幕下相撲の知られざる世界

私が21歳の阿武咲に期待する理由。

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阿武咲。

幕下を1年で、十両を2年で通過した逸材。

「武井咲」「ヤンキー」「読み方」という統一感の無い関連検索ワードが出てくるこの力士は、今場所前頭3枚目で臨むことになった。

対するは御嶽海。

当たりが強烈なこの力士にどれだけやれるのか。もし御嶽海を相手に立合で勝れば、面白いことになる。という願望が先行した展望だったのだが、だがそれが願望であることを私は自覚していた。

しかし、その願望が現実のものとなった。 御嶽海に当たり勝ったのだ。

当たり勝ったところで反撃に出てきた御嶽海。冷静に見ていた阿武咲はこれを交わして勝利。勢いに乗る御嶽海をも上回る取組は、想像以上だった。

強い。

御嶽海を相手にこれが出来るのであれば、関脇以下の力士には通じるのではないか。膝の悪い照ノ富士も、恐らくは怯むだろう。今場所どうなるか見えないのは、日馬富士と高安と豪栄道だけだ。御嶽海に当たり勝てるというのは、つまりそういうことなのである。

阿武咲は素晴らしい。 だが、私はどうして阿武咲に期待するのか。

答えは簡単だ。 そう。 阿武咲が21歳だからだ。

中卒や高卒、またはこの間の年齢で横綱や大関に昇進した力士は枚挙に暇が無い。強くなるためのノウハウが、このルートには存在する。稀勢の里も、豪栄道も、琴奨菊もそうした力士である。

だが、こうしたルートを辿る力士が近年減ってきている。ここ10年の中学横綱の中で関取になったのは貴景勝だけだ。そして、高校横綱経験者となると、北勝富士だけなのである。彼は大卒だが、それほど高卒即入門という力士が減っているのである。

驚くべきことに、彼らの多くは大相撲にすら進路を取っていない。可能性がある力士ほど、大相撲の世界には身を投じない。そして、大卒力士はここ20年で大関獲りのステップにさえ誰も到達していない。輪島以降、まだ大卒力士が大相撲で頂点に立つ可能性は見せられていないのである。

こうした経緯から早期入門し、更に早い段階で結果を残している阿武咲に期待するのは自然な流れなのだ。

大相撲の世界に飛び込む全ての力士は、等しくリスクを負っている。殆ど全ての力士が引退後は相撲の世界から足を洗うことになるからだ。大卒であっても、引退後大卒であることがその後の就職に役立つわけではない。だから私は、全ての力士を尊敬している。

ただ過去の事例から考慮すると、感覚的に期待値が高く、沸き立つ何かを覚えるからこそ阿武咲には肩入れしたくなるわけである。

大相撲の世界で結果を残すために、高校1年生の時により大きなリスクを払った阿武咲が活躍できたら美しいと思う。そういう筋書きの物語を見てみたいと思う。

その筋書きは、現実のものになりつつある。 初のチャンスが、やってきたのだ。

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