2007年01月08日

2006FIFAワールドカップ JFAテクニカルレポート

新年あけましておめでとうございます

2007年の最初はこのお正月休みの間に見ようと思って購入したJFAテクニカルレポートについて書きたいと思います

テクニカルレポートは1998年ワールドカップ以降、ワールドカップ毎に作成されているもので、今回のものは100分ほどのDVDと小冊子からなります
今までは指導者や関係者などのみで一般のは購入出来ず、雑誌などで一部を知ることしか出来無いものでしたが、今回から一般にも発売されるようになりましたので6300円と割と高額ながら思い切って購入してみました

内容は、大会から見えた戦術/技術をシチュエーション毎にわかりやすくまとめられている部分・今大会の日本代表について、という大きく分けて2つのパートからなり非常に見ごたえのある面白いものでした

その内容を少しだけ紹介すると、

大会全体の総括としては、
「全員の守備意識、守備能力が高いチームが勝つ(ハードワークができる選手が当たり前)」で、「『甘さ』が許されないサッカー」が、2006年大会の最大の特徴だった
と結論付けられています

もう少し細かく書くと、

データからみてもカウンターからの得点が減っている
           ↓
その要因はカウンターをさせない守備が徹底されている
           ↓
守備を免除されている選手などなくボールを奪われた瞬間に守備が始まる
全員の技術レベルが高い(判断を伴った中に当たり前の事が当たり前に出来る)
全員の戦う姿勢

とされています

そして様々なシチュエーション毎に図解や映像と共にまとめられているのですが、さすが専門家が作成したものだけあって、非常に的確にまたわかりやすく実際のプレーに当てはめて見せてくれるものでした

そしてもう1つの柱になっている日本代表の部分
最初に書いておきますが、今回のテクニカルレポートで日本代表についてまとめられている部分には非常に失望しました
特に田嶋幸三前技術委員長が中心になってまとめられている「日本代表報告」という章は
言い訳ばかりで結局何をどうしたいのかが良くわからない内容です

先ずワールドカップでの日本代表総括されている部分についてですが、

「良い時間帯の中では日本人のストロングポイントである組織を生かした戦い方ができていた」
「われわれの良さを出せた時間帯では世界の真剣勝負の場で対等に戦えるレベルに達した」
と成果についてはまとめられています

課題は
攻撃においては、
「状況に応じたスキルの発揮」、「高プレッシャー下でのスキル」、「プレッシャーのなか、的確にポストプレーのできるFW」
守備においては、
「ボールを奪うという積極的な守備」、「個人の守備範囲と判断力」、「攻撃も守備も100%の力で行う」
としています

そしてジーコ監督の元の日本代表は、
「個人の判断力・決断力という日本人のウィークポイントにアプローチしたチーム」
であり、その挑戦は評価されるものだがウィークポイントを克服するという段階まではまだ出来ておらず、克服の過程であるとされています
そして「自らが意見を言い、言ったことに対する責任を持ち行動する、論理的に議論ができ、そして協力ができる、リーダーシップのとれる自立した選手の育成」が、いまの日本の大きな課題としています。

また最後に上に挙げたような課題を、
育成年代からの反復的な指導と国内競技環境のレベルアップを長期的に進めていき、その中で日本人の特徴を生かした「全員がハードワークする」競技にしていかなければいけない
という凄く真っ当な結論付けがされています

個人的にも全く同感で、代表チームだけをお金をかけて強化していく方法や、結果のみを追求し勝負にのみこだわったサッカーには全く意味が無いと思っています
先ずはJリーグ、そしてその下のカテゴリー、高校生年代、中学生・小学生年代・・・
全てにおいてレベルアップが必須で、その結果が日本代表の成功につながるものだと思っています
マスコミや残念ながら一部のファンの中にある「日本代表偏重」や「Jリーグ(国内)軽視」の考え方は非常に残念でなりません


そして次にあるのが問題の田嶋幸三氏による「日本代表報告」
突っ込みどころが沢山ありすぎる内容ですが、先ずは順を追って田嶋氏の報告をまとめます

・日本代表をこのグループの中で4番目のチームだと位置づけていた
・コンディショニングに失敗し、ドイツ戦でピークを迎えてしまった
・今大会のベスト8のチームのうち6チームが優勝経験チームだった
・コンフェデである程度の課題は見えた
・1年前から次期監督をオシムに決めていた

かなり乱暴かもわかりませんが、端的に言えば上のような内容です。そしてそれぞれについて日本代表をサポートする立場だった「技術委員長の田嶋氏」が説明をされています
しかしそのどれもが言い訳ばかりです

・日本代表をこのグループの中で4番目のチームだと位置づけていた

技術委員会ではグループ内の戦力を4番目だと見ていたようです
まあ実際最下位でしたから的確な分析だったといえるのかもわかりませんが、その理由をヨーロッパでプレーする選手の数だとされています
ですからブラジルが1番は問題ないとして、ヨーロッパのクロアチアが2番、プレミアなどイングランドでプレーする選手の多いオーストラリアが3番、そしてヨーロッパの主要リーグでレギュラーとしてプレーしている選手が松井大輔のみ(しかも代表に入っていない)の日本は4番手だという事だそうです
この後にただ全てのチームが全てのゲームで100%の戦いがでいるわけではないので、例えブラジルでさえ勝つ確立は低いがチャンスはあると考えていたと続いているのですが、4番目だと考えていた分析もなぜこの場のしかも最初の段階で述べているのか?先ずは言い訳から入るのか?と感じましたが、それよりもその判断基準に驚きました
これは国内組と呼ばれていたJリーグに所属していた選手やJリーグのチームを全く無視しています
日本サッカー協会の幹部であり技術委員長の会長という要職にあった人物のこの意見は酷すぎるのでは無いでしょうか
海外組と呼ばれた選手が自動的にレギュラーになっていたことは当然だと考えていたようなものです


・コンディショニングに失敗し、ドイツ戦でピークを迎えてしまった

ドイツ戦は僕達にとっても非常にエキサイティングな内容でした。それと同じように日本代表にとってもジーコ監督のやりたい事ができたという非常にエキサイティングな内容だったようです。
ドイツ戦の良い雰囲気と強いチームとの対戦という環境でピークを迎えてしまい、さらに2-2とはいえ2-0の状況も作り出したことで、チームは必要以上の手ごたえを感じ、本来はそうでないにもかかわらず「受けて立つ」という姿勢が出てしまったとの事だそうです
それだけしか書いていません
反省点のようなものは「ドイツ戦をピークに持っていかない方法はいろいろあったかも知れない。」と1センテンスのみ書かれていますが、その原因・責任・問題点・課題点は一切かかれていません
他では言い訳のような文章が長々と続くにもかかわらずです
このドイツ戦は「強いチームと1試合・そして格下のチームと1試合組んで欲しい」とリクエストを受けて組んだ。とマッチメーク自体に少なからず批判があった事に対する言い訳は書かれているのに、ピーキングのミスについては完全スルーです

・今大会のベスト8のチームのうち6チームが優勝経験チームだった

これは何が言いたいのでしょう?
この大会はこんなにレベルが高かったのですよ!って言う事でしょうか?
こんな事は聞いていませんし、見ていたので知っています。そして日本の目標には全く関係ありません
日本代表の今大会の目標はグループリーグ突破だったのではなかったでしょうか?
ここで必要なのは「今大会はレベルが高かったから」という言い訳ではなく、日本代表が実力を発揮できず(4番目と分析していた彼らにとっては実力を発揮した結果と考えているのかもわかりませんが)グループ最下位になってしまった事から何を学ぶかという事ではないのでしょうか

・コンフェデである程度の課題は見えた

コンフェデで、「組織的なプレス守備ができていない」という課題がわかった、そしてワールドカップでは、「ブラジル戦の前半は良かった(ジーコが修正してくれた)」「ところが時間がたつにつれてプレッシャーが遅れてきた」と書かれています。
そしてその要因を「チェルシーやアーセナルは強烈なプレッシャーを90分間できるような試合を常に行っている。それが日本はやはりできていなかった」としています
何度も同じ事を書いているようですが、これはなにが言いたいのでしょう?
やっぱり海外組ですか?

・1年前から次期監督をオシムに決めていた

これは一番驚きました
1年前に決めていたにもかかわらず就任前にドタバタ劇を演じたという事なんですね・・・
そして予め「高い技術を持ち、戦えて走れる選手を育成していく」と言う分析が出来ていたから1年前に次期監督をオシム決める事ができたんだ!と自慢しています
その後に「総括もなしにといわれるかも知れないが・・・・遅れをとらない為にも決める必要があるのだ!」と書かれています
いやだから何が言いたいのでしょう?
そんなことよりも、1年も前に「高い技術を持ち、戦えて走れる選手を育成していく」と言う分析が出来ておりオシムに決めているのであれば、なぜそこでジーコを解任しオシムにしなかったのでしょう?
コンフェデで課題が見つかり、「高い技術を持ち、戦えて走れる選手を育成していく」必要がわかった、そしてオシムに「決めた」
じゃあそこでオシムではないでしょうか?
ジーコの3年間での課題がわかったのならそこでオシムでしょ
自慢している事に疑いを持っているわけではありませんが、不思議で仕方ありません

この後に里内フィジコからの説明が2ページありますが、これにもピーキングのことについて触れられているだけで具体的には書かれていません


このテクニカルレポートを見て感じたのは日本代表の惨敗は完全に日本サッカー協会の責任です

2005年に明らかになった課題をこなせなかったジーコ監督。そしてジーコ監督に欠けるものを知りながら、監督交代やコーチなど必要な手段をとることができなかったのです
丸投げするだけなら技術委員会などという機関は必要ないのではないでしょうか

ジーコはジーコの信じる方法で強化する
これは当たり前の事です
そしてそれを判断するのは日本サッカー協会です
改善が見られないなら何かしらの対策はするべきなのです

「ハードワークが当たり前」で、「『甘さ』が許されない」といっておきながら自分達は「ハードワークなし」に「甘え」ています
日本が50年でヨーロッパや南米の100年に追いつくには、選手や監督はもちろんですが、
協会やスタッフにも当然「ハードワークが当たり前」で、「『甘さ』が許されない」のではないでしょうか

2006FIFA ワールドカップドイツ オフィシャルライセンスDVD 「JFAテクニカルレポート」

posted by 管理人 |17:18 | 日本代表 | コメント(3) | トラックバック(0)
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Re:2006FIFAワールドカップ JFAテクニカルレポート

トップダウン人事の監督を
下から突き上げて
やめさせるには少し微妙な成績でしたし、
本大会まで残り一年しかない状況では
交代したところでどんな監督でもむづかしい。
オシムが本大会後にやめざるを得ない状況をつくるよりは
と言う判断だったんではないでしょうか。

たしかにそれは彼らの甘えであり
明らかな怠慢が生み出したわけですが・・・。

posted by 無責任体制は日本の伝統 | 2007-01-08 20:45

Re:2006FIFAワールドカップ JFAテクニカルレポート

誠にその通りだと思います。今回、カンファレンスが大阪で行われましたが、98年フランス後の協会のカンファレンスにおいても、岡田監督の敗戦分析はなされていません。その時に、責任追及ではなく今後のためにどのようにこの敗戦を、自分のものとして生かすのか?を期待した指導者達は失望しました。それから02年カンファレンスしかり今回しかり、協会の姿勢は変わっていません。公認の指導者や、サッカーに関わるサッカーファミリーと言っているのも関わらず…。このままでは、JFAはただのサッカーを食い物にする人達の集まりに成り下がるのではないかと心配します。

posted by momo | 2007-01-08 21:47

Re:2006FIFAワールドカップ JFAテクニカルレポート

「無責任体制は日本の伝統」さん、「momo」さんコメントありがとうございます
確かに「無責任体制は日本の伝統」さんがおっしゃられるように
>やめさせるには少し微妙な成績でしたし、
>本大会まで残り一年しかない状況では
>交代したところでどんな監督でもむづかしい。
状況だったとは思います
しかしそれならば、その時点では「次はオシムに決めた」って事ではなく、「現在のジーコ体制にある問題点を解決するためにどうしたらよいのか?」というところに力を入れるべきです
問題点がわかりながらの放置は最悪です
知っていたにもかかわらず問題点を放置したことがあの惨敗を招き、その結果選手やジーコに必要以上の批判を生んだのです
協会はそのあたりをどのように考えているのでしょうか?

急激に日本サッカー界が変わっていったので協会幹部はその変動についていけてないのでしょうが、彼らが今の日本サッカーの立場・社会的責任を理解しない限りは「momo」さんがおっしゃるように
>JFAはただのサッカーを食い物にする人達の集まりに成り下がる
のでしょうね

協会幹部がJリーグ世代になるまでは無理なのでしょうか

posted by 管理人 | 2007-01-09 12:08

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