幕下相撲の知られざる世界

相撲ファンが両国に住む意味を、両国在住1年の私が考える。

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私事ではあるが、6月に結婚した。

エンジニア業と仕事としてのライター業に加えて、遅ればせながら所帯を持つことになり、公私ともに充実しているものの、結婚後の執筆ペースが掴めずにいることは事実だ。それ故最近は場所中以外は中々ブログ記事の更新が滞る傾向にある。現在の生活の中でいかに相撲と執筆に向き合っていくか。これが私の最近の課題である。

さて、もう一つ私にとって大事な変化がある。 そう。 両国に引っ越したのである。

両国を選んだ理由は単純だ。私と妻の勤務地が両方近かったのである。当初蔵前か両国かという議論になったのだが、どうせなら両国に住んだ方が良いのではないかと思い至ったところに良い物件を見つけた。なお、決して私の一存で決めたわけではないということをここで強調しておきたい。恐らく誰も信じないだろうが。

住んでみて驚くのは、なんと言っても生活の中に相撲が存在することだ。

近所には八角部屋と錦戸部屋がある。 瓶付油の匂いがしても、それほど驚かなくなった

同じ関取に1日で3回出くわしたことがある。コンビニと、スカイツリーと、駅前だ。流石に3回目は嘘だと思ったが、確かに誰もが知る大卒力士だった。

行きつけのスーパーには、午後4時頃になるととある親方が車で乗りつけて来店する。狭い道なのだが、おかみさんに運転を任せて親方自ら買い物をしている。そして、肉を選ぶときの眼光は現役時代を彷彿とさせるものである。

こんなことは日常茶飯事だ。 何故なら、ここは両国なのだ。

考えてみると、両国は実に変わった街だ。ある特定のスポーツが街の代名詞となっている地域は全国にそれほど無い。野球でもサッカーでも、市全体が特定のチームと大きく結びついているは有っても、街単位でそのスポーツとイコールで結ばれている事例が他にあるだろうか。

そして、特定のスポーツに根差しているだけでなく、その競技をしているアスリートの多くが住んでいる。競技場が有る地域は多い。だが、競技場とアスリートを共に抱える街は全国広しといえど、恐らく両国だけなのである。

そういう街に住むということが、どのような意味を持つのか。

私にとって力士と触れ合うことはそれほど大きな意味を持つことではない。力士に近づきたいタイプのファンではないし、サインを所望したこともない。望んで写真を撮ったことがあるのは、吐合と里山だけだ。

だとすると、両国に住まなくても別にいいのではないか。蔵前でも良かったのではないか。両国で一通り経験した後で私はそう思った。

もし相撲が好きで、両国に住むことを選択肢の一つにしている人が居るならば、私はどのような言葉を掛ければいいのだろうか。

私は別に、力士と触れ合えることが両国の価値の全てだとは思わない。そして、稽古を見に行きやすいような相撲的に利便性が高いことがメリットであるとも思わない。そういうファンではないからだ。

しかも両国に相撲が居る期間は短い。一年の殆どは、巡業や地方場所である。触れ合える時間など限られているのである。戻ってきたら、もう本場所だ。本場所が終われば巡業だ。じゃあ相撲と触れ合えないではないか。そういう街で暮らす意味はどこにあるのか。

この問いをここ数ヶ月ずっと行ってみて思ったのは、両国に住むこと。そのこと自体が非常に重要なことではないか、ということだったのである。

両国は相撲文化を発信し続けてきた街だ。文化遺産のような街だ。力士や本場所、国技館というのは形ある文化遺産だが、実はもう一つ重要なのはそれらを育んできた街の雰囲気や哲学のような無形の文化遺産ではないかと思う。

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記事カテゴリ:
行ってみた、やってみた
タグ:
相撲を育み、相撲と共に歩み、そして相撲を楽しんでいる。
街の雰囲気や哲学のような無形の文化遺産
両国に住むこと。そのこと自体が非常に重要なことではないか
両国
両国に住む

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