2006年11月03日

もうアイドルとは呼ばせない?

フィギュアスケート女子シングルのトップスケーターが見せる、
あの、ちょっとやそっとじゃ鼻っ柱が折れそうもない、気位が高そうな女王の笑み。

ほら、私の滑りをご覧なさいとばかりに微笑む
挑戦的ながらも余裕の眼差し。

ミッシェル・クワン、サーシャ・コーエン、イリーナ・スルツカヤ、
そしてちょっと昔ではクリスティ・ヤマグチやカタリナ・ヴィット。

女王と呼ばれてきたスケーターがよく見せる、この艶やかな表情。

調子が良かろうと悪かろうと、彼女らの表情は自信に満ちあふれている。
もちろんそれは「演技」のひとつであり、自信を保つための手段でもある。

ジャンプが失敗した場合、しょんぼりしたり、焦ったり、自暴自棄になっていると
観客は盛り上がらないし、自分自身も次のジャンプに不安を持ち越してしまう。

しかし、失敗しても「これくらい屁でもないわ」と気丈に振る舞えば
客も応援したくなるし、次のジャンプに失敗が響きにくい。
演技中に笑顔の仮面をかぶることは、いい事づくしと言っていい。

世界を制した女王たちは、経験でこれを身につけてきたのだろう。

しかし、日本人選手はそういう事が苦手な選手が多いようだ。
演技がノーミスで出来ている時はニコニコと微笑んでいるが、
1つ、2つと失敗していくともうダメだ。
表情に焦りが見え、ニコリともしなくなる。

感情がモロに出てしまうのだ。

しかし、スケートアメリカでの安藤美姫は違った。
SPでは青い衣装に身を包み、アラビアンナイトの曲に乗って次々と技を決める。
そして、それまでミスがなかったからなのか、自信をつけてきたからなのか、
ステップに入る前の表情が今までとだいぶ変化していた。

「ステップは見せ場。さぁ、見てなさい」とでも言いそうな、自信に満ちた表情。

シェヘラザードの語る物語に魅入られた王のように、
観客は見せ場であるステップを期待して待つ。

もちろんその後に披露したステップは素晴らしく、観客席には拍手の嵐が巻き起こった。

安藤美姫は成長した。

昨シーズン、軸がずれまくっていたジャンプも戻り、一つ一つの要素を大切に滑っている。
技のつなぎにも手を抜かず、精一杯やりきっている。
女王たちの象徴である、自信たっぷりに見える微笑みも手に入れた。

もうアイドルとは呼ばせない。
トリノの失敗を見返したい。

シェヘラザードの物語にも負けない安藤のストーリーは、これからが見所だ。

posted by niki |22:31 | テレビ観戦 | コメント(0) |
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