幕下相撲の知られざる世界

稀勢の里

稀勢の里の居ない9月場所に、安堵と喜びを覚える。

稀勢の里が観たい。 5月場所の初日が終わって、私はそう思った。左を使えない稀勢の里は、稀勢の里ではなかったからだ。そしてその先に思ったのが、早く休んでほしいということだった。 本当にこの2場所、相撲を観るのが苦しかった。楽しいはずの相撲観戦は苦しく、私を動かしたのは稀勢の里から目を離してはいけないという使命感だけだった。 それでも、この状況を乗り越えてくれたらどれだけ素晴らしいだろう。どれだけ......続きを読む»

権威だけの組織は要らない。横綱審議委員会よ、稀勢の里を止めてくれ。

もしかすると、彼らは一番良い仕事をしたかもしれない。 ニュースを見た時に、私はそう思った。 そう。 横綱審議委員会が、怪我から立ち直れずに居る稀勢の里に9月場所の休場勧告をしたのだ。 確かに私は考えていた。一体誰がどう言えば稀勢の里は休むのだろうか。本場所で自分の相撲が取れないということを露呈しなければ、休場という選択をしないのではないだろうか。と。 しかし、それではいつまで経っても怪我は快方......続きを読む»

稀勢の里に落胆できない辛さ。俺達を投影し、共に乗り越えられぬ葛藤とは?

嫌な予感が的中した。 いや、稀勢の里に関してはいつものことだ。嫌な予感の無い状態で悪い結果に遭遇することはほぼ無い。 とはいえ、覚悟している結果が出てしまった。またしても私は試されることになった。厳しい結果にどう向き合えば良いか。距離を置くのか、本気で信じるのか。 あの白鵬との全勝対決と、千秋楽で琴奨菊に惨敗したあの時から始まった試練に、また直面することになってしまった。はずだった。 だが、......続きを読む»

手負いの稀勢の里が見せた横綱としての矜持を、嬉しく思う。

初日の敗戦を見て、すぐに休むべきだと思った。 千代の国との一番を見て、取り続ける姿を見たいと思った。 そして昨日、休場が決まって安堵した。 この10日程度で私の稀勢の里に対する気持ちは目まぐるしく変わった。手負いの稀勢の里であることに変わりは無い。初日の一番で稀勢の里がそういう状況にあることを、観るもの全てが知った。 あの時、出場すべきだと考えた人は殆ど居なかった。無論、私もそうだった。理由は簡......続きを読む»

稀勢の里グッズで一つも売れなかった、あのいやげものを買ってみた。

大相撲2日目を迎えた月曜日。 私の元に、多くの方が同じ知らせをしてきた。 「西尾さん、こんなに稀勢の里が人気なのに、一つも売れていないグッズがあるらしいですよ。」 当ブログを長くご覧の方は知っていると思うが、私は国技館の誰も買わないような土産物、通称「いやげもの」を買い集めている。 古くは高見盛皿に始まり、文字が小さすぎてほぼ見えない白鵬キャップ、瀬戸物で5000円もする(ただし50%オフ!)......続きを読む»

稀勢の里人気に一石を。モンゴル人力士に物語が求められる理由とは。

昨日は、急遽阿佐ヶ谷で相撲観戦会を開催した。 テレビ朝日のサンデーステーションという報道番組から2日前に依頼を受け、八方手を尽くしてどうにか店内は満員。やってやれないことは無いものだと感じた次第だが、2時間の取材の中で使われたシーンは稀勢の里が敗れた時のリアクションの3秒。北朝鮮のミサイル発射ニュースに尺を奪われた煽りを受ける格好になってしまい、無念の極みだった。 同じ相撲という趣味を持ち、普段......続きを読む»

休め、稀勢の里

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稽古総見欠席騒動に思う。稀勢の里狂想曲に振り回されるな。

無断欠席。 そしてその真相は、親方の連絡ミス。 ただ、それだけの話だ。 しかもそれは、本番でも巡業でもない。 稽古総見での出来事だ。 だが、稽古総見の後で無断欠席という活字が踊った。そして真相が明らかになると、今度は連絡ミスという活字が踊った。稀勢の里という名前と共に。 あの稽古総見に行った方なら分かると思うが、カメラと音声機材を抱えた報道関係者があの日の国技館には駆けつけていた。通りかかる人......続きを読む»

照ノ富士の変化と差別を結びつける前に、考えて欲しいこと。

照ノ富士の変化を批判し、稀勢の里の変化を批判しないのはフェアじゃない。モンゴル人力士に対する人種差別じゃないか。そんな意見をよく目にする。 あれほど素晴らしい感激を産んだ大阪場所の後で、大変残念な話だと思う。そして、稀勢の里を応援する心理をナショナリズムと結びつける記事が掲載された。 その記事のページはこちら。 何故このような意見が後を絶たないのか。相撲と差別、相撲と愛国心を結びつけるのは何故......続きを読む»

「稀跡の二番」。稀勢の里が、貴乃花を超えた日。

嘘だろ! あり得ない! 本割で照ノ富士を倒した後、私は阿佐ヶ谷某所に所狭しと集まった観衆とハイタッチをしていた。稀勢の里は筋断裂が疑われる中で、あれほど強かった照ノ富士に勝利したのだ。 ある者は贔屓目に見て、稀勢の里が破れる確率を85パーセントだと予想していた。頷きながら私は腹の中でその確率を98パーセントだと訂正していた。 出場することは、横綱の務めを果たすという意味で美しい。だが、14日目......続きを読む»

稀勢の里よ、見せてくれ。満身創痍で土俵に立つ意味を。

復帰するのは、5月だろうか。 それとも、7月だろうか。 場合によっては、9月ということさえもある。 いずれにしても、重症であることは間違いない。時間を掛けて治すしかない。怪我を克服するという、新たな試練の幕開けになる。そう考えたからこそ、私は昨日の記事のタイトルを「這い上がれ、稀勢の里。」とした。 だから、今日のニュースは寝耳に水と言って良いものだった。そう。稀勢の里は、強行出場を決断したのであ......続きを読む»

這い上がれ、稀勢の里。

見る前に、結果を知った。 その取組を見ようとはとても思えなかった。 今日の相撲さえも、見る気は起きなかった。 そう。 今日の稀勢の里である。 仕事をしながらも、気が乗らなかった。連休明けだったので、仕事は山ほどある。だが、没頭できなかった。声のトーンが重いと指摘されて初めて自分がその結果を引きずっていることに気づいた。 最初は優勝が無くなったということに対して、そして、春場所の見所がひと段落し......続きを読む»

稀勢の里は、愛すべき凡人性を捨てられるのか。

超人性と凡人性。 それが稀勢の里を稀勢の里たらしめる要因だった。 稀勢の里の超人性は到底持ち得ないが、凡人性であれば持っている。本来同居することが無い二つの要素こそが、熱狂的ファンとアンチに分けていたように思う。 鶴竜と白鵬と日馬富士を完璧な相撲で倒した後で、栃ノ心を相手に目を覆うような相撲で敗れる。白鵬との全勝対決に敗れてから繰り返されてきたあの光景は、喜怒哀楽の全てを焚き付け、最終的に落胆と......続きを読む»

千秋楽の一番は、白鵬が稀勢の里を認めた歴史的取組である。

2017年初場所、千秋楽。 白鵬対稀勢の里。 それは、観たことが無い闘いだった。 立合い。 素早く立ち、右から張り差しが炸裂する。 後退させる。 みるみるうちに徳俵に足が掛かる。 寄りまくる。 更に寄りまくる。 相手はエビ反りだ。 更に攻勢を強める。 そのまま勝負を決めに掛かる。 だが、体幹は崩せていない。 身体を開き、逆転のすくい投げ。 攻めに行き過ぎた体は、そのまま落ちた。 驚くべき......続きを読む»

大河ドラマ「稀勢の里」。人生するかしないかで「する」ことを選んだ男の物語。

稀勢の里が、優勝。 千秋楽を前に、あれほど渇望した優勝を稀勢の里が掴んだことを知った時、最初に胸に押し寄せたのは、戸惑いだった。夢なのか、現実なのか。そういう類のことではない。嬉しいとか、涙が出るとか、劇的に感情が揺さぶられるかと思いきや、驚くほど冷静だった。恐らく感情を超える出来事だったのだと思う。冷静に戸惑う自分が居たのだ。 いち早くこの現実を整理したくて、稀勢の里の優勝に向き合いたくて、私......続きを読む»

稀勢の里にとって逸ノ城との一番が、絶対に負けられぬ訳ではない理由。

昨日は、心臓の休養日になった。 単独トップからの数日は、生きた心地がしなかった。誰と対戦しても、負けるシナリオがちらつく。 初優勝が懸かれば普通はもっとポジティブとネガティブが行き交うものだが、これだけネガティブだけが闊歩するのは恐らく稀勢の里が最初で最後ではないかと思う。普通は初優勝のチャンスを掴む機会が中々巡ってこないか、それとも何度目かのチャンスでモノにするからだ。 積み重ねてきた準優勝......続きを読む»

稀勢の里は、麻薬だ。

年間最多勝。 準優勝12回。 大関通算勝率7割。 強いことなど知っている。どれだけその強さを目の当たりにしてきたことか。そしてその強さに明るい未来を見てきたことか。 どれだけと考えると、私は2ヶ月に一度は必ず夢を見ているのだと思う。そしてその夢は膨らむことはあっても、成就することはなかった。バッドエンドしかないストーリーなのではないかと思うほど、ご都合主義のように稀勢の里の物語はスキャンダラスに......続きを読む»

稀勢の里を観る喜びと、苦しみ。今日の落胆さえも、実は愛おしい。

信じながら、信じずに稀勢の里を見届ける。 昨日私はそう書いた。 それは私の本音だった。 この数年観ながらも稀勢の里を心の底から信じ抜けるほど私は純粋ではない。それが出来る方は素晴らしい。だが、恐らくそういう方は報われない人生を送っているのではないかと思う。 そして、完全に信じないと見切りを付けられるほど、稀勢の里は単純な力士ではない。完璧な相撲で白鵬や日馬富士を倒し、翌日に無残な相撲を取る。も......続きを読む»

3横綱連破。信じながら、信じずに稀勢の里を見届ける。

白鵬。 鶴竜。 そして、日馬富士。 稀勢の里は横綱3人を撃破した。 それも、この上ない相撲で。 稀勢の里が勝つときの内容は、完全に横綱相撲だ。ぐうの音が出ない内容で、相手が誰であろうとねじ伏せる。それが史上最強に極めて近い力士であっても。 この内容を見せられれば、期待せざるを得ない。昨日朝活に来ていた相撲ビギナーの友人に稀勢の里の話をしたところ、この2日の内容ですっかり彼の虜になってしまった。......続きを読む»

稀勢の里に求められるのは優勝ラインではなく、この一番を勝つ強さである。

千秋楽の一番で、稀勢の里は豪栄道を下した。 稀勢の里の取組の時、相手が誰であっても嫌な予感しかしない私ではあるのだが、今日は15日の中でも一二を争う程負ける予感しかしなかった。勝ち越しを賭けた豪栄道、今場所手を焼いた速攻相撲、そして負ければ優勝だけでなく綱取りも出直しになる。 負ける要素は揃い過ぎていた。 だが、稀勢の里はこの痺れる一番で勝った。 普通なら呑まれる場面だ。先日のデータにも有るよ......続きを読む»

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スポーツライター:西尾克洋が運営しております。相撲などのスポーツライティング、コラム、企画構成など手広く承っております。お気軽にお問合せ下さい。

【過去のお仕事】
・日本テレビ「超問!真実か?ウソか?」(2017年6月)
・テレビ朝日「サンデーステーション」(2017年5月)
・スポーツナビコラム:西岩親方インタビュー(2016年3月)
・現代ビジネス(2017年2月)
・ビジネスジャーナル(2017年9月)
・週刊Flash(2017年1月)
・Palm Magazine(2010年)
・大相撲ぴあ(2015年12月)
・静岡新聞(2015年10月)
・SBSラジオ(2017年3月)
 への寄稿など多数。

【Mail】
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*はアットマークです。

【Ustream】
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(10月23日現在)

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