幕下相撲の知られざる世界

小柳改め、豊山。この勇気ある決断に惹かれる理由。

このエントリーをはてなブックマークに追加

とても良いことだ。 そして、この流れに続いて欲しい。

最初にこの知らせを聞いた時、私はそう思った。そう。小柳の改名について、である。最近の力士の四股名の潮流からすると、その選択は意外だった。少なくとも、私の中では。

豊山。

もはやこの名前についての説明は不要だろう。様々なメディアがその由来について報じているし、小柳が名乗ることに関するある種の正当性についてはお分かりだろうと思う。今日このブログでそこに言及するのは避けようと思う。

私が論じたいポイントは、非常に単純だ。 この名前についてどう感じるか。 この1点だけだ。

一言で表すと、カッコいいと思う。 単純に、この名が。

あらゆる意味で、この名はカッコいい。 後付けで理由を付けることは簡単だが、では何故この名に惹かれるのか。 それは、非常に相撲っぽい名前だからではないかと思う。

豊山という響きそのものがまず相撲的だ。〜山や〜海という名前を聞くと、ああ相撲取りだと思うし、ある程度こちらの想定するテンプレートに沿った名を持つことが力士らしさを醸し出すと思う。

例えば突拍子のない、力士として聞いたことがないような四股名だったとしたら、そこに違和感を覚えることだろう。外来語に漢字を当てたり、縁のある漢字を1字ずつ当てた名を付けられた場合、そこに引っかかりを覚えた状態が続くことになる。

最近の四股名はこういう事例が多いので、引っかかった状態を更に引きずり、なんとも言えない気持ちになる。その名を数年続ければ個性になる日も来ることもあるが、見る側がある程度譲歩を求められることも事実だ。

どの名前にもそれ相応の理由があり、その想いを受け止めれば馬鹿には出来ないと思う。ただ、様々な選択肢がある中で敢えて違和感のある名前を付けるのは非常に勿体無いことだ。だから私は受け入れやすい名を付けるべきだと考えている。

豊山という名前にはそれが無い。 そのことが嬉しいのである。

そして、豊山という名が相撲っぽさを滲ませるもう一つの理由。それはこの名を過去の名力士が襲名してきているということだ。

四股名に相撲っぽさを演出する仕掛け方はいくつかある。例えば、郷土に因んだ名にすること。御嶽海というのはその典型だが、これは実に外れの無い四股名の在り方だと思う。古い地名であればあるほど、相撲っぽくて良い。「武蔵」や「津軽」の後ろに1文字付ければ、これはもう、力士の名前だ。

そして、教養のある名前にすることも一つの手段だ。北の海ではなく「湖」としたことや、大鵬という名にすることは、普通の人間には無理なことだ。教養は四股名に深みを与える。強い力士には、そういう名前が似合うと私は思う。

小柳が選んだのは、もう一つの手段だ。 そしてこれが恐らく一番、大変なのだ。

歴史ある名を継承するのは、大きな責任を伴う。先代を下回ることは許されない。怪我をしても、相応の理由があっても、過去の名力士の名が想像以上に下にあれば寂しい気持ちになってしまう。

責任を負わねばならないのは、力士だけではない。そう。親方もだ。その名に見合った実績を挙げなければ、批判の矛先は親方にも向かう。歴史ある名を貰うということは、当然期待が高いわけだ。とはいえ、期待に応えられない時期もやってくる。その時、名前ゆえに批判を集めることも出てきてしまうわけだ。

だとしたら、力士にとって歴史ある名を継承するのは本当にいいことなのだろうか。名前が力士を潰す一因になるのだとしたら、重責など担わなければ良いのかもしれない。あくまでも想像だが、最近こうした歴史ある名を持つ力士が減った背景にはこうした理由があるのではないかと思う。ある意味で守られているとも言えるだろう。

2ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
大卒力士
タグ:
四股名
教養
郷土
相撲っぽさ
豊山
小柳

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

【カウントダウン】村田諒太vsアッサン・エンダム①【フシ穴の眼 〜スポーツ編〜】

観戦記1306 Krush.75 左右田泰臣vs松下大紀【人生マイペンライ】

【大相撲】ラオウが稀勢の里、ケンシロウが高安ならば、トキは日馬富士だ。【西の落伍家】

ブロガープロフィール

profile-iconnihiljapk

スポーツライター:西尾克洋が運営しております。相撲などのスポーツライティング、コラム、企画構成など手広く承っております。お気軽にお問合せ下さい。

【過去のお仕事】
・日本テレビ「超問!真実か?ウソか?」(2017年6月)
・テレビ朝日「サンデーステーション」(2017年5月)
・スポーツナビコラム:西岩親方インタビュー(2016年3月)
・現代ビジネス(2017年2月)
・ビジネスジャーナル(2017年9月)
・週刊Flash(2017年1月)
・Palm Magazine(2010年)
・大相撲ぴあ(2015年12月)
・静岡新聞(2015年10月)
・SBSラジオ(2017年3月)
 への寄稿など多数。

【Mail】
makushitasumo*gmail.com
*はアットマークです。

【Ustream】
http://www.ustream.tv/channel/makusearch
  • 昨日のページビュー:6833
  • 累計のページビュー:13021256

(09月25日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. デーモン閣下の白鵬への問題提議。何故閣下だけがこの損な役割を引き受けられるのか?その根底に有る、相撲に対する想いとは?
  2. 序ノ口力士:服部桜の3度に亘る敗退行為に、深い悲しみを覚える。
  3. 史上最強の大関は誰か?歴代大関ランキング 後編
  4. 遠藤の新四股名が決定!「清水川」。この四股名が優れている理由とは?
  5. 土俵態度が物議を醸す白鵬。偉大過ぎる人間:白鵬の影が批判を許さぬ今、横綱審議委員会の真価が問われる。
  6. 琴欧洲の短期間での衰えは、肉体的なものだけではない。引退前に大砂嵐との対戦を希望する理由とは?
  7. 日馬富士への問題発言に見る、守屋氏が横綱審議委員に相応しくない理由。
  8. 稀勢の里は、麻薬だ。
  9. 舞の海さんの排外発言騒動。しかし、実は直後に真逆の発言をしている。どちらが真意か。各自観て判断頂きたい。
  10. 照ノ富士の変化と差別を結びつける前に、考えて欲しいこと。

月別アーカイブ

2017
09
07
05
03
02
01
2016
12
11
10
09
08
07
05
04
03
02
01
2015
12
11
10
09
08
07
06
05
03
02
01
2014
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2013
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2012
12
11
10
09
08
07
06
05
03
02
01
2011
12
11
10
09
08
07

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年09月25日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss