幕下相撲の知られざる世界

最下層だけど、最下層じゃない。2017年の序ノ口の知られざる世界。

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先日トークライブ「幕内相撲の知ってるつもり!?」を開催した時のこと。

ブログにも配信にも乗せられないようなトークライブでしか話せない内容に特化しているので、満員の会場は盛り上がるのだが、いつもながら私が一番楽しんでいた。

大関や大卒力士について触れてはいけないデータを元に客観的事実を述べる。事実を話すことが一番残酷なことだということを思い知る結果となったわけだ。次回は9月下旬に開催するので、今回お越し頂けなかった方も是非いらしてほしい。

さて、その際に相方の横尾氏がいつものように脱線していると、少し意外な話をしてくれた。

「大雷童って、中卒即入門した力士でデビュー場所で序ノ口優勝した最後の力士なんですよね。」

大雷童は、先日記事にも書いたが松坂世代である。今年で37歳になる世代だ。つまり、中卒即入門の力士は20年あまり優勝できていないことになる。

そう。萩原も、高安も、達も、皆序ノ口では優勝できなかったのである。

ちなみにその前に序ノ口優勝した中卒即入門力士は、古川だ。言わずと知れた若の里である。

5世代で2名、中卒即入門力士が優勝する。これはもしかすると、ということで調べてみた。

すると、やはりというデータが出てきた。大雷童は序ノ口優勝の翌場所で全敗に近い成績だったのだ。

大雷童だけではない。その場所で序ノ口優勝を争った力士達はほぼ、同じような成績だった。ちなみに彼らは、大雷童と同世代だ。彼らの多くは、その後すぐ引退した。

序ノ口で好成績を挙げても、当時400人余り在籍する序二段では現実に直面する。既に相撲界に籍を置く彼らとの実力差は激しい。つまり、当時の序ノ口というのは名実ともに相撲界の序ノ口だったということだ。

今は、違う。

序ノ口には、大卒力士が居る。怪我をした実力者も居る。そして、昔と変わらずこれから実力を付けていくべき力士も居る。

8時台の土俵には、それぞれの人間模様がある。原石同士の闘いの中から、ダイヤモンドを見つけるのが当時の魅力だった。

今の序ノ口は、実力者の完成度にただ圧倒される。彼らは中卒力士では倒すことが出来ない壁だ。そしてその実力者たちが、番付を駆け上がる。

ただ、番付を見れば上位には中卒も居る。最初は実力者に圧倒された原石が、磨きを掛けることでその完成度を上回る。

序ノ口は、実は特殊なのだ。むしろ、序ノ口に見た実力者は序二段や三段目にはそう居ないからだ。地位で言えば序二段や三段目の方が上だが、序ノ口に登場するような、番付を駆け上がる力士は序ノ口の方がよく観られる。彼らのレベルの力士は、幕下でようやくお目見えすることになる。

序二段には序二段でしか見られない残酷な相撲が有るが、それは別の機会に話そうと思う。

最初に圧倒されるのが序ノ口なら、磨きを掛けたダイヤモンドがかつて圧倒された実力者を乗り越えていくのが幕下という舞台だ。

可能性を見い出し、違いに絶望する。それが今の序ノ口だ。今場所は誰が圧倒するのか。そして、圧倒された中から誰が可能性を見出すのか。

ヒエラルキーでは最下層だが、目を見張る相撲も、可能性も有る。そして、敗北を重ねながらも現役に拘る「名誉ある最弱力士」も居る。

2017年の序ノ口に、注目しよう。

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最下層だけど、最下層じゃない。2017年の序ノ口の知られざる世界。

毎年8月に全国中学校相撲選手権大会が開催される。
会場は昨年は石川県、今年は大分県というように一定していないが、かつては国技館で開催されたこともあった。
国技館開催時は、大会に出場する選手は相撲部屋に宿泊して、夏巡業の残り番と一緒にチャンコを食べたりしていた、と記憶している。
これを流用(という言葉が正しいのかはわからないが)して、卒業後入門希望の中学生は相撲部屋に住み込みさせて、早いうちから角界に慣れさせる。稽古もする。もちろん義務教育だから、中学校への通学が最優先であることはいうまでもない。
要はプロ野球の育成選手とか「大相撲予備校」を想定しているわけです。
親元から離れて生活させるのはかわいそう、という意見もあろうが、高校相撲の名門校の埼玉栄や鳥取城北のOBのプロも、埼玉や鳥取出身者は数えるほどで、大半は越境入学していたと思う。

友綱部屋は入門前に車上荒らしやってたヤツまで入門させていた。それほど新弟子に困っているなら、確実に有望な新弟子を確保するシステムを作ったほうがいいと思う。

最下層だけど、最下層じゃない。2017年の序ノ口の知られざる世界。

スポナビライブのおかげで、いまやなんと会場に行かなくても序の口から配信で見られるというとんでもない時代になりました。AmazonのFireTVつなげばフルHDのクオリティでテレビの大画面ですら見られます。相撲好きなら、今すぐ契約して、一場所に一日だけでもいいから朝8時から夕方6時まで通しで見るべきです。こんなことは釈迦に説法かもしれませんが。
序の口と言えば、これまでは勝手に「二十歳前の体もできてない原石同士の磨き合い」みたいな印象を持っていたのですが、実態はまったく違うのですね。15歳違いの対戦とか普通にありますし。17歳くらいでどう見ても体作りを始めたばかりみたいな力士が、30歳過ぎですでに力士として完成されていて何かのアクシデントで番付落としただけの力士に、立ち合い0コンマ何秒で粉砕されるというのは、かなり衝撃的でした。
これは本当に、会場に行くか配信の契約して映像で見るかしないと、伝わらないのではないかと思いました。
次回のイベントには、スポナビライブの営業ブース出して契約の受け付けしてもらうべきですね。

最下層だけど、最下層じゃない。2017年の序ノ口の知られざる世界。

確かに中卒で序ノ口優勝は難しいですね。大卒の張り出しに該当しなかったがそれなりの実力者ケガで幕下三段目から連続休場で陥落してきた力士と対戦するのですから。ただ体がでかいだけでスカウトされプライバシーもない雑魚寝べやで暮らすのは相撲界に席を置くのは現代っ子には無理です。2~3場所でとんずらするのもやむをえないですね。ましてや優勝なんて夢の夢です。相撲未経験者の中卒の新弟子を育てるのなら半年、一年しっかり体力作りをさせてからデビューさせる事が必要なのでは?

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