西の落伍家

【大相撲】昨今の大相撲ブームを考える。中編

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 前編では、昨今の大相撲ブームを牽引するのはSNSを駆使した若手ファンであるという考察をした。 では、このブームは彼らが意図的に相撲を流行らせようとした結果起こったものなのか?

 ブームを意図的に起こすのは、一見無理難題のように見える。 しかし、現実にブームを意図的に起こした組織が日本に存在する。

 その組織の名は、新日本プロレス。

 ご存知の方も多いだろうが、今新日本プロレスはブームを巻き起こしている。 そしてそのブームは、ある会社によって意図的に起こされた。

 新日本プロレスの親会社であるブシロードは、新日本プロレスを子会社化した後 大々的にプロモーション活動を行った。それは社員だけではなく、当事者であるプロレスラーをも 動員したものであった。

 ここまで大げさにプロモーション活動を行った目的は何か。 それは世の中にプロレスが流行っていると「思い込ませる」ためであった。

 テレビやラジオだけでなく、電車内の広告や大型トレーラー、スマホゲームとのコラボまで。 新日本プロレスに関する情報が人の目につくように徹底的に宣伝した。更に、この会社はこうやって会場に 呼び込んだ人々に対して写真撮影、及びに写真のSNSへのアップを許可した。 こうすることで、会場に来たファン一人一人を自社の広告塔に仕立て上げたのである。 これが広がるとどうなるか。これすなわちブームの到来である。結果的にこの戦略は大成功を収め、 新日本プロレスは隆盛を極めている。

 話を大相撲に戻そう。大相撲のブームは意図的なものではない。 力士のバラエティー番組出演や全国巡業などはあるが、それは今に始まったことではない。

 じゃあ前編で述べたような「大相撲の情報を発信し、それを連鎖させる」というのは意図的なものではないの? プロレスと同じように大相撲もファンを広告塔にしてるんじゃないの?という意見があるかもしれない。 しかし、やっていることは同じでも、その目的は違うと思われる。

 新日本プロレスの場合は会場で写真のSNSへの掲載を推奨される。会社からお願いされるのだ。 これは私も何度も体験済みだ。(昨年赴いた新日本プロレスの新卒会社説明会でも言われた。) 「愛する新日本プロレスのためなら」とファンは新日本プロレスの繁栄を願い情報を広める。

 大相撲の場合はどうだろうか。確かに大相撲の繁栄のために情報を広める若手ファンはいる。 ただ、多くの若手ファンは以下のような気持ちで情報を広めているようでならない。

「スゴイ大相撲を生で見てる私、スゴクない?」

 そこにあるのは大相撲の繁栄などではない。自分自身の承認欲求だ。 大相撲に関することをアピールする。するとそれを見ている人から好意的な 反応が来る。それを自分の手柄のように喜び、承認欲求を満たす。

 これが知らず知らずの内に連鎖し、大きなムーブメントとなる。 そしてそれが今現在大相撲ブームと言われるようになったのだと思う。

 もしかしたら、ブームとなっているのは大相撲ではなく、 「大相撲を利用し他者の興味を惹くこと」であるのかもしれない

 これには当然反論もあると思う。ただこの現象は大相撲に限らず他のスポーツでも しばしば起きている現象であるとも思う。これに関してはまた別に考察する 機会を設けてみたいと考えている。

 ただ、理由がどうであれ今大相撲が様々な媒体にブームと捉えられているのは れっきとした事実。これは素直に認めよう。

 しかし、楽観しすぎてもよくない。なぜなら、若手ファンが離れてしまった時の リスクが非常に大きなものになると考えられるからである。

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【大相撲】昨今の大相撲ブームを考える。中編

昨年から盛り上がる大相撲の人気は、2016年1月場所の琴奨菊の優勝が端緒だと考えます。この優勝にはわかっている人には分かる問題が多く含まれていますが、10年ぶりの日本出身力士の優勝に、日本中が歓喜したのは否定できないでしょう。また、若者がSNS等を通じて情報を拡散しようと、大相撲の人気を支える人は巡業、本場所に足を運ぶ人々です。それに加えて大相撲中継をきちんと見る人たちが続いて支えています。本場所の升席を見る限り、観戦者の年齢構成は明らかに高いです。決して若者が支えているわけではないと考えます。
白鵬の衰えにより誰が優勝するかわからなくなったことで、さらに人気が高まっています。それを象徴するのが、誰も想像できなかった豪栄道の全勝優勝、今年の1月場所で優勝と横綱昇進を果たした稀勢の里。また高安を筆頭に新しい力が台頭し一層面白くなってきています。ですが、その面白さを本当に理解できるのは、やはりある程度相撲の知識がある人で、前述した人々が該当します。若者がLINEで「稀勢の里凄いね」って言ってるのとは次元が違います。
3月場所優勝を争う照ノ富士が大関復帰に望みがある琴奨菊に対してした変化での勝利、千秋楽の稀勢の里の本割・決定戦の連勝による逆転優勝。なぜそうなったのか、5年は見てないとそれなりの事は見えないと考えます。
若者文化がスマートフォンやSNSにあるのは分かっていますが、それはせいぜい40台半ば未満でしょう。そういう人たちの中で大相撲の情報を拡散させても本場所にはほとんど行かないでしょう。

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