幕下相撲の知られざる世界

稽古総見欠席騒動に思う。稀勢の里狂想曲に振り回されるな。

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無断欠席。 そしてその真相は、親方の連絡ミス。

ただ、それだけの話だ。 しかもそれは、本番でも巡業でもない。 稽古総見での出来事だ。

だが、稽古総見の後で無断欠席という活字が踊った。そして真相が明らかになると、今度は連絡ミスという活字が踊った。稀勢の里という名前と共に。

あの稽古総見に行った方なら分かると思うが、カメラと音声機材を抱えた報道関係者があの日の国技館には駆けつけていた。通りかかる人たちは、次々と彼らからインタビューを受けていた。私ですらその対象になったのだ。

彼らは私に聞いた。 誰が目当てですか、と。 期待する回答は誰の目にも明らかだった。

そう。 今の稀勢の里への注目度は常軌を逸しているのだ。

本来はそこまで問題にならないことまで記事になってしまう。報道各社は良いことも悪いことも全てを伝えてしまうからだ。期待も映し出すが、小さな失望や怒りまでもが映し出されてしまう。

今回の稀勢の里は荒れた相撲を取った訳でも、不祥事を起こした訳でもない。繰り返し言うが、稀勢の里は稽古総見に欠席した。そしてその真相は、親方の連絡ミスだ。ただそれだけの話である。

しかし、それだけの話が繰り返し記事になり、責任の所在が論じられている。

関係者は真相を確認せずに、稀勢の里への不快感を口にした。周辺に非があることは確実な状況だ。だが、相撲界の宝となった稀勢の里をスポイルしかねない対応を、この時は行ってしまった。親方も、横綱審議委員も。

後で振り返れば小さな話なのだ。その小さな話を報道陣はこね繰り返している。こね繰り返された話題に、我々は振り回されている。

不祥事でもなく、美談でもなく、小さな話題が議論の対象になる。以前貴乃花の水の吐き方を巡って一騒動有ったが、そういう類の話が今の稀勢の里には起きているのである。

恐らくこれからも、この稀勢の里狂想曲とも言える状況は続くことだろう。小さな話題でも繰り返し伝えられれば、良くも悪くも影響を受けることになる。その意見に乗ることもあるし、逆張りをすることもある。一方引いた見方が出来なくなることが、私は何より怖いのだ。

ここまで膨らんだ大相撲人気は、大相撲を前向きに捉えてきた報道関係者によって醸成されてきたが、膨らみすぎた期待と人気は、注目度故に壊れるかもしれない。

見る側は、自分を保つこと。 大相撲関係者は、慎重に振舞うこと。 報道関係者は、影響力を自覚すること。

一つでも欠ければ、またあの頃に戻るかもしれない。今回の稀勢の里を巡る騒動は何か狂っていると私は思う。特定の個人が狂っているのではない。

振り回されるな。 冷静になろう。

勿論、私もだ。

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