愛下哲久の「駅伝野郎、らぶりん」

世界陸上ロンドン10000メートル~日本選手権はかくあるべき~

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初日のロンドンが沸いた。

現役最後の10000メートルに挑んだM・ファラー選手の快走は見るもの全てを虜にした。

ファラー選手の最大の武器はその末脚。

ギアを何段も上げることのできるラストスパートでライバルたちを引き離し絶対的王者として君臨し続けていた。

しかし、今回の世界陸上は違っていた。

ライバル選手たちがこぞって序盤からハイペースで攻め、ラスト勝負の脚を削る作戦を多くの選手が実行。

代わる代わる先頭が入れ替わり、王者の得意パターンをさせないレースを進めていた。

だが、終わってみればファラー選手の強さが光った。

ハイペースでも自分の有利な位置をキープし、ラスト1週ではお馴染みのスパートを発揮し、3大会連続の金メダルを獲得。

10000メートルでは5年間無敗という前人未到の記録と記憶を残し、最後の10000メートルを飾った。


ファラー選手の走りは素晴らしく、王者としての強さを誇示したが、それ以上にこの種目を盛り上げたのがライバルたちの存在だ。

今回のレース、実力のある殆どの選手が果敢に前を狙っていた。

ファラー選手の有利な展開に持っていかせないために、他の選手たちの思惑が一致。

事前に打ち合わせをしていたのかどうかは定かではないが、いずれにせよ前でレースを動かそうとしている世界ランナーたちの姿がそこにはあった。

5000メートル通過のタイムが13分33秒と日本の有力選手のベストタイムにも匹敵するタイムで推移していたことからも分かる地力がありきの作戦。

まさしく力と力の勝負がそこにはあった。

終わってみれば26分台が7人、日本記録である27分29秒以上のタイムで走った選手も14人と如何にハイレベルな世界であったことが伺える。

ファラー選手の今季世界最高記録である26分49秒51を筆頭に殆どの選手が自己ベストやシーズンベスト、ナショナルレコードなどを更新。

それを世界の最高峰のレースで出せるからこそ、彼らは世界のトップランナーなのだ。


この姿勢は国内レースでも見習うべきだろう。

特に日本のトップランナーが集う日本選手権こそ同じような戦いを望みたい。

どうしても世界陸上やオリンピックの選考レースとして絡んでしまうため、慎重になる気持ちはわかるが、世界の舞台に立つだけが目的ではないはずだ。

序盤からのハイペースや駆け引きが少ない国内レースで28分台の戦いをしても、世界では戦えない。

今回の世界陸上で世界の中長距離界レベルは確実に一段上がった。

今のままでは世界との差は広がる一方だろう。

優勝後、ファラー選手はライバルたちの走りを振り返り「皆が先頭を狙っていた。この種目にはこれが必要だよ」と嬉しそうに語った。

この種目の最前線を走り続けてきた彼だからこそ、自らの立場を脅かされそうなレース展開に刺激をもらったと感じた。

スパート勝負も確かに10000メートルの肝。

しかし、そこに至るまでに如何にレースを作っていくか、今回の10000メートルはまさしく1つの理想形のようなレースだった。

日本人選手の複数がこの意識を持ち、大舞台で勝負を仕掛けていければ、多くの選手が自己ベストを更新するような高いレベルでの争いになっていくのではないかと感じた。

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