幕下相撲の知られざる世界

白鵬

「出ない」勇気。白鵬のカチ上げと張り差し対策に一つの回答を見た、九州場所。

素晴らしい勝利だった。 そして、素晴らしいインタビューだった。 付け加えると、見たことのない15日間だった。 日馬富士の騒動についてではない。白鵬が、ほぼ全て張り差しとカチ上げを選択し続けたことである。 確かに白鵬は、張り差しとカチ上げを多様するようになっていたのは間違いない。だが、ここまでこの二つを続けた場所も珍しいのではないだろうか。 白鵬は、モンゴル人横綱や大関に対してはこうした相撲は......続きを読む»

白鵬よ、相撲が誤解される今だからこそ、伝わる相撲を取ってくれ。

白鵬は悪目立ちする。 それが残念だ。 そんな記事を数日前に書いた。 良いことは話題にならないが、悪いことは話題になりやすい。悪い意味で目立ちやすく、気の毒だがだからこそ普段の行動や土俵上での態度に細心の注意を払って欲しい。全ては白鵬が圧倒的だからなのだが、そういう要求すら求められる力士なのだと思う。 ましてや今場所は、日馬富士の騒動がこれだけ話題に登り続けた。はっきり言って異常な場所だ。ここま......続きを読む»

悪目立ちする白鵬を、残念に思う。

日馬富士の騒動があった。 稀勢の里の不振もあった。 そして、優勝争いは盛り上がらない。 酷い話題が多い場所だ。どん底の頃から熱心に観始めた立場としては、これほど相撲を観ていてしんどい想いをした場所は記憶にない。 日馬富士の騒動が起きた時、せめて稀勢の里には復活してほしいと願った。だが、土俵に戻った稀勢の里はただ無惨だった。稀勢の里が苦しいのであれば、せめて優勝争いに手に汗を握りたかった。秋場所......続きを読む»

39回目の優勝を遂げた白鵬の次の敵は、世間である。

39回目の優勝。 1050勝。 彼を褒め称えるには、一切の主観は不要だ。思い入れは要らない。いや、思い入れを排し、結果に目を向けることによって最大限に評価される力士なのではないかと思う。むしろ主観こそが彼の評価を難しいものにしているとさえ思うほどである。 白鵬翔。 大相撲の記録という記録を塗り替え、尚も勝ち星を積み重ねて塗り替え続ける伝説の男。 記録というのは二つの使い方がある。一つは、多く......続きを読む»

1047勝達成。白鵬が相撲のために捨てた3つのものとは。

1047勝。 魁皇が40歳近い年齢で、千代の富士が30代半ばで到達した領域に、白鵬は32歳にして足を踏み入れた。年少記録でも顔を出し、横綱在位も10年を超えた。一言で表すと太く長い力士人生だ。 これだけの力士を、今後私は見ることが出来るのだろうか。 無理だと分かっていて、自問自答している。 思えば白鵬は、大事なものを捨ててここまで来た力士だ。 中学を卒業する年齢で、モンゴルを飛び出して角界入......続きを読む»

白鵬休場。衰えより強さの記憶が勝る凄みを考える。

白鵬が2敗目を喫した。 そして、5日目から休場することになった。 その決定は驚きをもって受け止められている。 8年間休まずに本場所に立ち続けてきた大横綱が、およそ1年半で3回も休場しているのだから。そして、この10年あまりの横綱在位の中で優勝も準優勝も無いのは8度目だが、その5回が今連続して発生しているのだから、驚くのは当然のことだ。 この受け止め方は、二分されているといっていいと思う。強かった......続きを読む»

スリリングな白鵬戦を楽しめる「幸福」を考える。

白鵬戦が、面白い。 白鵬が衰えたとか、リスペクトが足りないとか、そういう次元の話ではない。 第一人者としての横綱がいる。 誰がどう観ても素晴らしい横綱がいる。 記録の面から見ても、ナンバーワンだ。 そういう横綱が、実績と実力を兼ね備えた存在が、毎回スリリングな相撲を取る。 例えばこれが普通の横綱であれば、スリリングさはその横綱の実力不足として糾弾されるだけの話だ。引退勧告や罵倒のような、つま......続きを読む»

白鵬杯に見る、相撲協会が白鵬を失ってはならぬ理由。

白鵬は、これからの相撲協会に必要だ。 その想いを強くして、私は国技館を後にした。 白鵬杯。 白鵬が提唱し今年で7年目を迎える、中学生以下の相撲大会だ。詳細は昨年の記事を参照していただきたい。 取組が終わった少年力士が退屈しないようにアトラクションを用意し、大会に出やすいように交通費を支給し、誰でも参加できるオープン参加の大会を開催することで底辺拡大を目指す。 今年は実に1260名の選手が日本は......続きを読む»

千秋楽の一番は、白鵬が稀勢の里を認めた歴史的取組である。

2017年初場所、千秋楽。 白鵬対稀勢の里。 それは、観たことが無い闘いだった。 立合い。 素早く立ち、右から張り差しが炸裂する。 後退させる。 みるみるうちに徳俵に足が掛かる。 寄りまくる。 更に寄りまくる。 相手はエビ反りだ。 更に攻勢を強める。 そのまま勝負を決めに掛かる。 だが、体幹は崩せていない。 身体を開き、逆転のすくい投げ。 攻めに行き過ぎた体は、そのまま落ちた。 驚くべき......続きを読む»

今、白鵬をどう捉えるべきなのか。

横綱:白鵬。 大相撲の顔にして第一人者。そして、大相撲の信頼が揺らいだあの時期に、大相撲を守り抜いた大恩人。それが、モンゴル出身のこの稀代の大横綱だ。 大き過ぎる白鵬。それ故に永くアンタッチャブルな存在であり続けた。良くも悪くも白鵬の顔色を伺っていたのではないかと思う。気が付くと白鵬の相撲内容は変質していたが、不幸にもそのことに向き合うことは出来なかった。 荒れた相撲内容が目立つようになっても......続きを読む»

白鵬1000勝が教えてくれたこと。記録に残る力士は、記憶にも残る力士である。

1000勝。 関取で11年、全勝しても990勝。 理屈の上では12年で達成できる記録だが、勿論そんなに簡単な訳が無い。最初から突き抜けた実力の力士など居ない。誰しもどこかで壁に当たり、番付が停滞したり、場合によっては大きく落としさえする。 幕下を観るようになってから分かったことだが、十両を経験した後に幕下に落ち、その後幕下から抜け出せない力士は本当に多い。幕下に慣れると、幕下の相撲を取るように......続きを読む»

拝啓 白鵬 翔 様(平成28年9月)

拝啓 白鵬 翔 様 この書き出しで始まる手紙を書くのはこれが2回目です。初めての時は、大変怒られた覚えが有ります。あれももう、1年前のことです。 今場所の休場という決断、驚きました。何しろ横綱が昇進してから場所前にそのような決定をされたことは、1度たりとも無かったのですから。 横綱在位が54場所。これだけの長きに亘って横綱の地位を保ち続けていること自体異例のことです。そして、史上最多の優勝回数......続きを読む»

千秋楽の白鵬日馬富士戦で、白鵬コールをしてはならない理由。

千秋楽。 稀勢の里に1つの差を付けて、日馬富士が白鵬に臨む。 日馬富士と白鵬はここ数年かなりの割合で白鵬がトップを走っている場合は白鵬が、日馬富士がトップの場合が日馬富士が勝つという流れが有った。単にこれは調子の良い方が勝つということだったのだと思う。 しかし、優勝争いとして、そして勝負として見た時に何かが起こりそうな雰囲気を感じなかったことも確かだ。強い方が勝つ。単純な話なのかもしれないが、そ......続きを読む»

白鵬の凄さは、敗れる姿も理解不能な点に有り。

大相撲夏場所9日目、白鵬が敗れた。 会心の勝利ならば、大横綱を超えたことに興奮する。 そして、やらかしての敗戦であれば驚く。 しかし最近の白鵬が敗れると、呆気に取られるのである。 ふわっと立った立合の意味も分からない。最初から劣勢を余儀なくされる白鵬。予期せぬ形で絶好のチャンスが到来することに当惑する観客。だが、誰よりも当惑していたのは対戦相手の勢だった。 胸元に入りながら、距離を取ってしま......続きを読む»

ありがとう白鵬、稀勢の里。今日の勝者は大相撲である。

良い相撲が観たいと考えていた。何事も無ければ良いと考えていた。そして、稀勢の里の物語が報われて欲しいと考えていた。 槇原敬之は二つの願いは一つしか叶わないと歌っていたが、三つも願うのは理不尽だと思いながら、全て叶えられることを願っていた。 二つの願いは叶えられたが、一つは叶わなかった。そしてそれは、私が最も叶えたかった願いである。だが、私は満足していた。一点の曇りもなく、満足していた。 それほ......続きを読む»

相撲を観よう。白鵬稀勢の里は、15年ぶりの国民的行事である。

30代半ばの私が相撲好きであることを話すと、同世代の人間の反応は似たようなものだ。 「うーん、若貴の頃はよく見たんだけどね」 確かに当時相撲を観ることは自然なことだった。両親や祖父母と共に相撲を観て、アニメが観られないことを怒ったり、舞の海の猫だましを真似たり、休み時間に相撲を取ったりしたものだ。当時は日常の中に相撲が組み込まれていたのだ。 あの頃相撲観戦と言えば、テレビでの観戦を意味していた......続きを読む»

観客が担う、大相撲の美。白鵬の優勝旗返還を大歓声で迎えた美しき光景に思う。

琴勇輝に対する野次について昨日記事を書いた。 一つの重大な覚悟を決め、ルーティンを捨てた力士に対する酷い仕打ちだと私は感じた。これは、今のファンだからこそ起きることなのだろうか。多様な価値観が許容される今だからこそ、その副作用として発生してしまうものなのだろうか。 だとすれば、これから国技館ではいわゆる相撲の美が失われていくのではないだろうか。相撲の美はいわゆる相撲の雰囲気を誰もが共有し、かくあ......続きを読む»

白鵬がもたらす大相撲の危機とは?後編

大相撲が長い歴史の中で人気を維持してきたのは、競技としての質を高めながらも多くの人に分かるキャッチーさを両立してきたからである。 白鵬がもたらす大相撲の危機とは?前編 勝敗が分かりやすく、しかも投げも押しも豪快且つ爽快だ。相撲とは、どう転んでも楽しい結末しか用意されていない競技なのである。 だが、そういう相撲のキャッチーさが今まさに曲がり角を迎えている。その中心に居るのは、白鵬である。 相撲......続きを読む»

白鵬にとっての「5つの不幸」を振り返る。

私は今、白鵬の置かれた状況を残念に思っている。 2011年の頃、確かに相撲ファンと白鵬は同じ方向を向いていた。相撲界の危機的状況を憂い、相撲の在るべき姿を体現してほしいという想いに飢えていた。そして、白鵬はおおよそ考えられる限り最高の形でその姿を体現し続けていた。だが、今は悲しいほど別の道を歩んでいる。 振り返ると、白鵬は不幸な状況に囲まれているように感じてならない。今更ながら、不幸の歴史を振り......続きを読む»

白鵬への批判が、差別意識に基づくものではない理由。

白鵬の千秋楽の変化に対する是非について、論点が変化してきている。 当初は優勝の懸かった一番が呆気ない形で終わったことによる是非だった。問題は至ってシンプルで、期待していた好取組がつまらない形で終わってしまったこと。そしてそのつまらなさが臨界点を超えたこと。期待の高さとつまらなさが極に達し、怒りの感情が爆発したという話だったのである。 これが優勝インタビューでの反応によって、問題の受け止め方が大き......続きを読む»

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スポーツライター:西尾克洋が運営しております。相撲などのスポーツライティング、コラム、企画構成など手広く承っております。お気軽にお問合せ下さい。

【過去のお仕事】
・日本テレビ「超問!真実か?ウソか?」(2017年6月)
・テレビ朝日「サンデーステーション」(2017年5月)
・フジテレビ「グッディ」(2017年11月)
・TokyoFM「高橋みなみの、これから何する?」(2017年11月)
・スポーツナビコラム:西岩親方インタビュー(2016年3月)
・現代ビジネス(2017年2月)
・ビジネスジャーナル(2017年9月)
・オピニオンサイトiRONNA(2017年11月)
・週刊Flash(2017年1月)
・Palm Magazine(2010年)
・大相撲ぴあ(2015年12月)
・静岡新聞(2015年10月)
・SBSラジオ(2017年3月)
 への寄稿など多数。

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*はアットマークです。

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