幕下相撲の知られざる世界

個性派列伝

里山の告白。理想の相撲と、潜る相撲の狭間で。

里山が十両の中位で苦戦している。 西十両9枚目での3勝9敗は、来場所十両の地位を保証するのに十分なものではない。残り3日間次第では4年間守り続けた関取の座を失いかねない。4場所連続の負け越しが決まった今、里山の目標は十両残留である。 あの独特の潜る相撲について、人づてに聞いたところによるとこんな会話が為されていたそうだ。 「里山先輩、なんで潜れるんですかね?」 「自分でも分からないんだよ。」 ......続きを読む»

生きろ。時天空。

時天空、引退。 昭和54年世代の彼が引退することは驚くことではない。現役中に癌という病を背負い、続行不能になったこと。それが大変なことなのだと思う。 考えてみると現役中に病に倒れ、引退に追い込まれた力士は過去にも居た。そして、玉の海のように現役中にこの世を去った力士も居た。 だが、ブログを書き始めてからこのような事態になった力士は一人も居なかった。だからこそ、思うところが有る。 力士としての......続きを読む»

里山の言葉に思う。全ての力士が弱さと闘うからこそ、相撲は面白い。

「考えることが有るんですよ。『もし自分が負けたら相手が上っていけるんだろうなぁ』って。」 1年半前、錦糸町でそう語った力士が居た。 彼の名は、里山浩作。 ここ数年は十両を主戦場にするベテラン力士である。 34歳の彼のこの言葉には、並々ならぬ重みが有る。今でこそ里山は人気力士だが2年務めた関取の座から転落し、4年あまり幕下で苦しんだ日々が有った。幕下上位では結果が出ず、幕下中位で勝ち越し、上位で跳......続きを読む»

北の湖理事長死去。「江川ピーマン北の湖」とは異なる、愛すべき理事長の素顔を悼む。

北の湖理事長が亡くなった。 吐合さんを通じて北の湖部屋に足を運び、稽古を何度か見せて頂いたことが有る。素晴らしい力士に囲まれ、相撲部屋はアスリートを集める場所ではなく、人を育てるための場所なのだと知ることが出来た。私は北の湖部屋に出会わなければ、ここまで相撲を好きにならなかったと思う。 体調不良が噂されていたが、本当のことではないと信じようとしていた。だが、あまりにも噂にはリアリティが有り、希望......続きを読む»

「マツコ&有吉の怒り新党」で紹介された、トリックスター:宇良。元学生横綱に勝利した彼が見せた、大相撲に於ける可能性とは?

関西学院大学から入門した宇良が、序ノ口で大輝を撃破した。 ご存知の方も多いと思うが、宇良とは昨年トリッキーな取り口で「マツコ&有吉の怒り新党」で取り上げられた力士である。 居反り。 伝え反り。 背中に相手を置き、のけ反ってひっくり返す。 足取り。 相手の足を取って、バランスを崩して倒す。 大相撲でほぼ観ない技を操り、アマチュアの強豪を倒す宇良の取口は多くの人の注目を集めた。そして......続きを読む»

持っている奴に持ってない奴がたまには勝つ。石浦が、レベルが急上昇する幕下上位で勝ち続ける凄さを今語る。

石浦が6連勝で、幕下優勝に王手を掛けた。 場所前に幕下上位のレベルが飛躍的に向上している、 という話をしたのだが、 現在幕下上位には叩き上げの力士と、学生相撲出身力士、 そして幕下十両のボーダーラインに位置する力士と 怪我からの復帰を目指す力士いう形で構成されている。 十両から落ちてくる力士も特に力が衰えている訳ではないので 単純に幕下上位レベルも力士が飽和状態となる。 だからこそ今までは十両で......続きを読む»

大砂嵐は、白鵬相手でもカチ上げを喰らわせるのだろうか。遠慮のない姿勢が切り開く、大相撲の近未来とは?

昨日の記事の中で、幕内の競争が激化しているという話をした。 かつて幕内下位に居た力士がコンディションに 差が無いにも関わらず番付を落している実情が有る。 それは結局、上位に実力者が増えているからであり 彼らはその煽りを受けてしまったのだろう。 その原動力となっているのが 故障明けの実力者であり、地道に力を付けたモンゴル人であり、 そして、時代を担う新星である。 その波は幕内下位だけに収まらず、......続きを読む»

遠藤を超えた、若き小結。千代鳳には人生を懸けた一番を戦い抜いた、叩き上げとしての強さが有る。

千代鳳が、今場所遂に小結に昇進した。 小結と言うと、凄さが伝わりにくいかもしれない。 番付運によって昇進する力士も居るし、 今一つ印象に残っていない親方であっても最高位が 小結や関脇ということはよく有る。 しかし、考えてほしい。 小結というのは、相撲界で言えばトップ10に入ることを意味する。 現在の番付で言うと、白鵬・日馬富士・鶴竜という、 まず勝てない力士:横綱が3名。......続きを読む»

幕下上位で旋風を巻き起こす超新星・堀切。高校球児にも通じる、明日なき全力投球の闘い。

19歳の堀切が、幕下上位でも結果を残している。 高校卒業後、序ノ口で6勝1敗、序二段・三段目で優勝。 この成績だけでも十分に彼が逸材であることを物語っている。 三段目の上位で優勝したことから、 堀切は今場所西幕下13枚目で迎えることになった。 三段目と幕下、そして幕下でも下位と10枚目付近は レベル差が相当に有る。 三段目を全勝し幕下下位に昇進した同級生の爆羅騎は、 先場......続きを読む»

巨漢力士なのに「伝わる」、稀有な力士。千代鳳の魅力について考える。

初日は仕事が21時までだったことから、 幕下からの取組を録画映像でチェックした。 慣れないブルーレイレコーダーの操作に悪戦苦闘しながら 1時間半を掛けて粗方目を通す。 相撲の有る2週間は至福の時だと改めて感じながら 今日一番の相撲が何だったのか自問自答してみた。 勿論鶴竜と遠藤の対戦も、 里山が切れ味を見せつけた一番も、 照ノ富士が底知れぬ潜在能力を誇示した一番も印象的だ。 ......続きを読む»

十両下位の力士は幕下力士の夢を壊し、生き残る。北磻磨の土俵姿勢からその厳しさを考える。

私はタイトルの通り、相撲の厳しさと素晴らしさを 幕下力士のストイックな世界から学んできた。 だが、そのことは語られていないことであり、 少しでも多くの人と共有できれば、と思い ブログを開設するに至ったわけである。 その中で、読者の方から興味深い感想をいただいた。 私は十両の相撲が好きで、幕下に落ちるかもしれない 状況の中、精一杯取る姿が好きなのだ、と。 だから、さらにその下の......続きを読む»

おらの仁義なき戦い。今場所の幕下上位が史上稀に見る激戦である理由。その3.魁編。

幕下が面白い。 力は足りないが、あともう少しで超人に成れる。 精神的には足りないが、向上心は人一倍有る。 力量は足りないが、周囲の応援が埋めるそんな存在。 それを人は「アイドル」と評するのだが、 私が幕下を面白いと感じるのは、つまりそういう理由である。 乗り越えていく強さ。 そして乗り越えられない弱さ。 どちらを取っても人間であり、力士なのだ。 だから私は幕下に惹か......続きを読む»

おらの仁義なき戦い。今場所の幕下上位が史上稀に見る激戦である理由。その2.千代丸編。

幕下が面白い。 力は足りないが、あともう少しで超人に成れる。 精神的には足りないが、向上心は人一倍有る。 力量は足りないが、周囲の応援が埋めるそんな存在。 それを人は「アイドル」と評するのだが、 私が幕下を面白いと感じるのは、つまりそういう理由である。 乗り越えていく強さ。 そして乗り越えられない弱さ。 どちらを取っても人間であり、力士なのだ。 だから私は幕下に惹か......続きを読む»

おらの仁義なき戦い。今場所の幕下上位が史上稀に見る激戦である理由。その1.明瀬山編。

幕下が面白い。 力は足りないが、あともう少しで超人に成れる。 精神的には足りないが、向上心は人一倍有る。 力量は足りないが、周囲の応援が埋めるそんな存在。 それを人は「アイドル」と評するのだが、 私が幕下を面白いと感じるのは、つまりそういう理由である。 乗り越えていく強さ。 そして乗り越えられない弱さ。 どちらを取っても人間であり、力士なのだ。 だから私は幕下に惹か......続きを読む»

十両でも結果を残す、元学生横綱:遠藤。アマチュア出身力士の成績を左右する要因を考える。

元学生横綱:遠藤。 全日本選手権も優勝し、幕下付け出しデビューを飾った 期待の大器は2場所で幕下を通過し、今場所十両に昇進した。 そしてここまで3勝1敗。 相撲内容も非常に良く、このままだと 十両も短期間で突破するのでは? と思わせるほどである。 確かに遠藤は素晴らしい。 自分の相撲が取れている。 さてここで疑問なのが、アマチュア出身力士でも すぐに通用する力士、......続きを読む»

快進撃の裏に潜む、巨大な不安。エジプト人力士:大砂嵐を巡る、2つの懸念材料とは?後編

大砂嵐が好調である。 角界初の、アフリカ出身関取。 驚異的なスピードでの十両昇進。 加えて、ムスリム特有のラマダン。 寝て起きたら強くなるのでは? と思うほど、日を追うごとに身体は大きくなる、 相撲の幅は広がる、対応力は増すという状況で、 明るい未来を期待して止まないわけだが、 不安材料が無いわけではない。 幕下が1名の大嶽部屋で、稽古相手すら探さねばならないことや ......続きを読む»

快進撃の裏に潜む、巨大な不安。エジプト人力士:大砂嵐を巡る、2つの懸念材料とは?中編

大砂嵐が好調である。 角界初の、アフリカ出身関取。 驚異的なスピードでの十両昇進。 加えて、ムスリム特有のラマダン。 寝て起きたら強くなるのでは? と思うほど、日を追うごとに身体は大きくなる、 相撲の幅は広がる、対応力は増すという状況で、 明るい未来を期待して止まないわけだが、 不安材料が無いわけではない。 それどころか、彼の今後を左右しかねない 不安材料は大きく分け......続きを読む»

快進撃の裏に潜む、巨大な不安。エジプト人力士:大砂嵐を巡る、2つの懸念材料とは?前編

大砂嵐が好調である。 角界初の、アフリカ出身関取。 驚異的なスピードでの十両昇進。 加えて、ムスリム特有のラマダン。 相撲に興味の無い私の友人でさえ、 近頃のニュースで取り上げられる 大砂嵐に興味を持ち、私にその話を振る始末である。 このようなことは高見盛以外に無かったので、 急速に知名度を高めている現状に戸惑いつつも 非常に嬉しく思っている。 何せ強い。 とにかく......続きを読む»

隆の山に突き付けられた、変則力士として乗り越えなければならない試練とは?

十両力士 隆の山。 100キロにも満たない体で、自分よりも 最低20キロ以上上の力士と日々対峙している。 以前も紹介したとおり、隆の山の取り口というのは 小兵力士にありがちな「小よく大を制す」的なそれではない。 そう。 スポーツエリートである彼は、スピードとパワーで 大型力士達を牛耳るのである。 彼の場合はレスリングをベースとしており、 いわゆる普通の相撲と思って見......続きを読む»

安美錦の魅力を一言で表すと。

安美錦が大好きである。 前頭上位で五分の星取りの安美錦。 決して大きくはないが、均整の取れた 力士らしい風格のある安美錦。 闘争心が表には出ないが、 常に一発を狙っている安美錦。 出てくれば上位が相手でも何かを期待するし、 一方的に土俵を割っても何か納得できる、 不思議な力士。 絶対的に強いことが彼の美ではない。 しかし、持たざる者がハンディを克服して 闘うところに......続きを読む»

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スポーツライター:西尾克洋が運営しております。相撲などのスポーツライティング、コラム、企画構成など手広く承っております。お気軽にお問合せ下さい。

【過去のお仕事】
・日本テレビ「超問!真実か?ウソか?」(2017年6月)
・テレビ朝日「サンデーステーション」(2017年5月)
・スポーツナビコラム:西岩親方インタビュー(2016年3月)
・現代ビジネス(2017年2月)
・ビジネスジャーナル(2017年9月)
・週刊Flash(2017年1月)
・Palm Magazine(2010年)
・大相撲ぴあ(2015年12月)
・静岡新聞(2015年10月)
・SBSラジオ(2017年3月)
 への寄稿など多数。

【Mail】
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*はアットマークです。

【Ustream】
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(10月18日現在)

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