愛下哲久の「駅伝野郎、らぶりん」

世界陸上マラソンの結果から感じた国内レースと世界大会の違い

このエントリーをはてなブックマークに追加


「世界の壁」という表現がまたしても出てしまう結果となった。

男子・女子共に世界陸上のマラソンで入賞を逃すことになるのは22年ぶり。

低迷する現状をまざまざと見せつけられてしまったが、決してチャンスがなかったわけではない。

男子で言えば、川内選手がラストの猛追で8位に3秒差まで迫り、終盤思うように脚が動かなかったが中本選手は経験を生かしたレースプランで後半からの追い上げを見せた。

国際経験やマラソン経験の豊富さは今回のようなタフさを求められるレースでは真価を発揮するものだった。

女子はよりメダルの期待が高かった。

初マラソンで日本人最高記録を叩き出した安藤選手の潜在能力は世界ランナーに匹敵する。

2時間21分36秒は日本歴代4位の好タイムであり、記録の面では今回の顔ぶれにも引けを取らなかった。

同じくチームメイトの清田選手は2時間23分台のベストタイムに偽りない積極姿勢を初の世界大会でも貫こうと粘りを見せていた。

男女それぞれの布陣を見ても、入賞を狙えるメンバーは揃っていた。

結果として届かなかったことは事実だが、それでも入賞0に終わった理由は個々の走力だけではないように感じた。


特に若手選手に強く感じたのは雰囲気に慣れていない段階で、先頭グループの揺さぶりに過剰に反応している点だ。

もちろん前を狙う姿勢は評価でき、メダルを狙うのであれば当然の行為。

だが、全てに反応してしまえばそれだけで精神的にも苦しくなり、脚は重くなる。

結果として中盤以降の本意気の揺さぶりに対応できず、そこから離されてしまう展開となってしまった。

どこを勝負所と見極め、そこまで我慢することができるか。

それは経験を積んでいくことで身につけることができるだろう。


しかし、それ以上に足かせになってしまいがちなことが国内レースへの慣れ。

日本代表を決める選考レースでも重要視されるのはタイムであり、そのタイムを出すためにペースメーカーが起用される。

彼らがいることでペースを作ることができ、目標タイムに近い走りを可能にしている。

ただそれ故に、ペースメーカーが外れるまでは大きな駆け引きはないという心のゆとりが生じ、終盤でも粘れる脚を残すことができる。

だが、今回の世界陸上やオリンピックではペースメーカーはおらず、早い段階でレースが動く。

いつ誰が抜け出すか分からない展開で、マークするべきランナーも変わる。

ラスト10~15キロで勝負をかける国内レースとそれぞれの選手が優勝を狙うため得意パターンに持っていく世界レース。

戦い方は全く違うと言っていい。

国内レースでマークしたタイムはもちろん素晴らしいものだ。

安藤選手の名古屋ウィメンズマラソンでのタイムは疑いようのない好記録。

だが、国際レースでは「速い」ランナーでは勝てない。

如何に「強い」ランナーになるのか、求められるのはそこだ。

だからこそ、世界大会に近いレースであるボストン・マラソンで3位入賞した大迫選手に対する評価は国内レースの実績がなくとも高い。

タイムこそ2時間10分台だが、世界で戦うとはこういうことだと見せるような強さだった。

国内レースをどのように捉え、そして、世界大会で戦うには何をすれば良いのか、改めて考えなくていけないと感じた世界陸上ロンドン。

2ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

ロンドン世界陸上:祖母に捧げる金メダル(女子100m金メダル、トリ・ボウイ)【Sports News 】

マラソン復活には多くのレース経験を【スポーツ えっせい】

スピードスターの座が空いていますよぉ【Armar know Jack Bigwild】

世界陸上ロンドン男子マラソン~続ける者と去る者~【愛下哲久の「駅伝野郎、らぶりん」】

連載第64回・ボート部【「中大スポーツ」新聞部ブログ  ~劇闘中大!中大から大学スポーツを熱くする~】

首都大学東京ラグビー部2017-19【Dream Rider  西山淳哉】

2017年度駅伝デビューが期待される新戦力⑯【愛下哲久の「駅伝野郎、らぶりん」】

2017年度駅伝デビューが期待される新戦力⑮【愛下哲久の「駅伝野郎、らぶりん」】

ブロガープロフィール

profile-iconnoburin

愛下哲久 (あいしたてつひさ)
出身地:埼玉県

役者をやっています。
よろしくお願いします。
以前のコラム名は「駅伝野郎のぶりん」でしたが、芸名が変わった為変更いたしました。
変わらずよろしくお願いします。
  • 昨日のページビュー:4153
  • 累計のページビュー:15954834

(09月19日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 第93回箱根駅伝予選会①~主要チームエントリー分析~
  2. 第28回出雲駅伝を経ての箱根シード校の明暗
  3. 第92回箱根駅伝各チームの区間エントリー分析~前回シード校~
  4. 大迫傑選手は日本選手権で勝てないのか
  5. 第48回全日本大学駅伝統括
  6. 第28回出雲駅伝④~関東勢の区間エントリー予想①~
  7. 第92回箱根駅伝復路統括
  8. 第92回箱根駅伝展望予想
  9. 2015年度卒業生進路~青山学院大学~
  10. 第47回全日本大学駅伝統括①

月別アーカイブ

2017
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2016
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2015
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2014
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2013
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2012
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2011
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2010
12
11
10
09
08
07
06
カテゴリー

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年09月19日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss