幕下相撲の知られざる世界

照ノ富士の大関陥落を、希望に満ちていると思う理由。

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照ノ富士、休場。

先場所負け越しているので、1勝4敗の照ノ富士がこのまま千秋楽まで休場すると2場所連続で負け越すことになる。つまり、この休場は大関陥落を意味している訳だ。

大関陥落は一つの事件だ。大抵の力士の場合、大関を保てなくなった結果が陥落である。だからこそ、大関陥落は時代の終わりを感じることになる。

今年琴奨菊が大関陥落したが、正にそうした陥落だったように思う。カド番を凌ぎ、大関を守り続けたが、怪我と加齢による衰えで遂に琴奨菊はその地位を明け渡した。

地位を失ったことの哀愁もさることながら、地位を守れぬ内容の取組が続いたことはもっと辛いことだった。地位を保ってほしいという想いはあるが、贔屓目に見ても大関とは言い難い内容の相撲を見ると、相反する想いを抱いたことも事実である。

照ノ富士は、違う。

照ノ富士が苦しんでいる原因は、怪我だ。 衰えた訳ではない。

膝を痛める大怪我をしてから、もう2年が経過した。怪物的な受けであらゆる力士の攻撃を塞き止め、強引な体勢から振り回してなぎ倒す。怪我をする前の照ノ富士の相撲は、このようなものだった。つまり、受け止めることが前提の相撲だったわけである。

今の照ノ富士は強引に振り回す怪力は健在だが、怪力を生かすための受けが出来ない。つまり、勝つための前提が大きく崩れているのだ。もう照ノ富士の膝は、受けられないのである。

照ノ富士は、あくまで出場しながら膝を治そうとしていた。そして、怪力を活かすために自ら前に出る相撲も挑戦していた。だが贔屓目に見ても、どちらも上手くいく様子は無かった。

だから私は苦しい土俵が続く中、照ノ富士に休場してほしいという内容の記事を複数回に亘って掲載してきた。が、照ノ富士は出場にこだわった。そして、4度のカド番を経験した。そのうち3回は翌場所8勝で辛くもその地位を守ったというものだった。

5回目のカド番で、照ノ富士は休場を選択した。 恐らくこれで、大関陥落することだろう。

休場を知った時、私は自分自身に驚いた。 そう。 この休場を全面的に肯定していたからだ。

私にとって照ノ富士に大事なのは、今大関という地位であることではなかった。大関という地位を守る照ノ富士が見たい訳ではなかったのだ。引っ張り込んで土俵際で残そうとするが、そのまま押し切られる照ノ富士に魅力を感じなかったのである。

私にとって魅力的なのは怪物的な受けを見せ、そこから得体の知れない攻めでねじ伏せる照ノ富士だったのだ。

この休場の後、照ノ富士はどうするのか。彼が休んだのは来場所2桁勝利を勝ち取り、大関復帰を成し遂げるためだったのか。それとも、膝を治し、あの怪物的な相撲を再構築するためだったか。それは分からない。

私の声が届かないことは心得ている。照ノ富士にとって出場することと大関の地位を守ることが何より大事なことも心得ている。だから、もうこの何度目になるか分からないが同じ結論の記事を書くことが、この時間が全くの無駄であることも分かっている。

その上で、私はこの大関陥落を希望に満ちたものとして捉えている。照ノ富士が元の姿に戻れるチャンスを得られたからだ。

この前向きな大関陥落で、前向きな結果を生み出してほしい。まだあの相撲が戻るところで、戻るためのチャンスを獲得できたのだから、私は照ノ富士をとても幸運な力士だと思う。

声は届かない。 しかし、言わずには居られない。 そして、願わずには居られない。

強かった照ノ富士よ、復活せよ。

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外国人力士
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強かった照ノ富士よ、復活せよ。
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得体の知れない攻め
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照ノ富士
希望に満ちた大関陥落

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照ノ富士の大関陥落を、希望に満ちていると思う理由。

照ノ富士が上がってきた頃、おそろしい力士が現れたと思いました。過去にこんな力士は見たことがなかったからです。強いて言えば、相撲ぶりは違うが、伝説の雷電為衛門か太刀山峯右エ門か。そう、正真正銘の“怪物力士”の誕生でした。
白鵬をも力でねじ伏せる。わたしは、そこにある種の“恐怖”を感じました。
そして、いったいこの力士は相撲界をどう変えてしまうのか、という戸惑いも感じました。
ケガさえなければ…という無念さは当の本人が一番感じていることでしょう。
しかし、管理人様が書かれていたように、今回が「希望に満ちた大関陥落」であってほしいと思っています。
思えば力士は敵と闘うだけでなく、ケガとも闘っていかなければなりません。
恐怖を感じるほどの力を示していた照ノ富士の相撲は、実はケガと表裏一体のものであって、だからこそ魅力を感じ、怪物的な強さを発揮したのだと思うと、今後も苦難の道は続いていくものと思われます。
それは、ケガをしない相撲を確立する照ノ富士にわたしが魅力を感じるのか…というジレンマでもあります。

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