ぶりが目立ったわけですが、自分勝手だとか傲慢だとか批判を集めようとも今年も彼が中心となりました。
崖っぷちに立たされたスパルタも77分、キセルのミドルシュートがクロスバーを叩き、82分にはヴルドリャクがペナルティエリアでハンドを取られたPKをゲット。これをクラドルブスキが決めて同点に追いつきます。
とはいえ、アウェーゴールのアドバンテージを守るべく、残り10分間を必死に耐え抜いてタイムアップ。昨年同様にUEFAカップのリーグラウンドにコマを進めることに成功しました(試合の動画は
、この勝利に水を差したのはサポーターのBBB(写真)。以前にボスニアのセルビア人戦犯のカラジッチとムラデイッチを支持する旗をスパルタのサポーターが掲げたことから、BBBが好戦的な状態になっていたわけですが、試合前日からBBBはチェコ警察と市街戦を繰り広げました。きっかけは数人のBBBがピザ屋で食い逃げしようとしたころ、店が警察に通報。武装警官が厳しく対応したことに刺激され、BBBが大暴れという毎度のこと呆れた展開となりました。最終的には300人ものBBBが連行されています(

